有富純也編『日本の古代とは何か 最新研究でわかった奈良時代と平安時代の実像』

 光文社新書の一冊として、光文社より2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。日本古代史の勉強が滞ってからもう20年以上経過しているので、近年の知見をまとめて得る目的で読みました。 ●有富純也「はじめに 日本古代史研究への招待」  まず日本古代史の範囲は基本的に飛鳥時代から平安時代までとされていますが、飛鳥時…
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ネアンデルタール人から現生人類への遺伝的影響の検証

 長期にわたるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)から現生人類(Homo sapiens)への遺伝的影響を検証した研究(Iasi et al., 2024)が報道されました。日本語の解説記事もあります。本論文は、シベリア南部のアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)およびチャギルスカヤ洞窟(C…
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大河ドラマ『光る君へ』全体的な感想

 本作は大河ドラマの空白期間(関連記事)を埋めるという意味で画期的と考えていたことから、放送開始前からたいへん注目していました。ただ、主人公の紫式部(まひろ、藤式部)と『源氏物語』に、清少納言(ききょう)と『枕草子』、藤原道長(三郎)の知名度は高そうであるものの、時代劇では馴染みの薄い時代で、他の人物や歴史上の出来事は有名ではなさそうで…
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現生オランウータンの鳴き声から推測される初期のヒトの言語発達

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、現生オランウータンの鳴き声から初期のヒトの言語発達を推測した研究(Gannon et al., 2023)が公表されました。中新世の中期から後期(1600万~530万年前頃)にかけてのアフリカの古気候変動では、森林が広大な平原に置き換わり、おもに樹上で生活していた古代のヒト科が地上での生活に移行しま…
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大河ドラマ『光る君へ』第48回(最終回)「物語の先に」

 ついに最終回を迎え、1年間ずっと楽しんで視聴してきたので、かなりの寂しさがあります。今回は、前回最後からの続きで、藤原道長(三郎)の嫡妻である源倫子が紫式部(まひろ、藤式部)に、いつから道長と関係があったのか、問い質している場面から始まります。倫子は紫式部に、出家した道長の妾となるよう要請し、紫式部は倫子に、道長との出会いからこれまで…
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ポンペイのローマ帝国期噴火犠牲者のゲノムデータ

 ポンペイのローマ帝国期噴火犠牲者のゲノムデータを報告した研究(Pilli et al., 2024)が報道されました。本論文は、紀元後79年のベスビオ火山(Somma-Vesuvius)の噴火によって壊滅したローマ帝国の支配下にあった都市ポンペイで発見された、石膏像に残る骨格資料から得られたゲノムデータとストロンチウム同位体(⁸⁷Sr…
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榎村寛之『女たちの平安後期 紫式部から源平までの200年』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は榎村寛之『謎の平安前期 桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』(関連記事)の続編となり、11世紀初頭~12世紀末までが対象となります。以下、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です。一般的に中世が始まるのはこの期間とされてい…
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『ウイニングポスト10 2025』2025年3月発売

 『ウイニングポスト10 2025』が来年(2025年)3月に発売される、と公表されました。私はかつて『ウイニングポスト』シリーズの信者で、98DOS版だった初代から7マキシマム2008まで、PKも含めてパソコン版をすべて購入してきました(関連記事)。しかし、『ウイニングポスト7 2010』以降は購入しない作品もあり、『ウイニングポスト…
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タジキスタンの旧石器時代遺跡

 タジキスタンで新たに発見された旧石器時代遺跡を報告した研究(Zaidner, and Kurbanov., 2024)が公表されました。本論文は、タジキスタン北部のゼラフシャン(Zeravshan)川流域で新たに発見された、ソイイ・ハヴザク(Soii Havzak)岩陰遺跡について報告しています。ソイイ・ハヴザク遺跡は、中部旧石器時代…
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山東半島中期新石器時代人類のゲノムデータ

 山東半島中期新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究(Wang F et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国山東省済南市に位置する焦家(Jiaojia)遺跡の大汶口(Dawenkou)文化と関連する21個体のゲノムデータを報告しています。大汶口文化は山東半島の新石器時代文化で、中原の仰韶(Yangshao…
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チベット高原南部の初期の定住生活

 チベット高原南部の初期の定住生活に関する学際的研究(Yang et al., 2024)が公表されました。本論文は、チベット高原奥地の海抜(metres above sea level、略してMASL)4446mに位置するマブ湖(Mabu Co)遺跡(Coはチベット語で湖の意味)の学際的研究成果を報告しています。マブ湖遺跡の年代は44…
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大河ドラマ『光る君へ』第47回「哀しくとも」

 今回は、刀伊の入寇と朝廷の対処が描かれました。前回、紫式部(まひろ、藤式部)とともに逃げようとして周明は射られ、従者の乙丸が泣き叫ぶ紫式部を強引に逃がします。紫式部は周明の死を嘆き、なかなか立ち直れませんが、それを慰めたのは、刀伊の入寇を撃退した現場の最高責任者である藤原隆家でした。隆家は刀伊の入寇で国家に武力が必要なことを改めて強く…
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ホモ・フロレシエンシスの初期の研究をめぐる軋轢

 ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)の研究が初めて公表されたのは2004年10月で、たいへん衝撃的でしたが、ホモ・フロレシエンシスをめぐって「醜聞」的な事態になっていたことは、日本語環境でも早くから知られており、『日経サイエンス』の2005年4月号に掲載された解説記事「人類進化の定説を覆す小さな原人の発見」(W…
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仁藤敦史『加耶/任那 古代朝鮮に倭の拠点はあったか』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、日本と韓国で民族主義的感情の軋轢となることも多い、加耶もしくは任那の歴史を検証しています。伽耶とは、3~6世紀にかけて朝鮮半島南部の洛東江流域に存在した十数ヶ国の小国群の名称です。この地域は『日本書紀』では任那と呼ばれることが多く、日…
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『卑弥呼』第141話「ヒルメの弟子」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年12月20日号掲載分の感想です。前回は、暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)で、チカラオ(ナツハ)が実子のニニギ(ヤエト)に、近いうちに自信があると伝え、ニニギが実父(ニニギはそれを知りませんが)のチカラオを地震神(アイノカミ)様と崇めるところで終了しました。今回は、夜萬加にて、ニニギが前回自分を新参者…
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山東半島古代人のゲノムデータ

 山東半島で発見された古代人のゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2024)が公表されました。本論文は、現在の中華人民共和国山東省淄博市に位置する、古代都市の臨淄(Linzi)で発見された戦国時代~後漢の頃までの14個体のゲノムデータを報告しています。この14個体の遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ance…
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人類の脳サイズの増加

 人類の脳サイズの増加に関する研究(Püschel et al., 2024)が公表されました。本論文は、人類の完全な化石記録を通じて、脳サイズの変化を分析する独特な手法の採用によって、ヒトの脳の進化に関する理解を大きく深めます。種内で起きる脳サイズ変化の動態を、種を超えて起きる場合と分離することによって、脳サイズの増加は単一種を構成す…
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初期ホモ属の成長速度

 初期ホモ属の成長速度に関する研究(Zollikofer et al., 2024)が公表されました。本論文は、ジョージア(グルジア)のドマニシ(Dmanisi)遺跡で発見された、遅くとも177万年前頃となる前期更新世人類の歯の分析から、初期ホモ属の成長速度を検証しています。この初期ホモ属の歯の成長速度は現生大型類人猿と同程度ですが、前…
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大河ドラマ『光る君へ』第46回「刀伊の入寇」

 今回は、大宰府の話を中心に、刀伊の入寇(関連記事)が描かれました。主人公である紫式部(まひろ、藤式部)は、後に『源氏物語』と呼ばれる物語を書き終えて、生きがいがなくなり、藤原道長(三郎)との関係もどうすればよいのか分からなくなり、迷走した感があります。それが大宰府に赴いた要因でもあるのでしょうが、紫式部は大宰府で周明と再会し、親友の亡…
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コーカサスの中石器時代~青銅器時代の人口史

 古代ゲノムデータに基づくコーカサスの中石器時代~青銅器時代の人口史に関する研究(Ghalichi et al., 2024)が公表されました。本論文は、中石器時代~青銅器時代にかけてのコーカサスの人口史を、新たに提示される古代人100個体以上のゲノムデータや、既知の古代人および現代人のゲノムデータから検証しています。この期間のコーカサ…
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吉村武彦編『新版 古代史の基礎知識』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2017年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書では、年代は縄文時代から摂関政治期まで、分野は政治史から文化史や生活史などまで、広範に扱われているので、もう20年ほど勉強が進んでいない古代史の新知見を得るとともに、復習にもなると思い、読みました。本書は広範な分野を扱っているだけに、一読…
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時代区分の問題

 最近当ブログでは人類の進化、とくに古代ゲノム研究の英語論文を取り上げて日本語に訳すことが多くなり、論文について私見を述べることもありますが、ほぼ翻訳だけになってしまうことが大半なので、たまには独自の文章を掲載しようと昨年(2023年)初頭に思い立ったものの、何を題材にすべきか迷ってしまい、けっきょく、2年近く経過したのにほとんど独自記…
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ホラアナライオンの進化史

 ホラアナライオン(Panthera spelaea)の進化史に関する概説(Nedoluzhko et al., 2024)が公表されました。ホラアナライオンはヒョウ属の絶滅種で、同じヒョウ属の現生種であるライオン(Panthera leo)やトラ(Panthera tigris spelaea)への一般的関心が高いこともあり、絶滅した…
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遺伝と言語伝達の関係

 世界規模で遺伝と言語伝達の関係を検証した研究(Pichkar et al., 2024)が公表されました。文化的慣行は、誰が誰から学ぶかに影響を及ぼすことによって、学習行動の伝達を形成できます。文化的伝統によって人々は母親もしくは母方親族から言語を学ぶ傾向があるのならば、この偏った文化的伝達は言語の差異と母系継承の遺伝的差異との間の予…
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大河ドラマ『光る君へ』第45回「はばたき」

 今回は、紫式部(まひろ、藤式部)の旅立ちと、紫式部の娘である賢子(大弐三位、越後弁)の彰子への出仕が描かれました。賢子の実父は藤原道長(三郎)ですが、道長はこれまで気づいておらず、何度か気づく機会もあったので、本作の道長はこうした機微に疎いままなのでしょう。紫式部は、ついに後世『源氏物語』と呼ばれる物語を完結させ、賢子が宮仕えの覚悟を…
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大相撲九州場所千秋楽

 先場所全休だった横綱の照ノ富士関が出場してくるのか、注目していましたが、照ノ富士関は全休となりました。今年(2024年)照ノ富士関が皆勤したのは初場所と名古屋場所だけで、その2場所とも優勝したのはさすがですが、こうも休場が多いと、やはり問題とは思います。ただ、稀勢の里関(現在の二所ノ関親方)の悪例があるので、今場所後に横綱審議委員会か…
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唐代の長安の人類遺骸のゲノムデータ

 唐代の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Lv et al., 2024)が公表されました。唐代、とくにその都である長安(Chang’an)は、「国際色」が豊かだった、と一般的に考えられているように思います。本論文は、現在の中華人民共和国陝西省西安(Xi’an)市に位置する、唐代の長安の幸福林帯(Xingfulindai、略してXF…
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原武史『象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁記」を読む』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は「昭和天皇拝謁記」に基づいて、思想や政治情勢の認識や人物評価など、昭和天皇の「実像」を浮き彫りしていきます。「昭和天皇拝謁記」とは、2021~2023年に岩波書店から刊行された『昭和天皇拝謁記 初代宮内庁長官田島道治の記録』全7巻の…
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仰韶遺跡の新石器時代人類のゲノムデータ

 黄河中流域の新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究(Li et al., 2024)が公表されました。本論文は、黄河中流域の代表的な新石器時代文化である仰韶(Yangshao)文化の基準遺跡となる仰韶遺跡の、仰韶文化~龍山(Longshan)文化期の人類のゲノムデータを報告し、これまで認識されていなかった、後期龍山文化期の人類集団…
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『卑弥呼』第140話「なゐ」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年12月5日号掲載分の感想です。前号は休載だったので、久々の感があります。前回は、ヤノハが、自分ほど嘘の上手い者はいないと思っていたが、しょせん自分は底の浅いすぐばれる嘘しかつけず、日下(ヒノモト)の吉備津彦(キビツヒコ)は自分をしのぐ本物の嘘つきなので、このままでは我々は負ける、と自嘲したところで…
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現代日本人における縄文時代集団からの遺伝的影響

 現代日本人集団における縄文時代集団からの遺伝的影響に関する研究(Yamamoto et al., 2024)が公表されました。本論文は、現代日本人集団の遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)が、縄文時代の狩猟採集民的構成要素とアジア東部(East Asia、略してEAS)的構成要素とアジア北東部(Northe…
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『卑弥呼』第17集発売

 待望の第17集が発売されました。第17集には、 口伝127「湖南」 https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_21.html 口伝128「殺人鬼」 https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_7.html …
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大河ドラマ『光る君へ』第44回「望月の夜」

 今回は、藤原道長(三郎)と三条帝の対立の決着、および有名な「望月の歌」が描かれました。道長から譲位への圧力を受けた三条帝は、娘の禔子内親王を道長の嫡男とも言うべき頼通に嫁がせ、道長を懐柔しようとして、道長も受け入れますが、妻の隆姫女王を愛している頼通は拒絶します。この話は『栄花物語』に見えるそうですが、頼通は隆姫女王にかなり遠慮してい…
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夜見ヶ浜人の再発見

 NHK地上波の『イマサラ調べてみた件』で、「日本最古の人骨」として「夜見ヶ浜人」が取り上げられました。「夜見ヶ浜人」とは、鳥取県境港市で1969年に発見された左側下顎骨です。当時、材木工場の現場があり、6mほど穴を掘ったところでこの下顎骨が見つかったそうです。この下顎骨の発見者は、農閑期の出稼ぎに来ており、貝殻と化石の収集を趣味として…
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本村凌二『地中海世界の歴史4 辺境の王朝と英雄 ヘレニズム文明』

 講談社選書メチエの一冊として、講談社より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はマケドニアを中心に、ヘレニズム「文明」を「普遍性」の観点から取り上げています(当ブログでは原則として「文明」という用語を使わないことにしていますが、この記事では本書に従って「文明」と表記します)。マケドニアとは、ギリシア語で「高地の人…
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コーカサスからヨーロッパ東部への農耕の拡大

 古代ゲノムデータに基づいてコーカサスからヨーロッパ東部への農耕の拡大を示した研究(Zhur et al., 2024)が公表されました。北コーカサスにおける最古級の農耕集団はダルクベティ・メショコ(Darkveti-Meshoko)文化ですが、この文化集団から近隣の草原地帯牧畜民への遺伝的影響は不明です。本論文は、北コーカサスの最古級…
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社会的協力の維持

 社会的協力の維持に関する研究(Michel-Mata et al., 2024)が公表されました。評判はヒト社会においてきわめて重要で、個々人はその社会的地位に応じて異なる扱いを受けます。たとえば、他者を助けて良い評判を獲得すると、その人は第三者から見返りを受ける可能性が高くなります。このように広範な協力を得るには、評判が行動を正確に…
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アメリカ合衆国大統領選挙結果

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、上院選と下院選の大勢もほぼ判明したので、アメリカ合衆国大統領選挙の結果について言及します。世界情勢が混迷する中で、アメリカ合衆国に限らず世界中の今後の動向にも強い影響を及ぼすことから、世界的に注目されたアメリカ合衆国大統領選挙の一般投票が今月(2024年11月)5日に行なわれました。民主党はハリス副…
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アジア東部におけるオーロックスの進化と遺伝的影響

 アジア東部におけるオーロックス(Bos primigenius)の進化とその遺伝的影響に関する研究(Hou et al., 2024)が公表されました。オーロックスは現在地球上の哺乳類の生物量の約1/3を占めていると推定されている家畜ウシ(Bos taurus)の祖先で、野生種としては17世紀に絶滅した、と考えられています。本論文は、…
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大河ドラマ『光る君へ』第43回「輝きののちに」

 今回も宮中の人間模様、とくに藤原道長(三郎)と三条帝の駆け引きを中心に話が展開しました。三条帝と道長の間では政治の主導権をめぐって駆け引きが続いており、ついには道長が三条帝に譲位を要求し、ますます関係が悪化していき、道長は三条帝の目と耳の状態が悪いことに気づいて、三条帝を譲位に追い込もうと画策します。道長と源倫子との間の娘である妍子は…
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インドにおける古代ゲノム研究の受容に関する問題点

 インドにおける古代ゲノム研究の受容に関する問題点を指摘した解説(Chandrashekhar., 2024)が公表されました。この記事では、インドのヒンドゥー教信者の民族主義者が、古代ゲノム研究を自民族中心的に都合よく解釈しており、それをインドの現政権が後押しすることに、警鐘を鳴らしています。インドの国粋主義的風潮で、考古学や人類学や…
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山室恭子『中世のなかに生まれた近世』

 講談社学術文庫の一冊として、2013年5月に講談社より刊行されました。本書の親本は、1991年に吉川弘文館より刊行されました。日本各地の戦国大名の文書の統計的処理から、各大名の支配体制の性格、年代・地域による各大名の比較、さらには中世から近世へと移行する日本の大きな動きを概観した一冊で、戦国大名の文書の分類という細かい個々の問題から、…
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オーロックスの進化史

 古代ゲノムデータを用いたオーロックス(Bos primigenius)の進化に関する研究(Rossi et al., 2024)が公表されました。オーロックスは現在地球上の哺乳類の生物量の約1/3を占めていると推定されている家畜ウシ(Bos taurus)の祖先で、野生種としては17世紀に絶滅した、と考えられています。本論文は、ユーラ…
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アフリカ最南端の人類集団の長期にわたる遺伝的連続

 古代ゲノムデータに基づいてアフリカ最南端の人類集団の長期にわたる遺伝的連続を報告した研究(Gretzinger et al., 2024)が公表されました。本論文は、南アフリカ共和国のオークハースト(Oakhurst)岩陰遺跡の初期完新世から後期石器時代(Later Stone Age、略してLSA)末までの人類9個体や、他の古代人お…
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無人航空機によるライダーで明らかになったアジア中央部の大規模な中世都市

 無人航空機によるライダー(light detection and ranging、略してLiDAR、光による検出と測距)で明らかになったアジア中央部の大規模な中世都市を報告した研究(Frachetti et al., 2024)が報道されました。航空機によるLiDARは、とくに密な植生で遺跡の視認性が損なわれている場所において、考古学…
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農耕によるアミラーゼ関連遺伝子の進化

 農耕によるアミラーゼ関連遺伝子の進化に関する研究(Bolognini et al., 2024)が公表されました。農耕の採用は、ヒト集団においてデンプンに富む食餌への急激な変化を引き起こしました。アミラーゼ遺伝子はデンプンの消化を促進し、デンプン摂取量の多い一部の現代人集団ではアミラーゼ遺伝子のコピー数の増加が観察されていますが、選択…
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大河ドラマ『光る君へ』第42回「川辺の誓い」

 今回も、中宮の人間模様を中心に話が展開しました。三条帝と藤原道長(三郎)との駆け引きは続いており、三条帝は藤原済時の娘の娍子を皇后に立て、道長はこれに対して中宮となる娘の妍子の入内を同日にぶつける、という史実を踏まえた展開になりました。この時、公卿の多くは道長に配慮して立后の儀に参じませんでしたが、参じた藤原実資を三条帝は頼りにしよう…
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パオラ・ヴィラ氏の訃報

 考古学者のパオラ・ヴィラ(Paola Villa)氏が、先月(2024年10月)末に亡くなった、との情報をTwitterで見かけました。お悔やみ申し上げます。ヴィラ氏が筆頭著者の論文を当ブログでもいくつか取り上げていますが、ヴィラ氏が筆頭著者ではなく関わった論文では、押圧剥離の起源に関する研究を取り上げており(関連記事)、詳しく調べた…
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渡辺精一『諸子百家』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2020年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、諸子百家以前の思想を概観した後で、代表的な諸子百家を取り上げます。1章単独で取り上げられているのは、後世に大きな影響を残した、孔子と老子と荘子と孟子と荀子と韓非子と孫子です。その他に、墨子や管子蘇秦や商鞅や李斯などが取り…
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