川田稔『武藤章 昭和陸軍最後の戦略家』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2023年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、東京裁判において死刑判決を受けたA級戦犯としては最年少だった武藤章の評伝です。ここ十数年ほど、以前よりも日本近現代史の本をずっと多く読むようになり、武藤への関心が高くなったので、一度武藤の評伝を読もうと考えました。武藤は日中戦争勃発時には…
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ヨーロッパ最古級の現生人類のゲノムデータ

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第13回総会で、ヨーロッパ最古級の現生人類(Homo sapiens)のゲノムデータに関する研究(Sümer et al., 2023)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P122)。これまで、ユーラシアにおける中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行にまたがる現生人類を特徴づける利用…
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『卑弥呼』第116話「強さと弱さ」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年10月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハの一行が襲撃されたのは、伊都(イト)国のイトデ王の裏切り以外に考えられない、とオオヒコがヤノハに強く訴えているところで終了しました。今回は、その数時間前に、日下(ヒノモト)国の庵戸宮(イオトノミヤ)で、吉備津彦(キビツヒコ)と妹で日下の日見子(ヒミコ)で…
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LRJの担い手

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第13回総会で、LRJ(Lincombian-Ranisian-Jerzmanowician)の担い手に関する研究(Hublin et al., 2023)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P59)。LRJは中部旧石器時代と上部旧石器時代との間の移行期の技術複合で、イギリスからポーラ…
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大河ドラマ『どうする家康』第35回「欲望の怪物」

 今回は徳川家康と羽柴秀吉の駆け引きが描かれ、家康が秀吉にどのように臣従するのか、注目していました。話を捻ってくる傾向にある本作ですが、秀吉への家康の臣従過程は、これまで大河ドラマなど創作で描かれてきた話と大きく異なるものではなかったように思います。ただ、今回、秀吉の人となりがさらに掘り下げられたことは、後から重要な情報や設定を明かす本…
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ジュラ紀の新種の鳥群獣脚類

 ジュラ紀の新種の鳥群獣脚類に関する研究(Xu et al., 2023)が公表されました。鳥類は後期ジュラ紀の非鳥群獣脚類恐竜を祖先としますが、この進化過程の最初期に関しては化石記録が極めて少なく、時空間的に限定されているため、解明が進んでいません。鳥群系統で初期に分岐した種に関する情報は、鳥類の特徴的なボディープランの進化を理解し、…
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ヒトY染色体の詳細な塩基配列解読

 ヒトY染色体の詳細な塩基配列解読を報告した二つの研究が公表されました。一方の研究(Rhie et al., 2023)はヒトY染色体の完全な塩基配列を報告しています。ヒトのY染色体は、長いパリンドローム配列、縦列反復配列、分節重複といった複雑な反復構造のために、塩基配列の解読とアセンブリがひじょうに難しい、と知られています。そのため、…
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坂本太郎『日本の修史と史学 歴史書の歴史』

 講談社学術文庫の一冊として、2020年8月に講談社より刊行されました。本書は、1958年に至文堂より刊行された『日本の修史と史学』の増補版(1966年、至文堂)を底本とします。電子書籍での購入です。今となってはかなり古いわけですが、碩学による日本の史書の解説なので得るところは多そうですし、碩学の五味文彦氏の解説もあるので読み、じっさい…
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アイスマンの高品質なゲノムデータ

 1991年にアルプス山脈で発見されたアイスマン(Iceman)と呼ばれるミイラの高品質なゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2023)が公表されました。アイスマンはとも呼ばれており、その良好な保存状態からひじょうに有名なミイラです。アイスマンはエッツィ(Ötzi)とも呼ばれています。アイスマンのゲノムデータは以前にも…
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種子島の中世人骨のミトコンドリアDNA分析

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、種子島の中世人骨のミトコンドリアDNA(mtDNA)分析結果を報告した論文(篠田他.,2021)が公表されました。日本列島の南西約1000 kmにわたって連なる琉球列島からは、日本列島では最古となる更新世にさかのぼる人類遺骸が発見されています。これは、現生人類(Homo sapiens)がア…
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モウコノウマの社会的関係

 モウコノウマ(Equus ferus przewalskiiもしくはEquus przewalskii)の社会的関係に関する研究(Ozogány et al., 2023)が公表されました。モウコノウマの集団にはハーレムが存在し、それぞれ1頭の種牡馬と数頭の雌の成体とその仔によって構成されている。種牡馬ではない雄の成体の中には、一緒に…
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中原の後期新石器時代の陶製排水体系

 中原の後期新石器時代の陶製排水体系を報告した研究(Li et al., 2023)が公表されました。中国の中原の現在の行政区分では河南省周口市淮陽区に位置する平糧台(Pingliangtai)遺跡は温帯モンスーン気候で、気温と降水量が劇的に変化し、夏の月間降水量は500mmを超えることもあります。平糧台遺跡の集落は氾濫原に位置していた…
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白亜紀の小型哺乳類による恐竜の捕食

 白亜紀の小型哺乳類による恐竜の捕食を報告した研究(Han et al., 2023)が報道されました。恐竜と哺乳類は2億3千万年ほど共存しました。両者は三畳紀後期に誕生し、中生代から新生代にかけて多様化しました(恐竜は鳥類の形で)。両者が様々な形で相互作用していたことは間違いありませんが、その相互作用を示す直接的な化石証拠は稀です。本…
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ヒガシゴリラにおける未知の系統との混合

 ヒガシゴリラ(Gorilla beringe)における未知の系統との混合の可能性を示した研究(Pawar et al., 2023)が公表されました。現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)など、後期ホモ属の各系統間…
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及川琢英『関東軍 満洲支配への独走と崩壊』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2023年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。関東軍は、関東州と南満州鉄道(満鉄)の保護を目的として1919年に成立した、日本陸軍の出先軍です。この場合の「関東」とは、いわゆる万里の長城の東端である山海関以東の地、つまり満洲を意味します。関東軍の成立は、日本にとって「生命線」とされた「満蒙…
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社会現象よりも自然現象で多く見られる超自然的な説明

 超自然的な説明に関する研究(Jackson et al., 2023)が公表されました。世界中の人々は、自分たちの世界を説明するため、超自然的な信仰を利用しています。超自然的な信仰は、世界についての理解の間隙を埋めるために生まれた、と考えられています。有力な一説では、ある現象に関する明確な原因がなく、超自然的な存在や超自然的な力が地球…
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岡山県内古墳出土人骨のミトコンドリアDNA分析

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、岡山県内古墳出土人骨のミトコンドリアDNA(mtDNA)分析結果を報告した論文(篠田他.,2021)が公表されました。次世代配列決定(next-generation sequencing、略してNGS)APLP(Amplified Product-Length Polymorphism、増幅…
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『卑弥呼』第115話「疑心」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年9月20日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが伊都(イト)国を訪れた後、おそらくはと末盧(マツラ)国への道中で襲撃され、ヤノハに同行していた武勇に優れているオオヒコまで倒されたことに愕然とし、窮地に追い込まれたところで終了しました。今回は、その数時間前に、末盧(マツラ)国の玉島(タマシマ)で、末盧…
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デニソワ人についてのまとめ(3)

 もう4年以上前(2019年5月)に、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)についてまとめました(関連記事)。その後ずっと、改定しようと考えてきましたが、当ブログで取り上げた分だけでもデニソワ人関連の研究はそれなりの数になり、怠惰な性分でもあるので、手をつける気力がなかなか湧きませんでした。しかし、前回のまとめから4年…
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大河ドラマ『どうする家康』第34回「豊臣の花嫁」

 今回は徳川家康と羽柴秀吉の駆け引きが描かれました。秀吉は妹の旭を家康の正室に送り込み、家康を上洛させて臣従させようとしますが、秀吉を嫌って警戒している家康は上洛せず、秀吉はさらに自身の母親(大政所)も家康に差し出そうと決意します。前回で徳川から出奔した石川数正(吉輝)は今回も登場し、石川数正の真意は酒井忠次と本多正信と於愛が推測して語…
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『卑弥呼』第14集発売

 待望の第14集が発売されました。第14集には、 口伝103「ならわし」 https://sicambre.seesaa.net/article/202303article_5.html 口伝104「無類の軍師」 https://sicambre.seesaa.net/article/202303article_21.h…
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井上文則『軍と兵士のローマ帝国』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2023年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は軍と兵士の視点からのローマ帝国史で、284年のディオクレティアヌス帝の即位以降の後期ローマ帝国軍も重視していることが特徴です。本書は、漢やパルティアやサーサーン朝など同時代の大国と比較して、職業軍人から構成される常備軍だったことがロー…
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古人類学の記事のまとめ(50)2023年4月~2023年8月

 2023年4月~2023年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2023年4月~2023年8月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、当ブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なものです…
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古代の巨大クジラ

 ペルー南部で発見された古代の巨大クジラを報告した研究(Bianucci et al., 2023)が報道されました。クジラ目(イルカ、クジラ、ネズミイルカを含む哺乳類の亜目)の化石記録は、陸上動物がどのようにして極端な適応を獲得し、完全な水中生活様式への移行を遂げたのか、明らかにしています。クジラ類では、これは最大体サイズの大幅な増大…
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ポーランドの鉄器時代と中世の人類集団のゲノムデータ

 ポーランドの鉄器時代と中世の人類集団のゲノムデータを報告した研究(Stolarek et al., 2023)が公表されました。近年の古代ゲノム研究の進展は目覚ましく、ヨーロッパは最も古代ゲノム研究の蓄積が多い地域と言えるでしょう(関連記事)。古代ゲノム研究は、歴史時代よりも文献のない先史時代の方が優先されている感もありますが、古代ゲ…
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大河ドラマ『どうする家康』第33回「裏切り者」

 今回は石川数正の出奔が描かれました。石川数正は初回から家康を支えてきた重鎮という位置づけだけに、ひねってくる傾向のある本作ではどう描かれるのか、注目していましたが、羽柴秀吉との取次を務めた石川数正が秀吉の強大な勢力を認識し、秀吉との和睦を考えているのに対して、小牧・長久手の戦いで羽柴軍に勝利した、と確信している他の徳川家臣は対秀吉強硬…
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樹木の年輪解析により示される中世フェノスカンジアの気候

 樹木の年輪解析により中世フェノスカンジアの気を示した研究(Björklund et al., 2023)が公表されました。地球システムモデルやさまざまな気候代理指標の情報源によって、地球温暖化は少なくとも紀元後において前例がない、と示されています。しかし、樹木の年輪は、数世紀にわたる気候の変化を反映する指標として使用でき、極端な気候の…
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サハラ砂漠におけるキツネの適応

 サハラ砂漠におけるキツネの適応に関する研究(Rocha et al., 2023)が公表されました。砂漠への動物の適応の進化的過程の解明は、気候変動への適応的反応を理解するのに重要です。キツネ属(Vulpes)の中には、世界最大の高温砂漠であるサハラ砂漠に生息するオジロスナギツネ(Vulpes rueppellii)やフェネック(Vu…
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松下憲一『中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史』

 講談社選書メチエの一冊として、2023年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、中華の形成における北方遊牧民(もしくは狩猟民)の役割を重視し、その具体的事例として鮮卑の拓跋部を取り上げています。これら北方遊牧民の中華支配について通俗的には、野蛮な夷狄による中華の破壊か、未開な遊牧民の中華への同化として語られるのが一般的でし…
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北アメリカ大陸における更新世末の大型動物の絶滅要因

 北アメリカ大陸における更新世末の大型動物の絶滅要因に関する研究(O’keefe et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。更新世末には、世界各地に生息していた地球の大型哺乳類の約2/3が絶滅しました。更新世大型動物絶滅の(複数かもしれない)要因は、部分的には化石記録の低い時空間的解像度が考古学および環境の…
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カナリア諸島先住民の人口史

 カナリア諸島先住民の古代ゲノムデータを報告した研究(Serrano et al., 2023)が公表されました。カナリア諸島は大西洋の比較的低緯度に位置していますが、その入植が紀元後と遅かったこともあり、DNAの保存状態はそれなりに良好なようで、古代DNA研究が進められています。カナリア諸島への関心は、古代DNA研究が進められている地…
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ネオンテトラの避難行動

 ネオンテトラ(Paracheirodon innesi)の避難行動に関する研究(Larrieu et al., 2023)が公表されました。群衆運動は、昆虫から哺乳類まで、および運動性細胞のような非認知体系システムにおいて、異なる種間と異なる規模で観察されます。狭い開口部から脱出を余儀なくされた場合、ほとんどの陸生動物は粒状物質のよう…
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トルコ南東部の旧石器時代遺跡

 トルコ南東部の旧石器時代遺跡の調査の予備的な報告(Kodaş., 2023)が公表されました。トルコというかアナトリア半島は、現生人類(Homo sapiens)がアフリカからレヴァントを経てヨーロッパへと拡散するさいの重要な経路だった、と考えられます。とくに、新石器時代における農耕を伴うヨーロッパへの人類集団の拡散では、アナトリア半…
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大河ドラマ『どうする家康』第32回「小牧・長久手の激闘」

 今回は小牧・長久手の戦いの続きが描かれました。徳川軍が局地戦では羽柴軍を敗走させたとはいっても、全体的な戦局では羽柴軍の優位は否定できず、あえて勝敗を判断すれば勝者は徳川家康ではなく羽柴秀吉でしょうが、ここで得た武名が家康にとって大きな資産となり、天下人への道が開かれた、と言えそうです。同じく今回は、局地戦での徳川軍の勝利が強調されて…
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『卑弥呼』第114話「庭」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年9月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハがミマト将軍とイクメとミマアキに、津島(ツシマ、現在の対馬でしょう)国のアビル王の毒殺のため、アビル王には不老長寿の秘薬(実は毒薬)を贈り、それ以外の山社(ヤマト)連合諸国の王には同じ色の粉末の身体によい薬を贈る、と明かしたところで終了しました。今回は、加…
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落合淳思『古代中国 説話と真相』

 筑摩選書の一冊として、筑摩書房より2023年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書では「説話」が、「歴史上事実として伝えられたが、実際らには事実ではないもの」という意味で用いられています。本書は、説話を事実として信じてしまえば、説話をどれだけ詳しく研究しても科学的な社会研究にはならず、作り話からは社会の実態を明らかにすること…
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フランス新石器時代の社会構造

 古代ゲノムデータからフランス新石器時代の社会構造を推測した研究(Rivollat et al., 2023)が公表されました。古代ゲノム研究はヨーロッパにおいてとくに発展しており、親族関係や社会構造についての解明も進んでいます。本論文は、フランスの新石器時代の遺跡を対象に、大規模な家系図の復元を提示しています。これら新石器時代住民は核…
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気候変動と人類の進化

 気候変動と人類の進化に関する二つの研究が公表されました。日本語の解説記事もあります。ヒトの進化について知られていることのほとんどは化石証拠に由来し、これらの化石は、現代人のように、気候や生態系の動態により形成された世界に由来します。これら過去の環境を推定する能力により、現代人の進化を形成した力をより深く理解できるようになります。過去の…
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始新世の小柄なクジラ

 始新世の小柄なクジラを報告した研究(Mattila et al., 2023)が公表されました。クジラが小型の陸生偶蹄類の祖先から出現して間もなく、その基底部系統(古鯨類)はより特殊な水生の生態系に生息するようになり、完全な水生の生活様式の採用までに至った驚異的な適応放散を経ました。この適応戦略は、地理的に広く分布する絶滅したバシロサ…
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石器時代ヨーロッパ中央部および東部の人口史

 石器時代ヨーロッパ中央部および東部の古代人のゲノムデータを報告した研究(Mattila et al., 2023)が公表されました。近年の古代ゲノム研究の発展には目覚ましいものがあり、ヨーロッパは最も進んでいる地域と言えるでしょう(関連記事)。農耕の開始は人類史における一大転機で、考古学でも古くから注目されており、古代ゲノム研究でも世…
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大河ドラマ『どうする家康』第31回「史上最大の決戦」

 今回は小牧・長久手の戦いの序盤までが描かれました。徳川家康にとっては、天下人になる基盤を築いた戦いとも言えるかもしれませんが、局地戦では羽柴軍を敗走させたとはいっても、全体的な戦局では羽柴軍の優位は否定できないでしょう。賤ヶ岳の戦い後、徳川と羽柴が直ちに敵対関係になったわけではなく、家康は羽柴秀吉への使者として石川数正を派遣し、秀吉も…
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ヨーロッパ南東部における農耕社会と牧畜社会の早期の接触

 ヨーロッパ南東部の新石器時代から前期青銅器時代までの古代人135個体のゲノムデータを報告した研究(Penske et al., 2023)が公表されました。完新世のヨーロッパにおいては、新石器時代におけるアナトリア半島からの農耕民、および後期新石器時代(Late Neolithic、略してLN)以降におけるポントス・カスピ海草原(ユー…
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上田信『戦国日本を見た中国人 海の物語『日本一鑑』を読む』

 講談社選書メチエの一冊として、2023年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は鄭舜功が著した『日本一鑑』を取り上げ、「外から」見た戦国時代の日本の様相を叙述しています。こうした「外国(人)」史料が貴重なのは、自身の文化に由来する日本の(習俗なども含めて広い意味での)文化への無理解や偏見があるとしても、当時の日本社会では常識…
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ヒト脳の進化において細胞の複雑性を促進した分子的特徴

 ヒト脳の進化において細胞の複雑性を促進した分子的特徴に関する研究(Caglayan et al., 2023)が公表されました。ヒト脳に固有の機能性には、ヒト特異的なゲノム変化が関与しています。ヒト脳に見られる細胞の不均一性と、遺伝子発現の複雑な調節は、ヒト特異的な分子的特徴を、細胞分解能で明らかにすることの必要性を浮き彫りにしていま…
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『卑弥呼』第13集発売

 待望の第13集が発売されました。第13集には、 口伝95「鏡奇譚」 https://sicambre.seesaa.net/article/202209article_21.html 口伝96「開戦の時」 https://sicambre.seesaa.net/article/202211article_6.html …
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南アメリカ大陸東部沿岸の古代人のゲノムデータ

 南アメリカ大陸東部の沿岸の古代人のゲノムデータを報告した研究(Ferraz et al., 2023)が公表されました。近年の古代ゲノム研究の進展は目覚ましく、これまでに歴史学や考古学や人類学では充分に把握できていなかった完新世人口史の側面の解明にも大きく貢献しています(関連記事)。アメリカ大陸の古代ゲノム研究も近年大きく進展している…
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大河ドラマ『どうする家康』第30回「新たなる覇者」

 今回は、本能寺の変の後の羽柴秀吉の台頭が描かれました。徳川家康が主人公なので、北条との戦いなど徳川の動向も描かれましたが、お市の方が主人公といった感もありました。お市の方は秀吉を警戒して柴田勝家と結婚した、と家康は推測していましたが、小谷城が陥落したさいに馴れ馴れしい秀吉をお市の方は一喝しており、遅くともこの頃から、秀吉へのお市の方の…
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現代人のシャベル型切歯

 今年(2023)は時には独自の文章を掲載しようと考え(関連記事)、ほぼ取り上げた文献を整理するだけになってしまうとはいえ、自分なりに整理することにも意味があると考えて、今回は現代人のシャベル型切歯について短くまとめます。アジア東方の人口集団では、いくつかの歯の特徴が「モンゴロイド歯科複合」と呼ばれる混合表現型としてまとめられており、後…
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『卑弥呼』第113話「謀略」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年8月20日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが、丹(硫化水銀から構成される辰砂、水銀の原料)の石を砕き、調合した薬というか毒を、津島(ツシマ、現在の対馬でしょう)国のアビル王に進呈するつもりだ、とイクメに語るところで終了しました。今回は、山社国(ヤマトノクニ)の中心地というか「首都」である山社(ヤ…
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小野寺拓也、田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』

 岩波ブックレットの一冊として、岩波書店より2023年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、インターネットの日本語環境(詳しく調べていませんが、本書冒頭で取り上げられている事例から推測すると、多分多くの他の言語環境でも)では珍しくない、ナチスは「良いこと」もした、というさまざまな主張を具体的に検証します。この問題について詳…
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