"読書"の記事一覧

宮崎市定著、井上文則編『素朴と文明の歴史学 精選・東洋史論集』

 講談社学術文庫の一冊として、2021年11月に講談社より刊行されました。電子書籍での購入です。すでに全集や文庫などで読んでいた論文も多く掲載されていますが、全集未収録作品と、宮崎市定氏の遺族(娘の一技氏)の証言も取り上げられており、編者の解説が掲載されて割引価格だったこともあり、購入しました。宮崎氏は講談社が大嫌いだったとのことで、こ…
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白石典之『遊牧王朝興亡史 モンゴル高原の5000年』

 講談社選書メチエの一冊として、2025年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はおもにモンゴル高原を対象として、考古学の知見を活用した遊牧民の歴史の概説で、遊牧民の具体的な生活と行動を浮き彫りにしているところが特徴です。モンゴル高原は、西をアルタイ山脈、北をサヤン山脈とヤブロノーブイ山脈、東を大興安嶺山脈、南を陰山山脈と祁連…
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森恒二『創世のタイガ』第13巻(講談社)

 2025年3月に刊行されました。第12巻は、現生人類(Homo sapiens)側の王であるタイガが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)側(とはいっても、その指導者は第二次世界大戦のドイツとフランスの国境付近の戦場から来たドイツ人将校ですが)の王族(旧石器時代に時間移動させられた第二次世界大戦時のドイツ軍…
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馬場匡浩『ファラオ 古代エジプト王権の形成』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2025年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はファラオの視点からの古代エジプト史で、とくに、ヒエラコンポリス遺跡での発掘調査によって明らかになってきた王権の形成過程に焦点を当てています。ファラオの使命として本書が挙げるのは、世界の安寧の維持です。そもそも、ファラオの語源は古代エジプト語…
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戸山為夫『鍛えて最強馬をつくる 「ミホノブルボン」はなぜ名馬になれたのか』第10刷

 情報センター出版局より1994年2月に刊行されました。第1刷の刊行は1993年9月です。近年では競馬への情熱をかなり失ってしまい、当ブログを始めた頃には1週間のうち4本掲載したこともあった競馬関連の記事を掲載することが少なくなりましたが、フォーエバーヤングのサウジカップ勝ちや、『ウイニングポスト10 2025』が今月(2025年3月)…
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高尾藍月『十市皇女 大友皇子正妃から悲劇の巫女へ』

 BCCKSより2021年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、『日本書紀』の記述を踏まえつつ、おもに『万葉集』に依拠して、恋愛相手とも推測されている高市皇子との関係も含めて、十市皇女の生涯を検証しています。本書は、歴史学ではなかなか踏み込みにくい、個人の心情や人間関係も深く掘り下げており、その意味では、歴史学というよりは…
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カガノミハチ『アド・アストラ スキピオとハンニバル』全13巻(集英社)

 漫画に詳しくなく、近年では面白そうな作品を検索することもほぼなくなったので、2018年に完結した本作の存在すら長く知りませんでした。昨年(2024年)本作を知り、電子書籍で全13巻を読みました。本作は第二次ポエニ戦争を描いており、ハンニバルとスキピオ(大スキピオ)の二人が主人公です。冒頭では第一次ポエニ戦争の終結が描かれ、ハンニバルは…
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渡辺和子『図解 世界の宗教』

 西東社より2010年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。手頃な価格なので、復習のために読んでみました。1人の著者で世界の宗教を解説するのに無理があることは否定できませんが、手軽な入門書であり、参考文献も少なからず提示されているので、こうした一般向け書籍があってもよいとは思います。本書でおもに取り上げられているのは、キリスト教と…
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黒田基樹『増補 戦国大名』

 平凡社ライブラリーの一冊として平凡社より2023年4月に刊行されました。本書は、平凡社新書の一冊として2014年1月に刊行され、その増補版となります。本書の親本は私も購入して読みましたが(関連記事)、本棚にあるはずなのに、あまりにも乱雑に管理していて見つけられなかったこともあり、本書を購入しました。まあ、補論2本が追加されているので、…
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本村凌二『地中海世界の歴史5 勝利を愛する人々 共和政ローマ』

 講談社選書メチエの一冊として、2025年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。『地中海世界の歴史』全8巻も後半に入り、いよいよ著者が専門とするローマ史となり、4巻までよりもさらに筆が乗っている感もあります。本書は、ローマの起源から第三次ポエニ戦争の終結までを対象としています。この時点ではまだローマ帝政期ではありませんが、第三次ポ…
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長谷川岳男『スパルタ 古代ギリシアの神話と実像』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2024年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。古代ギリシア史は日本でも一定以上の人気があるように思われ、一般向けの本も少なからず刊行されており、当ブログでも複数取り上げています。ただ、そうした一般向けの本では、史料の問題もあってアテナイを中心とした構成になることが多く、そこではスパルタはア…
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奥泉光、原武史『天皇問答』

 河出新書の一冊として、河出書房新社より2025年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、前書きを作家の奥泉光氏、後書きを日本政治思想史専攻の原武史氏が担当し、著者二人の対談が主要な構成となっています。前近代の天皇にも多少言及されていますが、主要な対象は近現代の天皇制で、とくに昭和天皇が詳しく取り上げられています。原武史氏の…
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Paul Pettitt『ホモ・サピエンス再発見 科学が書き換えた人類の進化』

 ポール・ペティット(Paul Pettitt)著、篠田謙一監訳、武井摩利訳で、創元社より2024年11月に刊行されました。原書の刊行は2022年です。電子書籍での購入です。本書は、おもに現生人類(Homo sapiens)を対象とした人類進化史の概説で、著者は更新世の考古学を専攻しているので、考古学の記述が詳しくなっていますが、21世…
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佐藤淳『進化生物学 DNAで学ぶ哺乳類の多様性』

 東京大学出版会より2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は哺乳類を対象とし、進化生物学の入門書というか教科書的な性格もあり、DNAおよびその解析や染色体など遺伝の基本的な構造も解説していて、丁寧な構成になっています。本書は進化の前提として有限性を強調しており、ここが本書の特徴になっているように思います。本書は基本的…
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森井裕一編『エリア・スタディーズ151 ドイツの歴史を知るための50章』

 明石書店より2016年10月に刊行されました。本書はヨーロッパの地理的中心に位置するドイツの重要性と、ドイツが固定的存在ではなく、歴史において変化してきた、との観点からドイツのさまざまな側面を浮き彫りにします。本書の通史編では意図的に近現代の比重をやや高めたそうですが、これは、ヨーロッパ連合(EU)のなかでますます存在感を強めるドイツ…
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福井紳一『戦中史』

 KADOKAWAより2018年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は近代以降の日本について、満洲事変~敗戦まで(1931~1945年)を狭義の「戦中史」、近現代を広義の「戦中史」と把握し、おもに戦前を対象として、戦争の視点から日本近代史を検証します。そのため、本書の叙述は明治維新にさかのぼりますが、敗戦後の歴史も、朝鮮戦争…
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『常識が変わる!?日本史の大論争』

 中央公論新社より2019年2月に刊行されました。本書は『中央公論』2019年2月号の特集の電子書籍化です。構成は、各時代についての対談(現代は対談というよりも取材ですが)で、古代が井上章一氏と倉本一宏、中世が堺屋太一氏と今谷明氏、近世がよしながふみ氏と大石学氏、近代が佐々木雄一氏と清水唯一朗氏、現代が山崎拓氏と宮城大蔵氏です。中公新書…
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有富純也編『日本の古代とは何か 最新研究でわかった奈良時代と平安時代の実像』

 光文社新書の一冊として、光文社より2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。日本古代史の勉強が滞ってからもう20年以上経過しているので、近年の知見をまとめて得る目的で読みました。 ●有富純也「はじめに 日本古代史研究への招待」  まず日本古代史の範囲は基本的に飛鳥時代から平安時代までとされていますが、飛鳥時…
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榎村寛之『女たちの平安後期 紫式部から源平までの200年』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は榎村寛之『謎の平安前期 桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』(関連記事)の続編となり、11世紀初頭~12世紀末までが対象となります。以下、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です。一般的に中世が始まるのはこの期間とされてい…
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仁藤敦史『加耶/任那 古代朝鮮に倭の拠点はあったか』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、日本と韓国で民族主義的感情の軋轢となることも多い、加耶もしくは任那の歴史を検証しています。伽耶とは、3~6世紀にかけて朝鮮半島南部の洛東江流域に存在した十数ヶ国の小国群の名称です。この地域は『日本書紀』では任那と呼ばれることが多く、日…
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吉村武彦編『新版 古代史の基礎知識』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2017年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書では、年代は縄文時代から摂関政治期まで、分野は政治史から文化史や生活史などまで、広範に扱われているので、もう20年ほど勉強が進んでいない古代史の新知見を得るとともに、復習にもなると思い、読みました。本書は広範な分野を扱っているだけに、一読…
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原武史『象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁記」を読む』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は「昭和天皇拝謁記」に基づいて、思想や政治情勢の認識や人物評価など、昭和天皇の「実像」を浮き彫りしていきます。「昭和天皇拝謁記」とは、2021~2023年に岩波書店から刊行された『昭和天皇拝謁記 初代宮内庁長官田島道治の記録』全7巻の…
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本村凌二『地中海世界の歴史4 辺境の王朝と英雄 ヘレニズム文明』

 講談社選書メチエの一冊として、講談社より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はマケドニアを中心に、ヘレニズム「文明」を「普遍性」の観点から取り上げています(当ブログでは原則として「文明」という用語を使わないことにしていますが、この記事では本書に従って「文明」と表記します)。マケドニアとは、ギリシア語で「高地の人…
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山室恭子『中世のなかに生まれた近世』

 講談社学術文庫の一冊として、2013年5月に講談社より刊行されました。本書の親本は、1991年に吉川弘文館より刊行されました。日本各地の戦国大名の文書の統計的処理から、各大名の支配体制の性格、年代・地域による各大名の比較、さらには中世から近世へと移行する日本の大きな動きを概観した一冊で、戦国大名の文書の分類という細かい個々の問題から、…
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渡辺精一『諸子百家』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2020年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、諸子百家以前の思想を概観した後で、代表的な諸子百家を取り上げます。1章単独で取り上げられているのは、後世に大きな影響を残した、孔子と老子と荘子と孟子と荀子と韓非子と孫子です。その他に、墨子や管子蘇秦や商鞅や李斯などが取り…
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池田雅雄『大相撲史入門』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2020年9月に刊行されました。 電子書籍での購入です。本書は、著者の生前のさまざまな媒体に掲載された相撲に関する記事を編集した日本相撲史です。私が相撲を見るようになって40年以上経ちましたが、相撲史についてさまざまな本や雑誌の記事で断片的に得てきただけで、体系的な本を読んだことがなか…
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網野善彦『歴史としての戦後史学 ある歴史家の証言』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2018年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、戦後歴史学の初期から関わってきた歴史学の研究者である網野善彦氏の視点からの戦後歴史学の研究史であり、網野氏の自伝的側面もあるように思います。歴史学を専攻していれば、研究史について学ぶ機会があるでしょうし、戦後歴史学についても…
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玉木俊明『ユーラシア大陸興亡史』

 平凡社より2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、ヨーロッパが近代においてアジア世界、とくに「中国」を圧倒した理由と過程について、農耕開始の頃にまでさかのぼって検証します。ヨーロッパがなぜ「中国」より先に近代化を達成したのか、という問題意識なわけですが、歴史学の観点で新石器時代までさかのぼるのは異例と言えそうです…
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岩井淳『ヨーロッパ近世史』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2024年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。近世は一般的には、時代区分に置いて古代→中世→近世→近代(→現代)の4(5)区分の中世と近代の間に位置づけられます。これまでの自分の時代区分認識で問題だったと考えているのは、中世は近代とは大きく異なる異質な時代で、近代を到達点として把握し、近世を…
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浮世博史『日本史の新事実 70 古代・中世・近世・近代 これまでの常識が覆る!』

 世界文化社より2022年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は近年の日本史の研究の進展に基づき、通俗的な歴史認識が改められていることを紹介します。すでに知っている新見解もありますが、手際よくまとめられており、新たに知った見解もありますし、改めて新見解を整理でき、復習にもなりした。著者は高校教師なので全時代を扱わねばならず、…
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伊東俊太郎『十二世紀ルネサンス』

 講談社学術文庫の一冊として、2006年9月に講談社より刊行されました。本書の親本『十二世紀ルネサンス 西欧世界へのアラビア文明の影響』は岩波書店より1993年に刊行されました。電子書籍での購入です。今となっては親本の刊行は31年前とかなり古いものの、この問題については通俗的見解を表面的に把握しているくらいなので、本書で基本的な知見を得…
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氣賀澤保規『則天武后』

 講談社学術文庫の一冊として、2016年11月に講談社より刊行されました。本書の親本『則天武后』は1995年に白帝社より刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、則天武后(武則天、武照)を唐代前半の歴史に位置づけた伝記です。則天武后の没年は705年(以下、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です)11月26日ですが、生年につい…
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楊海英『モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、女性に焦点を当てたモンゴル帝国の歴史で、逸話を多く引用し、物語的にも読めるようになっており、一般層にも面白く読み進められる構成になっていると思います。モンゴル帝国以降、ユーラシア草原地帯においてチンギス・ハーンの父系子孫が尊重され、大き…
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辻田真佐憲『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2023年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、肯定にせよ否定にせよ、実際とはかけ離れた都合のよい「戦前」像が提示されている、と指摘します。とはいえ、「戦前」も含めて常に多面的性格のある特定の期間を的確に把握することが難しいことも確かで、本書の視点は神話と国威発揚との関係です。そ…
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山田重郎『アッシリア 人類最古の帝国』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2024年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。アッシリアは「帝国」としての期間こそ、後続のペルシア帝国やローマ帝国よりずっと短かったものの、紀元前三千年紀に都市国家として出現した時代から紀元前7世紀後半の滅亡まで、国家としての存続期間は長かったように思います。本書は国家としての長い歴史を有す…
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Reza Aslan『人類はなぜ<神>を生み出したのか?』

 レザー・アスラン(Reza Aslan)著、白須英子訳で、文藝春秋社より2020年2月に刊行されました。原書の刊行は2019年です。電子書籍での購入です。本書は、人類史における「神」というか「宗教」の起源を検証し、その対象範囲は先史時代から歴史時代まで、現生人類(Homo sapiens)に留まらず、ネアンデルタール人(Homo ne…
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楊海英『人類学と骨 日本人ルーツ探しの学説史』

 岩波書店より2023年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。以下、敬称は省略します。本書は近現代の日本における人類学の研究史で、近現代日本において盛り上がった日本人起源論において、学者がどのように研究し、その主張が一般層にどう受容されていったのか、その倫理的問題とともに検証します。日本に限りませんが、現代の視点からは、近代の人…
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村山吉廣『楊貴妃 大唐帝国の栄華と滅亡』

 講談社学術文庫の一冊として、2019年5月に講談社より刊行されました。本書の親本『楊貴妃 大唐帝国の栄華と暗転』は中公新書の一冊として中央公論新社より1997年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は楊貴妃の伝記ですが、「時代とともに楊貴妃を描く」ことが主題で、楊貴妃が時代にどう位置づけられるのか、という観点から注目して読み…
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綾辻行人『Another』シリーズ

 『Another』と『Another エピソードS』と『Another 2001』はいずれも角川書店からそれぞれ、2009年10月と2013年7月と2020年9月に刊行されました。近年、小説を読むことが本当に少なくなり、小説に限らず映像作品も以前より楽しむ回数が激減し、ゲームは『ウイニングポスト』の体験版を数時間程度やったくらいですか…
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本村凌二『地中海世界の歴史3 白熱する人間たちの都市 エーゲ海とギリシアの文明』

 講談社選書メチエの一冊として、2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書が対象とする主要な地域はギリシアというかエーゲ海地域ですが、扱う年代は紀元前三千年紀~マケドニアの台頭の頃までとなり、第2巻ではアッシリア帝国とペルシア帝国まで扱われましたが、本書では年代がさかのぼることになります。紀元前三千年紀から紀元前1200…
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本村凌二『地中海世界の歴史2 沈黙する神々の帝国 アッシリアとペルシア』

 講談社選書メチエの一冊として、2024年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は紀元前二千年紀末~紀元前4世紀頃までを扱っており、アルファベットと一神教の誕生をとくに重視しています。アルファベットの起源は紀元前二千年紀の原シナイ(カナン)文字で、ヒエログリフに倣ってカナン人が作りました。カナン人は海洋文化の影響を受けてフェニ…
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本村凌二『地中海世界の歴史1 神々のささやく世界 オリエントの文明』

 講談社選書メチエの一冊として、2024年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、メソポタミアも含めて地中海世界を広い範囲で把握し、シュメール文化の頃からローマ帝国の東西分裂の頃まで約4000年間の地中海の歴史を、著者1人で執筆する『地中海世界の歴史』全8巻の第1巻となります。時空間的に広範囲の歴史を1人で執筆すると、それぞ…
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岩明均『ヒストリエ』第12巻発売(講談社)

 待望の第12巻が刊行されました。実に4年11ヶ月振りの新刊となります。もうかなり前に本作の完結は諦めましたが、正直なところ、第12巻の刊行も厳しいかな、と思っていただけに、嬉しいものです。第11巻は、オリュンピアスが夫のフィリッポス2世から故郷のモロッシアで休むよう勧告され、その道中でフィリッポス2世が派遣した暗殺部隊に襲撃され、オリ…
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齋藤慈子・平石界・久世濃子編集『正解は一つじゃない 子育てする動物たち』

 東京大学出版会より2019年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はヒトやその近縁のチンパンジーおよびゴリラからトゲウオまで、さまざまな動物の子育てを進化的観点から取り上げています。ヒトも動物の一種である以上、その子育ては進化的過程を経ているので、進化的観点での考察が重要になってくるとは思います。ただ、本書冒頭で指摘されて…
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楊海英『世界を不幸にする植民地主義国家・中国』

 2020年12月に徳間書店より刊行されました。電子書籍での購入です。本書は中国の独特なナショナリズムを「中国流官制ナショナリズム」と呼び、それが中国に支配されている地域や日本も含めてその近隣諸国にとって問題のある概念であるとともに、脅威となっていることを指摘します。本書が対象としている主要な(というかほぼ全ての)読者は日本人でしょうか…
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原田信男『日本の食はどう変わってきたか 神の食事から魚肉ソーセージまで』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2013年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は食文化の変遷から見た日本史で、食文化の変遷を歴史的背景に位置づけています。本書がまず指摘するのは、アジア東部および南東部の稲作文化圏とは異なり、日本では古代において国家が肉食を禁じたことで、ブタの飼育が沖縄など一部を除いて行なわれなくなっ…
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長谷川政美『進化生物学者、身近な生きものの起源をたどる』

 ベレ出版より2023年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、イヌやネコから昆虫や植物まで、身近な生物の起源を解説しており、以下、とくに興味深い見解を備忘録として取り上げます。身近な生物の代表格とも言えるイヌについては、近年の研究(関連記事)を踏まえて、アジア東部起源と推測されています。イヌはアジア東部にいたハイイロオオ…
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寺西貞弘『道鏡 悪僧と呼ばれた男の真実』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2024年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書冒頭で述べられているように、道鏡は戦前には平将門および足利尊氏(高氏)とともに「天下の三大悪人」と称されていました。戦後、平将門と足利尊氏は、大河ドラマの主人公となったように、通俗的な印象は戦前よりかなりよくなっているでしょうが、道鏡の通俗的…
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宮嵜麻子『ローマ帝国の誕生』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2024年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はローマが帝国となっていく過程を検証し、おもにローマが大国化していく紀元前3世紀末からアウグストゥスの頃までを対象としていますが、それ以前の地中海地域の一都市国家だった時代も取り上げられています。確かに、ローマ帝国の成立において、規模や勢力…
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篠川賢『国造 大和政権と地方豪族』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2021年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。国造の設置は、記紀によると成務「天皇」の時に始まりました。ただ、成務天皇の実在性には疑問が呈されており、本書も成務天皇の国風諡号が7世紀風(タラシヒコ)であることから、その実在性には否定的で、あくまでも記紀の歴史認識だと指摘しています。本書は…
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