ペルム紀の初期爬虫類のミイラ化した化石を報告した研究(Reisz et al., 2026)が公表されました。肋骨による吸引呼吸は、羊膜類(哺乳類と爬虫類と鳥類およびそれらの共通祖先)が陸域を征服する上で不可欠な進化的新機軸でした。現生の羊膜類は、肋間筋によって生じる吸気と呼気のために、統合された胸郭骨格を用いていますまが、これは、よ…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、真核生物の進化系統樹に関する研究(Williamson et al., 2025)が公表されました。eToL(The eukaryote Tree of Life、真核生物の系統樹)はすべての真核生物の関係を表し、その根は、現生の複雑な生物すべての起源となって、LECA(Last Eukaryoti…
カンブリア紀の新たな軟体節足動物を報告した研究(Lerosey-Aubril, and Ortega-Hernández., 2026)が公表されました。現生の鋏角類は12万種以上からなる著しく多様な節足動物のクレード(単系統群)で、サソリ類やクモ類やダニ類といった生態学的および経済的にきわめて重要な、よく知られた分類群を含んでいます…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、ヘビ類の起源に近いジュラ紀の新たな化石有鱗類を報告した研究(Benson et al., 2025)が公表されました。有鱗類(トカゲ類とヘビ類)は約12000の現生種から構成されており、その生態はひじょうに多様で、クラウン群の起源は約1億9000万年前にさかのぼります。形態的特徴と分子系統学的特徴の…
多細胞化の過程に関する研究(Ros-Rocher et al., 2026)が公表されました。多細胞生物は多くの細胞から構成され、多細胞性は真核生物において独立して複数回進化した、と考えられています。多細胞性には、クローン性(姉妹細胞の分離を伴わない連続的な細胞分裂)と集合(別個の細胞が集合して多細胞体を形成する)という2通りの異なる…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、最古のアンキロサウルス類(ankylosaurs)を報告した研究(Maidment et al., 2025)が公表されました。装甲を持つアンキロサウルス類(曲竜類、鎧竜類)の恐竜は、後期白亜紀の北半球の生態系のものが最もよく知られていますが、前期~中期ジュラ紀におけるその初期進化については、化石記…
統合失調症の集団間の差異に関する研究(Bigdeli et al., 2026)が公表されました。統合失調症および関連する精神病は、あらゆるヒト集団で発生し、「黒人」およびおもにアフリカ系集団で診断率が最も高くなっています。数十年にわたる研究で、統合失調症には高度に遺伝性で多遺伝子性の基盤がある、と明らかにされており、その基盤の多くは…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、大規模群衆によって生み出される振動運動に関する研究(Gu et al., 2025)が公表されました。コンサートやフェスティバルのような密集した群衆は、現代社会における最も危険な環境の一つです。危険は、制御されていない集団運動から生じ、壁への圧迫や窒息や死亡事故につながります。群衆動態に関する現状の…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、マウスにおける鉄欠乏と性別決定についての研究(Okashita et al., 2025)が公表されました。二価鉄(Fe²⁺)は、DNAやタンパク質の脱メチル化のようなさまざまな酸化還元酵素反応に関わっており、あらゆる真核細胞にとって不可欠な要素です。哺乳類における雄の性決定のさいに、発生中の生殖腺…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、モンゴルで発見された白亜紀前期のパキケファロサウルス類を報告した研究(Chinzorig et al., 2025)が公表されました。ドーム状の頭を持つパキケファロサウルス類は、ひじょうに謎めいた恐竜の一群です。頭蓋冠が肥大していて精巧な頭蓋装飾を有するこのクレード(単系統群)の恐竜は、複雑な社会的…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、アルゼンチンで発見された恐竜化石を報告した研究(Hechenleitner et al., 2025)が公表されました。パンゲアの陸上生態系は後期三畳紀(約2億3700万~2億100万年前)に激変し、それが哺乳型類やワニ形類や恐竜類の出現と多様化につながりました。南アメリカ大陸のカーニアン(Carn…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、哺乳類の顎関節の進化に関する研究(Mao et al., 2025)が公表されました。単一の歯骨から構成される下顎と、歯骨の関節丘および鱗状骨の関節窩の間の二次的な頭蓋下顎関節の進化は、脊椎動物におけるきわめて重要な新機軸で、哺乳類を特徴づける形質と考えられてきました。本論文は、二次顎関節の新規な形…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、有顎脊椎動物の姉妹群における頭部と胴部の境界の新規構に関する研究(Miyashita et al., 2025)が公表されました。有顎脊椎動物の起源に関する標準的な仮説では、複雑な感覚系、血流量の多い心臓、開口筋と頭胸部蝶番の統合といった一連の解剖学的な新機軸によって促進された、底生性のグレーザー(…
後期白亜紀ヨーロッパの角竜類を報告した研究(Maidment et al., 2026)が公表されました。後期白亜紀のヨーロッパは群島で、多様性の低さや遺存性や島嶼性矮小化などの島効果で特徴づけられる恐竜動物相が存在しました。この地域の恐竜群集は、典型的なローラシア大陸あるいはゴンドワナ大陸の恐竜類と類縁な分類群と、独自の固有種が独特…
後期更新世~初期完新世のユーラシア西部のイヌのゲノムデータを報告した研究(Marsh et al., 2026)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、ユーラシア西部の後期更新世~初期完新世のイヌの新たなゲノムデータを報告し、遺伝的に均一なイヌ個体群が遅くとも14…
上部旧石器時代以降代のヨーロッパのイヌの新たなゲノムデータを報告した研究(Bergström et al., 2026)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、旧石器時代および中石器時代のヨーロッパの216点のイヌ科遺骸を分析し、そのうち141点でオオカミ(ハイイ…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、獣脚類の手根に関する研究(Napoli et al., 2025)が公表されました。鳥類の手根(手首)には複雑な進化史があり、それには手根骨の縮小を伴っていたことが以前から知られていて、最近では、1個の手根骨(尺側手根骨)の別の手根骨(豆状骨)によるトポロジカルな置き換わりが含まれることも示されてい…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、指の進化に関する研究(Hintermann et al., 2025)が公表されました。椎動物の進化における鰭から肢への移行は、発生がいかに進化的変化の基盤となっているかに関する研究の中核となってきました。この文脈では、新しい特徴の起源を説明するために、Hox遺伝子調節の機能解析を用いた進化の軌跡の…
真核生物の進化に関する二つの研究が公表されました。一方の研究(Kay et al., 2026)は、遺伝子重複の年代推定から真核生物の進化史を明らかにしています。生命の歴史において、真核生物の起源は形成的であるもののあまり理解されていない事象です。真核生物の誕生(eukaryogenesis)に関して現在提唱されている仮説には、おもに…
カンブリア紀の脊椎動物の眼に関する研究(Lei et al., 2026)が公表されました。脊椎動物の視覚はおもに、側方にある一対の像形成カメラ眼が担っており、非哺乳類脊椎動物では、背側の松果体複合体(松果体および副松果体)が、光受容器官および/もしくは内分泌器官として機能することで、これを補完しています。松果体複合体は、側方眼と共通…
チーターの古代ゲノムデータを報告発見した研究(Boug et al., 2026)が報道されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、サウジアラビアの複数の洞窟で発見されたチーターのミイラ化を含めた遺骸から得られた古代ゲノムを分析し、最新の1個体がアジアチーターと遺伝的にクラ…
硬骨魚類の起源に関する二つの研究が公表されました。一方の研究(Zhu et al., 2026)は、前期シルル紀の地層から発見された、関節がつながった最古の硬骨魚類標本を報告しています。硬骨魚類は肉鰭類と条鰭類から構成されており、現生脊椎動物の生物多様性の大部分を占めますが、それらのデボン紀以前の化石記録は依然として少なく、断片的です…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、既知で最古の鱗竜類と鱗竜類の摂餌適応の起源に関する研究(Marke et al., 2025)が公表されました。鱗竜類は、陸上に生息する脊椎動物の中で最も種数の多い生物群である。この生物群には、約1万2000種のトカゲ類とヘビ類(有鱗類)、およびニュージーランドに生息する1種のムカシトカゲ類(Sph…
小型ティラノサウルスの化石を報告した研究(Zanno, and Napoli., 2025)が公表されました。ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)は、絶滅した脊椎動物の中で最も研究が進んでいる動物の一種で、恐竜の古生物学のモデル系です。最後まで生き残った非鳥類型恐竜の一種として、ティラノサウルスは、地球の生…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、真核生物の起源に関する研究(Zhang et al., 2025)が公表されました。アスガルドアーキアの形態と生理とゲノミクスの研究によって、真核生物の進化史に関する貴重な手がかりが得られています。以前の研究で、真核生物は古細菌のヘイムダルアーキア綱(Heimdallarchaeia)内に含まれる、…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、全ゲノム重複による多細胞の適応進化についての研究(Tong et al., 2025)が公表されました。WGD(Whole-genome duplication、全ゲノム重複)は真核生物全体に広く見られる現象で、適応進化を促進することがあります。しかし、新たに形成された倍数体ゲノムの不安定性を考える…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、最古級の始祖鳥の特徴に関する研究(O’Connor et al., 2025)が公表されました。本論文は、始祖鳥(Archaeopteryx)の、ほぼ完全で押しつぶされていない状態の14例目の標本を報告します。この標本は、シカゴ・フィールド自然史博物館(Chicago Field Museum of…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、三畳紀の爬虫類の皮膚付属器を報告した研究(Spiekman et al., 2025)が報道されました。鳥類の羽毛や哺乳類の毛のような複雑な外皮付属器は、四肢類の進化において重要な役割を果たしており、断熱や感覚やディスプレイや飛行に不可欠な機能を有しています。羽毛と毛はそれぞれ鳥類と哺乳類のステム系…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、バルト海の孤島の先史時代のオオカミのゲノムデータを報告した研究(Girdland-Flink et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、バルト海の孤島で発見された後期新石器時代と青銅器時代のイヌ科2個体の…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、古代ゲノムデータからヨーロッパへのイエネコの到来時期を検証した研究(De Martino et al., 2025)が報道されました。日本語の解説記事もあります。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、おもにアフリカ北部とユーラシア西部の古代およ…
分子生物学的データに基づいて後期更新世の日本列島におけるホラアナライオンの存在を報告した研究(Sun et al., 2026)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。ライオンとトラは後期更新世に広く分布していた頂点捕食者で、アジア東部の大型動物相の不可欠な構成要素でした。…
ナウマンゾウのミトコンドリアDNAを報告した研究(Segawa et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。パレオロクソドン属の絶滅種であるナウマンゾウは日本列島に分布し、後期更新世後半に絶滅しました。本論文は、ナウマンゾウのミトコンドリアDNAを報告…
中国で発見されたネコ科動物遺骸のゲノムデータを報告した研究(Han et al., 2026)が報道されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、黄河流域を中心に、おもに現在の中華人民共和国北部の遺跡で発見されたネコ科動物のゲノムを解析し、ベンガルヤマネコが遅くとも5400年…
カルパチア盆地の中期青銅器時代のウマ1頭の新たなゲノムデータを報告した研究(Gerber et al., 2025)が公表されました。本論文は、ハンガリー南部の遺跡で発見された中期青銅器時代のウマ1頭の新たなゲノムデータから、現在の家畜ウマの系統とは異なる系統がカルパチア盆地において長期間存続していたことを明らかにしています。青銅器時…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、新種のティラノサウロイド恐竜を報告した研究(Voris et al., 2025)が報道されました。ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)を含むエウティラノサウルス類(Eutyrannosaurians)は、白亜紀の末期(6600万年前頃)までアジアと北アメリカ大陸の陸上動…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、アラビア半島の過去800万年間の環境を報告した研究(Markowska et al., 2025)が報道されました。サハラ・アラビア砂漠は地球上において最大の生物地理学的障壁の一つで、過去の人類の移動など、アフリカ大陸とユーラシア大陸の間の分散を妨げてきました。最近の研究は、この障壁が少なくとも11…
ヨーロッパ中央部における中期~後期更新世のカバ(Hippopotamus amphibius)の存在を報告した研究(Arnold et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、ドイツのライン川上流のグラーベン(Graben)のアイヒ(Eich)…
メキシコで発見されたコロンビアマンモスのミトコンドリアゲノムを報告した研究(Arrieta-Donato et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。マンモスは寒冷な環境に生息していたため、古代DNA研究が盛んですが、メキシコのような温暖地域のマンモス…
脊椎動物の歯の起源と感覚外骨格の進化に関する研究(Haridy et al., 2025)が公表されました。歯の祖先構造や象牙質組織(初期脊椎動物の新規性)についての最古の記録は、アナトレピス・ヘインツィ(Anatolepis heintzi)として記載報告されたカンブリア紀の断片的な化石ですが、その解釈については議論があります。アナ…
イベリア半島の古代のウマのゲノムデータを報告した研究(Garrido et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、イベリア半島およびより広く地中海地域の古代のウマのゲノムデータを既知の古代と現代のウマおよびプシバルスキーウマ(Equus fe…
アジア東部におけるウシ属の遺伝的混合に関する解説(Ward, and MacHugh., 2025)が公表されました。ウシ属は家畜として完新世の人類史において重要な役割を果たしており、地域によって異なる遺伝的混合を示しているようで、本論文は、近年のアジア東部におけるウシ属の遺伝的混合について、古代ゲノム研究も含めて近年の研究を取り上げ…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、シルル紀の軟体動物に関する研究(Sutton et al., 2025)が公表されました。軟体動物門は種数が2番目に多い動物門ですが、その初期進化の道筋は完全には解明されておらず、長らく論争の的でした。長期にわたって存在してきたこのきわめて多様な動物群の過去の形態のうち、現代の動物相に残っているもの…
ジュラ紀の鉤頭虫類化石を報告した研究(Luo et al., 2025)が公表されました。鉤頭動物門(鉤頭虫類)は、鉤を有する反転可能な吻の存在を特徴とする、広範な脊椎動物および無脊椎動物に感染する多様な内部寄生動物群です。鉤頭動物門は、長く独立した門とされてきましたが、形態的特徴に基づく姉妹分類群の候補は、扁形動物門(扁虫類)や鰓曳…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、社会的恒常性の基盤エピに関する研究(Liu et al., 2025)が公表されました。ヒトを含めた多くの動物種において、社会的な集団形成は生存に有利に作用します。逆に、社会的隔離は、「孤独」という有害な状況を作り出し、それによって他者との接触を求める動機が高まり、再会時に社会的相互作用が増えます。…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、革新的な形質の不安定さによる多様化の促進に関する研究(Peoples et al., 2025)が公表されました。系統が多様化する速度は生命の系統樹全体で大きく異なりますが、それは多くの場合、進化的新機軸によるものです。新たな形質を生み出す能力はクレード(単系統群)間で異なり、生態学的移行を引き起こ…