取り上げるのが遅れてしまいましたが、おもに中国で発見された更新世の人類化石についての研究(Yang et al., 2026)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、おもに中国を対象に、アジア東部の更新世の人類進化史を、形態学(化石)と考古学の観点から検証し、分子…
中国で発見された中期更新世ホモ属のタンパク質を報告した研究(Fu et al., 2026)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、中国で発見されてホモ・エレクトスに分類されている中期更新世の化石6点から、エナメル質タンパク質の解析に成功しました。その結果、これら…
海底で発見されたクジラの死骸堆積を報告した研究(Peng et al., 2026)が公表されました。鯨骨(whale fall)は海底における生物多様性のオアシスで、多種多様な生物を支える複雑な局所生態系を生み出すことがあります。しかし、海洋から得られるそれらの記録はわずかで、断片的です。既知のクジラの死骸堆積のほとんどは水深数十メ…
ミツバチの女王の発生に関する研究(Fang et al., 2026)が公表されました。社会性昆虫の巣の構造は多くの場合、隠れ家や貯蔵場所を提供する静的な構造要素と見なされます。しかし、こうした構築された環境が、生物学的形質をどの程度能動的に形作っているのかについては、ほとんど理解されていません。ミツバチのカースト決定を駆動する遺伝的…
ヒト科の腰椎発生について、今年(2026年)3月18日~21日にかけてアメリカ合衆国コロラド州デンバーで開催された第95回アメリカ生物学会(旧称はアメリカ自然人類学会)総会で報告されました(Wang et al., 2026)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P200)。この研究は、さまざまなヒト科の異なる発達段階の腰椎を、…
中期更新世ヨーロッパの人類における埋葬の可能性について、今年(2026年)3月18日~21日にかけてアメリカ合衆国コロラド州デンバーで開催された第95回アメリカ生物学会(旧称はアメリカ自然人類学会)総会で報告されました(Harvati et al., 2026)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P75)。ギリシア南部のマニ半…
ブライアン・M・フェイガン(Brian M. Fagan)著、河合信和訳で、どうぶつ社より1997年6月に刊行されました。初版の刊行は1994年、原書の刊行は1990年です。当ブログを始める前に読んでおり、まだ当ブログで取り上げておらず、最近再読した本も今後当ブログに掲載していくことにしましたが、本書もその一環です。本書を取り上げた主…
インド北部の洞窟で発見された6世紀の人類遺骸のミトコンドリアゲノムを報告した研究(Kumar et al., 2026)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、インド北部の6世紀の人類遺骸の母系が多様で、アジアの東部や中央部や南部と関連しており、文化的融合を示唆し…
霊長類における食性の変化に伴う歯の適応に関する研究(Gilbert et al., 2026)が公表されました。エナメル質は歯を覆う組織で、脊椎動物の体で最も硬い組織であるとともに、ナノメートルからミリメートルに及ぶ複雑なマルチスケール構造を有しています。その構造は、幅50~70 ナノメートル、長さ数マイクロメートルの細長いヒドロキシ…
ヒトの協力に関する研究(Sabin et al., 2026)が公表されました。ヒトの協力は動的で、良好な条件の下であってもしばしば減少します。多くの主流の理論では、協力の減少を戦略的行動または学習の観点から説明し、それを合理的行動あるいは合理性への進展の証拠と捉えています。本論文は、長期的な減少の鍵となる原因が、時間の経過とともに体…
新石器時代の食人行為を報告した研究(Saladié et al., 2025)が公表されました。イベリア半島には、集団埋葬や死後の遺体の再分配を含む多様な埋葬慣習の記録が残っています。イベリア半島における人肉食の事例は100万年前頃までさかのぼるかもしれませんが、当時の文化慣習の曖昧さや埋葬条件の不確実性から、人体処理の直接的な証拠は…
取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、オーストラリアにおける12000年前頃の儀式の痕跡を報告した研究(David et al., 2024)が公表されました。文字のない社会において、民族誌的に知られている儀式が数百年以上にわたって考古学的にさかのぼることは稀で、古代の儀式の歴史的記録は、世代を超えて伝えられていく間に変化してい…
取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、上部旧石器時代ヨーロッパにおけるクジラの骨の利用を報告した研究(McGrath et al., 2025)が公表されました。沿岸地域に住んでいた古代の人類は、クジラを資源として利用していた可能性が高い、と考えられています。しかし、先史時代の沿岸遺跡は脆弱で海面上昇の影響を受けやすく、先史時代…
取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、火山噴火と黒死病に関する研究(Bauch, and Büntgen., 2025)が公表されました。第二次ペスト大流行である黒死病の第一波は、1347年以後のわずか数年でヨーロッパの人口の多くを奪い、一部の地域では死亡率が60%に達した、と推定されています。ました。この黒死病の原因であるペス…
取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、インダス文化の衰退と旱魃に関する研究(Solanki et al., 2025)が公表されました。インダス文化は、5000~3500年前頃に現在のパキスタンとインド北西部におけるインダス川およびその支流周辺に存在した、アジア南部において最古級の都市文化です。インダス文化の最盛期(4500~3…
昨年(2025年)9月に「縄文時代」についての備忘録を掲載しましたが、その後、Twitterで投稿した断片的な情報や私見を短くまとめておきます。なお、以下では、千年前の略称としてK(kilo years ago、千年前)を用います。Twitterで検索すると、「縄文文化」は「南方系」と断定する投稿も見かけますが、かなり問題がある認識と…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、最古級の羊膜類の足跡に関する研究(Long et al., 2025)が公表されました。陸棲動物の進化における重要な段階は、四肢を持つ生物(四肢動物)が海から陸に出現することでした。羊膜類(現生の爬虫類と鳥類と哺乳類を含む一群)は四肢動物の中で唯一陸上において繁殖する系統で、真の陸上動物となったこと…
小型恐竜の進化史に関する研究(Makovicky et al., 2026)が公表されました。本論文は、アルヴァレスサウルス類(alvarezsauroids)と呼ばれる小型分類群の新たな標本を報告しています。アルヴァレスサウルス上科は、おもに小型の獣脚類恐竜からなる謎の多い分類群で、その大部分はアジアと南アメリカ大陸のジュラ紀から白…