"自然科学"の記事一覧

後期ジュラ紀の最初期の短尾鳥類

 後期ジュラ紀(約1億5020万~1億4990万年前)の最初期の短尾鳥類に関する研究(Chen et al., 2025)が公表されました。近年の大進化研究では、初期鳥類の多様化がジュラ紀に起きた、と推測されていますが、ジュラ紀の鳥類の確かな化石記録は始祖鳥(Archaeopteryx)のみで、また、始祖鳥をデイノニコサウルス類恐竜に分…
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白亜紀後期の初期鳥類の生態的多様性

 白亜紀後期(6920万~6840万年前頃)の初期鳥類の生態的多様性関する研究(Torres et al., 2025)が公表されました。白亜紀のクラウン群鳥類(鳥綱)系統の化石記録は、極めてまれだが、初期鳥類の複数の分岐にわたる主要な生態的変化を解明する上で非常に重要である。クラウン群鳥類と推定される既知で最初期の鳥類の一種であるヴェ…
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雌マウスにおける母親由来のX染色体の認知機能および脳の老化への影響

 雌マウスにおける母親由来のX染色体の認知機能および脳の老化への影響に関する研究(Abdulai-Saiku et al., 2025)が公表されました。哺乳類の雌の細胞には2本のX染色体があり、一方は母親に、もう一方は父親に由来します。発生中に片方のX染色体が無作為に不活性化され、その結果、母親由来のX(Xₘ)染色体あるいは父親由来の…
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トマトの甘み

 トマト(Solanum lycopersicum)の甘みに関する研究(Zhang et al., 2024)が公表されました。トマトは糖度が消費者の嗜好と強く相関しており、大抵の消費者は甘い果実を好みます。しかし、糖度は果実の大きさとは逆相関しており、生産者は味の質よりも収量を優先するため、商業品種は全般的に糖度が低くなっています。本…
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オタマジャクシの起源

 オタマジャクシの起源に関する研究(Chuliver et al., 2024)が報道されました。無尾類は、水生の幼生期(オタマジャクシ)とそれに続く成体期(カエル)からなる二相性の生活環を特徴とし、幼生期から成体期へは、形態と生理が劇的に変化する変態期を介して移行します。現生のオタマジャクシは形態がたいへん多様で、生態学的にも重要な存…
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味でヒトを認識する蚊

 蚊が味でヒトを認識することについての研究(Baik et al., 2024)が公表されました。昆虫の行動には味覚系によって制御されているものが多いものの、蚊において、味物質がどのように符号化され、そうした物質が必須な行動をどのように調節しているのかについては、ほとんど知られていません。本論文は、侵略性の高い疾病媒介蚊であるヒトスジシ…
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クラインフェルター症候群の男性不妊

 クラインフェルター症候群(Klinefelter syndrome、略してKS)の男性不妊に関する研究(Lu et al., 2024)が公表されました。X連鎖遺伝子の遺伝子量は、胎児生殖細胞(fetal germ cell、略してFGC)の発生とともに正確に調節されます。しかし、ヒトでのX連鎖遺伝子の遺伝子量異常が、FGCの発生を損…
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チベット高原の古代のウイルスのゲノム

 チベット高原の古代のウイルスのゲノムを報告した研究(Zhong et al., 2025)が公表されました。氷河は、微生物を含めて、気候と生態系に関する時系列情報を保管しており、その氷を採取することで、これらの微生物群集の多様性に影響を与える要因を、数百年から数千年の期間にわたって評価する機会が得られます。長期間にわたる生態系の変化を…
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恐竜の消化物の分析

 恐竜の消化物の分析結果を報告した研究(Qvarnström et al., 2024)が公表されました。化石記録によると、恐竜は三畳紀中期(約2億4700万~2億3,700万年前)に進化していた、と分かっています。しかし、恐竜が陸上生態系を支配するようになったのは、その約3000万年後のジュラ紀初期以降で、この間に恐竜以外の四肢動物(…
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ホラアナライオンの進化史

 ホラアナライオン(Panthera spelaea)の進化史に関する概説(Nedoluzhko et al., 2024)が公表されました。ホラアナライオンはヒョウ属の絶滅種で、同じヒョウ属の現生種であるライオン(Panthera leo)やトラ(Panthera tigris spelaea)への一般的関心が高いこともあり、絶滅した…
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アジア東部におけるオーロックスの進化と遺伝的影響

 アジア東部におけるオーロックス(Bos primigenius)の進化とその遺伝的影響に関する研究(Hou et al., 2024)が公表されました。オーロックスは現在地球上の哺乳類の生物量の約1/3を占めていると推定されている家畜ウシ(Bos taurus)の祖先で、野生種としては17世紀に絶滅した、と考えられています。本論文は、…
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オーロックスの進化史

 古代ゲノムデータを用いたオーロックス(Bos primigenius)の進化に関する研究(Rossi et al., 2024)が公表されました。オーロックスは現在地球上の哺乳類の生物量の約1/3を占めていると推定されている家畜ウシ(Bos taurus)の祖先で、野生種としては17世紀に絶滅した、と考えられています。本論文は、ユーラ…
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変動する選択から明らかになる適応の繊細さ

 変動する選択から適応の繊細さを明らかにした研究(Bitter et al., 2024)が公表されました。時間的に変動する環境条件は、自然生息地に普遍的な特徴です。しかし、自然個体群が、集団内に存在する遺伝的多様性の変化を通して、変動する選択圧に対してどの程度の細かさで適応的に追従しているのかは不明です。この研究は、大規模に複製された…
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ヨーロッパにおける中世以降のジェット気流の農耕への影響

 ヨーロッパにおける中世以降のジェット気流の農耕への影響に関する研究(Xu et al., 2024)が公表されました。ジェット気流は、北半球中緯度域における気候変動の重要な動的駆動要因である。北大西洋–ヨーロッパ域ジェット気流緯度(jet stream latitude in the North Atlantic–European s…
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ライオンの歯に挟まっていた毛から得られた獲物のDNA

 ライオンの歯に挟まっていた毛から得られた獲物のDNA解析結果を報告した研究(Flamingh et al., 2024)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、ケニアの1890年代にツァボライオン(Tsavo lion)の歯に挟まっていた獲物の毛のDNA解析から、キリンやヒトやウォーターバックやヌーや…
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哺乳類の顎関節の起源

 哺乳類の顎関節の起源に関する研究(Rawson et al., 2024)が公表されました。荷重を支える歯骨–鱗状骨間の顎関節の獲得は、哺乳類進化における重要な段階の一つでした。この新機軸は数十年にわたって研究されてきましたが、哺乳類様の頭蓋–顎間接触が進化した時期や頻度に関しては不明な点が残っており、その解明は、非哺乳型類のキノドン…
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ハイギョ類の進化

 ゲノム解析によるハイギョ類の進化についての研究(Schartl et al., 2024)が公表されました。現生ハイギョ類のゲノムは、デボン紀における肉鰭類魚類から四肢類への移行の分子発生的な基盤に関して情報をもたらすことができます。この研究は、アフリカハイギョの一種であるプロトプテルス・アネクテンス(Protopterus anne…
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パン用コムギの進化史

 パン用コムギの進化史に関する研究(Cavalet-Giorsa et al., 2024)が公表されました。パンコムギ(Triticum aestivum)は世界的な主要作物で、ヒトの食餌における重要なカロリー源およびタンパク質源となっています。現在のパンコムギは、倍数化や栽培化や育種のボトルネック(瓶首効果)に起因して、野生祖先種よ…
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チベット高原の紀元前二千年紀のウシ属のゲノムデータ

 チベット高原の紀元前二千年紀のウシ属のゲノムデータを報告した研究(Chen et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国青海省海西モンゴル族チベット族自治州都蘭(Dulan)県の諾木洪(Nuomuhong)文化に属する関鍵詞為(Tawendaliha)遺跡で発見され、ウシ属遺骸3個体のゲノム解析によって、他のウ…
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抽象的表現の神経学的基盤

 抽象的表現の神経学的基盤に関する研究(Courellis et al., 2024)が公表されました。ヒトは、変化する環境に素早く適応できる、卓越した認知能力を有しています。この能力の中心にあるのは高水準の抽象的表現を形成する能力で、外界に存在する規則性を利用して一般化を支えています。しかし、こうした表現が、神経細胞集団中でどのように…
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カンブリア紀の真節足動物の幼生化石

 カンブリア紀の真節足動物の幼生化石を報告した研究(Smith et al., 2024)が公表されました。カンブリア紀の真節足動物の放散は適応性のあるボディープランに起因する、と考えられます。その複雑な脳と特殊化した摂食用付属肢は、連続的な繰り返し構造を持つ器官系と関節のある付属肢がより精緻化したもので、真節足動物の広範な生態学的環境…
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初期の小型哺乳類の成長

 初期の小型哺乳類の成長に関する研究(Panciroli et al., 2024)が公表されました。現生の哺乳類群は通常、幼体期に急速に成長し、成体期には成長が停止します。成体の体格が小さい種は一般的に、体格の大きい種よりも発育が早く、成熟が若く、寿命が短く、出産数が多くなります。一方で、最初期の哺乳型類(哺乳類およびそれらにごく近縁…
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野生アフリカゾウの「名前」での呼びかけ

 野生アフリカゾウ(Loxodonta africana)の「名前」での呼びかけに関する研究(Pardo et al., 2024)が公表されました。個体名はヒト系統の普遍的特徴ですが、他の種には類例がほとんど存在しません。非ヒト動物では、イルカやオウムは相手の呼びかけを模倣して同種に呼びかけるのに対して、ヒトの名前は名指しされた個体が…
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三畳紀のワニに似た小型爬虫類

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、三畳紀(約2億5200万年前~2億100万年前)のワニに似た小型爬虫類に関する研究(Müller., 2024)が公表されました。恐竜類や翼竜類の出現以前の三畳紀において、ワニ系統の爬虫類である偽鰐類が陸上生態系を支配していました。当時の四足爬虫類の一般的な形態だったこの系統は、いくつかのさほど包括…
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氷河の後退で出現した陸上生態系の発達

 氷河の後退で出現した陸上生態系の発達に関する研究(Ficetola et al., 2024)が公表されました。氷河の全球的な後退は山岳および高緯度地域の景観を劇的に変化させつつあり、一見不毛な土地から新たな生態系が発達しています。こうした新たに出現した生態系に関する研究は、気候変動が微小生息地や生物群集とどのように相互作用し、氷の消…
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最終氷期極大期に現在より深かった北大西洋亜熱帯循環

 最終氷期極大期(Last Glacial Maximum、略してLGM)において北大西洋亜熱帯循環は現在よりも深かったことを報告した研究(Wharton et al., 2024)が公表されました。亜熱帯循環(Subtropical gyre、略してSTG)の深さと強度は、風応力カールと海面浮力強制により制御されています。現在の海洋観…
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家畜番犬の進化史

 家畜番犬(Livestock guarding dog、略してLGD)の進化史に関する研究(Coutinho-Lima et al., 2024)が公表されました。本論文は、現代と古代のイヌ(Canis lupus familiaris)のゲノムデータを用いて、LGDの進化史を検証しました。その結果、現代のLGD品種は2系統に分かれ、…
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現代人の遺伝子発現の差異

 現代人の遺伝子発現の差異に関する研究(Taylor et al., 2024)が公表されました。遺伝子発現やスプライシングに影響を及ぼす遺伝的多様性は、表現型の多様性の重要な要因です。これらの結びつきをヒトにおいて調べる研究はひじょうに貴重ですが、参加者がヨーロッパ系に大きく偏っているため、これが一般化の制約となり、進化研究を妨げてい…
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初期の四肢類の地理的分布

 初期の四肢類の地理的分布に関する研究(Marsicano et al., 2024)が公表されました。四肢類の初期進化に関する現在の仮説では、石炭紀の古赤道の石炭を生成した、広範な湿地との密接な生態学的および生物地理的関係を前提としており、太古の四肢類群は後期石炭紀(約3億700万年前)に現代の羊膜類および平滑両生類の近縁動物によって…
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アメリカ合衆国の退役軍人の大規模なゲノムデータ

 アメリカ合衆国の退役軍人の大規模なゲノムデータを報告した研究(Verma et al., 2024)が公表されました。日本語の解説記事もあります。GWAS(genome-wide association studies、ゲノム規模関連研究)から得られた調査結果は、疾患の遺伝学的基礎の基本的知識を提供し、予防と治療のための精密な手法を促…
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言語理解時の意味の符号化

 言語理解時の意味の符号化を単一細胞分解能で追跡した研究(Jamali et al., 2024)が公表されました。ヒトは、言語音や文字の列から、言語を介して豊かで微妙な差異を含む意味を抽出できます。この能力は、ヒトの意思疎通に必須です。しかし、言語や意味の処理を支える脳領域についての理解が進んだ今でも、細胞水準かつ活動電位の時間規模で…
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絶滅前のケナガマンモスの歴史(追記有)

 古代ゲノムデータから絶滅前のケナガマンモス(Mammuthus primigenius)の歴史を推測した研究(Dehasque et al., 2024)が公表されました。本論文は、ランゲル(ウランゲリ)島(Wrangel Island)を中心に、シベリアのケナガマンモスの古代ゲノムデータから、ケナガマンモスが絶滅前にどのような個体群…
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23億年前の大気と海洋の連結した酸素化の開始

 23億年前の大気と海洋の連結した酸素化の開始に関する研究(Ostrander et al., 2024)が公表されました。25憶年前の太古代から原生代への移行期の直後における分子状酸素(O₂)の最初の増加は、かつて想定されていたような単一段階の変化よりも複雑なものでした。硫黄の質量非依存分別の記録は、この大気中O₂の増加が振動的で、お…
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ヒトマラリアの歴史

 ヒトマラリアの歴史に関する研究(Michel et al., 2024)が公表されました。マラリアの原因となるプラスモジウム属(Plasmodium)の原虫は、過去にはヒトゲノムに対してひじょうに強力な選択圧を及ぼしてきており、抵抗性アレル(対立遺伝子)は、これらの原虫種の歴史的な広がりの概要を示す生体分子的な足跡となっています。しか…
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女性のX染色体のモザイク喪失

 女性のX染色体のモザイク喪失に関する研究(Liu et al., 2024)が公表されました。X染色体のモザイク喪失(Mosaic loss of the X chromosome、略してmLOX)は、女性の白血球で最もよく見られる体細胞性のクローン変化ですが、その遺伝的決定要因や表現型の結果については、ほとんど分かっていません。本論…
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エディアカラ紀後期のクラウン群海綿動物

 エディアカラ紀後期のクラウン群海綿動物を報告した研究(Wang et al., 2024)が公表されました。海綿動物は最も祖先的な後生動物門で、新原生代の海洋の酸化還元構造の調節において重要な役割を果たしたかもしれません。分子時計からは、海綿動物が新原生代に分岐した、と予測されていますが、カンブリア紀以前の海綿動物化石は明確に実証され…
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左利きと関連する遺伝的多様体

 左利きと関連する遺伝的多様体についての研究(Schijven et al., 2024)が公表されました。左利きのヒトは全体の約10%で、すでにホモ・ハビリス(Homo habilis)において右利きの個体が確認されており(関連記事)、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)においても右利きが圧倒的に多かっただ…
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雄マウスの仔育てに影響を及ぼすかもしれない副腎細胞の進化

 副腎細胞の進化による雄マウスの仔育てへの影響についての研究(Niepoth et al., 2024)が公表されました。特殊化した機能を持つ細胞の種類は動物の行動を根本的に調節しますが、新たな種類の細胞の出現や、それらが行動に及ぼす影響の根底にある遺伝学的機構はよく分かっていません。本論文は、両親が仔の世話をする一夫一妻(単婚、一雄一…
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バオバブの進化史

 バオバブの進化史に関する研究(Wan et al., 2024)が公表されました。バオバブの木(アダンソニア属の高木類)は、その印象的な形状と、動物相との独特な関係性から、きわめて大きな注目を集めてきました。目を見張るようなこれらの木々はまた、人類の文化にも影響を及ぼし、無数の芸術や伝説、伝統に着想を与えてきており、アフリカの象徴的な…
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鳥類の進化の複雑さ

 科の水準でのゲノム解析から鳥類の進化の複雑を示した研究(Stiller et al., 2024)が公表されました。鳥類の主要な系統間の関係については、過去数十年にわたる多大な努力にも関わらず、明確な解決策がないまま、依然として激しい議論が続いています。こうした見解の相違は、標本種の多様性、系統発生学的な方法、ゲノム領域の選択に起因す…
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牛乳摂取量と2型糖尿病との関連

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、牛乳摂取量と2型糖尿病(type 2 diabetes、略してT2D)との関連についての研究(Luo et al., 2024)が公表されました。牛乳はヒトの食性に含まれることが多いものの、牛乳摂取量と2型糖尿病との間の関係には依然として議論の余地があります。ラクターゼ(Lactase、略してLCT…
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仔の適応度に影響を与える父系微生物叢の乱れ

 父系微生物叢の乱れによる仔の適応度への影響に関する研究(Argaw-Denboba et al., 2024)が公表されました。腸内微生物叢は、宿主と環境が相互作用する境界面で作用し、ヒトの恒常性や代謝網に影響を及ぼします。したがって、腸内の微生物生態系の均衡を乱す環境因子は、体細胞組織全体にわたる生理学的応答および疾患関連応答を形作…
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脊椎動物の黎明期の神経冠に起源がある交感神経系

 交感神経系の起源に関する研究(Edens et al., 2024)が公表されました。神経冠は脊椎動物に固有の胚性幹細胞集団で、脊椎動物の進化は、その拡大と多様化により、新たな細胞の種類と顎や末梢神経節などの新規構造の出現が可能になったことで促進された、と考えられています。無顎脊椎動物にも感覚神経節はありますが、体幹の交感神経鎖につい…
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片親起源効果の根底にある利己的な対立

 片親起源効果(parent-of-origin effect)を進化させた機構に関する研究(Pliota et al., 2024)が公表されました。ゲノムインプリンティングは、母親由来ゲノムと父親由来ゲノムが同等でなくなる現象で、多くの植物種および哺乳類種において独立に進化してきた重要な過程です。親族理論によれば、インプリンティング…
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ドクチョウの同所的な雑種種分化

 ドクチョウ属(Heliconius)の同所的な雑種種分化に関する研究(Rosser et al., 2024)が報道されました。雑種形成は、複数の系統間での適応の共有を許容し、新たな種の進化を引き起こす可能性があります。しかし、同倍数体雑種種分化の説得力のある例はいまだに稀で、これは、生殖隔離を生じさせるのに雑種形成が不可欠であること…
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アラビカコーヒーノキの遺伝的歴史

 アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)の遺伝的歴史に関する研究(Scalabrin et al., 2024)が公表されました。最近の異質四倍体種であるアラビカコーヒーノキは、世界のコーヒー生産量の約60%を支えています。市販のコーヒーは、おもにロブスタコーヒーノキ(Coffea canephora)とアラビカコーヒーノ…
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喫煙開始年齢と脳容量の関係

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、喫煙開始年齢と脳容量の関係についての研究(Xiang et al., 2023)が公表されました。青年期におけるタバコの喫煙は差し迫った公衆衛生上の問題です。喫煙は世界的に成人の死亡原因の第1位で、全世界の喫煙に関連した死者数は2030年の時点で年間800万人に達する、と予測されています。これまでの…
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哺乳型類の最初期の歯の多様化

 中国で発見されたジュラ紀の新種の化石哺乳類を報告した研究(Mao et al., 2024)が公表されました。シュオテリウム類は、下顎臼歯において偽タロニッドがトリゴニッドの前方にある偽トリボスフェニック型の歯を有するジュラ紀の哺乳型類(mammaliaform)で、この特徴は、タロニッドがトリゴニッドの後方にあるトリボスフェニック型…
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野生の雌のブチハイエナにおける社会的地位のエピジェネティックな痕跡

 野生の雌のブチハイエナ(Crocuta crocuta)における社会的地位のエピジェネティックな痕跡に関する研究(Vullioud et al., 2024)が公表されました。哺乳類社会では、社会的地位が健康と繁殖実績と生存につながります。ハイエナは、地位の高い雌による地位の低い雌の支配によって強制される社会的階層を形成しており、これ…
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カカオの栽培化の拡大

 カカオ(Theobroma cacao)の栽培化の拡大に関する研究(Lanaud et al., 2024)が公表されました。ヒトには植物の輸送と交易の長い歴史があり(関連記事)、栽培化された植物の進化に寄与してきました。カカオは南アメリカ大陸の新熱帯区に起源があり、その現生系統は世界で最も重要な作物の一つで、その果実の中の種子(カカ…
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