"自然科学"の記事一覧

遺伝的多様性を考慮した多遺伝子得点の正確度

 遺伝的多様性を考慮した多遺伝子得点(Polygenic score、略してPGS)の正確度に関する研究(Ding et al., 2023)が公表されました。PGSは、異なる個体集団間での可搬性が、たとえば、祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)や健康の社会的決定要因などによって限られており、その公平な使用が妨げら…
コメント:0

続きを読むread more

真核生物のアスガルド古細菌内での位置づけ

 真核生物のアスガルド(Asgard)古細菌内での位置づけに関する研究(Eme et al., 2023)が公表されました。真核生物誕生の過程(eukaryogenesis)、つまり祖先原核細胞からの真核細胞の出現を導いた一連の進化事象に関しては、現在議論が続いており、アスガルド上門古細菌のいくつかの構成員が真核生物に最も近縁な古細菌と…
コメント:0

続きを読むread more

シャチの近親交配

 シャチの近親交配と保全への影響に関する研究(Kardos et al., 2023)が公表されました。生物多様性保全のためには、絶滅危惧種の個体数を増加または減少させる要因を理解することがきわめて重要です。保全活動では、環境悪化や乱獲など、絶滅危惧種個体群の回復を制限するような外因的な脅威に対処することが多くなります。近親交配抑制など…
コメント:0

続きを読むread more

原生代における真核生物の痕跡

 原生代における真核生物の痕跡を報告した研究(Brocks et al., 2023)が報道されました。真核生物には、20億年という長い歴史があると考えられていますが、真核生物が繁栄を遂げたのは地球史の意外なほど遅い時期だった、と推測されています。この見解は、原生代の中期(16億~8億年前頃)の海洋堆積物中において真核生物の特徴を持つ化…
コメント:0

続きを読むread more

非鳥類獣脚類恐竜の小型化と大型化

 体の大きさがさまざまな、非鳥類獣脚類恐竜クレード(単系統群)の小型化と大型化に関する研究(D'emic et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。進化の過程で、多くの種がひじょうに大きな体格に進化してきました。動物の進化史において多くの分類群が大型化もしくは小型化し、きわめて近縁の種でも体の大きさに違いが…
コメント:0

続きを読むread more

サメとガンギエイとアカエイへの白亜紀から古第三紀の大量絶滅の影響

 サメとガンギエイとアカエイへの白亜紀から古第三紀の大量絶滅の影響に関する研究(Guinot, and Condamine., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。白亜紀と古第三紀の間(K-Pg)の6600万年前頃に最後の大量絶滅事象が起き【現在、大量絶滅が進行中との見解も有力かもしれません】、地球上の55~76%の…
コメント:0

続きを読むread more

ペルム紀末の大絶滅から急速に回復した海洋生態系

 海洋生態系のペルム紀末の大絶滅からの急速な回復を報告した研究(Dai et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。化石群集の保存状態が良好であることは、深部時間における進化的革新を理解するうえできわめて重要な知見です。現在見られるような海洋生態系の構造は、約2億5200万年前のPTME発生後に出現しました。…
コメント:0

続きを読むread more

雄のケナガマンモスの発情期

 雄のケナガマンモスの発情期に関する研究(Cherney et al., 2023)が公表されました。生体媒質に含まれるホルモンからは、発達や生殖や疾病やストレスに関連する内分泌活動が、さまざまな時間規模で明らかになります。血清からはその時に循環している濃度が得られるのに対し、各種の組織には経時的に蓄積したステロイドホルモンが記録されて…
コメント:0

続きを読むread more

シャチの母親の生活史

 シャチの母親の生活史戦略を検証した研究(Weiss et al., 2023)が公表されました。動物の繁殖戦略はさまざまで、母親が性成熟後の子供の世話をする事例も知られています。たとえばボノボ(Pan paniscus)は、娘よりも息子の世話に熱心で、息子の適応度を上げている、と報告されています(関連記事)。一方、ボノボと最近縁の分類…
コメント:0

続きを読むread more

足の構造から推測される初期獣脚類恐竜の生活様式

 足の構造から初期獣脚類恐竜の生活様式を推測した研究(Pittman et al., 2022)が公表されました。獣脚類は3本指の恐竜の分類群で、ティラノサウルス・レックスやヴェロキラプトルや鳥類が含まれます。現生鳥類の足の形状と大きさは、跳躍、止まり木への着地、浅い水中を歩いて渡ること、遊泳、木登り、把持、摂食様式などの能力に対応する…
コメント:0

続きを読むread more

ハインリッヒイベント型の気候変動の両極への影響

 ハインリッヒイベント(Heinrich Event、略してHE)型の気候変動の両極への影響エピに関する研究(Martin et al., 2023)が公表されました。HEは人類の進化において重要な影響を及ぼした、と考えられています(関連記事)。最終氷期の間、ローレンタイド(Laurentide)氷床では極端な氷山の放出事象が起き、これ…
コメント:0

続きを読むread more

潜水する捕食恐竜の新種

 潜水する捕食恐竜の新種を報告した研究(Lee et al., 2022)が報道されました。この研究は、モンゴルのウムヌゴビ県で出土した化石標本に含まれる遺骸化石を調べて、新種を特定し、ナトベナトル・ポリドントゥス(Natovenator polydontus)と命名しました。この名称は、「多くの歯を持ち、遊泳する狩猟者」という意味です…
コメント:0

続きを読むread more

突進採餌の限界によるミンククジラ類の小さな体

 ミンククジラ類の体の小ささに関する研究(Cade et al., 2023)が公表されました。ヒゲクジラ類は、突進採餌として知られる採餌戦略を用いています。これは、被食者が豊富に含まれている大量の水を高速で口内に取り込み、ヒゲの「ふるい」で濾過することによる戦略です。この採餌法がエネルギー効率に優れるのは、ひとえにヒゲクジラ類が大量の…
コメント:0

続きを読むread more

オーストラリアにおける後期更新世の植生変化

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、オーストラリアにおける後期更新世の植生変化に関する研究(Lopes dos Santos et al., 2013)が公表されました。後期更新世のオーストラリアは、寒冷期にはニューギニア島やタスマニア島などとは陸続きとなりサフルランドを形成していました。オーストラリアでは、ヒトがオーストラリ…
コメント:0

続きを読むread more

マリノアン氷期の海洋生息環境

 6億5400万年~6億3500万年前頃となるマリノアン氷期(Marinoan Ice Age)の海洋生息環境に関する研究(Song et al., 2023)が公表されました。マリノア氷期には、大陸の氷床が熱帯海洋に到達しました。複雑な生命体がマリノアン期の「スノーボールアース(地球全体が完全に氷に覆われた状態)」現象による氷河作用を…
コメント:0

続きを読むread more

孵化直後のゼブラフィッシュの数的能力

 孵化直後のゼブラフィッシュの数的能力に関する研究(Lucon-Xiccato et al., 2023)が公表されました。数的能力は、ヒトだけではなくカワスズメ科やエイの一種などでも確認されており(関連記事)、脊椎動物に広く存在すると考えられます。数的能力の普遍性を説明する興味深い仮説は、すべての脊椎動物が生まれながらにして、数を処理…
コメント:0

続きを読むread more

サルデーニャ島の絶滅イヌ科動物

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、サルデーニャ島の絶滅イヌ科動物に関する研究(Ciucani et al., 2021)が公表されました。イヌは家畜としての歴史が他の種よりはるかに長いと考えられ、現代社会では愛玩動物として家庭で飼育されていることが多く、は現代人にとって最も身近な動物とも言えそうです。そのため、イヌは遺伝学で…
コメント:0

続きを読むread more

島嶼化による人為的絶滅への影響

 島嶼化による人為的絶滅への影響に関する研究(Rozzi et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。島嶼は地球表面のわずか7%足しか占めていませんが、地理的に孤立しているため、特徴的な進化史に伴う多様性が見られます。島嶼環境における重要な進化的形態である島嶼化は、きょくたんな小型分類群や大型分類群のような形…
コメント:0

続きを読むread more

カンブリア紀の化石の見直し

 カンブリア紀の化石の見直しを報告した研究(Yang et al., 2023)が公表されました。多様な動物門とそれらに関連するボディープランは、5億年以上前のカンブリア紀に起こった単一の爆発的進化事象に端を発しています。群体性の「苔動物」である苔虫動物(コケに似た水生無脊椎動物)門はその例外であり、この生体鉱物化するクレード(単系統群…
コメント:0

続きを読むread more

脊椎動物における生殖細胞系列の変異率の違い

 脊椎動物における生殖細胞系列の変異率の違いを報告した研究(Bergeron et al., 2023)が公表されました。生殖細胞系列の変異率は、ゲノム進化の速度を決定する一方で、それ自体が進化する媒介変数でもあります。しかし、変異率に関するこれまでの研究の大半は異なる方法論で単一の種に焦点を合わせたものだったので、その進化が何によって…
コメント:0

続きを読むread more

ブドウの栽培化と進化史

 ブドウの栽培化と進化史に関する研究(Dong et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。人類は栽培化と家畜化により周囲の生物を広範に変化させてきました。ブドウは現代人にとって身近な栽培化された植物であるため関心が高いようで、フランスの鉄器時代から中世までの種子のゲノム解析(関連記事)や、ヨーロッパの葡萄酒…
コメント:0

続きを読むread more

絶滅鳥類の卵殻から得られたミトコンドリアDNA

 絶滅鳥類の卵殻から抽出したミトコンドリアDNA(mtDNA)の解析結果を報告した研究(Grealy et al., 2023)が公表されました。マダガスカル島の絶滅鳥類であるゾウドリについては、化石記録における大きな間隙と骨格標本の生体分子保存性の低さから、その系統分類には依然として議論の余地があります。ゾウドリは空を飛べない大型鳥類…
コメント:0

続きを読むread more

3億1900万年前頃の条鰭類魚類の化石化した脳

 3億1900万年前頃の条鰭類魚類の化石化した脳を報告した研究(Figueroa et al., 2023)が公表されました。脳の構造からは、条鰭類魚類の系統間の類縁関係に関して重要な証拠が得られますが、二つの大きな限界のため、この主要な脊椎動物群の神経解剖学的進化の理解が不明瞭になっています。一方は、最初期に分岐した現生系統がそれらの…
コメント:0

続きを読むread more

ニホンオオカミの遺伝的歴史

 ニホンオオカミ(Canis lupus hodophilax)の遺伝的歴史に関する概説(寺井., 2023)が公表されました。イヌ(Canis lupus familiaris)は恐らくヒトにとって最古の家畜であり、しかもその家畜化の年代は他の動物よりずっと古そうなことから、古代DNA研究も含めてイヌの遺伝学的研究は盛んで、当ブログで…
コメント:0

続きを読むread more

最古のアシナシイモリ類化石

 最古のアシナシイモリ類化石を報告した研究(Kligman et al., 2023)が公表されました。現生の両生類(平滑両生類)は、カエル類(無尾類)とサンショウウオ類(有尾類)から構成されるBatrachia(無尾・有尾類)と、肢がなく蠕虫に似たアシナシイモリ類(無足類)が含まれます。無足類と無尾・有尾類の分岐年代は分子的には古生代…
コメント:0

続きを読むread more

哺乳類の社会組織と寿命との相関

 哺乳類の社会組織と寿命との相関について研究(Zhu et al., 2023)が公表されました。社会性と寿命の関係の解明は、動物の生活史がどのように進化してきたのか、より深い理解を可能にします。哺乳類の社会組織は多岐にわたり、単独生活、つがい生活、さまざまな形態の集団生活が観察されています。また、哺乳類の最長寿命は、トガリネズミの約2…
コメント:0

続きを読むread more

クジラの巨大化をもたらした遺伝子

 クジラの巨大化をもたらした遺伝子に関する研究(Silva et al., 2023)が公表されました。クジラとイルカとネズミイルカにより構成されるクジラ類は約5000万年前に祖先の小型陸生動物から進化し、シロナガスクジラやナガスクジラなどの巨大な代表種を含む、生物の中で最大級とされる水生哺乳類群です。しかし、巨大化は生物学的な不利益(…
コメント:0

続きを読むread more

ジュラ紀のトカゲの頭蓋骨化石

 ジュラ紀のトカゲの頭蓋骨化石に関する研究(Brownstein et al., 2022)が公表されました。有鱗目冠群(トカゲの現生種を含む分類群)の進化初期の化石は、数が少ない上に、通常は保存状態もよくないため、押しつぶされていない最古の骨格材料は、白亜紀(約1億4550万~6550万年前)のものとなっています。ジュラ紀(約2億~1…
コメント:0

続きを読むread more

反芻動物の内耳から推測される過去3500万年間の進化史

 反芻動物の内耳から過去3500万年間の進化史を推測した研究(Mennecart et al., 2022)が公表されました。外来因子と内在因子が多様性に影響を与え、深い時間規模では、気候や地質などの外在的な影響が重要ですが、あまり理解されていません。この研究は、反芻動物の内耳形状を用いて、適応性の低い解剖学的構造と外来的および内発的変…
コメント:0

続きを読むread more

エピジェネティック因子によるマウスの食餌性肥満の継承

 エピジェネティック因子によるマウスの食餌性肥満の継承に関する研究(Hoekzema et al., 2022)が公表されました。妊娠はホルモン状態の大きな変化を伴いますが、それがヒトの神経の構造と機能に及ぼす影響については、ほとんど解明されていません。この研究は、妊娠により引き起こされる脳の変化過程を調べるため、40人の女性を対象とし…
コメント:0

続きを読むread more

ヨーロッパ中央部の家畜ネコの歴史

 ヨーロッパ中央部の家畜ネコの歴史に関する研究(Krajcarz et al., 2022)が公表されました。ヨーロッパ中央部の最近の研究は、ネコの家畜化の歴史に関する認識を変えてきました。本論文は、地中海を越えての家畜ネコ拡大への洞察を提供する目的で、最近の研究が古遺伝学と動物考古学と放射性炭素年代測定を組み合わせた学際的計画の発展に…
コメント:0

続きを読むread more

ハイイロオオカミの寄生虫感染と群れのリーダーになる確率

 ハイイロオオカミ(Canis lupus)の寄生虫感染と群れのリーダーになる確率についての研究(Meyer et al., 2022)が報道されました。この研究は、アメリカ合衆国ワイオミング州のイエローストーン国立公園に生息するハイイロオオカミを調査し、リスクを負う行動とトキソプラズマ症の原因寄生虫であるトキソプラズマ原虫(Toxop…
コメント:0

続きを読むread more

白亜紀の鳥類化石により見直される鳥類の進化

 白亜紀の鳥類化石を報告した研究(Benito et al., 2022)が公表されました。骨口蓋は、現生鳥類の最も古く分岐した2つのクレード(単系統群)であると新顎類(現生鳥類のほぼ全て)と古顎類(ヒクイドリやダチョウやシギダチョウ科など)を判別する特徴です。新顎類は口蓋骨が癒合しておらず、頭蓋が概して動的で、口蓋に関節があるのに対し…
コメント:0

続きを読むread more

最大級のウミガメの化石

 最大級のウミガメの化石に関する研究(Castillo-Visa et al., 2022)が公表されました。既知の最大級のウミガメは、白亜紀末期頃には北アメリカ大陸周辺の海域に生息していました。その一例が、古代に絶滅したアーケロン(Archelon)属で、体長は4.6m、体重は3.2tにまで成長していました。これとは対照的に、既知のヨ…
コメント:0

続きを読むread more

新生代における哺乳類の「進化の減速」

 新生代における哺乳類の「進化の減速」に関する研究(Goswami et al., 2022)が公表されました。日本語の解説記事もあります。最初に地球を歩き回った有胎盤哺乳類は小型で、恐らくハツカネズミやトガリネズミほどの大きさでした。しかし現在判明しているように、哺乳類はヒトの親指ほどのキティブタバナコウモリから海に生きる体長約30m…
コメント:0

続きを読むread more

大型肉食恐竜の狭い眼窩と咬合力の向上

 大型肉食恐竜(獣脚類)の狭い眼窩と咬合力の向上エピに関する研究(Lautenschlager., 2022)が公表されました。この研究は、中生代(2億5200万~6600万年前頃)の爬虫類の化石標本(410点)の眼窩を比較しました。この化石標本には、恐竜とその近縁種(ワニ類など)が含まれていました。その結果、大部分の爬虫類種、とくに草…
コメント:0

続きを読むread more

多様だった鳥類の骨格の進化

 鳥類の骨格の進化の多様性に関する研究(Navalón et al., 2022)が公表されました。進化の速度および様式の変動が現生種の表現型の多様性をどのように構築してきたか、その特徴を明らかにすることは、大進化研究の中心的な目標です。しかし、そうした研究は通常、少数の形質に限定されており、充分な情報は得られていません。鳥類は生態学的…
コメント:0

続きを読むread more

ジュラ紀の骨格化石から推測される爬虫類の進化

 爬虫類の進化解明の手がかりとなるジュラ紀の骨格化石を報告した研究(Tałanda et al., 2022)が公表されました。有鱗目(トカゲ類とヘビ類)は爬虫類の分類群の一つで、1万を超す現生種が含まれており、その祖先動物は、有鱗類に最も近縁な現生動物であるムカシトカゲ類(Sphenodon)の祖先から2億4000万年以上前に分岐しま…
コメント:0

続きを読むread more

脊椎動物における音声コミュニケーションの起源

 脊椎動物における音声コミュニケーションの起源に関する研究(Jorgewich-Cohen et al., 2022)が公表されました。音声コミュニケーションは、多くの脊椎動物の行動(子育てや配偶者の誘引を容易にするための行動など)の基盤となっています。以前の研究で、音声コミュニケーションはいくつかの分類群で独立して進化した、と示唆され…
コメント:0

続きを読むread more

初期恐竜の分布を形成した気候帯

 初期恐竜の分布を形成した気候帯に関する研究(Griffin et al., 2022)が報道されました。中生代および新生代の陸上生態系を形成することになる脊椎動物の系統は、三畳紀のパンゲア超大陸各地で出現しました。この超大陸において、汎存性の「災害動物相」は、後期三畳紀(カーニアン期、約2億3500万年前)までに固有性の高い集合に取っ…
コメント:0

続きを読むread more

初期哺乳類の生活史

 初期哺乳類の生活史に関する研究(Funston et al., 2022)が公表されました。白亜紀末の大量絶滅後、有胎盤哺乳類は急速に多様化して重要な生態的地位を占め、体サイズを増大させましたが、こうした大型化は他の獣類には当てはまりませんでした。この時期に出現した大型草食動物の中では、汎歯目哺乳類が最初期の分類群として知られています…
コメント:0

続きを読むread more

三畳紀の爬虫類の新たな分類

 三畳紀の爬虫類の新たな分類に関する研究(Foffa et al., 2022)が報道されました。翼竜類は動力飛行(羽ばたき飛行)を進化させた最初の脊椎動物で、後期三畳紀に突然出現してから白亜紀末に姿を消すまで、中生代の陸上生態系を構成する主要な動物群でした。しかし、翼竜類の起源と初期進化については、これらの飛行性爬虫類とそれらに最も近…
コメント:0

続きを読むread more

トリケラトプスの闘損傷の証拠

 トリケラトプス(Triceratops horridus)の闘損傷の証拠を報告した研究(D’Anastasio et al., 2022)が公表されました。トリケラトプスは白亜紀の角竜類の恐竜で、頭蓋の頭頂骨と鱗状骨が伸びてできた大きなフリル(襟飾り)を特徴とします。この骨質のフリルについては、別のトリケラトプスとの戦闘中に体を保護し…
コメント:0

続きを読むread more

シルル紀の魚類化石が示す有顎脊椎動物の台頭

 中国南部で新たに発見された前期シルル紀(約4億3900万~4億3600万年前)の大量の保存状態良好な魚類化石を報告した四つの研究が報道されました。分子的研究からは、現生脊椎動物の99.8%以上を占めている、顎口類としても知られている有顎脊椎動物の起源は、遅くとも後期オルドビス紀(約4億5000万年前)だった、と示唆されています。そうし…
コメント:0

続きを読むread more

動物と菌類の起源

 動物と菌類の起源に関する研究(Ocaña-Pallarès et al., 2022)が公表されました。動物と菌類の形態は根本的に異なりますが、両者はオピストコンタ(Opisthokonta)という同じ真核生物の巨大系統群内で進化し、菌類は植物よりも動物の方と近縁です。この研究は、オピストコンタの系統発生できわめて重要な位置を占める4…
コメント:0

続きを読むread more

翼竜の羽毛の色彩パターン

 翼竜の羽毛の色彩パターンエピに関する研究(Cincotta et al., 2022)が公表されました。中生代の化石の保存状態がきわめて良好な軟部組織から、羽毛の進化に関して多大な知見が得られおり、翼竜類の分岐構造を持つ羽毛(ピクノファイバー)に関する新たな証拠から、羽毛が前期三畳紀に翼竜類と恐竜類の祖先である鳥中足骨類(Avemet…
コメント:0

続きを読むread more

ホオジロザメとの競合によるメガロドンの絶滅

 メガロドン(Otodus megalodon)の絶滅の一因はホホジロザメ(Carcharodon carcharias)との競合かもしれない、と指摘した研究(McCormack et al., 2022)が公表されました。動物の栄養水準は生態系内での位置を示しており、食餌は動物の生活様式や生態を理解する上で重要な役割を果たします。動物…
コメント:0

続きを読むread more

パレオスポンディルスと四肢類祖先との類縁性

 パレオスポンディルスと四肢類祖先との類縁性に関する研究(Hirasawa et al., 2022)が公表されました。中期デボン紀のパレオスポンディルス(Palaeospondylus gunni)はきわめて謎の多い化石脊椎動物の一種で、1890年にスコットランドで発見されて以来、その系統的位置は不明なままでした。この化石には奇妙な形…
コメント:0

続きを読むread more

エディアカラン紀の刺胞動物

 エディアカラン紀の刺胞動物に関する研究(Dunn et al., 2022)が公表されました。サンゴやクラゲを含む刺胞動物門という動物群には、疎らながらも古く長い化石記録が存在します。この研究は、イギリスのチャーンウッドの森(Charnwood Forest)で発見された、エディアカラン紀となる約5億6200万~5億5700万年前の刺…
コメント:0

続きを読むread more

鳥類の骨盤の発生過程

 鳥類の骨盤の発生過程に関する研究(Griffin et al., 2022)が公表されました。現生鳥類(鳥綱)の体は、祖先的な爬虫類の状態から著しく変化しています。とりわけその骨盤は、初期の主竜類から現生の鳥類までの移行の中で大きな変化を経てきました。この段階的な変形はきわめて優れた化石記録によりよく立証されていますが、その根底にある…
コメント:0

続きを読むread more