大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第34回「理想の結婚」

 今回は政争へとつながる確執が描かれました。北条時政は執権となり鎌倉において御家人筆頭的な立場となったことで権勢を振るうようになり、すっかり浮かれています。時政は息子の義時の諫言も疎ましく思うようになり、これが両者の対立と時政の失脚につながっていくのでしょう。時政の失脚の要因として畠山重忠討伐もあったようですが、前回と今回で時政と重忠と…
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現生人類の起源の見直し

 現生人類(Homo sapiens)の起源を再検討した研究(de Castroa, and Nielsen., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。現生人類、および現生人類とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との最終共通祖先(LCA)の両種はアフリカに起源がある、と推…
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坂野潤治『近代日本の構造 同盟と格差』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2018年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は近代日本の基本的な対立を、「日英同盟」と「日中親善」、「民力休養(地租軽減)」と「格差是正」の二つの観点から検討します。本書のこの問題設定は、2010年代の日本の政治経済と外交を強く意識しています。つまり、2012年12月に成立した第二次…
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1000年前頃のクラインフェルター症候群

 1000年前頃のクラインフェルター症候群の個体を報告した研究(Roca-Rada et al., 2022)が公表されました。ポルトガル北東部の中世のトーレ・ヴェーリャ(Torre Velha)遺跡で1000年以上前に埋葬されたヒト骨格が、分析され、調べられました(図1)。以下は本論文の図1です。  調査の結果、死亡時に25歳以…
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古人類学の記事のまとめ(47)2022年5月~2022年8月

 2022年5月~2022年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2021年9月~2021年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、当ブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なもので…
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パレオスポンディルスと四肢類祖先との類縁性

 パレオスポンディルスと四肢類祖先との類縁性に関する研究(Hirasawa et al., 2022)が公表されました。中期デボン紀のパレオスポンディルス(Palaeospondylus gunni)はきわめて謎の多い化石脊椎動物の一種で、1890年にスコットランドで発見されて以来、その系統的位置は不明なままでした。この化石には奇妙な形…
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トルクメニスタンの青銅器時代個体のゲノムデータ

 トルクメニスタンの青銅器時代個体のゲノムデータを報告した研究(Guarino-Vignon et al., 2022)が公表されました。オクサス(Oxus)文化もしくはバクトリア・マルギアナ考古学複合(Bactrio Margian Archaeological Complex、以下BMAC)は、アジア中央部南方における青銅器時代の主…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第33回「修善寺」

 今回は源頼家の最期が描かれました。頼家は伊豆の修善寺に配流となり、源実朝が新たな鎌倉殿となって、北条時政が比企一族滅亡後に武蔵守任官を望むなど、北条一族の驕りに反感が高まっている、と三浦義村は北条義時に忠告します。義村は北条一族に含むところがあるようで、これまでも北条一族と対立しそうな場面がありましたが、今のところ北条一族というか義時…
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マレーシア先住民の起源

 マレーシア先住民の起源に関する研究(Aghakhanian et al., 2022)が公表されました。アジア南東部は、アジア本土から、アンダマン海と南シナ海とインド洋へと広がる多数の島々にまでまたがる11ヶ国から構成されます。この地域には歴史と文化と宗教と生物学の印象的な多様性があります。マレーシア先住民はかなりの表現型と言語学と人…
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手嶋泰伸『日本海軍と政治』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2015年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。大日本帝国、とくに戦前戦中昭和期の軍部については、頑迷固陋な陸軍と開明的な海軍との通俗的印象はまだ根強いかもしれず、それは陸軍を悪玉、海軍を善玉とするような認識につながりやすい、と言えるでしょう。大日本帝国では、海軍は陸軍よりも政治に関わろうと…
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井原泰雄「言語の起源と進化 その特殊性と進化の背景」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。音声や動きなどで複雑な意思伝達を行なう動物もいますが、それらとの共通点もある言語はヒト(Homo sapiens)に固有と考えられています。言語能力については、広義と狭義に区分する見解があります。意思伝達に関わる仕組み(感覚・運動系)と思考に寄与す…
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大塚柳太郎「人口からみるヒト」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収のコラムです。動物の出生・死亡パターンを繁殖戦略から見ると、変動する環境に合わせて好条件時に出生率を高めることで個体数を維持するr戦略と、環境依存性が低く、出生率も死亡率も低く抑えて個体数を安定的に維持するK戦略が両端に位置し、ヒトを含む霊長類は典型的なK戦略…
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ヨーロッパにおける乳糖耐性進化の要因

 ヨーロッパにおける乳糖耐性の歴史に関する研究(Evershed et al., 2022)が公表されました。ヨーロッパの人口集団、および多くのアフリカと中東とアジア南部の人口集団において、ラクターゼ(乳糖分解酵素)活性持続(LP)は、過去1万年間に進化した単一遺伝子形質のうち最も強力に選択されたものです。LPの選択と先史時代の乳の消費…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第32回「災いの種」

 今回は、源頼家の死を前提としていた政争で比企一族を滅ぼした北条一族が頼家の回復に困惑しつつ、義時を中心にどう対処すべきか、悩みつつ決断する政治劇が描かれました。頼家は出家させられたものの、政務には意欲的で、北条一族はその扱いに困りますが、母の政子が頼家に比企一族は自害した、と伝えますが、さすがに頼家はこうした嘘に騙されず、北条が比企一…
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『卑弥呼』第93話「真の敵」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年9月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが穂波(ホミ)の国境にある秦邑(シンノムラ)で、最強の武器とされる連弩を秦邑の長老である徐平(ジョヘイ)から知らされたところで終了しました。巻頭カラーとなる今回は、秦邑でヤノハが連弩を試している場面から始まります。ヤノハは、連弩の操作が容易なのに感心します…
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本郷和人『歴史学者という病』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2022年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。著者の提示する歴史像にはどうも納得できないことが多いものの、読みやすく教えられるところが多いので、これまでにも何冊か読んできました。本書は、日本中世史の研究者である著者が歴史学の現状を憂いて執筆した内容と予想されたので、歴史学を専攻したわけでは…
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朝鮮半島三国時代の古代ゲノム研究の解説

 朝鮮半島三国時代の古代ゲノム研究(関連記事)の解説(Wang R, and Wang CC., 2022)が公表されました。過去10年間、古ゲノミクスは、時空間的規模でアジア東部における過去の人口史の理解を進めてきました。完新世において、アジア北東部人の形成は、3つの遺伝的系統の広範な混合により特徴づけられました。それは、アムール川流…
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エディアカラン紀の刺胞動物

 エディアカラン紀の刺胞動物に関する研究(Dunn et al., 2022)が公表されました。サンゴやクラゲを含む刺胞動物門という動物群には、疎らながらも古く長い化石記録が存在します。この研究は、イギリスのチャーンウッドの森(Charnwood Forest)で発見された、エディアカラン紀となる約5億6200万~5億5700万年前の刺…
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ネアンデルタール人に由来する薬物代謝関連遺伝子

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)に由来する薬物代謝関連遺伝子に関する研究(Haeggström et al., 2022)が公表されました。6万年前頃に起きたネアンデルタール人と現生人類(Homo sapiens)との間の混合は、現生人類の遺伝子プールに遺伝的多様体をもたらし、その多くは現代人において低…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第31回「諦めの悪い男」

 今回は源頼家が突如として重体に陥ったことに始まる、鎌倉殿の後継者をめぐる政争と、その結果としての比企一族の滅亡が描かれました。頼家の間近の死を前提に幕府要人が暗躍する描写は、脚本家の得意とするところでしょうから期待していましたが、上手く構成されていたと思います。主人公の北条義時の成長はこれまで段階的に描かれてきましたが、比企一族の滅亡…
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鳥類の骨盤の発生過程

 鳥類の骨盤の発生過程に関する研究(Griffin et al., 2022)が公表されました。現生鳥類(鳥綱)の体は、祖先的な爬虫類の状態から著しく変化しています。とりわけその骨盤は、初期の主竜類から現生の鳥類までの移行の中で大きな変化を経てきました。この段階的な変形はきわめて優れた化石記録によりよく立証されていますが、その根底にある…
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初期現生人類の頭蓋内進化

 初期現生人類(Homo sapiens)の頭蓋内進化に関する研究(Zollikofe et al., 2022)が公表されました。現代人の脳の大きさは最近縁の現生分類群である大型類人猿の約3倍で、ヒトの脳はとくに言語など複雑な認知作業に関わる領域で顕著な構造的違いを示します。しかし、いつどのようにヒトの脳の独特な特徴が進化したのか、議…
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前田啓介『昭和の参謀』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2022年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書でおもに取り上げられている参謀は、石原莞爾と服部卓四郎と辻政信と瀬島龍三と池田純久と堀栄三と八原博通です。本書は昭和期の陸軍参謀について、戦前と戦中だけではなく戦後の生き様も取り上げているのが特徴で、それにより大日本帝国陸軍参謀の性格を浮き…
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梅﨑昌裕「生存にかかわる腸内細菌 ホモ・サピエンスの適応能」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。本論文は、ヒトは1種(Homo sapiens)にも関わらず多様性が高く、それは家畜と同様であるものの、その過程は過去1万年間(イヌだけはもっと古そうですが)の人為的選択により生まれた家畜とは異なり、外的力(家畜にとってのヒトの育種に相当)ではなく…
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ヒトの一生にわたる脳の成長曲線

 ヒトの一生にわたる脳の成長曲線についての研究(Bethlehem et al., 2022)が公表されました。この数十年間で、脳画像化法はヒト脳の基礎研究や臨床研究で広く利用されるツールになりました。しかし、身長や体重などの人体計測学的特徴を用いる成長曲線とは異なり、脳画像計測では継続的に個人差を定量するための参照規準はこれまでありま…
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哺乳類の温血性の進化

 哺乳類の温血性の進化に関する研究(Araújo et al., 2022)が公表されました。内温性は、多様な環境における哺乳類と鳥類の重要な特徴で、深部体温をほぼ一定に維持することによって多様な環境条件下での生息を可能にし、その生態的優位性を支えています。内温動物は、行動が活発で素早く、遠くまで移動できるのに対して、外温動物(冷血動物…
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絶滅したステラーカイギュウのゲノムとその皮膚および寒冷適応の遺伝的基盤

 絶滅したステラーカイギュウ(Hydrodamalis gigas)のゲノムを報告した研究(Duc et al., 2022)が公表されました。更新世において、地球には広く多様な大型動物種がおり、マストドンやマンモスや巨大ラクダやクマや数種のネコ科が含まれます。これらの多くは後期更新世と前期完新世に突然消滅しました。したがって、これらの…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第30回「全成の確率」

 今回は全成の失脚および北条と比企との暗闘が描かれました。本作の全成は、見せ場が皆無ではないとしても、弱気であまり頼りにならず、野心はあまりない人物として描かれてきました。それ故に異母兄の源頼朝から粛清されなかった、とも言えそうですが、殺伐とした本作の癒し役担当として、存在感があったように思います。これで頼朝の弟は全員退場となったわけで…
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『卑弥呼』第92話「始皇帝の隠し武器」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年8月20日号掲載分の感想です。前回は、穂波(ホミ)の国境にある秦邑(シンノムラ)を訪れたヤノハが、漢人(という分類を作中の舞台である紀元後3世紀に用いてよいのか、疑問は残りますが)である何(ハウ)という旧知の男性と再会したところで終了しました。今回は、山社(ヤマト)にてヤノハから指示を受けて穂波(…
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黒田基樹『国衆 戦国時代のもう一つの主役』

 平凡社新書の一冊として、平凡社より2022年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。国衆を扱った一般向け書籍では、平山優『戦国大名と国衆』をすでに読みましたが(関連記事)、同書は甲信の戦国大名武田家を対象としているのに対して、本書は北条家と上杉家に西日本の大名も対象としているので、読むことにしました。本書は国衆を、戦国時代になって…
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西村貴孝「ヒトの環境適応能 生理的適応現象とその多様性」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。ヒトには環境への生理機能(環境適応能)が備わっています。ヒトは短期的にも長期的にも、柔軟に環境に適応します。ヒトが最も快適に過ごせる環境は、長期にわたって進化してきた温暖なアフリカのサバンナだろう、と本論文は指摘します。一方、現代人はアフリカのサバ…
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河村正二「なぜヒトは多様な色覚をもつのか 霊長類の色覚由来から考える」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。脊椎動物には視覚センサーとして、眼球網膜に桿体と錐体という2種類の光受容細胞(視細胞)があります。桿体は薄明視に特化しており、明視と色覚(波長構成に基づいて光を識別する感覚)は錐体が担います。視細胞中で光を感受する物質は視物質と呼ばれ、膜貫通タンパ…
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アドリア海の人口史

 アドリア海の人口史に関する研究(Raveane et al., 2022)が公表されました。イタリア半島南部は、ヨーロッパにおいて現生人類(Homo sapiens)が最初に生息した地域の一つでした。現生人類のものとされる最古の考古学的遺物はプッリャ州のカヴァッロ洞窟(Grotta del Cavallo)で発見されており(45000…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第29回「ままならぬ玉」

 今回は、梶原景時失脚後の鎌倉の暗闘が描かれました。景時が討ち取られる場面は描かれず、冒頭で鎌倉に景時も含めて梶原一族の首が送られてきて、源頼家たちが検分していました。今回序盤で三浦義澄と安達盛長も退場となり、ともに初回から登場しており、作中では比較的温厚だったので、これからの権力闘争の激しさを予感させます。頼家は所領をめぐる紛争で強引…
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現生人類の起源に関する議論

 現生人類(Homo sapiens)の起源に関する議論を検証した研究(Meneganzin et al., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。まずは本論文で重要となる用語の解説を述べて起きます。 ◎異所性種分化  遺伝的交換の機会が制約される、(外部的障壁に起因する)地理的分離の結果とし…
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『昭和の戦争、令和の視点』

 中央公論新社より2021年8月に刊行されました。本書は『中央公論』2021年9月号の特集の電子書籍化です。構成は、戸部良一氏と小山俊樹氏との対談(歴史研究から戦争を問い続ける意味)、加藤聖文「満洲事変 国民と軍部を結びつけた起点」、岩谷將「盧溝橋事件 相互不信から生み出された泥沼への道」、庄司潤一郎「第二次上海事変 全面戦争への転換点…
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荻原直道「ヒトはなぜ直立二足歩行を獲得したのか 身体構造と運動機能の進化」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。常習的な直立二足歩行は、ヒトと他の霊長類を区別する最重要の特徴です。そのため、常習的な直立二足歩行の起源について、大きな関心が寄せられてきました。本論文は、運動学と生体力学の観点から直立二足歩行の進化を検証します。直立二足歩行は、体幹を垂直に立て、…
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ペンギンの進化

 ペンギンの進化に関する研究(Cole et al., 2022)が報道されました。ペンギンは、6000万年以上前に出現し、海洋に高度に特化したボディープランを持つようになりました。また、ペンギンは極域に氷床が形成されるまでに飛行能力を失い、翼を使って海に飛び込めるようになっていました。先行研究では、ペンギンの現生種の多様化が明確に示さ…
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古人類学の手法と用語に関するまとめ

 これまで古人類学関連の記事において、さまざまな手法や用語の解説をその都度述べることがありましたが、煩雑なので、おもに集団遺伝学関連の手法と用語について、この機会に一度まとめておきます。おもにアジアへの現生人類(Homo sapiens)拡散の総説(関連記事)に依拠し、祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)については…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第28回「名刀の主」

 今回は梶原景時の失脚が描かれました。景時が多くの御家人から恨みや反感を買っていたことはしっかりと描かれてきたので、違和感はありません。景時を重用した源頼朝の死後、立場が危ういことは景時も自覚していたでしょうから、頼朝の後継者となった源頼家に取り入ろうとして、御家人でも自分だけは頼朝が信用していた、などと頼家に吹き込んでいたわけですが、…
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大相撲名古屋場所千秋楽

 今場所は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により途中から休場が相次ぎ、何とも悲惨な事態になってしまいました。これならば開催しない方がよかったとも言えるかもしれませんが、今場所が始まる直前から感染者数が急増したので、開催となったことは仕方のないところだと思います。優勝争いは、14…
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ホッキョクグマの古代ゲノム

 ホッキョクグマの古代ゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2022)が公表されました。更新世を特徴づける氷期と間氷期との間の移行など気候変化は、種の範囲の縮小や断片化や拡大、種分化と適応の機会をもたらす可能性があります。集団ゲノムデータから明らかになっているのは、気候に起因する範囲変化によっても、完全な生殖隔離がまだ進…
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望月雅士『枢密院 近代日本の「奥の院」』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2022年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。まず本書は、大日本帝国憲法と日本国憲法には共通点が少なくないものの、決定的な違いとして、後者では戦争放棄が加えられ、枢密顧問が削除されたことだ、と指摘します。枢密院は、内閣とともに天皇を補佐する最高機関と位置づけられ、「重要の国務」を審議する、…
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『卑弥呼』第91話「最強の武器」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年7月20日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが穂波(ホミ)の国境にある謎めいた漢人(という分類を作中の舞台である紀元後3世紀に用いてよいのか、疑問は残りますが)の邑を一人で訪れ、徐平(ジョヘイ)という長老らしき男性と会見し、長老がヤノハの見識に感心するところで終了しました。今回は、金砂(カナスナ)…
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石田貴文「霊長類の遺伝」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収のコラムです。1970年代に雄山閣から刊行された『人類学講座』では、「霊長類の遺伝的研究は、系統や進化と密接にかかわりあっている」とありました。「霊長類の遺伝学」を「霊長類の分子進化学」に読み替えると、アラン・ウィルソン(Allan Charles Wilso…
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石原裕次郎がテレビと出会った時「太陽にほえろ!の時代」

 BSプレミアムで放送されたので視聴しました。BSプレミアムのドキュメンタリーはBS4Kでも放送されることが多いので、最近ではBSプレミアムの番組を録画して視聴することはほとんどなくなり、この放送を危うく見逃すところでしたが、ネットで情報を得て録画しました。出演者は、プロデューサーの岡田晋吉氏と梅浦洋一氏、脚本家の四十物光男氏と鎌田敏夫…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第27回「鎌倉殿と十三人」

 前回で源頼朝が完全に退場し、後鳥羽上皇が成人役で今回初登場となったことで、今回からが後半と言えそうです。今回は、頼朝急逝後の鎌倉の有力者の思惑と駆け引きが描かれました。梶原景時が新たな鎌倉殿となった源頼家に取り入り、北条と比企との対立も深まって、一方で頼家を擁していると自負していた比企が、頼家から絶対的な信頼を得ているわけではないこと…
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過去10万年間の古代オオカミのゲノムから推測されるイヌの起源

 過去10万年間の古代オオカミのゲノムからイヌの起源を推測した研究(Bergström et al., 2022)が公表されました。ハイイロオオカミ(Canis lupus)は家畜個体群を生じた最初の種で、他の多くの大型哺乳類種が絶滅した最終氷期を通して広く分布し、それを生き延びました。しかし、過去のオオカミ個体群の歴史およびそれらが絶…
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