フランスとスペイン北部におけるネアンデルタール人と現生人類の共存期間

 フランスとスペイン北部におけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)の共存期間に関する研究(Djakovic et al., 2022)が公表されました。最近の化石発見により、ネアンデルタール人と現生人類はヨーロッパで5000~6000年間ほど共存していたかもしれない、と…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第40回「罠と罠」

 今回は和田義盛の乱へと至る過程が描かれました。朝廷からの負担などを不満に思う御家人は最長老格の和田義盛を頼るようになり、これを北条義時も大江広元も危険視して、鎌倉体制維持のために義盛の粛清を決断するわけですが、義時にとっては、鎌倉体制維持と北条の世の確立は同じというか、同じと思い込もうとしているようにも見えます。義時は、単に権勢欲だけ…
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遺伝学的知見から推測されるネアンデルタール人の社会構成

 遺伝学的知見からネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の社会構成を推測した研究(Skov et al., 2022)が公表されました。この研究は昨年すでに、その概要が報道されていました(関連記事)。ネアンデルタール人のこれまでのゲノム解析からは、その人口史や現生人類(Homo sapiens)との関係について…
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Rebecca Wragg Sykes『ネアンデルタール』

 レベッカ・ウラグ・サイクス(Rebecca Wragg Sykes)著、野中香方子訳で、筑摩書房より2022年10月に刊行されました。原書の刊行は2020年です。本書は原書刊行時に話題になり、原書は日本語版より安いと予想されたので(原書のKindle版は2022年10月時点で1834円、本書は3960円)原書で読むことも考えましたが、…
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三畳紀の爬虫類の新たな分類

 三畳紀の爬虫類の新たな分類に関する研究(Foffa et al., 2022)が報道されました。翼竜類は動力飛行(羽ばたき飛行)を進化させた最初の脊椎動物で、後期三畳紀に突然出現してから白亜紀末に姿を消すまで、中生代の陸上生態系を構成する主要な動物群でした。しかし、翼竜類の起源と初期進化については、これらの飛行性爬虫類とそれらに最も近…
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60歳まで減速しないメンタルスピード

 メンタルスピード(心的処理の速度)が60歳まで減速しないことを報告した研究(Krause et al., 2022)が公表されました。加齢につれて、環境中の変化(刺激)に反応する時間は長くなるのが一般的です。こうした反応時間は20歳頃から遅くなっていき、加齢につれて徐々に長くなっていく。この研究は、認知課題に対する反応時間を測定するオ…
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『卑弥呼』第11集発売

 待望の第11集が発売されました。第11集には、 口伝79「誕生」 https://sicambre.seesaa.net/article/202201article_22.html 口伝80「争い」 https://sicambre.seesaa.net/article/202202article_4.html …
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ヒト脳モデルの改良

 ヒト脳モデルの改良に関する研究(Revah et al., 2022)が公表されました。自己組織化する神経オルガノイドは、ヒトの発生や疾患のモデルとなり得る有望な生体外(in vitro)構築基盤(プラットフォーム)です。しかし、オルガノイドは生体外に存在するような神経結合を欠くため、成熟に限界があり、行動を制御する他の回路との統合は…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第39回「穏やかな一日」

 前回で北条時政とその妻の「りく」が退場し、今回から最終章に入った、という感じです。執権となった北条義時の北条主導の強引な政治運営に三浦義村や和田義盛など多くの御家人は不満を抱き、これが和田義盛の乱につながるのでしょうが、三浦義村は和田義盛の乱でけっきょく和田義盛を「裏切る」わけで、義時を裏切るというか反北条側に与すると期待されてけっき…
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アングロ・サクソン時代におけるヨーロッパ大陸部からブリテン島への大規模な移住

 アングロ・サクソン時代におけるヨーロッパ大陸部からブリテン島への大規模な移住に関する研究(Gretzinger et al., 2022)が公表されました。ブリテン諸島の歴史は、ローマ帝国支配の終焉後の重大な変化をはじめとする、文化を大きく変転させた複数の時代によって特徴づけられ、これが、言語や定住パターンや物質文化の移り変わりを促進…
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岡本隆司『悪党たちの中華帝国』

 新潮選書の一冊として、新潮社から2022年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、「悪党」に焦点を当てた中国史です。本書の「悪党」は、悪名高い人物という一般的な意味合いですが、悪評が定着しているような人物でも実は「悪党」ではないとか、悪評がなくとも本当「悪党」だったとか、客観的実像を検証しつつ、悪評の背景も探られています。…
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社会的に学習されているかもしれない野生チンパンジーの道具使用

 野生チンパンジーの道具使用の社会的学習の可能性を報告した研究(Koops et al., 2022)が公表されました。ヒトは道具使用などの技能を、相互観察により学習します。ヒトの文化は、こうした社会的学習を通して次第に複雑化してきました。しかし、こうした累積的な文化がヒトに特有のものかどうかについては、議論が続いていますい。飼育下の非…
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旱魃によるマヤパンの崩壊

 旱魃によるマヤパンの崩壊に関する研究(Kennett et al., 2022)が公表されました。先コロンブス期のメソアメリカでは、降水量が食料生産に及ぼす影響は、人間の移住や人口減少や戦争や政権交代と密接に関連していた可能性がありますが、そのために気候の圧力に直面したさいの回復力や変化や持続可能性がもたらされた可能性もあります。12…
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ウズベキスタン東部の天山山脈西部の旧石器

 ウズベキスタン東部の天山山脈西部の旧石器を報告した研究(Pavlenok et al., 2022)が公表されました。本論文は、天山山麓西部のチャトカル(Chatkal)における山岳調査の予備的結果を提示します。2021年にいくつかの新たな旧石器時代遺跡が発見され、その中には、燧石露頭の近くに位置する、単一で複数の層位の開地遺跡である…
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45種の言語に対する神経応答パターンの類似性

 45種の言語に対する神経応答パターンの類似性に関する研究(Malik-Moraleda et al., 2022)が公表されました。現在、全世界で7000近くの言語が使われていますが、それよりもはるかに少ない数の言語に関する研究に基づいて、脳内で言語がどのように学習され、処理されるのか、理解されつつあります。この研究は、言語研究におけ…
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トリケラトプスの闘損傷の証拠

 トリケラトプス(Triceratops horridus)の闘損傷の証拠を報告した研究(D’Anastasio et al., 2022)が公表されました。トリケラトプスは白亜紀の角竜類の恐竜で、頭蓋の頭頂骨と鱗状骨が伸びてできた大きなフリル(襟飾り)を特徴とします。この骨質のフリルについては、別のトリケラトプスとの戦闘中に体を保護し…
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シチリア島の古典期ギリシア軍の多様な遺伝的起源

 シチリア島の古典期ギリシア軍の多様な遺伝的起源を報告した研究(Reitsema et al., 2022)が公表されました。紀元前千年紀に、交易と植民により地中海のヒトの移動が前例のないほど増加しました。戦争は分断する力とみなされることが多いものの、じっさいには文化的接触のもう一つの触媒です。本論文は、ギリシアのシチリア島の植民地ヒメ…
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横山宏章『孫文と陳独秀 現代中国への二つの道』

 平凡社新書の一冊として平凡社より2017年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、中国近代史における対照的な二人の人物として、孫文と陳独秀を取り上げ、近代中国の歴史的背景と課題を浮き彫りにします。民族主義と民権主義を主張しながら、愚かな大衆は賢者に導かれるべき存在と考え、国家体制の革命を強調し、現在の用語では「開発独裁」的…
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ネアンデルタール人の聴覚

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の聴覚に関する研究(Conde-Valverde et al., 2021)が公表されました。絶滅人類の文字記録や音声記録が残っていないため、その言語能力はほとんど明らかにされていません。そこで、頭蓋化石から聴覚の研究が行われ、…
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シルル紀の魚類化石が示す有顎脊椎動物の台頭

 中国南部で新たに発見された前期シルル紀(約4億3900万~4億3600万年前)の大量の保存状態良好な魚類化石を報告した四つの研究が報道されました。分子的研究からは、現生脊椎動物の99.8%以上を占めている、顎口類としても知られている有顎脊椎動物の起源は、遅くとも後期オルドビス紀(約4億5000万年前)だった、と示唆されています。そうし…
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今年のノーベル生理学・医学賞はスヴァンテ・ペーボ氏

 今年(2022年)のノーベル生理学・医学賞はスヴァンテ・ペーボ(Svante Pääbo)氏に授与される、と発表されました。ペーボ氏は、現在すでに大きな成果を挙げている古代DNA研究を、その技術面も含めて確立した功績者なので、この受賞を歓迎する人は多そうですし、古代DNA研究に強い関心を抱いている私にとっても、たいへん嬉しい受賞です。…
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現代人の表現型へのネアンデルタール人の遺伝的影響

 現代人の表現型へのネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の遺伝的影響に関する概説(Reilly et al., 2022)が公表されました。現代人の最も近縁な絶滅近縁種であるネアンデルタール人は、ユーラシア西部に40万年前頃から絶滅した4万年前頃まで暮らしていました。古代の標本から回収されたDNAにより、ネア…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第38回「時を継ぐ者」

 今回は北条時政とその妻の「りく」の失脚が描かれました。時政はあっさりと降参を決断し、この企ては最初から無謀だと分かっていながら、妻の「りく」を見捨てることができず、息子の義時の成長もあり、後を託そうと考えて死ぬ覚悟で決起したのでしょう。皆が喜ぶ姿を見たい、という人の好さが時政にはあり、それは急成長した鎌倉で宰相的役割を担うことになって…
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ヒトの腸由来の古代の微生物ゲノム

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、ヒトの腸由来の古代の微生物ゲノムに関する研究(Wibowo et al., 2021)が報道(Olm, and Sonnenburg., 2021)されました。工業社会集団における腸内微生物の多様性の喪失はヒトの代謝や免疫系の生物学的挙動に大きな影響を与え、慢性疾患と関連づけられており、現代…
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森恒二『創世のタイガ』第10巻(講談社)

 本書は2022年9月に刊行されました。第10巻は、主人公たち現生人類(Homo sapiens)側とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)側(とはいっても、その指導者は第二次世界大戦の戦場(ドイツとフランスの国境付近)から来たドイツ人ですが)との戦いを中心に描かれました。これまで、現生人類側は盾を持っておりネ…
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ネアンデルタール人の彫刻

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の彫刻に関する研究(Leder et al., 2021)が報道されました。アフリカやユーラシア大陸の初期現生人類(Homo sapiens)には、芸術や象徴的行動に関する多くの証拠がありますが、現生人類と近縁のネアンデルタール…
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動物と菌類の起源

 動物と菌類の起源に関する研究(Ocaña-Pallarès et al., 2022)が公表されました。動物と菌類の形態は根本的に異なりますが、両者はオピストコンタ(Opisthokonta)という同じ真核生物の巨大系統群内で進化し、菌類は植物よりも動物の方と近縁です。この研究は、オピストコンタの系統発生できわめて重要な位置を占める4…
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最古となるタバコの使用の証拠

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、最古となるタバコの使用の証拠を報告した研究(Duke et al., 2022)が公表されました。タバコ(Nicotiana)はアメリカ大陸原産の酩酊性の植物で、北アメリカ大陸の多くの先住民集団の伝統に重要な役割を果たしてきました。現在タバコは世界的に使用されており、人間社会に広範な影響を及ぼしてい…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第37回「オンベレブンビンバ」

 今回は北条時政とその妻の「りく」による陰謀が中心に描かれました。畠山重忠討伐により鎌倉で時政の評判が悪化し、義時を中心に幕府中枢はあからさまに時政を排除していきます。執権の座にありながら実権を失いつつあり焦る時政に息子の義時は引き際を考えるよう警告しますが、それにより親子の溝はさらに深まります。時政は義時に、源頼朝に似てきた、と言いま…
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大相撲秋場所千秋楽

 今場所も大関陣が不調で、横綱の照ノ富士関も膝の状態がかなり悪かったようで途中休場となり、大荒れとなりましたが、もはや(番付を考えると)荒れることが常態となり、驚きはなく、競技としての側面では楽しめるので、まあこうした混戦も悪くはない、と思います。ただ、大相撲文化の根底にある番付の機能低下が著しいとも言えるわけで、私はかなり保守的な人間…
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遠オセアニア西部現代人の遺伝的構造

 遠オセアニア(リモートオセアニア)西部現代人の遺伝的構造に関する研究(Arauna et al., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。バヌアツ諸島は、3000年前頃となる無人地への最も広範なヒトの移住の一つにおける、遠オセアニア(リモートオセアニア)への入口として機能しました。古代DNA研究は、…
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井上文則『シルクロードとローマ帝国の興亡』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2021年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、ローマ帝国の興亡はユーラシア大陸規模の出来事と関連しており、それはユーラシアの東西を結んだシルクロード交易盛衰だった、との壮大な想定に基づいており、広範な地域を対象とするだけに各地域および事象について専門家の異議はあるでしょうが、歴史学が…
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ボルネオ島の後期更新世人類遺骸の外科的切断の痕跡

 ボルネオ島のインドネシア領となる東カリマンタン州のリャン・テボ(Liang Tebo)洞窟(図1)で発見された後期更新世現生人類(Homo sapiens)遺骸の外科的切断の痕跡を報告した研究(Maloney et al., 2022)が公表されました。医学の発展に関しては、1万年前頃となる定住農耕社会の出現(いわゆる新石器革命)によ…
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サヘラントロプス・チャデンシスの二足歩行の証拠

 サヘラントロプス・チャデンシス(Sahelanthropus tchadensis)の二足歩行の証拠を報告した研究(Daver et al., 2022)が公表されました。二足歩行は人類クレード(単系統群)を規定する重要な適応の一つです。二足歩行の証拠は、600万年前頃となるアフリカ東部の後期中新世人類とされるオロリン・トゥゲネンシス…
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『卑弥呼』第95話「鏡奇譚」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年10月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが金砂(カナスナ)国への出陣を筑紫島諸国の王と兵士に告げるところで終了しました。今回は、暈(クマ)の国の夜萬加(ヤマカ)にて、洞窟の奥深くの部屋でヒルメが民の訴えを聞いている場面から始まります。訴えてきたのはホデリという男性で、部屋の外にはタマヨリという…
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アジア中央部現代人におけるタリム盆地のミイラからの遺伝的影響

 アジア中央部現代人におけるタリム盆地のミイラに代表される集団からの遺伝的影響に関する研究(Dai et al., 2022)が公表されました。アジア中央部人の多様性は、複数の移住と文化拡散により形成されてきました。古代DNA研究は青銅器時時代以来のアジア中央部人の人口統計学的変化を明らかにしてきましたが、アジア中央部現代人への古代の人…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第36回「武士の鑑」

 今回は畠山重忠の最期が描かれました。畠山重忠は初回から登場し、好漢として描かれてきただけに、追い込まれていく過程とその最期は丁寧に描かれていました。畠山重忠を格好よく描こう、という制作側の意図は初回から窺えただけに、畠山重忠の最期は後半第一の山場になるのではないか、と予想していましたが、本作ではこれまででも有数の規模の野外ロケとなり、…
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中国の人類進化観と民族主義

 中国の人類進化観と民族主義に関する研究(Cheng., 2017)が公表されました。本論文の刊行は5年前ですが、最近になって知り、中国の人類進化観と民族主義は以前より関心のある問題だったものの(関連記事1および関連記事2)、断片的な情報しか得ておらず、よく理解できていなかったので、この問題について具体的な情報が多く体系的に解説している…
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井上文則『評伝 宮崎市定 天を相手にする』

 2018年7月に国書刊行会より刊行されました。著者は以前の著書『軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡』にて、ローマ帝国の変容・衰退を時代の近い漢王朝やもっと広く中華地域の変容と比較し、ローマ帝国の変容・衰退の性格を論じており(関連記事)、宮崎市定氏への傾倒が窺えましたが、東洋史専攻ではないのに宮崎氏の評伝を執筆したのには驚きま…
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渡辺知保(2021)「人新世:ヒトが地球を変える時代」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収のコラムです。地質学的な時代区分では、現在は完新世とされます。しかし、すでに2000年の時点で、完新世はすでに終わって新たな時代区分に入っており、それを人新世と呼ぶのが妥当ではないか、との見解が提示されていました。本論文の執筆時点(2020年12月)では、人新…
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竹沢泰子「人種と人種差別 文化人類学と自然人類学の対話から」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。人種は一般的に、皮膚の色をはじめとして、頭髪や身長や頭の形や血液型など形質的な特徴による区分単位とされ、現代日本社会では、コーカソイド(白色人種)とモンゴロイド(黄色人種)とネグロイド(黒色人種)の3人種に区分されます。こうした概念は社会に広く深く…
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翼竜の羽毛の色彩パターン

 翼竜の羽毛の色彩パターンエピに関する研究(Cincotta et al., 2022)が公表されました。中生代の化石の保存状態がきわめて良好な軟部組織から、羽毛の進化に関して多大な知見が得られおり、翼竜類の分岐構造を持つ羽毛(ピクノファイバー)に関する新たな証拠から、羽毛が前期三畳紀に翼竜類と恐竜類の祖先である鳥中足骨類(Avemet…
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漢代の新疆住民の学際的研究

 中華人民共和国新疆ウイグル自治区(以下、新疆)の漢代住民の学際的分析結果を報告した研究(Allen et al., 2022)が公表されました。古代中華帝国の国境地帯では、漢人と非漢人の相互作用が深く根付いていました。しかし、これら国境の人々の遺伝的起源もしくは生活様式についてはほとんど知られていません。この研究は、古代DNAと安定同…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第35回「苦い盃」

 今回は、源実朝の結婚と、北条時政と畠山重忠との対立の激化が描かれました。実朝の正室である千世は顔見世程度の出番で、まだ人となりがほとんど描かれていませんが、実朝との夫婦関係はどうなるのでしょうか。時政と重忠との対立は、平賀朝雅の策謀により激化していき、「りく」が時政を煽っていくところはある程度予想通りでしたが、重忠の息子の重保が平賀朝…
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ヨーロッパ南部とアジア南西部の大規模な古代ゲノム研究

 ヨーロッパ南部とアジア南西部に関する3つの大規模な古代ゲノム研究が公表されました。それは、ヨーロッパ南部とアジア南西部の古代から中世の人類遺骸の古代ゲノムデータを報告した研究(Lazaridis et al., 2022A)と、メソポタミア古代人のゲノムデータを報告した研究(Lazaridis et al., 2022B)と、総説的な…
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高橋のぼる『劉邦』第14集(小学館)

 電子書籍での購入です。第14集は、広武山で劉邦率いる漢軍と項羽率いる楚軍が対峙するなか、項羽が劉邦を弩で射抜いた場面から始まります。劉邦は瀕死状態に陥りますが、何とか回復します。しかし、漢軍兵士の動揺は激しく、案じた蕭何は、兵士の前で無事であると振舞うよう進言し、劉邦は盧綰の助けを借りて何事もなかったかのように兵士の前で振舞います。兵…
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米田穣「考古学と自然人類学 縄文時代・弥生時代の生業を考える」

 井原泰雄、梅﨑昌裕、米田穣編『人間の本質にせまる科学 自然人類学の挑戦』所収の論文です。植物(作物)栽培化(domestication)は、食料獲得から食料生産への移行という人類史において大きな画期となります。なお、動物の家畜化も英語では同じ単語(domestication)が用いられます。ただ、動物の家畜化と植物の栽培化(農耕)とを…
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ホオジロザメとの競合によるメガロドンの絶滅

 メガロドン(Otodus megalodon)の絶滅の一因はホホジロザメ(Carcharodon carcharias)との競合かもしれない、と指摘した研究(McCormack et al., 2022)が公表されました。動物の栄養水準は生態系内での位置を示しており、食餌は動物の生活様式や生態を理解する上で重要な役割を果たします。動物…
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中世のアシュケナージ系ユダヤ人のゲノムデータ

 中世のアシュケナージ系ユダヤ人のゲノムデータを報告した研究(Brace et al., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、イギリスのノリッジ(Norwich)遺跡の中世の井戸の底で発掘された6個体のゲノム配列データを報告します。これらの遺骸の改定放射性炭素年代分析は、歴史的に確認された…
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『卑弥呼』第94話「豊日別会議」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年9月20日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハがイクメに、鬼国(キノクニ)の背後に吉備(キビ)がいるなら吉備の王の首を刎ね、吉備の背後に日下(ヒノモト)がいれば日下の王の首を必ず獲る、と力強く宣言ところで終了しました。今回は、ヤノハとイクメが、菟狭(ウサ、現在の大分県宇佐市でしょうか)と穂波(ホミ)…
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