中華人民共和国新疆ウイグル自治区で発見された新たな恐竜に関する研究(Wang et al., 2021)が公表されました。この研究は、以前に新疆ウイグル自治区のトルファン-ハミ盆地で発見され、白亜紀前期(1億3000万~1億2000万年前頃)と推定された3点の化石断片(脊椎骨と胸郭)を分析し、この遺骸化石の特定の特徴(脊椎胸郭構造)を…
中華王朝の崩壊と火山噴火との関連に関する研究(Gao et al., 2021)が公表されました。産業革命以前の時代には、火山の噴火が主因となった気候の突然変化により、農作物の生育期の気温が低下し、降水量が減少して、農業生産性の低下がよく起きました。907年の唐王朝の崩壊と1644年の明王朝の崩壊は、旱魃現象と寒冷化現象に結びついてい…
カンブリア紀前期における苔虫動物の出現を報告する研究(Zhang et al., 2021)が公表されました。外肛動物としても知られる苔虫動物は、水生で大部分が固着性の濾過摂食する触手冠動物で、モジュール式の群体(クローン)が有機質または石灰質の外骨格を構築します。苔虫動物は海藻に似た(起立性の)群体あるいは被覆性の群体を形成し、見過…
ゾウにとって密猟が強力な選択圧になることを報告した研究(Campbell-Staton et al., 2021)が公表されました。日本語の解説記事もあります。この現象は以前から報道されていました。この研究は、モザンビーク内戦(1977~1992年)中とその後、モザンビークのゴロンゴーザ(Gorongosa)国立公園に生息するアフリカ…
シベリアにおけるイヌの進化に関する研究(Feuerborn et al., 2021)が公表されました。北極圏シベリアのジョホフ(Zhokhov)島の早期の考古学およびゲノムの証拠から、異なる系統に分類されるイヌが9500年以上にわたって北極圏の生活では不可欠な構成要素だった、と示唆されます。人々とイヌとの間のこの緊密なつながりは、コ…
ネコの毛皮の模様の遺伝的基盤に関する研究(Kaelin et al., 2021)が報道されました。これまでの研究から、しま模様のタビーなどイエネコの毛色のパターンは、体毛の成長期に隣接する毛包から構成される毛包群よりそれぞれ異なるタイプのメラニン色素が産生されて出現する、と明らかになっています。しかし、毛包から産生されるのが黒色メラ…
鱗竜類の起源に関する研究(Martínez et al., 2021)が公表されました。双弓類爬虫類の初期進化については、主竜形類(ワニ類や鳥類や非鳥類恐竜類)と鱗竜形類の間で、起源および初期進化に関する理解に顕著な差異が存在する、という特徴があります。鱗竜類は有鱗爬虫類で、有鱗目(トカゲ類とヘビ類)とニュージーランドで見られる爬虫類…
一卵性双生児に特異的なエピジェネティック・シグネチャーに関する研究(van Dongen et al., 2021)が公表されました。全ての妊娠の12%は多胎妊娠として始まると推定されていますが、多胎出産に至るのは全妊娠のわずか2%です。こうした状態は、バニシングツイン症候群として知られています。一卵性双生児が発生する原因は未だに解明…
白亜紀-古第三紀の大量絶滅後にヘビの多様化が進んだことに関する研究(Klein et al., 2021)が公表されました。6600万年前頃となる白亜紀-古第三紀の大量絶滅事象は、地球上の生物種の推定76%の消失をもたらしましたが、その後、脊椎動物のいくつかの分類群で種の多様性が増大しました。しかし、大量絶滅事象がヘビの進化に及ぼした…
孵化直後の翼竜類の飛行能力に関する研究(Naish et al., 2021)が公表されました。翼竜類は、三畳紀とジュラ紀と白亜紀(2億2800万~6600万年前頃)に存在していた空を飛ぶ爬虫類の一種です。化石化した翼竜の卵と胚はほとんど見つかっておらず、孵化したばかりの個体と小さな成体を区別することも難しいため、孵化したばかりの翼竜…
北極マンモスの生涯にわたる移動に関する研究(Wooller et al., 2021)が報道されました。日本語の解説記事もあります。マンモスは最も広く研究されている氷河期を象徴する動物の1種であるにも関わらず、化石からだけだと、マンモスの生活における静的で特異的でありがちなことしか推測できないため、自然界でのその生活史についてはほぼ分…
ハチの個体数減少に対する農薬の影響に関する研究(Siviter et al., 2021)が公表されました。広範に報告されている花粉媒介者の減少は、世界的に懸念されています。それは、世界の食料安全保障と野生生態系にとっての脅威だからです。ハナバチの個体群に対しそれぞれが単独で有害となる人為的ストレッサー(農薬や寄生虫や栄養的ストレス要…
昆虫のコミュニケーションの起源に関する研究(Schubnel et al., 2021)が公表されました。多くの昆虫は、翅の形や色に加えて、翅が発する音を使って、交尾相手を引き寄せたり、捕食者から逃れたりしています。こうした行動が、いつ、どのようにして進化したのか、まだ分かっていません。それは、コミュニケーションに使われている構造と他…
ブチハイエナの社会構造に関する研究(Ilany et al., 2021)が公表されました。日本語の解説記事もあります。動物の社会的ネットワークの構造はあらゆる社会過程、および健康状態と生存と繁殖成功に重要な役割を果たしているにも関わらず、野生において社会構造を決める一般的な仕組みは依然として解明されていません。社会的相続と呼ばれる提…
シチリア島の絶滅ゾウの小型化過程に関する研究(Baleka et al., 2021)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。島での進化は、小型化や大型化など、比較的短期間でさまざまな表現型の変化を引き起こす可能性がある過程です(島嶼化)。これらの表現型の変化率を調べることは、新たな環境への適応の速度と柔軟性へ…
恐竜の多様性が小惑星の衝突前に減少し始めていた可能性を報告した研究(Condamine et al., 2021)が公表されました。メキシコのチクシュルーブに大型の小惑星が衝突したことが、6600万年前頃となる非鳥類型恐竜の大量絶滅(白亜紀末の大絶滅)の原因だったことについては、幅広い合意があります。しかし、この小惑星が衝突する前に恐…
現代の熱帯多雨林の起源が白亜紀後期の小惑星衝突にさかのぼることを報告した研究(Carvalho et al., 2021)が公表されました。日本語のサイトからの解説記事もあります。6600万年前頃となる白亜紀後期の衝突は、世界中の生態系に壊滅的な被害を及ぼしましたが、熱帯林に及ぼした長期の影響は謎のままでした。これはおもに、熱帯林にお…
ハチを殺虫剤から守れるかもしれない微小粒子に関する研究(Chen et al., 2021)が公表されました。花粉媒介生物は、世界の食料生産のために生態系機能を維持する上で不可欠です。しかし、殺虫剤への曝露は、全世界で花粉媒介生物が減少する主要な原因の一つになっています。有機リン化合物は殺虫剤として広く使用されており、ミツバチやマルハ…
暁新世後期(6600万~5600万年前頃)の哺乳類の足跡化石に関する研究(Wroblewski, and Gulas-Wroblewski., 2021)が公表されました。この研究は、植物と花粉の化石を用いた年代測定により5800万年前頃と決定された区域で1000m以上にわたる足跡化石を調査して撮影し、複数種の行跡を特定しました。1つ…
被子植物の起源に関する研究(Shi et al., 2021)が公表されました。化石証拠から、前期白亜紀または白亜紀の中頃には花を咲かせる植物が存在した、と明らかになっていますが、独立した生物群としての被子植物(顕花植物)の祖先は、明確にそれとは認識できないまでも、そのずっと前から存在した可能性を示す手掛かりが増えつつあります。被子植…
初期中新世のサメ類の大量絶滅に関する研究(Sibert, and Rubin., 2021)が報道されました。日本語の解説記事もあります。研究データによると、今日のサメ類の多様性はかつてのサメ類の多様性のわずか一部に過ぎません。古代の海洋生態系について分かっていることの大半は、岩石と化石記録から得られたもので、そうした試料は一般的に浅…
外来のマングースによる在来のカエルの進化に関する研究(Komine et al., 2021)が公表されました。日本語のサイトからの解説記事もあります。もともと強力な捕食者がいない島の在来種は、あまり「逃げず」、新たに侵入してきた外来の捕食者に簡単に食べられてしまう、と知られています。その中でも、新たな捕食者からうまく逃げられない個体…
アスガルド類古細菌の多様性および真核生物との関係に関する研究(Liu et al., 2021)が公表されました。アスガルド類は最近発見された古細菌の上門で、真核生物に最も近縁な古細菌を含む、と推測されています(関連記事)。真核生物の祖先古細菌がアスガルド上門に属するのかどうか、また、その祖先が他の全ての古細菌類と姉妹群の関係にあるの…
北アメリカ大陸における白亜紀のカメの存在を報告した研究(Adrian et al., 2021)が公表されました。この研究は、アメリカ合衆国テキサス州ウッドバイン層のアーリントン化石主竜類遺跡で発見された曲頸亜目のカメの化石を報告しています。曲頸亜目のカメは、脅威を感じると、首を横に曲げて甲羅に収納します。この研究は、ギリシア語のPl…
恐竜の鳥類に似た特徴の起源を指摘した二つの研究が報道されました。日本語の解説記事もあります。一方の研究(Hanson et al., 2021)は、非鳥類型恐竜・ワニ類・鳥類を含む主竜類群の絶滅種と生存種を対象にその内耳構造を調査し、半規管と蝸牛の形が二足歩行・四足歩行・飛行といった運動能力と高周波音を聞く聴力に関係する、明確なパター…
白亜紀の2種の哺乳形類の掘削性と進化的発生に関する研究(Mao et al., 2021)が公表されました。哺乳形類(Mammaliamorpha)は、トリティロドン類および哺乳類の最終共通祖先と、その全ての子孫から構成されます。トリティロドン類は非哺乳型類(nonmammaliaform)の植食性犬歯類で、後期三畳紀に出現し、ジュラ…
取り上げるのがたいへん遅くなってしまいましたが、チクシュルーブ・クレーターの原因となった小惑星の衝突軌跡に関する研究(Collins et al., 2020)が公表されました。メキシコにあるチクシュルーブ・クレーターの形成につながった約6600万年前の小惑星の衝突は、地球の環境に壊滅的な影響を与え、ほぼ同時期に起きた大量絶滅事象に関…
中新世(2300万~530万年前頃)の巨大海生蠕形動物に関する研究(Pan et al., 2021)が公表されました。この研究は、中新世に形成された台湾北東部の海底層内に保存されていた319点の標本を用いて新しい生痕化石(石中に保存されている巣穴・足跡・植物根による空洞などの地質学的特徴で、古代生物の行動についての結論を導き出せます…
イヌの身体意識に関する研究(Lenkei et al., 2021)が公表されました。これまでの研究から、イヌは共感や社会的学習といった複雑な認知能力を有することが明らかになっていますが、イヌが何らかの形の自己認識を示すのかどうかは分かっていません。この研究は、32匹の飼いイヌに「体が障害物になる」という課題の実験を行なわせました。こ…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、100万年以上前のマンモスのDNA解析結果を報告した研究(Valk et al., 2021)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。古代DNA研究は近年大きく発展しており、人類を含むさまざまな動物遺骸からゲノムデータが得られ、先史時代の人口動態や古代の遺伝子移入事象や絶滅…
ヤツメウナギ類のアンモシーテス(現生ヤツメウナギ類の濾過摂食性の幼生)の進化に関する研究(Miyashita et al., 2021)が公表されました。アンモシーテスは、脊椎動物の祖先に関する仮説に長年影響を与え続けてきました。外見がナメクジウオに似たアンモシーテスから特殊化した捕食性の成体へと変態する、現生ヤツメウナギ類の生活史は…
ハヤブサの飛行の形成要因に関する研究(Gu et al., 2021)が公表されました。北極圏の季節的に好条件となる繁殖地を利用する渡り鳥は数百万羽おり、冬はユーラシア各地で過ごしますが、こうした北極圏に生息する鳥類の渡り経路の形成・維持・未来・渡りの距離の遺伝的決定要因については、ほとんど知られていません。この研究は、ユーラシア大陸…
中期ジュラ紀のハラミヤ類の単孔類様の聴覚器に関する研究(Wang et al., 2021)が公表されました。現生脊椎動物のうち哺乳類は、音波を変換し可聴周波数範囲の拡大(特に高音域)を促進する3つの耳小骨(槌骨と砧骨と鐙骨)の連鎖を有する点で他と区別されます。対照的に、初期の化石哺乳類および近縁動物では、これらと相同の骨は下顎骨との…
コウモリダコ(Vampyroteuthis infernalis)の祖先が漸新世(約3400万~2300万年前)から深海に生息していたことを報告する研究(Košťák et al., 2021)が公表されました。現生種のコウモリダコは、大西洋とインド洋と太平洋の酸素が極端に少ない海域に生息しています。中生代のイカ類の祖先は、大陸棚上の…
巨大なハイギョゲノムから脊椎動物による陸上進出を明らかにした研究(Meyer et al., 2021)が公表されました。ハイギョ類が属する肉鰭類は、デボン紀に陸地を「征服」し、最終的にはヒトを含む全ての陸生脊椎動物を生み出した分類群です。この研究は、あらゆる動物の中で最大のゲノムを持つことが知られているオーストラリアハイギョ(Neo…
海鳥グアノ肥料によりチリのアタカマ砂漠で紀元後1000年頃から農業が発達したことを報告する研究(Santana-Sagredo et al., 2021)が公表されました。この研究は、アタカマ砂漠で得られた紀元前1000~紀元後1800年頃のトウモロコシ・チリペッパー・ウリ・豆類・キヌア・野生地場果実の完全な標本を分析しました。その結…
ハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)の「方言」に関する研究(Barker et al., 2021)が公表されました。日本語の解説記事もあります。ハダカデバネズミは、繁殖を行なう1匹の女家長「女王」が支配する迷路に似た地下コロニーにおいて多世代で生活し、動物界で最も協同的で社会的な集団を形成します。ハダカデバ…
ネオニコチノイド系農薬による鳥類への悪影響に関する研究(Li et al., 2020)が公表されました。鳥類の生物多様性は急速に低下しています。アメリカ合衆国の鳥類の個体数は1970年以降29%減少しており、これは、農業生産における農薬の使用量の増加など、さまざまな要因があるとされています。ニコチンをベースにしたネオニコチノイド系農…
機能的適応地形から予測される四肢の出現時の陸上での移動能力に関する研究(Dickson et al., 2021)が公表されました。四肢類の進化における四肢を使った陸上ロコモーションの獲得は、1世紀以上にわたり議論のテーマとなってきました。水中から陸上へのロコモーションの移行に関する現在の理解はおもに、ティクタアリク(Tiktaali…
中生代哺乳類の社会性に関する研究(Weaver et al., 2021)が公表されました。現在の有胎盤哺乳類には社会性を有するものが多いものの、産卵性哺乳類(単孔類)と有袋哺乳類は相対的に社会性を欠いていることから、哺乳類の祖先は約6600万年前に恐竜が絶滅するまで単独性の生活を送っていた、と考えられてきました。この研究は、アメリカ…
北アメリカ大陸の絶滅したダイアウルフ(Canis dirus)のイヌ科進化史における位置づけについての研究(Perri et al., 2021)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ダイアウルフは、巨大な(約68kg)オオカミのようなイヌ科で、アメリカ大陸の後期更新世大型動物相の最も一般的な絶滅した大型肉食…
シクリッド類の大規模な適応放散の原動力と動態に関する研究(Ronco et al., 2021)が公表されました。適応放散は、生命における生態学的・形態的な多様性の大半の起源と考えられています。適応放散がどのように進行し、何がその規模を決定付けているのかは、多くの場合明らかにされていなません。本論文は、タンザニア西部に位置するタン…
鮮新世温暖期の偏西風に関する研究(Abell et al., 2021)が公表されました。偏西風と呼ばれる中緯度域の西からの卓越風は、表層海洋循環を駆動し、大気と海洋の間の熱交換、運動量交換、炭素交換を調整するのに重要な役割を果たしているため、気候システムの基本的な要素です。最近の研究では、人為起源の強制に応答して偏西風帯が極方向に移…
進化崩壊時計により計測された種分化と絶滅の影響に関する研究(Cuthill et al., 2020)が公表されました。破壊的な大量絶滅が創造的な進化的放散を可能にするという仮説(創造的破壊説)は、大進化の古典的概念の中心となっています。しかし、絶滅と放散が種の共存に及ぼす相対的な影響については、顕生代全体にわたって直接定量的に比較さ…
翼竜類の起源につながる恐竜祖先群についての研究(Ezcurra et al., 2020)が公表されました。翼竜類は動力飛行(羽ばたき飛行)を進化させた最初の脊椎動物で、中生代(約2億5200万~6600万年前)の陸上生態系における主要な進化的放散の一つを構成していましたが、その起源は19世紀以来、古生物学上の未解決の謎であり続けてい…
後期白亜紀の独特な嘴の鳥類に関する研究(O’Connor et al., 2020)が公表されました。中生代(約2億5000万~6500万年前)の鳥類では、サイズや飛行への適応や羽毛の構成に著しい多様性が認められますが、嘴の形状と発達は比較的保存されたパターンを示しています。新鳥亜綱(すなわちクラウン群)の鳥類にも顔の発達への制約は見…