"読書"の記事一覧

飯山陽『イスラム教再考 18億人が信仰する世界宗教の実相』

 扶桑社新書の一冊として、育鵬社から2021年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、現代日本社会におけるイスラム教認識には誤解が多く、その責任は日本のイスラム教専門家やそれを鵜呑みにするマスメディアにある、と主張し、日本におけるイスラム教認識の問題点を指摘していきます。まず、イスラム教は平和の宗教との言説については、200…
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小林登志子『古代メソポタミア全史 シュメル、バビロニアからサーサーン朝ペルシアまで』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2020年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書が対象とするのはメソポタミアで、年代では都市文化が始まる紀元前3500年頃からおもに紀元前539年の新バビロニア王国の滅亡までで、その後もアラブ人勢力による支配の始まりとなる紀元後651年のサーサーン王朝の滅亡までが扱われています。メソポ…
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田中創『ローマ史再考 なぜ「首都」コンスタンティノープルが生まれたのか』

 NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2020年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は4~7世紀のローマ東方(東ローマ帝国)史で、ローマ皇帝の役割を中心に、統治の仕組みを取り上げます。そのさい重要なのがコンスタンティノープルの役割で、統治の仕組みの変容とコンスタンティノープルの発展がどう関連しているのか、そもそも「都」…
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黒田基樹『戦国大名・伊勢宗瑞』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2019年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、一般的には北条早雲として知られている伊勢宗瑞の伝記です。宗瑞は一般的に、「一介の素浪人」から戦国大名に成り上がった下剋上の典型で、当時としては高齢になって武将としての本格的な活動を開始した、と長く語られてきました。そうした通俗的な宗瑞像…
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高橋のぼる『劉邦』第1集~第10集

 最近、『ビッグコミック』にて劉邦を主人公とした作品が掲載されており、すでに単行本で第10集まで刊行されていることを知ったので、第10集までまとめて購入して読みました。『ビッグコミック』に掲載されていた『天智と天武~新説・日本書紀~』が2016年7月に完結(関連記事)して以降、『ビッグコミック』をまったく読んでいなかったので、最近まで劉…
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上田信『人口の中国史 先史時代から19世紀まで』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2020年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は先史時代から19世紀までを対象とした人口の観点からの中国通史ですが、おもに取り上げられているのは明清期で、とくに18世紀の人口爆発が詳しく検証されています。確かに、現代中国を理解するうえでこの人口爆発は重要でしょうから、妥当な配分だと…
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Ulrich Herbert『第三帝国 ある独裁の歴史』

 ウルリヒ・ヘルベルト(Ulrich Herbert)著、小野寺拓也訳で、角川新書の一冊として、KADOKAWAから2021年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はナチス政権期ドイツが侵攻して支配下に置いたヨーロッパ東部をどのように扱ったのか、検証します。本書は、ナチス政権期ドイツのヨーロッパ東部支配が、ヨーロッパ北部および…
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繁田信一『平安朝の事件簿 王朝びとの殺人・強盗・汚職』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2020年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は藤原公任が『北山抄』を著したことで残った「三条家本北山抄裏文書」に基づき、平安時代中期の地方における武士の在り様を検証しています。平安時代の一般的な?印象とは異なり、とくに地方は、ひじょうに粗暴で危険な社会であり、そうした殺伐さの大きな要因…
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坂井孝一『源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか』

 PHP新書の一冊として、2020年12月にPHP研究所より刊行されました。本書は鎌倉幕府の初代から三代目までの源氏将軍を取り上げ、なぜ源氏将軍が三代で途絶えたのか、そもそも源氏将軍とは何だったのか、検証します。初代の源頼朝についてまず言えるのは、源氏における頼朝の卓越した地位は当初から確立していたのではなく、内乱を勝ち抜いた結果だった…
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義江明子『女帝の古代王権史』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2021年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。6世紀末~8世紀後半の日本においては女性君主(大王、天皇)が普遍的で、その背景には双系的親族結合と長老原理があった、と本書は指摘します。それが、律令など「中国」の漢字文化を導入して国家形成を進めていく過程で、父系原理・男系継承「中国」社会で長年か…
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黒田基樹『羽柴家崩壊』

 シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2017年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、豊臣氏羽柴家の崩壊過程を、関ヶ原合戦後から片桐且元の大坂城退去まで、羽柴秀頼およびその生母の茶々と片桐且元との関係の視点から取り上げます。関ヶ原合戦後、秀頼はまだ幼く、茶々が「女主人」として羽柴家を率います。本書は、茶々が片…
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岩井秀一郎『渡辺錠太郎伝 二・二六事件で暗殺された「学者将軍」の非戦思想』

 小学館より2020年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、二・二六事件で殺害された渡辺錠太郎の伝記です。渡辺については、学者肌の軍人だったことと、二・二六事件で殺害されたことくらいしか知らず、愛知県出身であることも、子供の頃に母親の実家に養子に入ったことも知りませんでした。厳父と賢母に育てられて鍛えられた渡辺は、養子に入…
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黒田基樹『戦国北条家の判子行政』

 平凡社新書の一冊として、平凡社より2020年10月に刊行されました。本書は、戦国大名である北条家の領国統治の仕組みが、その後の近世大名と基本的に変わらなかった、とその意義を高く評価します。江戸時代につながる統治権力による領民統治の基本的な仕組みは、織田信長と羽柴秀吉ではなく、すでに戦国大名により作り出されていた、というわけです。本書は…
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黒田基樹『関東戦国史 北条VS上杉55年戦争の真実』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2017年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、織田信長と羽柴秀吉による天下一統路線を大前提とする通俗的な結果論的戦国時代認識に対して、関東における「関東の副将軍」たる上杉と「日本の副将軍たる」北条(後北条)との55年にわたる抗争に着目し、戦国時代の変化を把握します。信長…
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桜井芳生、赤川 学、尾上正人編『遺伝子社会学の試み 社会学的生物学嫌い(バイオフォビア)を超えて』

 日本評論社より2021年3月に刊行されました。人類進化に関してさまざまな知見が得られそうなので、読みました。社会学に関しては門外漢なので、日本の社会学における生物学嫌い(バイオフォビア)に関しては(日本に限らないかもしれませんが)、本書を読んで多少は把握できたように思いますが、深く理解できたわけではないので言及せず、本書の興味深い知見…
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森恒二『創世のタイガ』第8巻(講談社)

 本書は2021年4月に刊行されました。第8巻は、タイガたちのいる現生人類(Homo sapiens)の集落で、リクが集落の住人とともに鉄製武器の製作を試みている場面から始まります。すでに何度か失敗していたリクは、それも踏まえて今回ついに成功します。リクはタイガの要求に応じて鉄の剣を2本製作し、その他に槍と斧を1本ずつ製作します。剣2本…
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町田明広『攘夷の幕末史』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2010年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は複雑な幕末情勢を、主に「攘夷」の観点から解説します。本書は、幕末の「日本人(の武士など一定以上の知識層」にとって「攘夷」は常識だった、と指摘します。「国論」が分裂したのは、「攘夷」の具体的手段が大きく二つに分かれていたからでした。一方は、…
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宮脇淳子『どの教科書にも書かれていない 日本人のための世界史』

 KADOKAWAより2020年11月に刊行されました。著者は岡田英弘氏の弟子にして妻で、「岡田史学」の継承者と言えるでしょう。著者や岡田氏の著書は、現代日本社会において、保守派や「愛国者」を自任している人々や、「左翼」を嫌っている人々に好んで読まれているように思います。ただ、碩学の岡田氏には、そうした人々が自分の著書を好んで読んでいる…
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楊海英『内モンゴル紛争 危機の民族地政学』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2021年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は地政学的観点から、モンゴルと中国との関係を検証していきます。本書は、アジア内陸部を含むユーラシア中央部が、人類史において大きな役割を果たしてきた、と指摘し、アジア内陸部でも農耕地帯と接する内モンゴル(モンゴル南部)の重要性を強調します。漢字…
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安藤優一郎『島津久光の明治維新 西郷隆盛の“敵"であり続けた男の真実』

 イースト・プレスより2017年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。島津久光の一般的な印象は、今でもたいへん悪いように思います。時代錯誤の頑迷な保守派で、名君である異母兄の斉彬と比較して人物は大きく劣り、明治維新の功績は久光ではなく大久保利通たち家臣のもので、それどころか、久光は家臣たちに騙されて討幕に加担してしまった間抜けな…
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倉本一宏『皇子たちの悲劇 皇位継承の日本古代史』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2020年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、天皇(大王)に即位できた皇子(王子)とできなかった皇子とを比較し、その理由を検証することで、古代日本、さらには日本の王権の特質を解明していきます。対象となるのは、伝承的性格の強い日本武尊の頃から院政期までです。日本武尊は、倭王武の上表文…
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長谷川岳男『背景からスッキリわかる ローマ史集中講義』

 パンダ・パブリッシングより2016年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、おもにローマの始まりから拡大期を経て安定期までを扱い、紀元後3世紀以降は簡略な解説となっています。ローマ史の復習になると思い、読みました。これまで考えてこなかったというか、意識してこなかった本書の指摘は、近代日本において、当初はローマよりもギリシ…
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中邑徹『地震とミノア文明』

 「自然異変と文明シリーズ」の一冊として、白水社より2020年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はミノア文化を地中海世界に位置づけ、近東およびヨーロッパとの関連で論じます。また表題にあるように、本書はミノア文化に大打撃を与えた地震に着目し、クレタ島やその周囲の地理・地形も詳しく解説しています。ミノス王朝下のミノア文化最盛…
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楊海英『独裁の中国現代史 毛沢東から習近平まで』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2019年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は独裁の観点からの中国近現代史です。本書は中国共産党を主要な対象としていますが、政権獲得(中華人民共和国成立)前の共産党だけではなく、孫文にまでさかのぼって現代中国の起源を検証します。新書となると、古い時代までさかのぼるよりは、孫文から見てい…
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高杉洋平『昭和陸軍と政治 「統帥権」というジレンマ』

 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2020年11月に刊行されました。本書は、現代日本社会ではきわめて評判の悪い昭和期陸軍を、「統帥権独立」という観点から見直します。昭和陸軍は横暴で、政治に介入して国策を誤り、ついには敗戦に至り国家を破局に陥らせた、というのが現代日本社会における一般的な印象でしょうか。さらに、もう少し詳し…
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上横手雅敬『日本史の快楽 中世に遊び現代を眺める』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2002年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は雑誌の連載をまとめた、中世史を中心とした歴史随筆集ですが、著者は日本中世史の碩学だけに、教えられるところが多々ありました。これまで知らなかったこととして、著者は1953年頃に研究者として歩み始めますが、当時は社会主義に共感する…
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石原比伊呂『北朝の天皇 「室町幕府に翻弄された皇統」の実像』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2020年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書が指摘するように、おそらく北朝の一般的な人気は南朝よりも低く、そもそも北朝への関心が低い、と言うべきかもしれません。北朝は足利将軍家(室町幕府)の言いなりで、南朝と比較して魅力というか個性に欠ける、との一般的な印象が強いようにも思います。本…
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関根淳『六国史以前 日本書紀への道のり』

 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2020年6月に刊行されました。本書はまず、古代には『日本書紀』と『古事記』以外にも少なからぬ史書があるのに、膨大な研究蓄積のある『日本書紀』と『古事記』の影響が現代ではあまりにも大きくなっているので相対化する必要がある、と指摘します。『日本書紀』は古代から、『古事記』は江戸時代以来の膨…
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澤田典子『よみがえる天才4 アレクサンドロス大王 』

 ちくまプリマー新書の一冊として、筑摩書房より2020年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はアレクサンドロス大王(アレクサンドロス3世)の評伝ですが、アレクサンドロス個人の事績だけではなく、アレクサンドロスの征服活動の基盤となったマケドニア史、さらにはアレクサンドロスが後世どのように語られたのか、ということまで、アレクサ…
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本村凌二『独裁の世界史』

 NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2020年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、独裁政と共和政と民主政という政治形態に着目し、「政治の失敗」をいかに克服すべきか、歴史的観点から見ていきます。本書が取り上げるのは、古代ギリシア、共和政ローマ、絶対王政からの脱却を図った18世紀以降のヨーロッパで出現した独裁者たち…
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柴裕之『織田信長 戦国時代の「正義」を貫く』

 シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2020年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、旧弊・旧勢力を破壊し、新たな時代を築いた革新者という通俗的な印象が抱かれている信長を、「同時代人」として把握します。信長はあくまでも当時の社会秩序下で生きた人物だ、というわけです。本書は織田が尾張においてどのような立場にあ…
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加藤聖文『国民国家と戦争 挫折の日本近代史』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2017年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は近代日本において国民国家がいかに形成されたのか、戦争はそれとどう関わったのか、論じます。まず本書は、**人(民族集団)と**国民とを区別し、同じ民族だから同じ国家に属しているとも、同じ国民だから同じ民族であるとも限らない、と指摘します。…
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Joseph Henrich『文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化−遺伝子革命〉』第2刷

 ジョセフ・ヘンリック(Joseph Henrich)著、今西康子訳で、白揚社より2019年9月に刊行されました。第1刷の刊行は2019年7月です。原書の刊行は2016年です。本書はまず、現代人がいかに文化に依存しているのか指摘したうえで、人類の進化における文化の役割の大きさを強調します。人類の「成功」の要因は個体の認知能力ではなく、共…
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平井上総『列島の戦国史8 織田政権の登場と戦国社会』

 吉川弘文館より2020年10月に刊行されました。『列島の戦国史』は全9巻で、すべて読まねばならないところですが、戦国時代の優先順位は以前ほど高くないので、まずは最も関心の高い話題を扱っているだろう本書を読むことにしました。昨年(2020年)半ば頃に電子書籍に移行したので、漫画作品の『卑弥呼』と『創世のタイガ』の単行本を除いて紙の書籍を…
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安藤優一郎『渋沢栄一と勝海舟 幕末・明治がわかる!慶喜をめぐる二人の暗闘』

 朝日新書の一冊として、朝日新聞社より2020年8月に刊行されました。本書は、徳川慶喜をめぐる渋沢栄一と勝海舟との関係から、幕末史と明治史を見直します。慶喜に対する渋沢と勝の姿勢は正反対でした。豪農の長男として生まれた渋沢は、慶喜家臣の平岡円四郎と面識があり、無謀な倒幕計画への追及から逃れる目的もあり、平岡の勧めで一橋家に仕えます。渋沢…
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白峰旬編『関ヶ原大乱、本当の勝者』

 日本史史料研究会監修で、朝日新書の一冊として、朝日新聞社より2020年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。関ヶ原の戦いについても20年近く勉強を怠っているので、近年の知見を得るために読むことにしました。 序章●白峰旬「「関ヶ原の戦い」の従来イメージ打破に向けて」  関ヶ原の戦いに関するじゅうらいの通俗的印象…
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原口泉『明治維新はなぜ薩摩からはじまったのか』

 パンダ・パブリッシングより2015年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、薩摩藩が幕末に大きな影響力を有するに至ったことに関して、18世紀にまでさかのぼって検証しています。本書は、薩摩藩が組織として動いたからこそ幕末に大きな影響力を有した、という視点から、家老、とくにそのうちの二人に注目しています。一人は幕府の命により行…
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斎藤成也編著『最新DNA研究が解き明かす。 日本人の誕生』

 秀和システムより2020年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はDNA研究による日本人起源論を扱っています。表題には「最新」とありますが、進展の速い分野なので、脱稿後にも関連研究が次々と公表されていくわけで、その意味では、「最新」と謳っているのにあの研究が取り上げられていない、といった否定的感想もありそうです。しかし、この…
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坂野潤治『明治憲法史』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2020年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。著者は先月(2020年10月)14日に亡くなり、本書が遺著となるのでしょうか。ご冥福をお祈りいたします。本書は、大日本帝国憲法(明治憲法)の構造と機能を分析します。明治憲法が施行されてから昭和戦前期までの政治史を憲法史として再構成します。まず本書…
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光成準治『本能寺前夜 西国をめぐる攻防』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2020年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、地域としては畿内よりも西、とくに毛利を、年代は織田信長の上洛から本能寺の変までを主要な対象として、織田権力と西国の大名・領主層との関係に着目し、本能寺の変を検証しています。本書から窺えるのは、戦国時代の領主層の自立性と、それがとくに境目…
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川田稔『木戸幸一 内大臣の太平洋戦争』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2020年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、表題にあるように、おもに太平洋戦争期とそこへ至るまでの木戸幸一を満洲事変の頃から取り上げており、前半生は簡潔に言及されています。木戸は戦前・戦中期の昭和天皇の側近の代表格的人物で、昭和天皇の補佐を誤ったとして、一般的にはきわめて評判が悪い…
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廣部泉『黄禍論 百年の系譜』

 講談社選書メチエの一冊として、2020年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。近年、中華人民共和国の経済力・軍事力の拡大により、アメリカ合衆国で黄禍論が再燃しつつあるかのように思えたところ、今年(2020年)になって、新型コロナウイルスの流行により、アメリカ合衆国だけではなくヨーロッパでも黄禍論が復活するのではないか、とさえ私は…
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岡本隆司『腐敗と格差の中国史』

 NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2019年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、現在、中華人民共和国の習近平政権で進められている「反腐敗」運動の歴史的起源を探ります。なぜ中国では最高権力者今が大々的に腐敗撲滅に力を入れているのか、単に共産党の一党独裁体制による腐敗、つまり権力、それも独裁的な権力は必ず腐敗する、…
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岡本隆司『近代日本の中国観 石橋湛山・内藤湖南から谷川道雄まで』

 講談社選書メチエの一冊として、2018年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、近代日本の中国観を、おもに知識人の言説に依拠して検証します。もちろん本書は、知識人の言説だけを取り上げるのではなく、それらが形成されて支持された背景、あるいは受け入れられなかった理由を検証します。具体的に取り上げられる知識人は、石橋湛山・矢野仁…
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伊藤之雄『真実の原敬 維新を超えた宰相』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2020年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。著者の講談社選書メチエ『原敬 外交と政治の理想』をいつか読もうと思っていたのですが、分厚いので尻込みしていたところ、本書の刊行を知り、講談社選書メチエよりは気軽に読めるかな、と考えて購入しました。本書も原敬についての堅実な評伝になっていますが、…
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青木健『ペルシア帝国』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2020年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。まず、「ペルシア」の語源はシュメール語で「名馬の産地」を意味する「パラフシェ」で、紀元前三千年紀にアッシリア語の「パルスアシュ」となり、イラン高原西北部を指す言葉として定着しました。後の「ペルシア」であるイラン高原西南部は、紀元前三千年紀後半以…
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森恒二『創世のタイガ』第7巻(講談社)

 本書は2020年9月に刊行されました。第7巻は、タイガたちのいる現生人類(Homo sapiens)の集落がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)に襲撃され、リカとユカなど拉致された女性たちをタイガたちが奪回に行く場面から始まります。タイガにより飼われている狼のウルフが敵であるネアンデルタール人の気配を察知し…
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岩井秀一郎『永田鉄山と昭和陸軍』

 祥伝社新書の一冊として、祥伝社より2019年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。最近5年くらい、以前よりも日本近現代史関連の本を多く読むようになりましたが、それらの本で永田鉄山に言及されることが多かったので、一度評伝的な本を読もう、と考えた次第です。本書で初めて知りましたが(以前他の本で読んで忘れてしまっただけかもしれませんが…
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守屋純『独ソ開戦の真実 『ジューコフ回顧録』完全版が明かす』

 パンダ・パブリッシングより2017年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、1939年8月23日に締結された独ソ不可侵条約から、1941年6月22日に始まった独ソ戦までのスターリンの思考・決断を、『ジューコフ回顧録』をしばしば引用しつつ検証します。独ソ不可侵条約のドイツ側というかヒトラーの意図は、ポーランドへの侵攻にさいし…
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一ノ瀬俊也『東條英機 「独裁者」を演じた男』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2020年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。東条英機については基本的な知識が欠けているので、首相就任前の軍人としての東条英機も詳しく取り上げている本書は、私にとって大いに有益な一冊となりました。東条英機が、その父である軍人の英教から強い反長州閥意識を受け継いだことは知っていましたが、英教の…
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