Valerie Hansen『西暦一〇〇〇年 グローバリゼーションの誕生』 ヴァレリー・ハンセン(Valerie Hansen)著、赤根洋子訳で、文藝春秋社より2021年5月に刊行されました。原書の刊行は2020年です。電子書籍での購入です。本書は、紀元後1000年頃(以下、年代について明記しない場合は紀元後です)には、16世紀や現代とはもちろん異なるものの、すでに「グローバリゼーション」が生まれていた、と主… コメント:0 2023年12月16日 読書 アフロユーラシア史前近代 古人類学 続きを読むread more
津本英利『ヒッタイト帝国 「鉄の王国」の実像』 PHP新書の一冊として、PHP研究所より2023年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書冒頭で指摘されているように、日本語のヒッタイト専門の一般向け書籍はないかもしれず、私も思い浮かびません。日本語の一般向け書籍でヒッタイトが取り上げられているとなると、古代オリエント史の一部であることがほとんどでしょう。その意味で本書はた… コメント:0 2023年12月09日 読書 アフロユーラシア史前近代 続きを読むread more
平田陽一郎『隋 「流星王朝」の光芒』 中公新書の一冊として、中央公論新社より2023年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。日本語の一般向け書籍では、王朝として短命に終わった隋は、唐やその前の南北朝時代、さらには広く魏晋南北朝時代とともに扱われることが多いように思いますが、本書は隋一代を扱っている点で珍しいと言えそうです。ただ、本書も隋王朝だけを扱っているのではなく… コメント:0 2023年12月02日 読書 アフロユーラシア史前近代 続きを読むread more
伊谷原一、三砂ちづる『ヒトはどこからきたのか サバンナと森の類人猿から』 亜紀書房より2023年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は著者2人の対談形式になっており、おもに三砂ちづる氏が伊谷原一氏に質問し、対談が進行しています。まず指摘されているのが、人類は森林から開けたサバンナに進出して誕生した、との見解には確たる証拠がないことです。ヒト上科の化石は、人類でも非人類でも、まだ熱帯多雨林から発見… コメント:0 2023年11月25日 読書 古人類学 続きを読むread more
川幡穂高『気候変動と「日本人」20万年史』 岩波書店より2022年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は気候変動の視点からの人類進化史で、近年飛躍的に発展した古代DNA研究の成果も多く取り入れられています。本書はまず、現在の有力説にしたがって、現代人の究極の起源地がアフリカにあることを指摘します。本書では、現生人類の起源は化石および分子生物の証拠から20万年前頃とさ… コメント:0 2023年11月18日 読書 古人類学 歴史総合 続きを読むread more
森本公誠『イブン=ハルドゥーン』 講談社学術文庫の一冊として、2011年6月に講談社より刊行されました。本書の親本『人類の知的遺産22 イブン=ハルドゥーン』は1980年に講談社より刊行されました。電子書籍での購入です。イブン=ハルドゥーンとその著書の『歴史序説』はよく知られているでしょうが、その生涯や『歴史序説』の具体的な内容は現代日本社会ではさほど知られていないで… コメント:0 2023年11月11日 読書 アフロユーラシア史前近代 続きを読むread more
長谷川眞理子『進化的人間考』 東京大学出版会より2023年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、人文および社会科学と自然科学のヒト理解の統合を試みます。気宇壮大ですが、研究の細分化が進んだ現代において、こうした学際的な試みに一人で取り組むことが困難なのは当然で、ほとんどの場合は上手くいかないものだと思います。しかし、本書の著者は碩学なので、得るものが… コメント:0 2023年11月04日 読書 古人類学 続きを読むread more
倉本一宏『紫式部と藤原道長』 講談社現代新書の一冊として、講談社より2023年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。来年(2024年)の大河ドラマは紫式部を主人公とする『光る君へ』なので、改めて時代背景を把握するために読みました。紫式部は両親とも藤原北家出身ではあるものの傍流で、父方では、曽祖父は中納言でしたが、祖父も父も位階は五位までしか昇進しませんでした… コメント:2 2023年10月28日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
斎藤成也、山田康弘、太田博樹、内藤健、神澤秀明、菅裕『ゲノムでたどる 古代の日本列島』 東京書籍より2023年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は全体的に、一般向け書籍を意識してか、著者の個人的な履歴も多く、親しみやすい内容になっていると思います。参考文献と索引もありますし、古代ゲノム研究を中心に日本列島の先史時代の学際的研究の現状を理解するための入門書として適していると思います。 0章●斎藤成… コメント:0 2023年10月21日 読書 日本史原始~古代 古人類学 続きを読むread more
瀧浪貞子『桓武天皇 決断する君主』 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2023年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。著者の見解には独特なところがあり、困惑させられることも少なくはなく(関連記事)、専門家からの批判もありますが(関連記事)、その独特さに中毒性があり、つい読みたくなってしまいます。これは、遠山美都男氏の一連の一般向け著作とも通ずるところがある… コメント:0 2023年10月14日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
水谷驍『ジプシー史再考』 柘植書房新社より2018年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は日本でも名称自体はよく知られている「ジプシー」の概説です。著者の執筆動機は、日本社会における「ジプシー」理解が、1970年頃以降の研究の進展を踏まえていない、「インド起源の放浪民族」という古い研究段階に留まっていることです。「ジプシー」の名称は差別的だとして、… コメント:0 2023年10月07日 読書 アフロユーラシア史前近代 アフロユーラシア史近現代 続きを読むread more
佐藤信編『古代史講義【海外交流篇】』 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2023年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。古代日本史でも南朝や隋や唐や朝鮮半島との関係にはもう四半世紀以上関心を抱いてきましたが、近年では優先順位が20年前ほどには高くなく、勉強が停滞しているので、最新の知見を得るために読みました。この問題については、現在最も優先順位が高い古代ゲノム研究… コメント:0 2023年09月30日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
川田稔『武藤章 昭和陸軍最後の戦略家』 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2023年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、東京裁判において死刑判決を受けたA級戦犯としては最年少だった武藤章の評伝です。ここ十数年ほど、以前よりも日本近現代史の本をずっと多く読むようになり、武藤への関心が高くなったので、一度武藤の評伝を読もうと考えました。武藤は日中戦争勃発時には… コメント:0 2023年09月23日 読書 日本史近現代 続きを読むread more
坂本太郎『日本の修史と史学 歴史書の歴史』 講談社学術文庫の一冊として、2020年8月に講談社より刊行されました。本書は、1958年に至文堂より刊行された『日本の修史と史学』の増補版(1966年、至文堂)を底本とします。電子書籍での購入です。今となってはかなり古いわけですが、碩学による日本の史書の解説なので得るところは多そうですし、碩学の五味文彦氏の解説もあるので読み、じっさい… コメント:0 2023年09月16日 読書 歴史総合 続きを読むread more
及川琢英『関東軍 満洲支配への独走と崩壊』 中公新書の一冊として、中央公論新社より2023年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。関東軍は、関東州と南満州鉄道(満鉄)の保護を目的として1919年に成立した、日本陸軍の出先軍です。この場合の「関東」とは、いわゆる万里の長城の東端である山海関以東の地、つまり満洲を意味します。関東軍の成立は、日本にとって「生命線」とされた「満蒙… コメント:0 2023年09月09日 読書 日本史近現代 アフロユーラシア史近現代 続きを読むread more
井上文則『軍と兵士のローマ帝国』 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2023年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は軍と兵士の視点からのローマ帝国史で、284年のディオクレティアヌス帝の即位以降の後期ローマ帝国軍も重視していることが特徴です。本書は、漢やパルティアやサーサーン朝など同時代の大国と比較して、職業軍人から構成される常備軍だったことがロー… コメント:0 2023年09月02日 読書 アフロユーラシア史前近代 続きを読むread more
松下憲一『中華を生んだ遊牧民 鮮卑拓跋の歴史』 講談社選書メチエの一冊として、2023年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、中華の形成における北方遊牧民(もしくは狩猟民)の役割を重視し、その具体的事例として鮮卑の拓跋部を取り上げています。これら北方遊牧民の中華支配について通俗的には、野蛮な夷狄による中華の破壊か、未開な遊牧民の中華への同化として語られるのが一般的でし… コメント:0 2023年08月26日 読書 アフロユーラシア史前近代 続きを読むread more
落合淳思『古代中国 説話と真相』 筑摩選書の一冊として、筑摩書房より2023年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書では「説話」が、「歴史上事実として伝えられたが、実際らには事実ではないもの」という意味で用いられています。本書は、説話を事実として信じてしまえば、説話をどれだけ詳しく研究しても科学的な社会研究にはならず、作り話からは社会の実態を明らかにすること… コメント:0 2023年08月19日 読書 アフロユーラシア史前近代 古人類学 続きを読むread more
上田信『戦国日本を見た中国人 海の物語『日本一鑑』を読む』 講談社選書メチエの一冊として、2023年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は鄭舜功が著した『日本一鑑』を取り上げ、「外から」見た戦国時代の日本の様相を叙述しています。こうした「外国(人)」史料が貴重なのは、自身の文化に由来する日本の(習俗なども含めて広い意味での)文化への無理解や偏見があるとしても、当時の日本社会では常識… コメント:0 2023年08月12日 読書 日本史中世 日本史近世 続きを読むread more
小野寺拓也、田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』 岩波ブックレットの一冊として、岩波書店より2023年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、インターネットの日本語環境(詳しく調べていませんが、本書冒頭で取り上げられている事例から推測すると、多分多くの他の言語環境でも)では珍しくない、ナチスは「良いこと」もした、というさまざまな主張を具体的に検証します。この問題について詳… コメント:4 2023年08月05日 読書 アフロユーラシア史近現代 政治 続きを読むread more
川村裕子編『誰も書かなかった 清少納言と平安貴族の謎』 中経の文庫の一冊として、2013年11月にKADOKAWAより刊行されました。電子書籍での購入です。本書は問いと回答の形式で構成されており、著書の『枕草子』は有名であるものの、履歴や人物像についてはさほど知られていない清少納言について、一般向けに基礎知識から分かりやすく伝えよう、との工夫が窺えます。来年(2024年)の大河ドラマの主人… コメント:0 2023年07月29日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
繁田信一『天皇たちの孤独 玉座から見た王朝時代』 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2006年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はおもに『小右記』に基づいて、王朝時代の天皇の一般的にはあまり知られていないだろう具体的な振る舞いと心境を叙述していきます。一条天皇については、これまで概説などで読んでいても忘れていたかもしれませんが、藤原道隆・伊周父子との確執について詳… コメント:0 2023年07月22日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
坂野潤治『昭和史の決定的瞬間』 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2004年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。今となってはかなり古いと言えますが、碩学が1936~1937年を日本の分岐点と考えて詳しく検証しているとのことなので、私にとって今でも得るものは多いのではないか、と思って読みました。本書はまず、1931~1932年の危機と、1936~1937年の… コメント:0 2023年07月15日 読書 日本史近現代 続きを読むread more
仁藤敦史『女帝の世紀 皇位継承と政争』 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2006年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、7~8世紀に多かった「女帝」について、「中継ぎ」などといった通説を検証し、改めて日本史に位置づけます。本書はまず、現代の皇位継承問題と絡めて、女帝の子を親王とする大宝律令の規定から、女系での皇位継承が古代には認められていた、と主張します… コメント:0 2023年07月08日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
鈴木貞美『日露戦争の時代 日本文化の転換点』 平凡社新書の一冊として、平凡社より2023年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、日露戦争の頃を日本文化の転換点と把握し、その変容を検証します。近代日本における文化の変容は、私も含めて多くの現代日本人が漠然と考えているでしょうが、それを体系的に説明するのは専門家でないとなかなか難しいので、どのように日本における文化の変容… コメント:0 2023年07月01日 読書 日本史近現代 続きを読むread more
木本好信 『奈良時代 律令国家の黄金期と熾烈な権力闘争』 中公新書の一冊として、中央公論新社より2022年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は政治史を中心とした奈良時代の概説です。本書は、672年(以下、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です)の壬申の乱の後の天武朝と持統朝と文武朝の政治史にも短く言及したうえで、710年の平城京遷都から784年の長岡京遷都までの歴史を… コメント:0 2023年06月24日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
師茂樹『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2021年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。当ブログ開始前に読んだので当ブログでは取り上げていませんが、末木文美士『日本宗教史』(岩波書店、2006年)にて、最澄と徳一の「三一権実諍論(一三権実論争)」が日本宗教史においてたいへん重要だった、との見解を知り、もう10年近く前となる2… コメント:0 2023年06月17日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
渡辺靖『アメリカとは何か 自画像と世界観をめぐる相剋』 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2022年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。アメリカ合衆国(以下、米国)について日本社会では普段から報道が多く、私も何となくある程度知った気になっているものの、米国についての体系的な本を読むことはほとんどないので、米国理解の助けになるのではないかと思い、読みました。アメリカ合衆国が「… コメント:0 2023年06月10日 読書 オセアニアおよびアメリカ史 政治 続きを読むread more
水ノ江和同『縄文人は海を越えたか 言葉と文化圏』 朝日選書の一冊として、朝日新聞出版より2022年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、縄文文化の範囲が現在の日本国の領土とほぼ重なる、と指摘します。つまり、北方は宗谷海峡と択捉海峡まで、伊豆諸島では八丈島ので、九州では対馬島と沖縄県の久米島までとなります。縄文時代にこの範囲を越えて、周辺地域由来と考えられる遺物(考古… コメント:0 2023年06月03日 読書 日本史原始~古代 古人類学 続きを読むread more
小野寺史郎『戦後日本の中国観 アジアと近代をめぐる葛藤』 中公選書の一冊として、中央公論新社より2021年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、日本における中国予測がよく外れる要因として、中華人民共和国の不透明性ばかりではなく、日本社会の中国観も大きいのではないか、との認識から、近現代日本の中国観を検証します。日本の中国観は、その時の日中関係に大きく影響を受け、中国を実態以上… コメント:0 2023年05月27日 読書 日本史近現代 政治 続きを読むread more
寺西貞弘『天武天皇』 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2023年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、天武天皇(大海人皇子)の生涯、および皇親政治と律令制導入の実態を主題とします。天武天皇の生涯については、その前半生に不明な点が多く、年齢も定かではないこと(ただ、『日本書紀』において「天皇」の年齢が不明なのは珍しくなく、とくに『日本書紀』… コメント:0 2023年05月20日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
石濱裕美子『物語チベットの歴史 天空の仏教国の1400年』 中公新書の一冊として、中央公論新社より2023年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、チベット高原の地理を説明していますが、その平均標高は4100mで、改めてチベット高原の険しさを思い知らされます。ただ、本書が指摘するように、チベット高原は東方に行くほど低くなるので、東部では農耕も行なわれており、チベットの人口の大半… コメント:0 2023年05月13日 読書 アフロユーラシア史前近代 アフロユーラシア史近現代 続きを読むread more
Caroline Fourest『「傷つきました」戦争 超過敏世代のデスロード』 カロリーヌ・フレスト(Caroline Fourest)著、堀茂樹訳で、中央公論新社より2023年3月に刊行されました。原書の刊行は2020年です。電子書籍での購入です。本書は、左派の立場からの近年の「道徳主義的でアイデンティティ至上主義的な特定の左派」への批判です。かつては階級が問題となったのに、今では「人種」などの出自や帰属意識が… コメント:0 2023年05月06日 読書 政治 古人類学 続きを読むread more
南川高志『マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国』 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2022年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。著者には本書の四半世紀近く前に刊行された著書『ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像』があり(関連記事)、面白かったので、五賢帝の最後となるマルクス・アウレリウスについて四半世紀近く経て新たな知見も盛り込まれ、より詳しく知ることができる… コメント:0 2023年04月29日 読書 アフロユーラシア史前近代 続きを読むread more
森部豊『唐 東ユーラシアの大帝国』 中公新書の一冊として、中央公論新社より2023年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は唐を、漢字文化圏の一王朝として把握するだけではなく、その多様な側面を取り上げます。唐は文化もその担い手の出自も複雑だった、というわけです。本書の特徴は、日本語の概説では、隋やさらには魏晋南北朝にさかのぼって、また五代にまで下ってともに語ら… コメント:0 2023年04月22日 読書 アフロユーラシア史前近代 続きを読むread more
鈴木貞美『満洲国 交錯するナショナリズム』 平凡社新書の一冊として、平凡社より2021年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、満洲国を単なる日本による傀儡国家として把握するのではなく、日本人に限らず関わったさまざまな人々の主体性にも注目し、もちろん差別的側面は多かったことを認めつつ満洲国の複雑で多面的な様相を検証します。また本書は、当時の日本政府が当初は満洲国の建… コメント:0 2023年04月15日 読書 アフロユーラシア史近現代 日本史近現代 続きを読むread more
黒田基樹『徳川家康の最新研究 伝説化された「天下人」の虚構をはぎ取る』 朝日新書の一冊として、朝日新聞社より2023年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、近年の徳川家康研究の進展を踏まえた一般向けの解説です。最近十数年で家康研究は大きく前進したようで、とくに少年期から羽柴秀吉に従属するまでの政治動向と、秀吉死後から征夷大将軍就任までの政治動向について、研究が著しく進展したそうです。今年(2… トラックバック:0 コメント:0 2023年04月08日 読書 日本史中世 日本史近世 続きを読むread more
森恒二『創世のタイガ』第11巻(講談社) 2023年3月に刊行されました。第11巻は第10巻に続いて、主人公たち現生人類(Homo sapiens)側とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)側(とはいっても、その指導者は第二次世界大戦のドイツとフランスの国境付近の戦場から来たドイツ人ですが)との戦いを中心に描かれました。第11巻は、ネアンデルタール人… コメント:0 2023年04月01日 読書 古人類学 続きを読むread more
黒田基樹『お市の方の生涯 「天下一の美人」と娘たちの知られざる政治権力の実像』 朝日新書の一冊として、朝日新聞社より2023年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。徳川家康を主人公とする今年(2023年)の大河ドラマ『どうする家康』でも恐らくは重要人物として登場しているだろうお市の方について、正直なところさほど関心が高かったわけではありませんが、私にとって著者は、西洋史の本村凌二氏および東洋史の岡本隆司氏と… コメント:0 2023年03月25日 読書 日本史中世 日本史近世 続きを読むread more
須田努『幕末社会』 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2022年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、幕末社会の前提として、江戸時代の社会を通時的に概観します。本書は江戸時代の政治理念として、仁政(百姓に重い税を課す代償として、百姓の生命と家の相続の保障)と武威(武士は強大な武力を独占するも、民に直接的に行使せず、畏怖させて支配… コメント:0 2023年03月18日 読書 日本史近世 日本史近現代 続きを読むread more
山本健『ヨーロッパ冷戦史』 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2021年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、より広範な地域を対象とした冷戦史研究が進展した結果、冷戦史研究において冷戦の「主戦場」でもあったヨーロッパの相対的地位が低下し、蓄積されたヨーロッパに関する冷戦史研究の成果の多くが充分には活かされていない、との認識から、冷戦下のヨーロッパ… コメント:0 2023年03月11日 読書 アフロユーラシア史近現代 政治 続きを読むread more
高橋のぼる『劉邦』第15集(小学館) 電子書籍での購入です。第15集は、従う兵士が残り百人ほどとなり、圧倒的に優勢な漢軍相手に討ち死にしようと考えた項羽が、愛馬の騅とともに烏江へとわずか26人で出撃した、との報告を劉邦が女性と戯れながら受けている場面から始まります。項羽は投降するよう促す韓信を投げ捨て、必死に戦いつつ逃げますが、愛馬の騅が矢で射られて長くないのを見て、墓穴… コメント:0 2023年03月04日 読書 続きを読むread more
橋場弦『古代ギリシアの民主政』 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2022年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は古代ギリシアの民主政を、後世に美化されたり誹謗されたりした図式ではなく、当時の文脈で読み解こうとします。対象となるのはおもにアテナイですが、広く古代ギリシア世界全体が取り上げられています。アテナイ以外にも民主政のポリスはあった、という… コメント:0 2023年02月25日 読書 アフロユーラシア史前近代 続きを読むread more
中井謙太『新しいゲノムの教科書 DNAから探る最新・生命科学入門』 講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2023年1月に刊行されました。進展著しいこの分野の最新の成果に少しでも追いつき、当ブログでよく取り上げている古代ゲノム研究をさらに理解し、理解の曖昧なところを解消するために読みました。新たな知見を得るとともに復習もしよう、というわけです。本書は細胞から説明を始め、復習という観点でも親切な構… コメント:0 2023年02月18日 読書 自然科学 古人類学 続きを読むread more
小峰和夫『満洲 マンチュリアの起源・植民・覇権』 講談社学術文庫の一冊として、2011年2月に講談社より刊行されました。本書の親本『満洲 起源・植民・覇権』は1991年に御茶の水書房より刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、満洲の定義が困難であることを指摘します。満洲はダイチン・グルン(大清帝国)において発祥地と考えられており、つまりは後にマンジュ(満洲)と呼ばれるジュシ… コメント:0 2023年02月11日 読書 アフロユーラシア史前近代 アフロユーラシア史近現代 続きを読むread more
森正人『「親米」日本の誕生』 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2018年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、第二次世界大戦で敗れた後の日本における対米観とその意味を、おもに生活史と文化史の観点から検証します。戦後日本は、米国への憧憬と現実のアメリカ合衆国の言動への嫌悪および反発を同居させながら、「アメリカ的価値観」を内面化し、アメリカに追いつ… コメント:0 2023年02月04日 読書 日本史近現代 続きを読むread more
太田博樹『古代ゲノムから見たサピエンス史』 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2023年1月に刊行されました。本当は電子書籍で購入したかったのですが、歴史文化ライブラリーは紙版と比較して電子書籍化が遅いようなので、我慢できずに紙版を購入しました。本書は近年著しい古代ゲノム研究の進展について、研究史を整理し、方法論について簡潔に解説しつつ、概観しています。近年刊行さ… コメント:2 2023年01月28日 読書 古人類学 日本史原始~古代 続きを読むread more
更科功『禁断の進化史 人類は本当に「賢い」のか』 NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2022年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。まず本書は、通俗的というか陥りやすい誤った進化観の見直しを提起します。たとえば、現代人と最近縁の現生分類群はチンパンジー属ですが、現代人とチンパンジー属の最終共通祖先は現生人類チンパンジー属のような形態と行動だった、というような認識で、進… コメント:0 2023年01月21日 読書 古人類学 続きを読むread more
『歴史読本』編集部『ここまで分かった! 「古代」謎の4世紀』 本書は2014年7月に刊行された新人物文庫の電子書籍化で、『歴史読本』2013年12月号の特集「ここまで分かった! 謎の4世紀」の加筆・修正による再編集です。今となってはやや古いと言えるかもしれませんが、古墳も含めて4世紀の日本列島について広範に取り上げられていますし、「謎の4世紀」という表現は10代の頃には馴染み深く懐かしさがあり、… コメント:0 2023年01月14日 読書 日本史原始~古代 続きを読むread more
吉川忠夫『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』 志学社選書の一冊として、志学社から2019年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書の親本『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』は、中公新書の一冊として中央公論社より1974年4月に刊行されました。本書は、この親本に「史家范曄の謀反」が補篇として加えられています。本書は、侯景の乱の経緯と、その背景となる南朝貴族社会を叙述する… コメント:0 2023年01月07日 読書 アフロユーラシア史前近代 続きを読むread more