野生アフリカゾウの「名前」での呼びかけ

 野生アフリカゾウ(Loxodonta africana)の「名前」での呼びかけに関する研究(Pardo et al., 2024)が公表されました。個体名はヒト系統の普遍的特徴ですが、他の種には類例がほとんど存在しません。非ヒト動物では、イルカやオウムは相手の呼びかけを模倣して同種に呼びかけるのに対して、ヒトの名前は名指しされた個体が…
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『卑弥呼』第136話「大博打」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年9月5日号掲載分の感想です。前回は、暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)で、ヒルメがニニギ(ヤエト)に、両親の仇は山社(ヤマト)の女王である日見子(ヒミコ)、つまりヤノハと伝えたところで終了しました。ニニギはホデリとタマヨリに育てられていた、ヤノハとチカラオ(ナツハ)の姉弟間の息子です。今回は、ミマアキ…
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三畳紀のワニに似た小型爬虫類

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、三畳紀(約2億5200万年前~2億100万年前)のワニに似た小型爬虫類に関する研究(Müller., 2024)が公表されました。恐竜類や翼竜類の出現以前の三畳紀において、ワニ系統の爬虫類である偽鰐類が陸上生態系を支配していました。当時の四足爬虫類の一般的な形態だったこの系統は、いくつかのさほど包括…
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大河ドラマ『光る君へ』第31回「月の下で」

 先週は休止だったので、久々の視聴との感もあります。今回は、紫式部(まひろ)を訪ねてきた藤原道長(三郎)が、紫式部に、一条帝の后となったものの、一条帝から相手にされていない娘の彰子のため、物語を書くよう要請する場面から始まります。紫式部は一旦断りますが、艶めかしさがないから『枕草子』をあまり高く評価していない、と和泉式部から聞き、和泉式…
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ストーンヘンジの祭壇石の産地(追記有)

 ストーンヘンジ(Stonehenge)の祭壇石の産地に関する研究(Clarke et al., 2024)が公表されました。ストーンヘンジはイングランドのウィルトシャーのソールズベリー平原に位置する、イギリスにおける最大級の後期新石器時代~青銅器時代にかけての墓地遺跡で、世界的に有名な観光地にもなっています。ストーンヘンジに関しては、…
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Reza Aslan『人類はなぜ<神>を生み出したのか?』

 レザー・アスラン(Reza Aslan)著、白須英子訳で、文藝春秋社より2020年2月に刊行されました。原書の刊行は2019年です。電子書籍での購入です。本書は、人類史における「神」というか「宗教」の起源を検証し、その対象範囲は先史時代から歴史時代まで、現生人類(Homo sapiens)に留まらず、ネアンデルタール人(Homo ne…
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氷河の後退で出現した陸上生態系の発達

 氷河の後退で出現した陸上生態系の発達に関する研究(Ficetola et al., 2024)が公表されました。氷河の全球的な後退は山岳および高緯度地域の景観を劇的に変化させつつあり、一見不毛な土地から新たな生態系が発達しています。こうした新たに出現した生態系に関する研究は、気候変動が微小生息地や生物群集とどのように相互作用し、氷の消…
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最終氷期極大期に現在より深かった北大西洋亜熱帯循環

 最終氷期極大期(Last Glacial Maximum、略してLGM)において北大西洋亜熱帯循環は現在よりも深かったことを報告した研究(Wharton et al., 2024)が公表されました。亜熱帯循環(Subtropical gyre、略してSTG)の深さと強度は、風応力カールと海面浮力強制により制御されています。現在の海洋観…
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家畜番犬の進化史

 家畜番犬(Livestock guarding dog、略してLGD)の進化史に関する研究(Coutinho-Lima et al., 2024)が公表されました。本論文は、現代と古代のイヌ(Canis lupus familiaris)のゲノムデータを用いて、LGDの進化史を検証しました。その結果、現代のLGD品種は2系統に分かれ、…
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現代人の遺伝子発現の差異

 現代人の遺伝子発現の差異に関する研究(Taylor et al., 2024)が公表されました。遺伝子発現やスプライシングに影響を及ぼす遺伝的多様性は、表現型の多様性の重要な要因です。これらの結びつきをヒトにおいて調べる研究はひじょうに貴重ですが、参加者がヨーロッパ系に大きく偏っているため、これが一般化の制約となり、進化研究を妨げてい…
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初期の四肢類の地理的分布

 初期の四肢類の地理的分布に関する研究(Marsicano et al., 2024)が公表されました。四肢類の初期進化に関する現在の仮説では、石炭紀の古赤道の石炭を生成した、広範な湿地との密接な生態学的および生物地理的関係を前提としており、太古の四肢類群は後期石炭紀(約3億700万年前)に現代の羊膜類および平滑両生類の近縁動物によって…
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アメリカ合衆国の退役軍人の大規模なゲノムデータ

 アメリカ合衆国の退役軍人の大規模なゲノムデータを報告した研究(Verma et al., 2024)が公表されました。日本語の解説記事もあります。GWAS(genome-wide association studies、ゲノム規模関連研究)から得られた調査結果は、疾患の遺伝学的基礎の基本的知識を提供し、予防と治療のための精密な手法を促…
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楊海英『人類学と骨 日本人ルーツ探しの学説史』

 岩波書店より2023年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。以下、敬称は省略します。本書は近現代の日本における人類学の研究史で、近現代日本において盛り上がった日本人起源論において、学者がどのように研究し、その主張が一般層にどう受容されていったのか、その倫理的問題とともに検証します。日本に限りませんが、現代の視点からは、近代の人…
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古代ゲノムデータに基づく祖先探し

 古代ゲノムデータに基づく祖先探しに関する解説記事(Callaway., 2024)が公表されました。科学者は消費者ゲノムデータベースを用いて、最近およびさほど近くはない過去の祖先へと生きている人々を結びつけています。しかし、これらのつながりの意味は必ずしも明確ではありません。この解説記事は、古代ゲノムデータを用いた商用の祖先探しについ…
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フローレス島の70万年前頃の人類遺骸

 インドネシア領フローレス島の70万年前頃の小柄な人類の遺骸を報告した研究(Kaifu et al., 2024)が公表されました。日本語の解説記事もあります。フローレス島西部のリアン・ブア(Liang Bua)洞窟では6万年以上前の小柄な人類遺骸が発見されており、ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)と分類されて…
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『卑弥呼』第135話「戦う女王」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年8月20日号掲載分の感想です。前回は、公孫淵と会ってどのような話をするつもりなのか、とオオヒコに問われたヤノハが、公孫淵は倭という名は知っていても、どのような国かはまるで知らないので、倭国についての嘘をとうとうと吹き込むつもりだ、と答えたところで終了しました。今回は、暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)…
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テレビが壊れる

 今月(2024年8月)1日までは、2018年12月に購入した49インチの4Kテレビ(関連記事)がとくに異状なく動作していましたが、今月3日に録画した朝ドラを視聴しようとしたところ、電源が入らず、コンセントの抜き差しやテレビ本体の電源を押すなど色々と試したものの、復旧しませんでした。先代のテレビは故障の前兆がありましたが(関連記事)、今…
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大河ドラマ『光る君へ』第30回「つながる言の葉」

 今回も、紫式部(まひろ)の周囲の話と、藤原道長(三郎)の視点を中心とする宮中の話が描かれました。紫式部の視点では夫の藤原宣孝が急死したように思えたでしょうし、父親は官職を得られず、今後の生活への不安が強いだろう中で、紫式部は女房たちに和歌を教えて、物語を披露するなどして、生計を立てているようです。この和歌の会に和泉式部が現れ、かなり奔…
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新石器時代スカンジナビア半島の社会構造とペスト感染

 新石器時代スカンジナビア半島の社会構造とペスト感染に関する研究(Seersholm et al., 2024)が公表されました。本論文は、新石器時代スカンジナビア半島の108個体のゲノムデータを報告するとともに、この集団は約120年間に少なくとも3回、異なるペスト感染を経た、と示しました。こうした繰り返しのペスト感染が、ヨーロッパ新石…
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村山吉廣『楊貴妃 大唐帝国の栄華と滅亡』

 講談社学術文庫の一冊として、2019年5月に講談社より刊行されました。本書の親本『楊貴妃 大唐帝国の栄華と暗転』は中公新書の一冊として中央公論新社より1997年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は楊貴妃の伝記ですが、「時代とともに楊貴妃を描く」ことが主題で、楊貴妃が時代にどう位置づけられるのか、という観点から注目して読み…
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5万年前頃以降のチベット高原のデニソワ人

 チベット高原における5万年前頃以降の種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)の存在を報告した研究(Xia et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国甘粛省甘南チベット族自治州夏河(Xiahe)県のチベット高原北東端の海抜3280mに位置する白石崖溶洞(Baishiya Karst Cave、略…
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中世シチリア島のイスラム教徒とキリスト教徒との間の遺伝的差異と生活の類似

 中世シチリア島の人類集団の学際的分析結果を報告した研究(Monnereau et al., 2024)が公表されました。本論文は、中世シチリア島西部に位置するセジェスタ(Segesta)遺跡のキリスト教徒とイスラム教徒の中世の墓地被葬者の、放射性炭素年代測定結果とゲノムデータと同位体データを報告しています。この学際的分析により明らかに…
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中国南部の近世の被葬者のゲノムデータ

 現在の中華人民共和国広西チワン族自治区の洞窟で発見された近世の被葬者のゲノムデータを報告した研究(Guo et al., 2024)が公表されました。本論文は、広西チワン族自治区のバイタイシャン(Baitaishan)およびフアトゥドン(Huatudong)洞窟で発見された、大元ウルス後期~明代にかけての被葬者4個体のゲノムデータを新…
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大河ドラマ『光る君へ』第29回「母として」

 今回は、定子没後の宮中の様子と、紫式部(まひろ)の子育てが描かれました。紫式部の父親である藤原為時は越前守を務めていましたが、無難に統治していたものの、宋人を帰国させることはできなかったため、受領功過定での評価は低く、除目では官職を得られませんでした。陣定や受領功過定など、当時の貴族の政務も描いているところは、本作の魅力というか、高評…
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大相撲名古屋場所千秋楽

 このところ休場の多い横綱の照ノ富士関の出場に注目していましたが、照ノ富士関は角番の貴景勝関とともに出場してきました。照ノ富士関は初日に勝ったものの、苦戦したので、今場所も苦しいのかな、と思っていたところ、2日目と3日目には圧倒的な強さを見せて勝ち、一定以上力を出せるならば、現役では抜けた力量の存在なだけに、今場所は優勝候補の筆頭かな、…
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ウマの家畜化と現代のウマの遺伝的起源

 古代ゲノムデータからウマの家畜化と現代のウマ系統の遺伝的起源を検証した研究(Librado et al., 2024)が公表されました。本論文は、現代の家畜ウマ系統につながる家畜化が始まったのは、紀元前2700年頃以降に始まった深刻なボトルネック(瓶首効果)後で、現代の家畜ウマ系統につながる繁殖管理は、近親交配と世代時間短縮によって紀…
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綾辻行人『Another』シリーズ

 『Another』と『Another エピソードS』と『Another 2001』はいずれも角川書店からそれぞれ、2009年10月と2013年7月と2020年9月に刊行されました。近年、小説を読むことが本当に少なくなり、小説に限らず映像作品も以前より楽しむ回数が激減し、ゲームは『ウイニングポスト』の体験版を数時間程度やったくらいですか…
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5万年以上前となるスラウェシ島の洞窟壁画

 スラウェシ島の洞窟壁画の新たな年代測定結果を報告した研究(Oktaviana et al., 2024)が公表されました。本論文は、スラウェシ島の具象的な洞窟壁画の年代が5万年以上前までさかのぼることを示し、これは具象的表現としては現時点で最古となります。こうした具象的表現は現時点で現生人類(Homo sapiens)でしか確認されて…
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匈奴の墓地被葬者のミトコンドリアDNA

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、匈奴の墓地被葬者のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した研究(Kim et al., 2024)が公表されました。本論文は、2000年前頃となる匈奴のエリート層の墓地6基の被葬者のmtDNAを解析し、mtDNAハプログループ(mtHg)を決定しました。これら6個体のmtHgで同…
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言語理解時の意味の符号化

 言語理解時の意味の符号化を単一細胞分解能で追跡した研究(Jamali et al., 2024)が公表されました。ヒトは、言語音や文字の列から、言語を介して豊かで微妙な差異を含む意味を抽出できます。この能力は、ヒトの意思疎通に必須です。しかし、言語や意味の処理を支える脳領域についての理解が進んだ今でも、細胞水準かつ活動電位の時間規模で…
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絶滅前のケナガマンモスの歴史(追記有)

 古代ゲノムデータから絶滅前のケナガマンモス(Mammuthus primigenius)の歴史を推測した研究(Dehasque et al., 2024)が公表されました。本論文は、ランゲル(ウランゲリ)島(Wrangel Island)を中心に、シベリアのケナガマンモスの古代ゲノムデータから、ケナガマンモスが絶滅前にどのような個体群…
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大河ドラマ『光る君へ』第28回「一帝二后」

 今回は、藤原道長(三郎)の娘で、一条天皇に入内した彰子の立后と、娘を出産した紫式部(まひろ)の子育てが描かれました。出家したとはいえ、すでに一条天皇の后として定子がいるのに、彰子が立后されたことは、当時としては前例がなく、当時の貴族には忌避する感情も強かったのではないか、とも思いますが、おそらくは道長の意向を踏まえて、藤原行成が「理論…
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『卑弥呼』第134話「外交」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年8月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハ一行が朝鮮半島の辰韓に入り、月支国の王の住居とその向こうにあるの辰王の宮殿の目前まで来たところで終了しました。今回は、辰王の宮殿の目前で、ヤノハがトメ将軍に、ゴリによると辰王は自分が日見子(ヒミコ)であることをすでに知っているので、下手な小細工はせず、自分…
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本村凌二『地中海世界の歴史3 白熱する人間たちの都市 エーゲ海とギリシアの文明』

 講談社選書メチエの一冊として、2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書が対象とする主要な地域はギリシアというかエーゲ海地域ですが、扱う年代は紀元前三千年紀~マケドニアの台頭の頃までとなり、第2巻ではアッシリア帝国とペルシア帝国まで扱われましたが、本書では年代がさかのぼることになります。紀元前三千年紀から紀元前1200…
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23億年前の大気と海洋の連結した酸素化の開始

 23億年前の大気と海洋の連結した酸素化の開始に関する研究(Ostrander et al., 2024)が公表されました。25憶年前の太古代から原生代への移行期の直後における分子状酸素(O₂)の最初の増加は、かつて想定されていたような単一段階の変化よりも複雑なものでした。硫黄の質量非依存分別の記録は、この大気中O₂の増加が振動的で、お…
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持久走による狩猟の効率性

 持久走による狩猟の効率性に関する研究(Morin, and Winterhalder., 2024)が公表されました。ヒトには哺乳類では稀な二つの特徴があり、歩行運動筋は疲労耐性繊維が優勢で、発汗により長く激しい活動で生成された代謝熱を効率的に発散します。これらの特徴の有力な進化的説明が持久力追跡(endurance pursuit、…
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夏家店上層文化の人類集団の遺伝的多様性

 現在の中国の北東部地域における青銅器時代人類集団の遺伝的多様性を報告した研究(Zhu et al., 2024)が公表されました。本論文は、西遼河(West Liao River、略してWLR)地域南部の夏家店上層(Upper Xiajiadian)文化関連の1個体のゲノムデータを報告しています。この個体は、中華人民共和国内モンゴル自…
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ネアンデルタール人と現生人類との間の遺伝的混合

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との間の遺伝的混合に関する研究(Li et al., 2024)が公表されました。現生人類はその歴史の大半で、かつて存在したいくつかの異なる人類集団の一つにすぎませんでした。古代人と現代人のDNAの研究から、現生人類の祖先とネアンデル…
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大河ドラマ『光る君へ』第27回「宿縁の命」

 前回最後で、紫式部(まひろ)と藤原道長(三郎)が石山寺にて再会し、再び肉体関係を結びます。紫式部は妊娠し、この子が娘(賢子)なのでしょうが、実父は夫の藤原宣孝ではなく、道長ということになるようです。故に賢子は本作では「宿縁の命」と位置づけられることになりそうで、後半にはかなり重要な役割を担うことになるかもしれません。賢子の配役はまだ公…
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ヒトマラリアの歴史

 ヒトマラリアの歴史に関する研究(Michel et al., 2024)が公表されました。マラリアの原因となるプラスモジウム属(Plasmodium)の原虫は、過去にはヒトゲノムに対してひじょうに強力な選択圧を及ぼしてきており、抵抗性アレル(対立遺伝子)は、これらの原虫種の歴史的な広がりの概要を示す生体分子的な足跡となっています。しか…
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本村凌二『地中海世界の歴史2 沈黙する神々の帝国 アッシリアとペルシア』

 講談社選書メチエの一冊として、2024年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は紀元前二千年紀末~紀元前4世紀頃までを扱っており、アルファベットと一神教の誕生をとくに重視しています。アルファベットの起源は紀元前二千年紀の原シナイ(カナン)文字で、ヒエログリフに倣ってカナン人が作りました。カナン人は海洋文化の影響を受けてフェニ…
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イラン大統領選結果

 エブラヒム・ライシ前大統領が搭乗していたヘリコプターの墜落により先々月(2024年5月)19日に死亡したため、イランでは急遽大統領選が行なわれ、先月18日に投票が、今月5日に決選投票が行なわれました。とくに独自の知見を提示できるわけではありませんし、イラン政治を日頃から熱心に追いかけているわけでもありませんが、当ブログを開設してからイ…
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シベリアの人口史

 古代人と現代人のゲノムデータに基づくシベリアの人口史に関する研究(Gill et al., 2024)が公表されました。本論文は、ユーラシア北部東方を中心として、既知の古代人および現代人のゲノムデータの再分析により、おもに完新世以降のシベリアの人口史を再構築しています。本論文はとくに、バイカル湖地域とヤクーチア(Yakutia、サハ共…
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女性のX染色体のモザイク喪失

 女性のX染色体のモザイク喪失に関する研究(Liu et al., 2024)が公表されました。X染色体のモザイク喪失(Mosaic loss of the X chromosome、略してmLOX)は、女性の白血球で最もよく見られる体細胞性のクローン変化ですが、その遺伝的決定要因や表現型の結果については、ほとんど分かっていません。本論…
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東京都知事選結果

 先日(2024年7月7日)投開票となった東京都知事選は、大手報道機関の事前の情勢調査通り、現職の小池百合子候補が圧勝し、都知事選での投票は今回で10回目となりますが、私が投票した候補者は全員落選したことになります。予想通りだったので覚悟していたとはいえ、やはりたいへん不愉快な結果だったので、当ブログでの言及のはやめておこうとも考えたの…
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レバノン北部の人口史

 レバノン北部の人口史に関する研究(Platt et al., 2024)が公表されました。本論文は、現代のレバノン北部のコウラ(Koura)地区住民の人口史を、近隣地域も含めて現代人と古代人のゲノムデータから推測しています。コウラ地区は現代のレバノンにおいて、他地域と比較してギリシア正教の信者が顕著に多く、それが近代の移住に由来するの…
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『卑弥呼』第133話「風聞」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年7月20日号掲載分の感想です。前回は、馬韓の蘇塗(ソト)の邑で、ヤノハがゴリに、公孫淵がいかに嘘の上手い人物としても、自分ほどではないだろうと自負したところで終了しました。今回は、山社国(ヤマトノクニ)の聖地である山社(ヤマト)で、ヤノハが韓(カラ、朝鮮半島)国に発ってから70日を経過し、ミマト将…
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本村凌二『地中海世界の歴史1 神々のささやく世界 オリエントの文明』

 講談社選書メチエの一冊として、2024年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、メソポタミアも含めて地中海世界を広い範囲で把握し、シュメール文化の頃からローマ帝国の東西分裂の頃まで約4000年間の地中海の歴史を、著者1人で執筆する『地中海世界の歴史』全8巻の第1巻となります。時空間的に広範囲の歴史を1人で執筆すると、それぞ…
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スカンジナビア半島中石器時代狩猟採集民の口腔内の健康状態

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、スカンジナビア半島中石器時代狩猟採集民の口腔内の健康状態に関する研究(Kırdök et al., 2024)が公表されました。先史時代の噛み跡のある樹脂は、ヒトおよびその口腔微生物叢の両方からの、古代DNAの有用な供給源である、と証明されてきました。本論文は、9890~9540年前頃となる、スウェ…
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古代エジプトの書記官に特有の身体の変性変化

 古代エジプトの書記官に特有の身体の変性変化を報告した研究(Havelková et al., 2024)が報道されました。紀元前三千年紀の古代エジプト社会では、文字を書くのに熟達していた男性は、特権的地位を享受していました。高い社会的地位のこうした役人(書記官)に焦点を当てた研究は通常、その肩書や書記官像や図像などに集中していますが、…
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