遠オセアニア西部現代人の遺伝的構造

 遠オセアニア(リモートオセアニア)西部現代人の遺伝的構造に関する研究(Arauna et al., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。バヌアツ諸島は、3000年前頃となる無人地への最も広範なヒトの移住の一つにおける、遠オセアニア(リモートオセアニア)への入口として機能しました。古代DNA研究は、…
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井上文則『シルクロードとローマ帝国の興亡』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2021年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、ローマ帝国の興亡はユーラシア大陸規模の出来事と関連しており、それはユーラシアの東西を結んだシルクロード交易盛衰だった、との壮大な想定に基づいており、広範な地域を対象とするだけに各地域および事象について専門家の異議はあるでしょうが、歴史学が…
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ボルネオ島の後期更新世人類遺骸の外科的切断の痕跡

 ボルネオ島のインドネシア領となる東カリマンタン州のリャン・テボ(Liang Tebo)洞窟(図1)で発見された後期更新世現生人類(Homo sapiens)遺骸の外科的切断の痕跡を報告した研究(Maloney et al., 2022)が公表されました。医学の発展に関しては、1万年前頃となる定住農耕社会の出現(いわゆる新石器革命)によ…
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サヘラントロプス・チャデンシスの二足歩行の証拠

 サヘラントロプス・チャデンシス(Sahelanthropus tchadensis)の二足歩行の証拠を報告した研究(Daver et al., 2022)が公表されました。二足歩行は人類クレード(単系統群)を規定する重要な適応の一つです。二足歩行の証拠は、600万年前頃となるアフリカ東部の後期中新世人類とされるオロリン・トゥゲネンシス…
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『卑弥呼』第95話「鏡奇譚」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年10月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが金砂(カナスナ)国への出陣を筑紫島諸国の王と兵士に告げるところで終了しました。今回は、暈(クマ)の国の夜萬加(ヤマカ)にて、洞窟の奥深くの部屋でヒルメが民の訴えを聞いている場面から始まります。訴えてきたのはホデリという男性で、部屋の外にはタマヨリという…
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アジア中央部現代人におけるタリム盆地のミイラからの遺伝的影響

 アジア中央部現代人におけるタリム盆地のミイラに代表される集団からの遺伝的影響に関する研究(Dai et al., 2022)が公表されました。アジア中央部人の多様性は、複数の移住と文化拡散により形成されてきました。古代DNA研究は青銅器時時代以来のアジア中央部人の人口統計学的変化を明らかにしてきましたが、アジア中央部現代人への古代の人…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第36回「武士の鑑」

 今回は畠山重忠の最期が描かれました。畠山重忠は初回から登場し、好漢として描かれてきただけに、追い込まれていく過程とその最期は丁寧に描かれていました。畠山重忠を格好よく描こう、という制作側の意図は初回から窺えただけに、畠山重忠の最期は後半第一の山場になるのではないか、と予想していましたが、本作ではこれまででも有数の規模の野外ロケとなり、…
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中国の人類進化観と民族主義

 中国の人類進化観と民族主義に関する研究(Cheng., 2017)が公表されました。本論文の刊行は5年前ですが、最近になって知り、中国の人類進化観と民族主義は以前より関心のある問題だったものの(関連記事1および関連記事2)、断片的な情報しか得ておらず、よく理解できていなかったので、この問題について具体的な情報が多く体系的に解説している…
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井上文則『評伝 宮崎市定 天を相手にする』

 2018年7月に国書刊行会より刊行されました。著者は以前の著書『軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡』にて、ローマ帝国の変容・衰退を時代の近い漢王朝やもっと広く中華地域の変容と比較し、ローマ帝国の変容・衰退の性格を論じており(関連記事)、宮崎市定氏への傾倒が窺えましたが、東洋史専攻ではないのに宮崎氏の評伝を執筆したのには驚きま…
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渡辺知保(2021)「人新世:ヒトが地球を変える時代」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収のコラムです。地質学的な時代区分では、現在は完新世とされます。しかし、すでに2000年の時点で、完新世はすでに終わって新たな時代区分に入っており、それを人新世と呼ぶのが妥当ではないか、との見解が提示されていました。本論文の執筆時点(2020年12月)では、人新…
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竹沢泰子「人種と人種差別 文化人類学と自然人類学の対話から」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。人種は一般的に、皮膚の色をはじめとして、頭髪や身長や頭の形や血液型など形質的な特徴による区分単位とされ、現代日本社会では、コーカソイド(白色人種)とモンゴロイド(黄色人種)とネグロイド(黒色人種)の3人種に区分されます。こうした概念は社会に広く深く…
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翼竜の羽毛の色彩パターン

 翼竜の羽毛の色彩パターンエピに関する研究(Cincotta et al., 2022)が公表されました。中生代の化石の保存状態がきわめて良好な軟部組織から、羽毛の進化に関して多大な知見が得られおり、翼竜類の分岐構造を持つ羽毛(ピクノファイバー)に関する新たな証拠から、羽毛が前期三畳紀に翼竜類と恐竜類の祖先である鳥中足骨類(Avemet…
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漢代の新疆住民の学際的研究

 中華人民共和国新疆ウイグル自治区(以下、新疆)の漢代住民の学際的分析結果を報告した研究(Allen et al., 2022)が公表されました。古代中華帝国の国境地帯では、漢人と非漢人の相互作用が深く根付いていました。しかし、これら国境の人々の遺伝的起源もしくは生活様式についてはほとんど知られていません。この研究は、古代DNAと安定同…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第35回「苦い盃」

 今回は、源実朝の結婚と、北条時政と畠山重忠との対立の激化が描かれました。実朝の正室である千世は顔見世程度の出番で、まだ人となりがほとんど描かれていませんが、実朝との夫婦関係はどうなるのでしょうか。時政と重忠との対立は、平賀朝雅の策謀により激化していき、「りく」が時政を煽っていくところはある程度予想通りでしたが、重忠の息子の重保が平賀朝…
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ヨーロッパ南部とアジア南西部の大規模な古代ゲノム研究

 ヨーロッパ南部とアジア南西部に関する3つの大規模な古代ゲノム研究が公表されました。それは、ヨーロッパ南部とアジア南西部の古代から中世の人類遺骸の古代ゲノムデータを報告した研究(Lazaridis et al., 2022A)と、メソポタミア古代人のゲノムデータを報告した研究(Lazaridis et al., 2022B)と、総説的な…
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高橋のぼる『劉邦』第14集(小学館)

 電子書籍での購入です。第14集は、広武山で劉邦率いる漢軍と項羽率いる楚軍が対峙するなか、項羽が劉邦を弩で射抜いた場面から始まります。劉邦は瀕死状態に陥りますが、何とか回復します。しかし、漢軍兵士の動揺は激しく、案じた蕭何は、兵士の前で無事であると振舞うよう進言し、劉邦は盧綰の助けを借りて何事もなかったかのように兵士の前で振舞います。兵…
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米田穣「考古学と自然人類学 縄文時代・弥生時代の生業を考える」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。植物(作物)栽培化(domestication)は、食料獲得から食料生産への移行という人類史において大きな画期となります。なお、動物の家畜化も英語では同じ単語(domestication)が用いられます。ただ、動物の家畜化と植物の栽培化(農耕)とを…
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ホオジロザメとの競合によるメガロドンの絶滅

 メガロドン(Otodus megalodon)の絶滅の一因はホホジロザメ(Carcharodon carcharias)との競合かもしれない、と指摘した研究(McCormack et al., 2022)が公表されました。動物の栄養水準は生態系内での位置を示しており、食餌は動物の生活様式や生態を理解する上で重要な役割を果たします。動物…
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中世のアシュケナージ系ユダヤ人のゲノムデータ

 中世のアシュケナージ系ユダヤ人のゲノムデータを報告した研究(Brace et al., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、イギリスのノリッジ(Norwich)遺跡の中世の井戸の底で発掘された6個体のゲノム配列データを報告します。これらの遺骸の改定放射性炭素年代分析は、歴史的に確認された…
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『卑弥呼』第94話「豊日別会議」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年9月20日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハがイクメに、鬼国(キノクニ)の背後に吉備(キビ)がいるなら吉備の王の首を刎ね、吉備の背後に日下(ヒノモト)がいれば日下の王の首を必ず獲る、と力強く宣言ところで終了しました。今回は、ヤノハとイクメが、菟狭(ウサ、現在の大分県宇佐市でしょうか)と穂波(ホミ)…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第34回「理想の結婚」

 今回は政争へとつながる確執が描かれました。北条時政は執権となり鎌倉において御家人筆頭的な立場となったことで権勢を振るうようになり、すっかり浮かれています。時政は息子の義時の諫言も疎ましく思うようになり、これが両者の対立と時政の失脚につながっていくのでしょう。時政の失脚の要因として畠山重忠討伐もあったようですが、前回と今回で時政と重忠と…
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現生人類の起源の見直し

 現生人類(Homo sapiens)の起源を再検討した研究(de Castroa, and Nielsen., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類、および現生人類とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との最終共通祖先(LCA)の両種はアフリカに起源がある、と推…
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坂野潤治『近代日本の構造 同盟と格差』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2018年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は近代日本の基本的な対立を、「日英同盟」と「日中親善」、「民力休養(地租軽減)」と「格差是正」の二つの観点から検討します。本書のこの問題設定は、2010年代の日本の政治経済と外交を強く意識しています。つまり、2012年12月に成立した第二次…
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1000年前頃のクラインフェルター症候群

 1000年前頃のクラインフェルター症候群の個体を報告した研究(Roca-Rada et al., 2022)が公表されました。ポルトガル北東部の中世のトーレ・ヴェーリャ(Torre Velha)遺跡で1000年以上前に埋葬されたヒト骨格が、分析され、調べられました(図1)。以下は本論文の図1です。  調査の結果、死亡時に25歳以…
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古人類学の記事のまとめ(47)2022年5月~2022年8月

 2022年5月~2022年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2021年9月~2021年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、当ブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なもので…
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パレオスポンディルスと四肢類祖先との類縁性

 パレオスポンディルスと四肢類祖先との類縁性に関する研究(Hirasawa et al., 2022)が公表されました。中期デボン紀のパレオスポンディルス(Palaeospondylus gunni)はきわめて謎の多い化石脊椎動物の一種で、1890年にスコットランドで発見されて以来、その系統的位置は不明なままでした。この化石には奇妙な形…
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トルクメニスタンの青銅器時代個体のゲノムデータ

 トルクメニスタンの青銅器時代個体のゲノムデータを報告した研究(Guarino-Vignon et al., 2022)が公表されました。オクサス(Oxus)文化もしくはバクトリア・マルギアナ考古学複合(Bactrio Margian Archaeological Complex、以下BMAC)は、アジア中央部南方における青銅器時代の主…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第33回「修善寺」

 今回は源頼家の最期が描かれました。頼家は伊豆の修善寺に配流となり、源実朝が新たな鎌倉殿となって、北条時政が比企一族滅亡後に武蔵守任官を望むなど、北条一族の驕りに反感が高まっている、と三浦義村は北条義時に忠告します。義村は北条一族に含むところがあるようで、これまでも北条一族と対立しそうな場面がありましたが、今のところ北条一族というか義時…
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マレーシア先住民の起源

 マレーシア先住民の起源に関する研究(Aghakhanian et al., 2022)が公表されました。アジア南東部は、アジア本土から、アンダマン海と南シナ海とインド洋へと広がる多数の島々にまでまたがる11ヶ国から構成されます。この地域には歴史と文化と宗教と生物学の印象的な多様性があります。マレーシア先住民はかなりの表現型と言語学と人…
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手嶋泰伸『日本海軍と政治』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2015年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。大日本帝国、とくに戦前戦中昭和期の軍部については、頑迷固陋な陸軍と開明的な海軍との通俗的印象はまだ根強いかもしれず、それは陸軍を悪玉、海軍を善玉とするような認識につながりやすい、と言えるでしょう。大日本帝国では、海軍は陸軍よりも政治に関わろうと…
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井原泰雄「言語の起源と進化 その特殊性と進化の背景」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。音声や動きなどで複雑な意思伝達を行なう動物もいますが、それらとの共通点もある言語はヒト(Homo sapiens)に固有と考えられています。言語能力については、広義と狭義に区分する見解があります。意思伝達に関わる仕組み(感覚・運動系)と思考に寄与す…
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大塚柳太郎「人口からみるヒト」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収のコラムです。動物の出生・死亡パターンを繁殖戦略から見ると、変動する環境に合わせて好条件時に出生率を高めることで個体数を維持するr戦略と、環境依存性が低く、出生率も死亡率も低く抑えて個体数を安定的に維持するK戦略が両端に位置し、ヒトを含む霊長類は典型的なK戦略…
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ヨーロッパにおける乳糖耐性進化の要因

 ヨーロッパにおける乳糖耐性の歴史に関する研究(Evershed et al., 2022)が公表されました。ヨーロッパの人口集団、および多くのアフリカと中東とアジア南部の人口集団において、ラクターゼ(乳糖分解酵素)活性持続(LP)は、過去1万年間に進化した単一遺伝子形質のうち最も強力に選択されたものです。LPの選択と先史時代の乳の消費…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第32回「災いの種」

 今回は、源頼家の死を前提としていた政争で比企一族を滅ぼした北条一族が頼家の回復に困惑しつつ、義時を中心にどう対処すべきか、悩みつつ決断する政治劇が描かれました。頼家は出家させられたものの、政務には意欲的で、北条一族はその扱いに困りますが、母の政子が頼家に比企一族は自害した、と伝えますが、さすがに頼家はこうした嘘に騙されず、北条が比企一…
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『卑弥呼』第93話「真の敵」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年9月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが穂波(ホミ)の国境にある秦邑(シンノムラ)で、最強の武器とされる連弩を秦邑の長老である徐平(ジョヘイ)から知らされたところで終了しました。巻頭カラーとなる今回は、秦邑でヤノハが連弩を試している場面から始まります。ヤノハは、連弩の操作が容易なのに感心します…
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本郷和人『歴史学者という病』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2022年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。著者の提示する歴史像にはどうも納得できないことが多いものの、読みやすく教えられるところが多いので、これまでにも何冊か読んできました。本書は、日本中世史の研究者である著者が歴史学の現状を憂いて執筆した内容と予想されたので、歴史学を専攻したわけでは…
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朝鮮半島三国時代の古代ゲノム研究の解説

 朝鮮半島三国時代の古代ゲノム研究(関連記事)の解説(Wang R, and Wang CC., 2022)が公表されました。過去10年間、古ゲノミクスは、時空間的規模でアジア東部における過去の人口史の理解を進めてきました。完新世において、アジア北東部人の形成は、3つの遺伝的系統の広範な混合により特徴づけられました。それは、アムール川流…
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エディアカラン紀の刺胞動物

 エディアカラン紀の刺胞動物に関する研究(Dunn et al., 2022)が公表されました。サンゴやクラゲを含む刺胞動物門という動物群には、疎らながらも古く長い化石記録が存在します。この研究は、イギリスのチャーンウッドの森(Charnwood Forest)で発見された、エディアカラン紀となる約5億6200万~5億5700万年前の刺…
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ネアンデルタール人に由来する薬物代謝関連遺伝子

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)に由来する薬物代謝関連遺伝子に関する研究(Haeggström et al., 2022)が公表されました。6万年前頃に起きたネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)との間の混合は、現生人類の遺伝子プールに遺伝的多様体をもたらし、その多くは現代人において低…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第31回「諦めの悪い男」

 今回は源頼家が突如として重体に陥ったことに始まる、鎌倉殿の後継者をめぐる政争と、その結果としての比企一族の滅亡が描かれました。頼家の間近の死を前提に幕府要人が暗躍する描写は、脚本家の得意とするところでしょうから期待していましたが、上手く構成されていたと思います。主人公の北条義時の成長はこれまで段階的に描かれてきましたが、比企一族の滅亡…
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鳥類の骨盤の発生過程

 鳥類の骨盤の発生過程に関する研究(Griffin et al., 2022)が公表されました。現生鳥類(鳥綱)の体は、祖先的な爬虫類の状態から著しく変化しています。とりわけその骨盤は、初期の主竜類から現生の鳥類までの移行の中で大きな変化を経てきました。この段階的な変形はきわめて優れた化石記録によりよく立証されていますが、その根底にある…
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初期現生人類の頭蓋内進化

 初期現生人類(Homo sapiens)の頭蓋内進化に関する研究(Zollikofe et al., 2022)が公表されました。現代人の脳の大きさは最近縁の現生分類群である大型類人猿の約3倍で、ヒトの脳はとくに言語など複雑な認知作業に関わる領域で顕著な構造的違いを示します。しかし、いつどのようにヒトの脳の独特な特徴が進化したのか、議…
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前田啓介『昭和の参謀』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2022年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書でおもに取り上げられている参謀は、石原莞爾と服部卓四郎と辻政信と瀬島龍三と池田純久と堀栄三と八原博通です。本書は昭和期の陸軍参謀について、戦前と戦中だけではなく戦後の生き様も取り上げているのが特徴で、それにより大日本帝国陸軍参謀の性格を浮き…
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梅﨑昌裕「生存にかかわる腸内細菌 ホモ・サピエンスの適応能」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。本論文は、ヒトは1種(Homo sapiens)にも関わらず多様性が高く、それは家畜と同様であるものの、その過程は過去1万年間(イヌだけはもっと古そうですが)の人為的選択により生まれた家畜とは異なり、外的力(家畜にとってのヒトの育種に相当)ではなく…
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ヒトの一生にわたる脳の成長曲線

 ヒトの一生にわたる脳の成長曲線についての研究(Bethlehem et al., 2022)が公表されました。この数十年間で、脳画像化法はヒト脳の基礎研究や臨床研究で広く利用されるツールになりました。しかし、身長や体重などの人体計測学的特徴を用いる成長曲線とは異なり、脳画像計測では継続的に個人差を定量するための参照規準はこれまでありま…
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哺乳類の温血性の進化

 哺乳類の温血性の進化に関する研究(Araújo et al., 2022)が公表されました。内温性は、多様な環境における哺乳類と鳥類の重要な特徴で、深部体温をほぼ一定に維持することによって多様な環境条件下での生息を可能にし、その生態的優位性を支えています。内温動物は、行動が活発で素早く、遠くまで移動できるのに対して、外温動物(冷血動物…
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絶滅したステラーカイギュウのゲノムとその皮膚および寒冷適応の遺伝的基盤

 絶滅したステラーカイギュウ(Hydrodamalis gigas)のゲノムを報告した研究(Duc et al., 2022)が公表されました。更新世において、地球には広く多様な大型動物種がおり、マストドンやマンモスや巨大ラクダやクマや数種のネコ科が含まれます。これらの多くは後期更新世と前期完新世に突然消滅しました。したがって、これらの…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第30回「全成の確率」

 今回は全成の失脚および北条と比企との暗闘が描かれました。本作の全成は、見せ場が皆無ではないとしても、弱気であまり頼りにならず、野心はあまりない人物として描かれてきました。それ故に異母兄の源頼朝から粛清されなかった、とも言えそうですが、殺伐とした本作の癒し役担当として、存在感があったように思います。これで頼朝の弟は全員退場となったわけで…
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『卑弥呼』第92話「始皇帝の隠し武器」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年8月20日号掲載分の感想です。前回は、穂波(ホミ)の国境にある秦邑(シンノムラ)を訪れたヤノハが、漢人(という分類を作中の舞台である紀元後3世紀に用いてよいのか、疑問は残りますが)である何(ハウ)という旧知の男性と再会したところで終了しました。今回は、山社(ヤマト)にてヤノハから指示を受けて穂波(…
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