『卑弥呼』第12集発売

 待望の第12集が発売されました。第12集には、 口伝87「古の邑」 https://sicambre.seesaa.net/article/202205article_22.html 口伝88「勝利を得る者」 https://sicambre.seesaa.net/article/202206article_3.htm…
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現生人類の起源をめぐる学説史

 現生人類(Homo sapiens)の起源をめぐる学説史についての概説(Stringer., 2022)が公表されました。現生人類の起源をめぐる学説史については、当ブログで何度か取り上げてきましたが(関連記事1および関連記事2)、一度体系的に学説史についての論文を読もうと考えていたので、現生人類アフリカ単一起源説の代表的な提唱者である…
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クジラの巨大化をもたらした遺伝子

 クジラの巨大化をもたらした遺伝子に関する研究(Silva et al., 2023)が公表されました。クジラとイルカとネズミイルカにより構成されるクジラ類は約5000万年前に祖先の小型陸生動物から進化し、シロナガスクジラやナガスクジラなどの巨大な代表種を含む、生物の中で最大級とされる水生哺乳類群です。しかし、巨大化は生物学的な不利益(…
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過去12000年間の人類の進化

 『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、略してPNAS)』120巻4号では、過去12000年間(ほぼ完新世に相当します)の人類の進化に関する特集が組まれており、複数の論文が掲載されています。…
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大河ドラマ『どうする家康』第4回「清須でどうする!」

 今回は、松平元康(徳川家康)が今川方から離反し、織田方との講和のため向かった清須城での、家康と信長や木下藤吉郎(羽柴秀吉)やお市とのやり取りが中心に描かれました。今川から離反したこの状況では、家康は織田と組むしかないわけですが、織田とどのような関係を築くのか、家康の選択が問題になってくるわけで、家康に限らず戦乱の世の当主ともなればその…
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ナイル川中流域の4000年前頃の人類の毛髪から得られたDNAデータ

 ナイル川中流域の4000年前頃の人類の毛髪から得られたDNAデータを報告した研究(Wang et al., 2022)が公表されました。錐体骨と歯は、古代DNA抽出のため研究者により最も多く標的とされる骨格要素で、以前に刊行されたアフリカ古代人のゲノムの大半の出所です。しかし、アフリカのほとんどを特徴づける高温環境は、骨格遺骸の保存状…
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太田博樹『古代ゲノムから見たサピエンス史』

 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2023年1月に刊行されました。本当は電子書籍で購入したかったのですが、歴史文化ライブラリーは紙版と比較して電子書籍化が遅いようなので、我慢できずに紙版を購入しました。本書は近年著しい古代ゲノム研究の進展について、研究史を整理し、方法論について簡潔に解説しつつ、概観しています。近年刊行さ…
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新石器時代から鉄器時代のエーゲ海地域の混合史と族内婚

 新石器時代から鉄器時代のエーゲ海地域の古代人のゲノムデータを報告した研究(Skourtanioti et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。新石器時代と青銅器時代はヨーロッパの遺伝的歴史にとって大きな転換期でしたが、ヨーロッパの先史時代にとって重要な地域であるエーゲ海にとっては、文化的…
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フィンランド人のゲノム規模解析と疾患との関連

 フィンランド人のゲノム規模解析と疾患との関連についての二つの研究が公表されました。一方の研究(Kurki et al., 2023)はフィンランド人のゲノム規模解析データを報告しています。フィンランド人集団のような隔離集団は、有害なアレル(対立遺伝子)が少数の低頻度多様体(少数アレル頻度が0.1%以上で5%未満)に集中することが多いた…
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過去25万年間の現生人類の世代時間

 過去25万年間の現生人類(Homo sapiens)の世代時間に関する研究(Wang et al., 2023)が公表されました。現代人の最近の祖先の世代時間は、先史時代のヒトの生物学的および社会的組織の両方について語ることができ、ヒトの進化を絶対的な時間規模に位置づけます。本論文は、変異連続体における変化に基づいて、男女の世代時間を…
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大河ドラマ『どうする家康』第3回「三河平定戦」

 桶狭間の戦いで今川義元が討ち死にし、松平元康(徳川家康)は岡崎城に入り、この時点での家康は、今川から直ちに寝返るつもりはなく、やがて駿府に戻って義元の後継者である氏真の側近になろう、と考えています。本作の家康は誕生の地である田舎の岡崎より駿府の方に明らかに愛着を持っており、史実ではそうだったとしても不思議ではないようにも思います。とも…
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大相撲初場所千秋楽

 先場所に続いて今場所も横綱の照ノ富士関が全休となり、もう横綱昇進前後の強さを取り戻すことは難しいでしょうし、復帰しても横綱に相応しい成績を残せるのか不明で、正直なところ、このまま復帰できずに引退するのではないか、と懸念されます。横綱を長く務められないだろう、と照ノ富士関自身も横綱昇進当初から考えていたでしょうが、横綱として短命に終わっ…
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『卑弥呼』第101話「最後の大嘘」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年2月5日号掲載分の感想です。前回は、ところで終了しました。今回は、金砂(カナスナ)国の青谷(アオタニ)邑(現在の鳥取市青谷町でしょうか)で、ヤノハとミマト将軍が日下(ヒノモト)国を盟主とする連合軍を迎え撃つための準備を見守っている場面から始まります。ヤノハは木を伐採させ、弓の射程距離を確認していま…
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更科功『禁断の進化史 人類は本当に「賢い」のか』

 NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2022年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。まず本書は、通俗的というか陥りやすい誤った進化観の見直しを提起します。たとえば、現代人と最近縁の現生分類群はチンパンジー属ですが、現代人とチンパンジー属の最終共通祖先は現生人類チンパンジー属のような形態と行動だった、というような認識で、進…
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青銅器時代イベリア半島南部の親族関係

 青銅器時代イベリア半島南部の親族関係に関する研究(Villalba-Mouco et al., 2022)が公表されました。ヨーロッパにおける前期青銅器時代は、紀元前三千年紀初期に始まる社会的および遺伝的変容により特徴づけられます。新たな集落や葬儀構建築物や人工物や技術は、増加する経済的非対称性と政治的階層化を伴う、変化の時代を示唆し…
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ジュラ紀のトカゲの頭蓋骨化石

 ジュラ紀のトカゲの頭蓋骨化石に関する研究(Brownstein et al., 2022)が公表されました。有鱗目冠群(トカゲの現生種を含む分類群)の進化初期の化石は、数が少ない上に、通常は保存状態もよくないため、押しつぶされていない最古の骨格材料は、白亜紀(約1億4550万~6550万年前)のものとなっています。ジュラ紀(約2億~1…
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鉄器時代から現在のスカンジナビア半島の人類史

 鉄器時代から現在のスカンジナビア半島の人類のゲノムデータを報告した研究(Rodríguez-Varela et al., 2023)が公表されました。古代人のゲノムの新たな48点と刊行されている249点、および現代人16638個体の遺伝子型に基づいて、鉄器時代から現在までのスカンジナビア半島の2000年の遺伝的横断区が調べられました。…
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大河ドラマ『どうする家康』第2回「兎と狼」

 今回は、桶狭間の戦いで今川義元が討ち取られた後の松平軍の窮地が描かれました。松平軍は大高城に兵糧を運搬したところで義元の討ち死にを知り、圧倒的に優勢な織田信長の率いる軍勢が迫ってくる、という危機的状況を松平元康(徳川家康)がどう切り抜けるのか、注目されました。しかし、信長は撤兵し、岡崎城から今川勢が撤退したことで、家康は駿府へ向かおう…
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飲酒や喫煙に関連する遺伝的構造

 飲酒や喫煙に関連する遺伝的構造を報告した研究(Saunders et al., 2022)が公表されました。タバコやアルコールの使用は遺伝性の行動で、それぞれ世界の死亡の15%と5.3%に関連していますが、これはおもに疾患や傷害の危険性が広く上昇するためです。これは環境要因(文化的背景や公衆衛生政策など)の影響を受けることもありますが…
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これまで知られていなかった遺伝的構成のアルタイ地域の中期完新世狩猟採集民

 中期完新世にさかのぼるアジア北部古代人のゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。アジア北部の植民史は、この地域で分析された古代人のゲノム数が限定的であるため、ほとんど調査されていません。本論文は、早ければ7500年前頃と年代測定された、アジア北部、…
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『歴史読本』編集部『ここまで分かった! 「古代」謎の4世紀』

 本書は2014年7月に刊行された新人物文庫の電子書籍化で、『歴史読本』2013年12月号の特集「ここまで分かった! 謎の4世紀」の加筆・修正による再編集です。今となってはやや古いと言えるかもしれませんが、古墳も含めて4世紀の日本列島について広範に取り上げられていますし、「謎の4世紀」という表現は10代の頃には馴染み深く懐かしさがあり、…
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反芻動物の内耳から推測される過去3500万年間の進化史

 反芻動物の内耳から過去3500万年間の進化史を推測した研究(Mennecart et al., 2022)が公表されました。外来因子と内在因子が多様性に影響を与え、深い時間規模では、気候や地質などの外在的な影響が重要ですが、あまり理解されていません。この研究は、反芻動物の内耳形状を用いて、適応性の低い解剖学的構造と外来的および内発的変…
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イベリア半島の銅器時代の飾り板

 イベリア半島の銅器時代の飾り板に関する研究(Negro et al., 2022)が公表されました。5500~4750年前頃となる銅器時代のイベリア半島南西部では、粘板岩に彫刻を施した飾り板が大量に製作されました(図1)。この掌くらいの大きさの石器は、1世紀以上にわたってその機能が推測されてきましたが、女神を表し、儀式に用いられた、と…
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エピジェネティック因子によるマウスの食餌性肥満の継承

 エピジェネティック因子によるマウスの食餌性肥満の継承に関する研究(Hoekzema et al., 2022)が公表されました。妊娠はホルモン状態の大きな変化を伴いますが、それがヒトの神経の構造と機能に及ぼす影響については、ほとんど解明されていません。この研究は、妊娠により引き起こされる脳の変化過程を調べるため、40人の女性を対象とし…
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扶南期のカンボジアの男児個体におけるアジア南部からの遺伝的影響

 扶南(Funan)期のカンボジアの男児個体におけるアジア南部からの遺伝的影響を報告した研究(Changmai et al., 2022)が公表されました。インドの文化的影響はアジア南東部本土(MSEA)において顕著で、この地域における初期国家の形成を刺激したかもしれません。MSEAにおけるさまざまな現在の人口集団は、低水準のアジア南部…
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大河ドラマ『どうする家康』第1回「どうする桶狭間」

 いよいよ今年(2023年)の大河ドラマが始まりました。今年は戦国時代の「三傑」の一人である徳川家康が主人公で、「三傑」の残り二人の織田信長と豊臣秀吉はもちろん、今川義元と武田信玄も登場しますし、おそらく後半には伊達政宗と真田信繁(本作では真田幸村との表記が採用されるかもしれませんが)も登場するでしょうから、戦国時代もの大河ドラマの総決…
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シチリア島の上部旧石器時代人類のゲノムデータと食性と微生物叢

 シチリア島の上部旧石器時代人類のゲノムデータと食性と微生物叢を報告した学際的研究(Scorrano et al., 2022)が公表されました。ヒト遺骸および関連する歯石からの古代生体分子分析における最近の進歩は、現生人類(Homo sapiens)の先史時代の食性および遺伝的多様性への新たな洞察を提供してきました。本論文は複数分野の…
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吉川忠夫『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』

 志学社選書の一冊として、志学社から2019年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書の親本『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』は、中公新書の一冊として中央公論社より1974年4月に刊行されました。本書は、この親本に「史家范曄の謀反」が補篇として加えられています。本書は、侯景の乱の経緯と、その背景となる南朝貴族社会を叙述する…
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『卑弥呼』第100話「約束の地」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年1月20日号掲載分の感想です。ついに100話に到達し、すでに同じ作画者の『天智と天武~新説・日本書紀~』の93話を超えており、同じ原作者の『イリヤッド』の123話も超えそうで、どこまで連載が続くのか、楽しみです。前回は、金砂(カナスナ)国の出雲で、ヤノハがミマト将軍とイクメに、自分の必勝策は、山社…
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ヨーロッパ中央部の家畜ネコの歴史

 ヨーロッパ中央部の家畜ネコの歴史に関する研究(Krajcarz et al., 2022)が公表されました。ヨーロッパ中央部の最近の研究は、ネコの家畜化の歴史に関する認識を変えてきました。本論文は、地中海を越えての家畜ネコ拡大への洞察を提供する目的で、最近の研究が古遺伝学と動物考古学と放射性炭素年代測定を組み合わせた学際的計画の発展に…
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中世ヴォルガ・オカ河間地域における遺伝的混合と言語の変化

 中世ヴォルガ・オカ河間地域における遺伝的混合と言語の変化に関する研究(Peltola et al., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ロシア北西部のヴォルガ・オカ(Volga-Oka)河間地域には、紀元後における人口流入と言語変化の興味深い歴史があります。現在、この地域のほとんどの住民はロシア…
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再来年(2025年)の大河ドラマの予想

 そろそろ再来年(2025年)の大河ドラマが発表されそうなので、予想してみます。まず大前提として、2年連続で時代が重なることはあまりなく、多少重なったとしても舞台となる地域は異なる場合がほとんどのようだ、ということが挙げられます。来年は紫式部が主人公なので、平安時代である可能性は除外して問題ないと思います。昨年は平安時代末から鎌倉時代序…
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古人類学の記事のまとめ(48)2022年9月~2022年12月

 2022年9月~2022年12月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2022年9月~2022年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、当ブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なもの…
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謹賀新年

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。ついに2023年を迎えました。昨年も一昨年から続く新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が、日本では収束する見通しは立っておらず、さらには昨年2月にロシアがウクライナに直接的な軍事侵略を開始し、日本でも経済など…
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年末の挨拶

 いよいよ2022年も終わりが近づいてきました。一年間この過疎ブログをお読みくださった方、さらには有益な情報を寄せてくださった方には感謝申し上げます。今年も日本社会は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のためさまざまな打撃を受け、感染者数の減少と増加を繰り返し、日常生活の場面でも新…
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第68回東京大賞典結果

 近年では競馬への情熱をかなり失ってしまい、競馬関連の記事を掲載することが少なくなりましたが、有馬記念と東京大賞典だけは当ブログを始めてから毎年必ず取り上げてきたので、今年(2022年)も記事を掲載します。昨日(2022年12月29日)行なわれた今年の東京大賞典には、今年の帝王賞を勝ったメイショウハリオや今年のジャパンダートダービーを勝…
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2022年の古人類学界

 あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2022年)も古人類学界について振り返っていくことにします。近年ずっと繰り返していますが、今年も古代DNA研究の進展には目覚ましいものがありました。正直なところ、最新の研究動向にまったく追いついていけていないのですが、今後も少しでも多く取り上げていこう、と考えています。当…
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ワラセアおよびサフル地域の人類史

 ワラセア(ウォーレシア)およびサフル地域の人類史に関する概説(Taufi et al., 2022)が公表されました。世界規模の人口集団から得られたゲノム配列データは、世界的な遺伝的多様性を形成してきた、現代人の共有祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)や歴史的移住へのさまざまな新しい洞察を提供してきました。しかし…
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チベット高原のトゥプト時代の古代ゲノムデータ

 チベット高原のトゥプト(Tubo、吐蕃)時代の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Zhu et al., 2022)が公表されました。チベット高原(TP)文明の頂点である広大なトゥプト帝国(618~842年)は、古代中国西部全体に大きな影響力を振るいました。しかし、トゥプトの拡大が文化的だったのか人口的なものだったのかは、古代DNA…
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第67回有馬記念結果

 近年では競馬への情熱をかなり失ってしまい、競馬関連の記事を掲載することが少なくなりましたが、有馬記念と東京大賞典だけは当ブログを始めてから毎年必ず取り上げてきたので、今年(2022年)も記事を掲載することにしました。今年の有馬記念には、3歳馬では天皇賞(秋)を制したイクノイックス、4歳馬では、昨年の年度代表馬で有馬記念連覇を狙う宝塚記…
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前川一郎、倉橋耕平、呉座勇一、辻田真佐憲『教養としての歴史問題』

 東洋経済新報社より2020年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、歴史修正主義が現代日本社会で少なくとも一定以上浸透しており、歴史修正主義の「主戦場」は商業化された大衆文化・メディアの世界なのに、歴史学からの反応はともすれば専門誌・専門書という「内弁慶的な」ものに留まっていた、との認識に基づき、歴史学者としてどう向き合…
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トルコの北エーゲ海地域の下部旧石器と中部旧石器

 トルコの北エーゲ海地域の下部旧石器と中部旧石器に関する研究(Bulut et al., 2022)が公表されました。チャナッカレ・バルケスィル(Çanakkale-Balıkesir)海岸線旧石器時代調査計画は、エーゲ海のチャナッカレとバルケスィルの海岸線を対象としており、その目的は、旧石器時代遺物群およびその周辺の島々、おもにレスボ…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』全体的な感想

 本作はTwitterなどインターネットでさまざまな考察が提示され、それだけ視聴者が深読みできるだけの内容だった、と言えるように思います。私が本作について気づかなかったことで、小ネタだけではなく、人間関係の機微も多くあり、教えられるところが多々ありました。Twitterに問題が多いことは否定できませんが、情報収集の点では私にとって総合的…
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『卑弥呼』第99話「死に場所」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年1月5日号掲載分の感想です。前回は、宍門(アナト)国のニキツミ王の館の前で、ヤノハが筑紫島(ツクシノシマ、九州を指すと思われます)6ヶ国と宍門国の連合軍の兵を前に、日下(ヒノモト)国とその傘下の諸国の連合軍との戦いは1日で終わる、と宣言したところで終了しました。今回は、宍門国と金砂(カナスナ)国の…
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完新世のアジア南西部と地中海東部における人類の移動パターン

 完新世のアジア南西部と地中海東部における人類の移動パターンに関する研究(Koptekin et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、最も早い新石器時代移行と複雑な階層社会の出現を経た広範な地域である、アナトリア半島とイランとレヴァントとコーカサス南部とエーゲ海におけるヒトの遺伝…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第48回(最終回)「報いの時」

 いよいよ最終回となります。この1年間、楽しんで視聴し続けてきただけに、かなりの寂しさがあります。冒頭で来年の大河ドラマの主役である徳川家康が『吾妻鏡』を読んでおり、しかも演者が来年と同じく松本潤氏だったのは驚きました。2016年放送の大河ドラマ『真田丸』で、翌年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』との関連で井伊家に言及されていただけに、『…
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遺伝学とアフリカの過去

 遺伝学とアフリカの過去に関する総説(Prendergast et al., 2022)が公表されました。アフリカには地球上で最大のヒトの遺伝的多様性があり、これはアフリカ大陸全体で見つかった人口構造と、遺伝的差異の観察されたパターンを形成した人口統計学的過程の広範な調査を促してきた事実です。1980年代以降、現代人のDNA研究が繰り返…
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蔀勇造 『物語 アラビアの歴史 知られざる3000年の興亡』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2018年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は都市成立以降のアラビア半島史で、いわゆる無明時代(ジャーヒリーヤ、狭義にはイスラム教の前の約150年間)、つまりイスラム教よりも前のアラビア半島史をとくに知りたくて読んだわけですが、8章のうち4章もジャーヒリーヤに割いているのは意外でした…
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乳児との会話の普遍性

 乳児との会話の普遍性エピに関する研究(Hilton et al., 2022)が公表されました。多くの動物種から得られた証拠によると、発話には、他者や近くにいる捕食者に注意を促す警戒音声など、明確な機能がある、と分かっています。ヒトを対象とした従来の研究では、子守唄にも親による子どもへの話しかけ方にも、乳児を落ち着かせる効果がある、と…
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