「反体制」考古学の問題点

 現在ではグラハム・ハンコック(Graham Hancock)氏に代表される、「反体制」考古学の問題点を指摘した論説(Aldenderfer., 2023)が公表されました。ハンコック氏の著書では1990年代半ばに刊行された『神々の指紋』が有名で、日本でも、テレビ番組で取り上げられるなど大きな話題になりました。ハンコック氏はその後も精力…
コメント:0

続きを読むread more

癌の転帰の性差

 癌の転帰の性差に関する二つの研究が公表されました。一方の研究(Abdel-Hafiz et al., 2023)は、Y染色体を失った膀胱癌細胞が、免疫抑制性の高い腫瘍微小環境を生み出し、転帰の悪化の一因になったことを示します。Y染色体喪失(Loss of the Y chromosome、略してLOY)は、膀胱癌の10~40%を含む多…
コメント:0

続きを読むread more

シチリアオオカミのゲノムデータ

 シチリアオオカミのゲノムデータを報告した研究(Ciucani et al., 2023)が公表されました。シチリアオオカミはシチリア島に生息しており、1930年代~1960年代に絶滅した、とされています。本論文は、シチリア島とイタリア半島のオオカミは同じ進化系統に由来し、シチリアオオカミは銅器時代のイヌの祖先系統(祖先系譜、祖先成分、…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『どうする家康』第29回「伊賀を越えろ!」

 今回は、徳川家康の生涯において有数の危機とされる本能寺の変後の伊賀越えが描かれましたが、本作では恐らく史実以上の危機とされていたように思います。家康は服部半蔵の進言により帰国経路として伊賀越えを選択しますが、これが悪手で、家康は窮地に陥ります。本作では服部半蔵の失敗が目立ち、滑稽な役割を担っている感があります。家康は伊賀で服部半蔵とと…
コメント:0

続きを読むread more

朝鮮民主主義人民共和国学界の古代史を読み解く

 表題の論文(松浦., 2022)を読みました。本論文は、日本の非専門家ではほとんど知られていないだろう、北朝鮮の古代史学界の動向を取り上げており、もちろん私もほとんど知らなかったため、たいへん有益でした。本論文によると、北朝鮮では建国後、1960年代半ばころに独自の古代史体系と呼ぶべきものがはっきりと見えてくるようになったそうで、それ…
コメント:0

続きを読むread more

川村裕子編『誰も書かなかった 清少納言と平安貴族の謎』

 中経の文庫の一冊として、2013年11月にKADOKAWAより刊行されました。電子書籍での購入です。本書は問いと回答の形式で構成されており、著書の『枕草子』は有名であるものの、履歴や人物像についてはさほど知られていない清少納言について、一般向けに基礎知識から分かりやすく伝えよう、との工夫が窺えます。来年(2024年)の大河ドラマの主人…
コメント:0

続きを読むread more

マチュ・ピチュ住民の遺伝的起源

 マチュ・ピチュ(Machu Picchu)遺跡で発見された人々のゲノムデータを報告した研究(Salazar et al., 2023)が公表されました。マチュ・ピチュは世界的にたいへん有名で人気があるインカ帝国期の遺跡で、多くの観光客が訪れていますが、その住民の遺伝的起源についてはほとんど分かっていません。本論文は、マチュ・ピチュ遺跡…
コメント:0

続きを読むread more

ウェールズで発見された新たなバージェス頁岩型動物相

 ウェールズで発見された新たなバージェス頁岩型動物相を報告した研究(Botting et al., 2023)が公表されました。バージェス頁岩型堆積物には体内の臓器などの軟部組織が保存されており、カンブリア紀(5億4100万~4億8500万年前頃)の動物進化を理解に重要であり、古代の生物の形態や動物が支配的だった初期の群集の生態系を知る…
コメント:0

続きを読むread more

バンドウイルカの古代ゲノムデータ

 ハンドウイルカ(Tursiops truncatus)の古代ゲノムデータを報告した研究(Louis et al., 2023)が公表されました。古代ゲノム研究は近年ますます盛んになっており、ヒトの事例はとくに注目度が高いものの、非ヒト動物の古代ゲノムデータの報告も増えています。本論文は、バンドウイルカの古代ゲノムデータから、新たな生息…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『どうする家康』第28回「本能寺の変」

 今回は本能寺の変が描かれました。大河ドラマでは定番の本能寺の変ですが、前回、織田信長が自分への徳川家康の殺意を見抜いたうえで、覚悟を決めたなら自分を殺してみろ、と煽ったことで、通説の本能寺の変とどう整合させてくるのか、注目していました。家康は、酒井忠次と石川数正の諫言にも関わらず、信長を討つ決意は変わらず、堺に向かって有力者と会談しま…
コメント:0

続きを読むread more

大相撲名古屋場所千秋楽

 今場所は、直近2場所が三役でどちらも二桁勝利を挙げ、合計勝利数が21勝の豊昇龍関と21勝の若元春関と22勝の大栄翔関という3関脇の大関昇進が注目されました。また、不祥事で大関から三段目まで番付を下げた朝乃山関が東前頭4枚目と、上位陣と本格的に対戦するまで戻ってきたことも話題になりました。先場所長期休場明けで優勝した横綱の照ノ富士関は出…
コメント:0

続きを読むread more

「在日」にとっての古代史とは何であったのか

 表題の論文(李., 2022)を読みました。本論文は、高松塚古墳の壁画発見の大々的報道(1972年3月21日)を契機とする、いわゆる「古代史ブーム」において、金達寿氏と李進熙氏が果たした役割に焦点を当てるとともに、韓国の学界状況も解説しており、不勉強な私にとってはたいへん有益でした。過去の韓国の学界状況について、韓国の代表的な古代史研…
コメント:0

続きを読むread more

繁田信一『天皇たちの孤独 玉座から見た王朝時代』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2006年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はおもに『小右記』に基づいて、王朝時代の天皇の一般的にはあまり知られていないだろう具体的な振る舞いと心境を叙述していきます。一条天皇については、これまで概説などで読んでいても忘れていたかもしれませんが、藤原道隆・伊周父子との確執について詳…
コメント:0

続きを読むread more

『卑弥呼』第112話「赤い土くれ」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年8月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが那(ナ)国のウツヒオ王に、津島(ツシマ、現在の対馬でしょう)国のアビル王が自分たち筑紫島(ツクシノシマ、九州を指すと思われます)連合に従わねば、人知れず消えてもらう、と語ったところで終了しました。今回は、暈(クマ)国の鞠智里(ククチノサト、現在の熊本県菊…
コメント:0

続きを読むread more

ニュージーランドの絶滅したモアのミトコンドリアDNA解析

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、ニュージーランドの絶滅した鳥であるモアのミトコンドリアDNA(mtDNA)データを報告した研究(Verry et al., 2022)が公表されました。近年の古代DNA研究の進展は目覚ましく、ヒトの場合は大きく報道されることもありますが、非ヒト動物の古代DNA研究も進んでいます。本論文は、ニュージー…
コメント:0

続きを読むread more

タイで発見された更新世の絶滅アリゲーター種

 タイで発見された更新世の絶滅アリゲーター種を報告した研究(Darlim et al., 2023)が公表されました。アリゲーター科の中ではアメリカ大陸以外で唯一現生するヨウスコウアリゲーター(Alligator sinensis)の謎めいた進化の起源をたどるには、アジアから産出するワニの化石が不可欠です。アジアの化石記録はひじょうに少…
コメント:0

続きを読むread more

アナトリア半島とレヴァントの先土器新石器時代B集団の学際的研究

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、アナトリア半島とレヴァントの先土器新石器時代B(Pre-Pottery Neolithic B、略してPPNB)集団のゲノムおよび同位体データを報告した研究(Wang et al., 2023)が公表されました。本論文は、『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the Nationa…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『どうする家康』第27回「安土城の決闘」

 今回は、織田信長と徳川家康の関係を軸に、本能寺の変へと至る過程が描かれました。信長は駿河での歓待の返礼として、安土城に家康を招きます。前回、家康は信長を殺害し、天下を取る、と家臣団の前で宣言しており、具体的な構想が明かされるのか、注目していましたが、家康は信長が京都では手薄な状態でいることを予測し、すでに服部党などに信長殺害の工作を命…
コメント:0

続きを読むread more

人類進化史におけるスラウェシ島の注目すべき発見

 近年、人類進化史において注目すべきスラウェシ島での発見が色々と報告されているので、一度まとめておきます。スラウェシ島は生物地理学的区分では、東方のウォレス線と西方のライデッカー線との間に挟まれたワラセアに分類されます。ワラセアはユーラシア本土のアジア南東部とサフルランド(更新世の寒冷期には現在のオーストラリア大陸とニューギニア島とタス…
コメント:0

続きを読むread more

坂野潤治『昭和史の決定的瞬間』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2004年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。今となってはかなり古いと言えますが、碩学が1936~1937年を日本の分岐点と考えて詳しく検証しているとのことなので、私にとって今でも得るものは多いのではないか、と思って読みました。本書はまず、1931~1932年の危機と、1936~1937年の…
コメント:0

続きを読むread more

ヒトの急速眼球運動睡眠に似たタコの睡眠段階

 ヒトの急速眼球運動睡眠(レム睡眠)に似たタコの睡眠段階を報告した研究(Pophale et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。多くの脊椎動物は睡眠中、急速眼球運動睡眠と徐波睡眠という、少なくとも2つの睡眠相を交互に示し、前者は覚醒時に似た脳活動を、後者は同期的な脳活動をそれぞれ特徴の一部としています。こ…
コメント:0

続きを読むread more

中国の少数民族のパンゲノム参照配列

 中国の少数民族のパンゲノム参照配列を報告した研究(Gao et al., 2023)が公表されました。パンゲノムとは、1個体の全遺伝情報(ゲノム)だけではなく、分類群が有する全ての遺伝情報です。ヒトのゲノミクスでは、単一の参照配列からパンゲノムの形へと移行しつつありますが、この分野でアジア系集団を研究の対象とすることはまだ少ないのが現…
コメント:0

続きを読むread more

イタリアのアルプス山脈の銅器時代の親族関係

 イタリアのアルプス山脈の銅器時代の墓で発見された人類遺骸の親族関係を特定した研究(Paladin et al., 2023)が公表されました。古ゲノミクスは未解決の考古学的問題への回答を提供します。非測定的特徴のみにより推測された親族関係には、遺伝学的裏づけが必要です。古ゲノミクスは解釈における社会文化的偏りの克服に役立ちます。本論文…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『どうする家康』第26回「ぶらり富士遊覧」

 今回は、1579年(以下、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です)の瀬名(築山殿)と松平信康の死後、徳川家康がどう変わっていくのか、という点に注目して視聴しました。話の方は1581年の高天神城陥落から1582年の武田滅亡まで一気に進み、その後、家康が織田信長を駿河で歓待することになり、家康と信長の関係が中心に描かれました。妻子…
コメント:0

続きを読むread more

土器から示されるヨーロッパ狩猟採集民間のつながり

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、土器からヨーロッパ狩猟採集民間のつながりを報告した研究(Dolbunova et al., 2023)が公表されました。人類史は世界的な技術伝播により形成されてきましたが、このような過程を可能にしたものについての理解は限られています。ヨーロッパ全体への農耕拡散についてはこれまでの研究で調べられてきま…
コメント:0

続きを読むread more

銅器時代のイベリア半島における女性指導者(追記有)

 銅器時代のイベリア半島に女性指導者が存在した可能性を報告した研究(Cintas-Peña et al., 2023)が公表されました。本論文は、銅器時代のイベリア半島の少なくとも一部地域では、女性が権力者の地位を占めていたかもしれない、と指摘します。これは、現生人類(Homo sapiens)が柔軟な社会を築くことと関連しているでしょ…
コメント:0

続きを読むread more

仁藤敦史『女帝の世紀 皇位継承と政争』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2006年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、7~8世紀に多かった「女帝」について、「中継ぎ」などといった通説を検証し、改めて日本史に位置づけます。本書はまず、現代の皇位継承問題と絡めて、女帝の子を親王とする大宝律令の規定から、女系での皇位継承が古代には認められていた、と主張します…
コメント:0

続きを読むread more

遺伝的多様性を考慮した多遺伝子得点の正確度

 遺伝的多様性を考慮した多遺伝子得点(Polygenic score、略してPGS)の正確度に関する研究(Ding et al., 2023)が公表されました。PGSは、異なる個体集団間での可搬性が、たとえば、祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)や健康の社会的決定要因などによって限られており、その公平な使用が妨げら…
コメント:0

続きを読むread more

『卑弥呼』第111話「示齊の意味」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年7月20日号掲載分の感想です。前回は、山社(ヤマト)において、暈(クマ)国より無事帰還したアカメから、津島(ツシマ、現在の対馬でしょう)国のアビル王が海の彼方の大国(漢王朝でしょうか)の歴史を偽っている、と報告を受けたヤノハが、「本当」の真が手に入った、と満足そうにミマアキに言うところで終了しまし…
コメント:0

続きを読むread more

サウスカロライナ州の墓地で発見されたアフリカ系の人々のゲノム解析

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、アメリカ合衆国サウスカロライナ州の墓地で発見された18世紀後半の遺骸のゲノムデータを報告した研究(Fleskes et al., 2023)が公表されました。近年、アメリカ大陸へと植民地期に奴隷として強制連行されてきた人々およびその子孫の遺伝学的研究が盛んです(関連記事)。本論文は、アチャールストン…
コメント:0

続きを読むread more

真核生物のアスガルド古細菌内での位置づけ

 真核生物のアスガルド(Asgard)古細菌内での位置づけに関する研究(Eme et al., 2023)が公表されました。真核生物誕生の過程(eukaryogenesis)、つまり祖先原核細胞からの真核細胞の出現を導いた一連の進化事象に関しては、現在議論が続いており、アスガルド上門古細菌のいくつかの構成員が真核生物に最も近縁な古細菌と…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『どうする家康』第25回「はるかに遠い夢」

 今回は瀬名(築山殿)と松平信康の最期が描かれました。瀬名の最期が本作の山場になることは、早くから週刊誌などで明かされていたので、たいへん注目していましたが、前回の内容にあまりにも失望したので、かなり低い期待値で視聴しました。同じく徳川家康を主人公とする大河ドラマながら、1983年放送の『徳川家康』とは瀬名の人物像が大きく異なる本作では…
コメント:0

続きを読むread more

ホモ・フロレシエンシスの起源

 2004年に発見が公表されたホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)については、一度体系的に整理しようと以前から考えているものの、なかなか気力が湧かず、昨年(2022年)の短いまとめ(関連記事)からも進展していません。とりあえず、少しでも前進させるため、今回は、ホモ・フロレシエンシスの起源というか、人類進化史の系統…
コメント:0

続きを読むread more

鈴木貞美『日露戦争の時代 日本文化の転換点』

 平凡社新書の一冊として、平凡社より2023年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、日露戦争の頃を日本文化の転換点と把握し、その変容を検証します。近代日本における文化の変容は、私も含めて多くの現代日本人が漠然と考えているでしょうが、それを体系的に説明するのは専門家でないとなかなか難しいので、どのように日本における文化の変容…
コメント:0

続きを読むread more

シャチの近親交配

 シャチの近親交配と保全への影響に関する研究(Kardos et al., 2023)が公表されました。生物多様性保全のためには、絶滅危惧種の個体数を増加または減少させる要因を理解することがきわめて重要です。保全活動では、環境悪化や乱獲など、絶滅危惧種個体群の回復を制限するような外因的な脅威に対処することが多くなります。近親交配抑制など…
コメント:0

続きを読むread more

ソ連における人類進化研究の進展とエンゲルスの見解の「原則的解決の正しさ」

 古書店で購入したことは確かであるものの、いつどの店舗で購入したのかまったく覚えていないのが、ユ・ヴェ・ブロムレイ、ア・イ・ペルシツ、エス・ア・トカレフ編、中島寿雄訳『マルクス主義と人類社会の起源』(大月書店、1974年)です。人類社会の構造について以前よりも関心を抱く契機になったのが、ネアンデルタール人(Homo neandertha…
コメント:0

続きを読むread more

原生代における真核生物の痕跡

 原生代における真核生物の痕跡を報告した研究(Brocks et al., 2023)が報道されました。真核生物には、20億年という長い歴史があると考えられていますが、真核生物が繁栄を遂げたのは地球史の意外なほど遅い時期だった、と推測されています。この見解は、原生代の中期(16億~8億年前頃)の海洋堆積物中において真核生物の特徴を持つ化…
コメント:0

続きを読むread more

180万年前頃までさかのぼるジャワ島のホモ・エレクトスの年代

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、ホモ・エレクトス(Homo erectus)のジャワ島への到達年代は180万年前頃までさかのぼることを示した研究(Husson et al., 2022)が公表されました。ホモ・エレクトスのジャワ島への到達年代について、近年では以前の想定よりも新しかった、と指摘する研究も提示されていますが(関連記事…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『どうする家康』第24回「築山へ集え!」

 今回も瀬名(築山殿)の動向が中心に描かれました。瀬名が武田の間者である千代に、武田の重臣を呼ぶよう要請し、岡崎まで穴山信君が瀬名を訪ねてきたことで、これが瀬名と息子の松平信康の死へとつながるのだろうな、と予想していましたが、瀬名が武田方に何を提案しようと考えているのか、前回までは明示されていなかったので、注目していました。瀬名の画策は…
コメント:0

続きを読むread more

5万年以上前となるネアンデルタール人の線刻

 5万年以上前となるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の線刻を報告した研究(Marquet et al., 2023)が公表されました。本論文は、フランスのロワール渓谷に位置するラ・ロッシュ・コタール(La Roche-Cotard、略してLRC)洞窟の壁面の線刻の年代が5万年以上前であることと、それがネア…
コメント:0

続きを読むread more

木本好信 『奈良時代 律令国家の黄金期と熾烈な権力闘争』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2022年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は政治史を中心とした奈良時代の概説です。本書は、672年(以下、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です)の壬申の乱の後の天武朝と持統朝と文武朝の政治史にも短く言及したうえで、710年の平城京遷都から784年の長岡京遷都までの歴史を…
コメント:0

続きを読むread more

飛び道具が大好きなNHK

 先日(2023年6月18日)、NHKスペシャル『ヒューマンエイジ 人間の時代 第2集 戦争 なぜ殺し合うのか』が放送されました。この番組では、飛び道具の発明により人間は狩られる側から狩る側へと大躍進した、と語られていました。この番組での飛び道具とは、単に槍や石器(もしくは自然の石)を投げることではなく、投槍器や弓矢を指しているようでし…
コメント:0

続きを読むread more

アフリカの人口史

 アフリカの人口史に関する総説(Pfennig et al., 2023)が公表されました。最近の発展にも関わらず、アフリカの人口集団は遺伝学的研究において依然としてひじょうに過小評価されており、アフリカ人の遺伝的差異と人口構造に関するより多くの研究が必要です。そうした研究は、現代人の起源についての新たな洞察をもたらすだけではなく、公平…
コメント:0

続きを読むread more

『卑弥呼』第110話「本当の真」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年7月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハとミマアキが、津島(ツシマ、現在の対馬でしょう)国のアビル王が伝えた大陸の情勢は正しいのか、悩んでいるところで終了しました。今回は、暈(クマ)の国の山中にて、逃亡するアカメとナツハ(チカラオ)を、鞠智彦(ククチヒコ)の配下の志能備(シノビ)が追っている場面…
コメント:0

続きを読むread more

北アメリカ大陸東岸の初期植民地住民のゲノムデータ

 北アメリカ大陸東岸の初期植民地住民のゲノムデータを報告した研究(Fleskes et al., 2023)が公表されました。近世以降のヨーロッパ系勢力による広範な植民地化の進展は世界規模の人口動態に大きな影響を及ぼし、とくにアフリカからアメリカ大陸へは多くの人々が奴隷として強制的に移動させられ、カリブ海地域を初めとしてアメリカ大陸圏の…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『どうする家康』第23回「瀬名、覚醒」

 今回は瀬名(築山殿)の動向を中心に話が展開しました。すでに瀬名が武田の間者である千代と接触していることは描かれており、長篠合戦後に徳川家康の嫡男である信康が精神的変調をきたしたこととともに、本作最大の山場と明かされている瀬名の死がどう描かれるのか、注目していましたが、瀬名は千代と相変わらず接触しており、千代に和議を提案します。しかし千…
コメント:0

続きを読むread more

新石器時代のアフリカ北西部におけるイベリア半島とレヴァントからの遺伝的影響

 新石器時代のアフリカ北西部におけるイベリア半島とレヴァントからの遺伝的影響を報告した研究(Simões et al., 2023)が公表されました。近年の古代ゲノム研究の飛躍的な進展により、世界各地での新石器時代への移行の様相が次第に明らかになってきました(関連記事)。その結果窺えるのは、新石器時代への移行の様相は世界各地で異なってお…
コメント:0

続きを読むread more

師茂樹『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2021年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。当ブログ開始前に読んだので当ブログでは取り上げていませんが、末木文美士『日本宗教史』(岩波書店、2006年)にて、最澄と徳一の「三一権実諍論(一三権実論争)」が日本宗教史においてたいへん重要だった、との見解を知り、もう10年近く前となる2…
コメント:0

続きを読むread more

ラオスの6万年以上前の現生人類遺骸

 ラオスで発見された現生人類(Homo sapiens)遺骸の年代が6万年以上前にさかのぼることを報告した研究(Freidline et al., 2023)が公表されました。ラオスのフアパン(Huà Pan)県にあるタムパリン(Tam Pa Ling、略してTPL)洞窟遺跡では、4万年以上前の現生人類遺骸(TPL1およびTPL2)が発…
コメント:0

続きを読むread more