遠オセアニア(リモートオセアニア)西部現代人の遺伝的構造に関する研究(Arauna et al., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。バヌアツ諸島は、3000年前頃となる無人地への最も広範なヒトの移住の一つにおける、遠オセアニア(リモートオセアニア)への入口として機能しました。古代DNA研究は、…
サヘラントロプス・チャデンシス(Sahelanthropus tchadensis)の二足歩行の証拠を報告した研究(Daver et al., 2022)が公表されました。二足歩行は人類クレード(単系統群)を規定する重要な適応の一つです。二足歩行の証拠は、600万年前頃となるアフリカ東部の後期中新世人類とされるオロリン・トゥゲネンシス…
アジア中央部現代人におけるタリム盆地のミイラに代表される集団からの遺伝的影響に関する研究(Dai et al., 2022)が公表されました。アジア中央部人の多様性は、複数の移住と文化拡散により形成されてきました。古代DNA研究は青銅器時時代以来のアジア中央部人の人口統計学的変化を明らかにしてきましたが、アジア中央部現代人への古代の人…
翼竜の羽毛の色彩パターンエピに関する研究(Cincotta et al., 2022)が公表されました。中生代の化石の保存状態がきわめて良好な軟部組織から、羽毛の進化に関して多大な知見が得られおり、翼竜類の分岐構造を持つ羽毛(ピクノファイバー)に関する新たな証拠から、羽毛が前期三畳紀に翼竜類と恐竜類の祖先である鳥中足骨類(Avemet…
中華人民共和国新疆ウイグル自治区(以下、新疆)の漢代住民の学際的分析結果を報告した研究(Allen et al., 2022)が公表されました。古代中華帝国の国境地帯では、漢人と非漢人の相互作用が深く根付いていました。しかし、これら国境の人々の遺伝的起源もしくは生活様式についてはほとんど知られていません。この研究は、古代DNAと安定同…
ヨーロッパ南部とアジア南西部に関する3つの大規模な古代ゲノム研究が公表されました。それは、ヨーロッパ南部とアジア南西部の古代から中世の人類遺骸の古代ゲノムデータを報告した研究(Lazaridis et al., 2022A)と、メソポタミア古代人のゲノムデータを報告した研究(Lazaridis et al., 2022B)と、総説的な…
中世のアシュケナージ系ユダヤ人のゲノムデータを報告した研究(Brace et al., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、イギリスのノリッジ(Norwich)遺跡の中世の井戸の底で発掘された6個体のゲノム配列データを報告します。これらの遺骸の改定放射性炭素年代分析は、歴史的に確認された…
パレオスポンディルスと四肢類祖先との類縁性に関する研究(Hirasawa et al., 2022)が公表されました。中期デボン紀のパレオスポンディルス(Palaeospondylus gunni)はきわめて謎の多い化石脊椎動物の一種で、1890年にスコットランドで発見されて以来、その系統的位置は不明なままでした。この化石には奇妙な形…
マレーシア先住民の起源に関する研究(Aghakhanian et al., 2022)が公表されました。アジア南東部は、アジア本土から、アンダマン海と南シナ海とインド洋へと広がる多数の島々にまでまたがる11ヶ国から構成されます。この地域には歴史と文化と宗教と生物学の印象的な多様性があります。マレーシア先住民はかなりの表現型と言語学と人…
ヨーロッパにおける乳糖耐性の歴史に関する研究(Evershed et al., 2022)が公表されました。ヨーロッパの人口集団、および多くのアフリカと中東とアジア南部の人口集団において、ラクターゼ(乳糖分解酵素)活性持続(LP)は、過去1万年間に進化した単一遺伝子形質のうち最も強力に選択されたものです。LPの選択と先史時代の乳の消費…
朝鮮半島三国時代の古代ゲノム研究(関連記事)の解説(Wang R, and Wang CC., 2022)が公表されました。過去10年間、古ゲノミクスは、時空間的規模でアジア東部における過去の人口史の理解を進めてきました。完新世において、アジア北東部人の形成は、3つの遺伝的系統の広範な混合により特徴づけられました。それは、アムール川流…
エディアカラン紀の刺胞動物に関する研究(Dunn et al., 2022)が公表されました。サンゴやクラゲを含む刺胞動物門という動物群には、疎らながらも古く長い化石記録が存在します。この研究は、イギリスのチャーンウッドの森(Charnwood Forest)で発見された、エディアカラン紀となる約5億6200万~5億5700万年前の刺…
鳥類の骨盤の発生過程に関する研究(Griffin et al., 2022)が公表されました。現生鳥類(鳥綱)の体は、祖先的な爬虫類の状態から著しく変化しています。とりわけその骨盤は、初期の主竜類から現生の鳥類までの移行の中で大きな変化を経てきました。この段階的な変形はきわめて優れた化石記録によりよく立証されていますが、その根底にある…
初期現生人類(Homo sapiens)の頭蓋内進化に関する研究(Zollikofe et al., 2022)が公表されました。現代人の脳の大きさは最近縁の現生分類群である大型類人猿の約3倍で、ヒトの脳はとくに言語など複雑な認知作業に関わる領域で顕著な構造的違いを示します。しかし、いつどのようにヒトの脳の独特な特徴が進化したのか、議…
ヒトの一生にわたる脳の成長曲線についての研究(Bethlehem et al., 2022)が公表されました。この数十年間で、脳画像化法はヒト脳の基礎研究や臨床研究で広く利用されるツールになりました。しかし、身長や体重などの人体計測学的特徴を用いる成長曲線とは異なり、脳画像計測では継続的に個人差を定量するための参照規準はこれまでありま…
哺乳類の温血性の進化に関する研究(Araújo et al., 2022)が公表されました。内温性は、多様な環境における哺乳類と鳥類の重要な特徴で、深部体温をほぼ一定に維持することによって多様な環境条件下での生息を可能にし、その生態的優位性を支えています。内温動物は、行動が活発で素早く、遠くまで移動できるのに対して、外温動物(冷血動物…
絶滅したステラーカイギュウ(Hydrodamalis gigas)のゲノムを報告した研究(Duc et al., 2022)が公表されました。更新世において、地球には広く多様な大型動物種がおり、マストドンやマンモスや巨大ラクダやクマや数種のネコ科が含まれます。これらの多くは後期更新世と前期完新世に突然消滅しました。したがって、これらの…