"古人類学"の記事一覧

アルタイ地域のネアンデルタール人の石器群と行動

 アルタイ地域のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の石器群と行動に関する研究(Kolobova et al., 2024)が公表されました。本論文は、アルタイ地域のネアンデルタール人の所産と考えられる石器群から、ネアンデルタール人の行動を推測しています。アルタイ地域のネアンデルタール人は、恐らくヨーロッパ東…
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ソコトラ島の前近代の人類遺骸のゲノムデータ

 ソコトラ島の前近代の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Sirak et al., 2024)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、現在イエメン領となっている、インド洋北西部のソコトラ島の650~1750年頃の人類遺骸のゲノムデータを報告しています。本論文は、これらソコトラ島の前近代人類が、レヴァ…
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ドイツの初期現生人類の年代とミトコンドリアDNA

 ドイツで発見された初期現生人類(Homo sapiens)の年代とミトコンドリアDNA(mtDNA)を報告した研究(Mylopotamitaki et al., 2024)が公表されました。この研究を含めて、ドイツのテューリンゲン州(Thuringia)のオーラ川(Orla River)流域に位置するラニス(Ranis)のイルゼン洞窟…
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鉄器時代以降のヨーロッパの安定した人口構造

 ヨーロッパの歴史時代の人類遺骸から得られた新たなゲノムデータを報告した研究(Antonio et al., 2024)が公表されました。本論文は、ヨーロッパと地中海地域の歴史時代の人類遺骸から得られた新たなゲノムデータを既知のゲノムデータとともに分析し、ユーラシア西部において歴史時代には人類の高い移動性が見られるものの、ユーラシア西部…
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ドイツで発見された初期現生人類の解説

 ドイツで発見された初期現生人類(Homo sapiens)の複数の研究に関する解説(Curry., 2024)が公表されました。この解説記事は、ドイツのテューリンゲン州(Thuringia)のオーラ川(Orla River)流域に位置するラニス(Ranis)のイルゼン洞窟(Ilsenhöhle)で発見された、初期現生人類に関する複数の…
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黒死病前後のイングランドの人類集団の局所的な遺伝的歴史

 黒死病前後のイングランドの人類集団の局所的な遺伝的歴史を報告した研究(Hui et al., 2024)が公表されました。ペスト菌(Yersinia pestis)を原因とする黒死病はユーラシアにおいて人類に大きな打撃を与えてきており、中でも14世紀のヨーロッパにおける大流行は当時のヨーロッパ社会にとって大打撃となり、その後の歴史に大…
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アフリカにおけるバントゥー諸語話者の拡大

 現代人と古代人のゲノムデータからアフリカにおけるバントゥー諸語話者の拡大を推測した研究(Fortes-Lima et al., 2024)が公表されました。本論文は遺伝学的観点から、アフリカにおけるバントゥー諸語話者拡大の様相を検証しています。本論文は、これまでゲノムデータが得られていなかったバントゥー諸語話者117集団も対象としてお…
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ギガントピテクス・ブラッキーの絶滅要因

 古環境の変化からギガントピテクス・ブラッキー(Gigantopithecus blacki)の絶滅要因を推測した研究(Zhang et al., 2024)が報道されました。ギガントピテクス・ブラッキーは史上最大の類人猿(ヒト系統を除くヒト上科)とされており、中期更新世の後半に絶滅しました。ギガントピテクス・ブラッキーはオランウータン…
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アジア北東部の初期現生人類

 アジア北東部の初期現生人類(Homo sapiens)に関する解説(Bae., 2024)が公表されました。この解説はオンライン版での先行公開となります。本論文はおもに、中国北東部の峙峪(Shiyu)遺跡の初期上部旧石器(Initial Upper Paleolithic、略してIUP)が45000年前頃までさかのぼることを報告した研…
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中国北部で発見された45000年前頃までさかのぼるIUP石器群(追記有)

 中国北部において発見された45000年前頃までさかのぼる初期上部旧石器(Initial Upper Paleolithic、略してIUP)を報告した研究(Yang et al., 2024)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、中国北部の山西省にある峙峪(Shiyu)遺跡で発見されたIUP石器群が4…
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デンマークの人口史

 古代ゲノムデータにより現在のデンマークに相当する地域の人口史を推測した研究(Allentoft et al., 2024)が公表されました。本論文は、デンマークの中石器時代~前期青銅器時代の7300年間にわたる古代人100個体のゲノムデータを用いて、デンマークの人口史を推測しています。デンマークでは、新石器時代への移行がヨーロッパ中央…
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草原地帯牧畜民集団で生じた多発性硬化症の遺伝的危険性

 ヨーロッパの現代人に多い多発性硬化症(Multiple sclerosis、略してMS)の起源に関する研究(Barrie et al., 2024)が公表されました。本論文は、古代ゲノムのデータセットの一部と現代のイギリス在住のヨーロッパ系「白人(自己申告)」約41万人のゲノムを比較し、ヨーロッパ現代人におけるヨーロッパ古代人集団由来…
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ユーラシア西部古代人における選択と現代人への遺伝的影響

 ユーラシア西部古代人における選択と現代人への遺伝的影響に関する研究(Irving-Pease et al., 2024)が公表されました。本論文は、ユーラシア西部古代人の大規模なゲノムデータを用いて、ユーラシア西部の古代人集団における選択と、現代人への遺伝的影響を検証しています。たとえば、糖尿病とアルツハイマー病の危険性に関連する遺伝…
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ABO式血液型から推測される人類のアメリカ大陸への移住

 ABO式血液型からアメリカ大陸への人類の移住を推測した研究(Hobgood., 2023)が公表されました。本論文は、ABO式血液型関連遺伝子からアメリカ大陸への人類の移住過程を推測し、それを補強する遺伝子として、シャベル型切歯と関連する遺伝子であるエクトジスプラシンA受容体(ectodysplasin A receptor、略してE…
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氷期後のユーラシア西部の人口史

 氷期後のユーラシア西部の人口史に関する研究(Allentoft et al., 2024)が公表されました。本論文は、最終氷期極大期(Last Glacial Maximum、略してLGM)後となる、ユーラシア西部と北部の中石器時代と新石器時代の317個体のゲノムデータを新たに報告し、既知の1300個体以上の古代人のゲノムと統合するこ…
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アジア南東部の古環境と人類の進化

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、アジア南東部の古環境と人類の進化に関する研究(Bacon et al., 2023)が公表されました。本論文は、ラオスを中心にアジア南東部の古環境と、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)などの非現生人類(Homo sapiens)ホモ属や現生人類の進化との関連を検証しています。デ…
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オーストラリア先住民の遺伝的構造

 オーストラリア先住民の遺伝的構造に関する二つの研究が公表されました。一方の研究(Silcocks et al., 2023)は、オーストラリア先住民のゲノムにおける構造の深さと新規多様体の豊富さを報告しています。オーストラリア先住民には、言語および文化的に豊かな歴史があります。こうした歴史が遺伝的多様性にどのように関係しているのかは、…
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イタリア東部アルプスの古代末期~中世初期の被葬者のゲノムデータ

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、イタリア東部アルプスの古代末期~中世初期の被葬者のゲノムデータを報告した研究(Coia et al., 2023)が公表されました。本論文は、イタリア東部アルプスの1ヶ所の墓地で発見された、古代末期~中世初期の20個体(4~7世紀)のゲノムデータを報告し、その遺伝的構成と親族関係を分析しています。そ…
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イベリア半島東部の旧石器時代の洞窟壁画

 イベリア半島東部の旧石器時代の洞窟壁画を報告した研究(Ruiz-Redondo et al., 2023)が公表されました。本論文は、スペインのバレンシアにあるドネス洞窟(Cova Dones)の上部旧石器時代の洞窟壁画の予備的分析結果を報告しています。イベリア半島には旧石器時代の洞窟壁画が多く、現生人類(Homo sapiens)だ…
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2023年の古人類学界

 あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2023年)も古人類学界について振り返っていくことにします。近年ずっと繰り返していますが、今年も古代DNA研究の進展には目覚ましいものがありました。正直なところ、最新の研究動向にまったく追いついていけていないのですが、今後も少しでも多く取り上げていこう、と考えています。当…
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タイ北西部の鉄器時代集団のゲノムデータ

 タイ北西部の鉄器時代集団のゲノムデータを報告した研究(Carlhoff et al., 2023)が公表されました。本論文は、丸太棺(Log Coffin、木棺)により特徴づけられるタイ北西部の鉄器時代の33個体のゲノムデータを報告しています。これらのデータは、先行研究(関連記事)でも明らかにされていた、新石器時代にアジア東部から南下…
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現代日本人男性におけるY染色体ハプログループ

 現代日本人男性におけるY染色体ハプログループ(YHg)の最新版と頻度分布を報告した研究(Inoue, and Sato., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。YHgへの関心は現代日本社会でも比較的高いようで、YHgを特定の文化もしくは民族の分類と関連づけて、人類進化史や現生人類(Homo sap…
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縄文時代の人類集団の遺伝的構造と非縄文文化圏への遺伝的影響

 縄文時代の人類集団の遺伝的構造と非縄文文化圏への遺伝的影響に関する研究(Jeong et al., 2023)が公表されました。本論文は、新たな縄文時代の人類(縄文人)のゲノムデータを報告しているわけではありませんが、既知の「縄文人」や「縄文人」的な遺伝的構成の古代人のデータを再検証し、「縄文人」集団の遺伝的構造を明らかにするとともに…
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ローマ期ブリテン島の個体の学際的研究

 ローマ期ブリテン島の個体の学際的な研究(Silva et al., 2024)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、ローマ期となる2~3世紀のブリテン島の農村部の個体に、サルマティア人からの遺伝的影響があったことを報告しています。歴史学において、マルコマンニ戦争勃発後の175年に、ローマ帝国がサルマ…
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兵庫県内の縄文時代~古墳時代の人骨のミトコンドリアDNA解析

 兵庫県内の縄文時代~古墳時代の人骨のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した研究(神澤他.,2023)が公表されました。弥生時代以降の日本列島の人類集団では、在来の「縄文人(縄文文化関連個体群)」的な遺伝的構成要素と、アジア東部大陸部から到来した新たな遺伝的構成要素(渡来系)が混合していき、現代では後者の方が圧倒的に影響は…
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弥生時代の日本列島の人類集団の成立と展開

 考古学と古代ゲノムの研究も踏まえて弥生時代の日本列島の人類集団の成立と展開に関する概説(藤尾.,2023)が公表されました。本論文は、私がほとんど把握できていない朝鮮半島の考古学的研究や、当ブログでまだ取り上げていない日本列島の古代DNA研究が取り上げられており、私にとってたいへん有益で、補足しつつ詳しく見ていきます。本論文は、弥生時…
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千年紀のバルカン半島の人口史

 古代ゲノムデータに基づく千年紀(以下、明記しない場合の年代は紀元後です)のバルカン半島の人口史に関する研究(Olalde et al., 2023)が公表されました。本論文は、ローマ帝国の「辺境」だったバルカン半島が、ローマ帝国からの広範な軍事化と文化的影響にも関わらず、イタリア半島系の遺伝的影響をほぼ受けておらず、帝政期にはアナトリ…
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熊本県宇城市大坪貝塚出土弥生後期人骨の核ゲノム分析

 熊本県宇城市小川町南小野にある大坪貝塚から出土した弥生時代後期人骨の核ゲノム分析結果を報告した研究(神澤他.,2023)が公表されました。『国立歴史民俗博物館研究報告』で報告されてきた日本列島の古代ゲノム研究については、当ブログでこれまでにも度々取り上げてきましたが、Twitterの大凌河さんの投稿により、『国立歴史民俗博物館研究報告…
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アメリカ大陸先住民の遺伝的連続性と変化

 現在のアメリカ合衆国カリフォルニア州やメキシコ北部の7400~200年前頃(基点は紀元後1950年)の人類集団の遺伝的連続性と変化に関する研究(Nakatsuka et al., 2023)が公表されました。本論文は、アメリカ合衆国(United States of America、略してUSA)カリフォルニア(California、…
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200万年前頃のホモ・エレクトス化石と最古のアシューリアン石器

 アフリカ東部で発見された200万年前頃のホモ・エレクトス(Homo erectus)化石と最古のアシューリアン(Acheulian、アシュール文化)石器群を報告した研究(Mussi et al., 2023)が公表されました。本論文は、エチオピア高地において発見された200万年前頃となる人類の乳児下顎をホモ・エレクトスと同定し、さらに…
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ゲノムデータから推測される南琉球諸島の人口史

 古代人および現代人のゲノムデータから南琉球諸島の人口史を推測した研究(Cooke et al., 2023)が公表されました。本論文は、おもに2021年の研究(Cooke et al., 2021)で提示された、日本列島「本土(日本列島のうち本州・四国・九州とそのごく近隣の島々を中心とする地域)」のアイヌ集団以外の現代人集団の3層の遺…
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『フロンティア』「日本人とは何者なのか」

 表題のNHK衛星放送の番組を視聴しました。NHKのニュースサイトにて概要は紹介されていましたが、古代DNA解析による日本人起源論とのことで、どのような情報が得られるのか、注目していました。近隣の現代人集団と比較して現代日本人集団に特異的な特徴として、「縄文人(縄文文化関連個体群)」の要素がある、と強調されていました。確かに、近隣の現代…
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唐代中期の被葬者の学際的研究

 唐代中期の被葬者の学際的研究(Zhao et al., 2023)が公表されました。本論文は、唐王朝の庶民の墓地と推測される遺跡の被葬者3個体について、その形態と同位体とDNAを分析しました。この3個体は、遺伝的には中原の古代人集団との類似性を示します。なお、本論文の表題では唐王朝は中世とされており、かつて中国史の時代区分論争が激しか…
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台湾のオーストロネシア語族話者集団の遺伝的多様性

 台湾のオーストロネシア語族話者集団の遺伝的多様性を報告した研究(Liu et al., 2023)が公表されました。オーストロネシア語族話者の拡大はおそらく台湾から始まり、そこからアジア南東部および太平洋全域へと拡大しました。しかし、台湾のオーストロネシア人集団のかなりの言語学的多様性にも関わらず、オーストロネシア人の拡大に関するゲノ…
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アジア南東部の人類の存在年代と関係

 アジア南東部の人類の存在年代と関係についての研究(Roberts et al., 2023)が公表されました。本論文は、アジア南東部の非現生人類(Homo sapiens)ホモ属である、ホモ・エレクトス(Homo erectus)とホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)とホモ・ルゾネンシス(Homo luzone…
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セントヘレナ島の解放奴隷の起源

 セントヘレナ島の解放奴隷の起源に関する研究(Sandoval-Velasco et al., 2023)が公表されました。本論文は、セントヘレナ島の解放されたアフリカ人奴隷の起源を遺伝学的分析により推測しています。大西洋横断奴隷貿易によりアフリカからアメリカ大陸などに多くの人々が奴隷として連行され、人類史における大惨事としてよく知られ…
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フラニ人の人口史

 フラニ人(Fulani)の人口史に関する研究(D’Atanasio et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。世界でも最大級の規模の遊牧民集団であるフラニ人の起源についてはいくつかの仮説が提示されていますが、まだよく分かっていません。本論文は、複数の国から得られたフラニ人および他の現代人…
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前近代ヨーロッパにおける海藻の消費

 前近代ヨーロッパにおける海藻の消費に関する研究(Buckley et al., 2023)が公表されました。ヨーロッパの中石器時代には、水産資源利用の証拠の広範な証拠があります。対照的に、その後の新石器時代は、農耕と土地所有と完全な定住の拡大により特徴づけられ、現代のアジアでは広範に消費されている海洋資源はその後、ヨーロッパの最沿岸地…
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ポーランドの上部旧石器時代の人類の歯の遺伝学的分析

 ポーランドの上部旧石器時代の人類の歯の遺伝学的分析結果を報告した研究(Fewlass et al., 2023)が公表されました。本論文は、ポーランドのボルスカ洞窟(Borsuka Cave)で発見された6点のヒトの歯と112点の草食動物の歯で作られたペンダントについて、最小限の侵襲で分析する手法により、年代測定と遺伝学的分析を行ない…
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アジアの中期更新世ホモ属進化史の再検討

 アジアの中期更新世ホモ属進化史を再検討した見解(Bae et al., 2023)が公表されました。本論文は、中華人民共和国黒竜江省ハルビン市で、1993年に松花江(Songhua River)での東江橋(Dongjiang Bridg)の建設中に発見された、と報告されているホモ属頭蓋の分析(Ni et al., 2021)が、アジア…
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突厥王族出身の北周の阿史那皇后のゲノムデータ

 北周の阿史那(Ashina)皇后のゲノムデータを報告した研究(Yang et al., 2023)が公表されました。本論文は、突厥王族出身の北周の阿史那皇后のゲノムデータを示し、ユーラシアの古代人および現代人集団と比較しました。阿史那皇后のゲノムはほぼ完全にアジア北東部的な遺伝的構成要素で示され、わずかにユーラシア西部関連の遺伝的構成…
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縄文時代早期の人類のミトコンドリアDNAデータ

 縄文時代早期の人類のミトコンドリアDNA(mtDNA)データを報告した研究(Mizuno et al., 2023)が公表されました。mtDNAは核DNAと比較して解析が容易なため、かつては人類進化史の研究の主流とも言えました。現在では核DNAの解析が容易となり、核ゲノムデータによる人類進化史の研究が主流となっていますが、古代人のDN…
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歯石のDNAから推測される食性の変化

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、先史時代のヒト遺骸の歯石のDNAから食性の変化を推測した研究(Quagliariello et al., 2022)が公表されました。ヒトの微生物群系は最近、宿主の生活と健康に関する貴重な情報源となりました。しかし、ヒトの微生物群系が農耕へと向かう新石器時代への移行など人類史の重要な段階にお…
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タイのフムイ語話者の人口史

 タイのフムイ(Khmuic)語話者の人口史に関する研究(Kampuansai et al., 2023)が公表されました。本論文は、タイのフムイ語話者について、現代人および古代人のゲノムデータから、その遺伝的多様性と祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)について検証しています。現在アジア南東部には多様な民族集団が存…
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メキシコ人の遺伝的多様性

 メキシコ人の遺伝的多様性を報告した二つの研究が公表されました。一方の研究(Sohail et al., 2023)は、メキシコ生物銀行計画で得られたメキシコ人のゲノムデータを報告しています。ラテンアメリカの人々を調べたゲノム研究はまだにたいへん少なく、詳細な遺伝学的歴史や複雑形質の構造は、データが不充分なため明らかになっていません。こ…
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ボルネオ島の狩猟採集民の人口史

 ボルネオ島(カリマンタン島)の狩猟採集民の人口史に関する研究(Kusuma et al., 2023)が公表されました。本論文は、アジア東部および南東部の現代人と古代人のゲノムデータから、ボルネオ島のプナン人(Punan)の狩猟採集民共同体が長期にわたってボルネオ島に居住していた可能性を示します。アジア南東部本土および島嶼部には、複数…
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沖縄島と宮古諸島の人類集団の形成史

 沖縄島と宮古諸島の人類集団の形成史に関する研究(Koganebuchi et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。本論文は、現代人と古代人のゲノムデータに基づいて、宮古諸島と沖縄島の現代人集団の形成過程を検証しています。本論文は、琉球諸島の現代人集団が、共通の琉球「縄文人」集団を祖先として、グスク時代にお…
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ネアンデルタール人によるホラアナライオンの狩猟

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)によるホラアナライオン(Panthera spelaea)の狩猟を報告した研究(Russo et al., 2023)が公表されました。大型哺乳類、頂点捕食者、アフリカ起源、世界規模での拡大、深刻なボトルネック(瓶首効果)経験(関連記事)、複雑な交雑史などといった点で、ラ…
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クリミアの上部旧石器時代の現生人類のゲノムデータ

 クリミアで発見された上部旧石器時代の現生人類(Homo sapiens)のゲノムデータを報告した研究(Bennett et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、クリミア半島南部に位置するブラン・カヤ3(Buran-Kaya III)遺跡で発見された現生人類2個体のゲノムデータを…
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閉経後も長く生存する野生チンパンジー(追記有)

 閉経後も長く生存する野生チンパンジーを報告した研究(Wood et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。選択が閉経もしくはもはや繁殖できなくなった個体の生存継続を促す理由は、明らかではありません。哺乳類では、野生の自然条件下でかなりの数が生存する繁殖後の雌は、ヒトと少数のクジラ種(関連記事)でのみ観察され…
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