"古人類学"の記事一覧

初期ホモ属の成長速度

 初期ホモ属の成長速度に関する研究(Zollikofer et al., 2024)が公表されました。本論文は、ジョージア(グルジア)のドマニシ(Dmanisi)遺跡で発見された、遅くとも177万年前頃となる前期更新世人類の歯の分析から、初期ホモ属の成長速度を検証しています。この初期ホモ属の歯の成長速度は現生大型類人猿と同程度ですが、前…
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コーカサスの中石器時代~青銅器時代の人口史

 古代ゲノムデータに基づくコーカサスの中石器時代~青銅器時代の人口史に関する研究(Ghalichi et al., 2024)が公表されました。本論文は、中石器時代~青銅器時代にかけてのコーカサスの人口史を、新たに提示される古代人100個体以上のゲノムデータや、既知の古代人および現代人のゲノムデータから検証しています。この期間のコーカサ…
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時代区分の問題

 最近当ブログでは人類の進化、とくに古代ゲノム研究の英語論文を取り上げて日本語に訳すことが多くなり、論文について私見を述べることもありますが、ほぼ翻訳だけになってしまうことが大半なので、たまには独自の文章を掲載しようと昨年(2023年)初頭に思い立ったものの、何を題材にすべきか迷ってしまい、けっきょく、2年近く経過したのにほとんど独自記…
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遺伝と言語伝達の関係

 世界規模で遺伝と言語伝達の関係を検証した研究(Pichkar et al., 2024)が公表されました。文化的慣行は、誰が誰から学ぶかに影響を及ぼすことによって、学習行動の伝達を形成できます。文化的伝統によって人々は母親もしくは母方親族から言語を学ぶ傾向があるのならば、この偏った文化的伝達は言語の差異と母系継承の遺伝的差異との間の予…
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唐代の長安の人類遺骸のゲノムデータ

 唐代の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Lv et al., 2024)が公表されました。唐代、とくにその都である長安(Chang’an)は、「国際色」が豊かだった、と一般的に考えられているように思います。本論文は、現在の中華人民共和国陝西省西安(Xi’an)市に位置する、唐代の長安の幸福林帯(Xingfulindai、略してXF…
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仰韶遺跡の新石器時代人類のゲノムデータ

 黄河中流域の新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究(Li et al., 2024)が公表されました。本論文は、黄河中流域の代表的な新石器時代文化である仰韶(Yangshao)文化の基準遺跡となる仰韶遺跡の、仰韶文化~龍山(Longshan)文化期の人類のゲノムデータを報告し、これまで認識されていなかった、後期龍山文化期の人類集団…
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現代日本人における縄文時代集団からの遺伝的影響

 現代日本人集団における縄文時代集団からの遺伝的影響に関する研究(Yamamoto et al., 2024)が公表されました。本論文は、現代日本人集団の遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)が、縄文時代の狩猟採集民的構成要素とアジア東部(East Asia、略してEAS)的構成要素とアジア北東部(Northe…
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夜見ヶ浜人の再発見

 NHK地上波の『イマサラ調べてみた件』で、「日本最古の人骨」として「夜見ヶ浜人」が取り上げられました。「夜見ヶ浜人」とは、鳥取県境港市で1969年に発見された左側下顎骨です。当時、材木工場の現場があり、6mほど穴を掘ったところでこの下顎骨が見つかったそうです。この下顎骨の発見者は、農閑期の出稼ぎに来ており、貝殻と化石の収集を趣味として…
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コーカサスからヨーロッパ東部への農耕の拡大

 古代ゲノムデータに基づいてコーカサスからヨーロッパ東部への農耕の拡大を示した研究(Zhur et al., 2024)が公表されました。北コーカサスにおける最古級の農耕集団はダルクベティ・メショコ(Darkveti-Meshoko)文化ですが、この文化集団から近隣の草原地帯牧畜民への遺伝的影響は不明です。本論文は、北コーカサスの最古級…
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社会的協力の維持

 社会的協力の維持に関する研究(Michel-Mata et al., 2024)が公表されました。評判はヒト社会においてきわめて重要で、個々人はその社会的地位に応じて異なる扱いを受けます。たとえば、他者を助けて良い評判を獲得すると、その人は第三者から見返りを受ける可能性が高くなります。このように広範な協力を得るには、評判が行動を正確に…
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インドにおける古代ゲノム研究の受容に関する問題点

 インドにおける古代ゲノム研究の受容に関する問題点を指摘した解説(Chandrashekhar., 2024)が公表されました。この記事では、インドのヒンドゥー教信者の民族主義者が、古代ゲノム研究を自民族中心的に都合よく解釈しており、それをインドの現政権が後押しすることに、警鐘を鳴らしています。インドの国粋主義的風潮で、考古学や人類学や…
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アフリカ最南端の人類集団の長期にわたる遺伝的連続

 古代ゲノムデータに基づいてアフリカ最南端の人類集団の長期にわたる遺伝的連続を報告した研究(Gretzinger et al., 2024)が公表されました。本論文は、南アフリカ共和国のオークハースト(Oakhurst)岩陰遺跡の初期完新世から後期石器時代(Later Stone Age、略してLSA)末までの人類9個体や、他の古代人お…
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農耕によるアミラーゼ関連遺伝子の進化

 農耕によるアミラーゼ関連遺伝子の進化に関する研究(Bolognini et al., 2024)が公表されました。農耕の採用は、ヒト集団においてデンプンに富む食餌への急激な変化を引き起こしました。アミラーゼ遺伝子はデンプンの消化を促進し、デンプン摂取量の多い一部の現代人集団ではアミラーゼ遺伝子のコピー数の増加が観察されていますが、選択…
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パオラ・ヴィラ氏の訃報

 考古学者のパオラ・ヴィラ(Paola Villa)氏が、先月(2024年10月)末に亡くなった、との情報をTwitterで見かけました。お悔やみ申し上げます。ヴィラ氏が筆頭著者の論文を当ブログでもいくつか取り上げていますが、ヴィラ氏が筆頭著者ではなく関わった論文では、押圧剥離の起源に関する研究を取り上げており(関連記事)、詳しく調べた…
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チベット高原における前期完新世以降の長期のヒトの居住

 チベット高原における前期完新世以降の長期のヒトの居住を報告した研究(Chen et al., 2024)が公表されました。チベット高原では、中期更新世にまでさかのぼる人類の痕跡が確認されており、現生人類(Homo sapiens)のみならず、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)の存在も確認されていますが、それがどの…
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人類史における地域的断絶および文化と遺伝の関係

 2年半近く前の2022年6月5日に、人類史における連続と断絶、さらには文化やその変容と担い手の遺伝的構成の関係についてまとめました(関連記事)。それ以降、この問題について当ブログで取り上げた追加すべき研究がそれなりの数になったので、本格的なまとめを作成する準備として、2022年6月5日以後に当ブログで取り上げた、地域的断絶および文化と…
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中世ハンガリーのアバ一族の起源

 古代ゲノムデータに基づく中世ハンガリーのアバ(Aba)一族の起源に関する研究(Varga et al., 2024)が公表されました。本論文は古代ゲノムデータに基づいて、中世ハンガリーにおいてたいへん重要な役割を果たし、広範な領域を支配して、影響力のある人物を輩出したアバ一族の構成員を特定しています。また、アバ一族の父系がモンゴルにま…
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土井ヶ浜遺跡の弥生時代の人類のゲノムデータ

 土井ヶ浜遺跡の弥生時代の女性1個体のゲノムデータを報告した研究(Kim et al., 2025)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。日本語の解説記事もあります。山口県下関市豊北町にある土井ヶ浜遺跡は、弥生時代の「渡来系」とされる人類集団が発見されたことで有名です。本論文は、土井ヶ浜遺跡の弥生時代の女性1個…
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ヨーロッパ東部のネアンデルタール人のミトコンドリアDNA

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、ヨーロッパ東部のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した(Picin et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P135)。ヨーロッパの最終氷期は、温暖なエーミアン(Eem…
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バージニア州の植民地初期の上流階層のゲノムデータ

 現在のアメリカ合衆国バージニア州の植民地初期の上流階層のゲノムデータを報告した研究(Owsley et al., 2024)が公表されました。本論文は、バージニア州ジェームズタウンの教会に埋葬された、17世紀初期に死亡したの人類遺骸2個体のゲノム解析結果を報告しています。これらの個体は植民地初期の上流階層の一族で、名前も特定されており…
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メキシコの14世紀の子供遺骸の学際的研究

 メキシコで発見された14世紀の子供1個体の遺骸の学際的分析結果を報告した研究(Sedig et al., 2024)が公表されました。本論文は、メキシコのチワワ(Chihuahua)州に位置する、カサス・グランデス(Casas Grandes)としても知られるパキメ(Paquimé)遺跡の子供1個体について、古代ゲノム解析と放射性炭素…
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中世イベリア半島北部の司教の遺骸の学際的研究

 中世イベリア半島北部の司教の遺骸の学際的な分析結果を報告した研究(Pérez-Ramallo et al., 2024)が公表されました。本論文は、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)への巡礼と関わる重要人物とされている、イリア・フラビア(Iria Flavia)のテオドミロ(Teodomi…
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クロアチアのネアンデルタール人のゲノムデータ

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、クロアチアで発見されたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のゲノムデータを報告した研究(Sümer et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P169)。ネアンデルタール人の詳細な遺伝的歴史もしくはさまざまなネアンデルター…
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ザンビアのバトゥア人の遺伝的歴史

 ザンビアのバトゥア人(Batwa)の遺伝的歴史に関する研究(Breton et al., 2024)が公表されました。本論文は、ザンビアのバトゥア人の比較的孤立した2集団の遺伝的歴史を、現代人と古代人のゲノムデータから推測しています。分析の結果、バトゥア人は、バントゥー諸語話者集団的な遺伝的構成要素とともに、過去に現在のザンビアに存在…
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デニソワ人とアジア東部のホモ属の系統関係

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)とアジア東部のホモ属の系統関係についての研究(Gousset et al., 2024)が報告されました。本論文は、デニソワ人とアジア東部で発見された中期~後期更新世の分類に議論があるホモ属遺骸との系統関係を検証しています。この研究の要約…
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イタリア半島における中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行

 イタリア半島における中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行についての研究(Higham et al., 2024)が公表されました。ヨーロッパにおける中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行は、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のみが存在した期間から、ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapien…
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上部旧石器時代後期ヨーロッパ南東部人類の学際的研究

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、上部旧石器時代後期ヨーロッパ南東部人類の学際的研究(Borić et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P17)。  ルーマニアのドナウ峡谷地域のクリメンテ2(Climente II)遺跡の1ヶ所の続グラヴェティアン(Epigravettia…
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ヨーロッパ西部の狩猟採集民と最初期農耕民

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、ヨーロッパ西部の狩猟採集民と最初期農耕民に関する解説(Rowley-Conwy., 2024)が公表されました。本論文は、ヨーロッパ西部における狩猟採集民と最初期農耕民との関係について解説しています。ヨーロッパ西部においては、アナトリア半島(小アジア)起源の農耕民が到来したことで、農耕民がもたらされ…
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西遼河地域の後期新石器時代における男性に偏った遺伝的混合

 西遼河地域において雑穀農耕の痕跡の増加とともに人類集団の遺伝的変容が見られ、それは男性に偏っていたことを報告した研究(Nakagome, and Cooke., 2024)が公表されました。本論文は、西遼河(West Liao River、略してWLR)地域の後期新石器時代において、雑穀農耕の痕跡増加とともに、黄河(Yellow Ri…
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中原の周代の人類のゲノムデータ

 中原の周代の人類のゲノムデータを報告した研究(Wu et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国河南省滎陽(Xingyang)市高村(Gaocun)郷の官荘(Guanzhuang)遺跡で発見された周代の人類11個体のゲノムデータを報告しています。この11個体は黄河流域新石器時代人類集団との顕著な遺伝的連続性を示…
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ラパ・ヌイの人口史

 古代ゲノムデータに基づいて、イースター島としても知られているラパ・ヌイ(Rapa Nui)の人口史を検証した研究(Moreno-Mayar et al., 2024)が公表されました。ラパ・ヌイは世界でも有数の孤島で、南アメリカ大陸の西方約3700kmに位置し、最も近い有人島の西方1900km以上に位置しています。モアイと呼ばれる巨石…
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フランス地中海地域の孤立したネアンデルタール人

 フランス地中海地域の後期ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のゲノムデータを報告した研究(Slimak et al., 2024)が公表されました。本論文はすでに昨年(2023年)4月、査読前に公開されており(関連記事)、分析結果や論旨の大きな変更はないと思われますが、この間の最新研究の成果も取り入れるなど…
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新石器時代以降の黄河下流域の人口史

 古代ゲノムデータに基づいて、新石器時代以降の黄河下流域の人口史を推測した研究(Du et al., 2024)が公表されました。本論文は、おもに山東省から構成される現在の中華人民共和国山東省の新石器時代から7世紀頃(5410~1345年前頃)までの人類69個体のゲノムデータを、山東省全域の現代人325個体や、他の既知の古代人および現代…
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フランスにおける46000年以上前のIUP的技術

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、フランスにおける46000年以上前の初期上部旧石器(Initial Upper Paleolithic、略してIUP)的技術を報告した研究(Djakovic et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P44)。ユーラシアにおけるIUP技術は、5500…
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ネアンデルタール人と現生人類の交雑地域

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)の交雑地域を検証した研究(Guran et al., 2024)が公表されました。現在では、ネアンデルタール人[28]や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)と現生人類との間の交雑が複数回あった(関連記事)、と推測さ…
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フランス南部の後期新石器時代墓地被葬者のゲノムデータ

 フランス南部の後期新石器時代の墓地被葬者のゲノムデータを報告した研究(Arzelier et al., 2024)が公表されました。本論文は、フランス南部ガール(Gard)県コルコンヌ(Corconne)のアヴェン・デ・ラ・ブークル(Aven de la Boucle、略してBOU)遺跡の集団埋葬の被葬者のゲノムデータを報告し、当時の…
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アジア中央部および南東部集団と非現生人類ホモ属との遺伝的混合

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、アジア中央部および南東部現代人の祖先集団と、非現生人類(Homo sapiens)ホモ属であるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)との遺伝的混合に関する研究(Antoine et al., 2024)が報告さ…
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ローマ帝国崩壊後のヨーロッパ社会の展開に関する学際的研究

 古代ゲノムデータと同位体データを用いて、ローマ帝国崩壊後のヨーロッパの農村社会の展開を検証した研究(Tian et al., 2024)が公表されました。中世前期のローマ帝国後のヨーロッパの形成において、大規模および小規模両方の水準で上流階層はひじょうに重要な役割を果たしました。イタリアのコッレーニョ(Collegno)における6~8…
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中世イベリア半島北部の農村集落の人口史

 中世イベリア半島北部の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Rodríguez-Varela et al., 2024)が公表されました。本論文は、イベリア半島北部の中世のネクロポリス(大規模共同墓地)であるラス・ゴバス(Las Gobas)で発見された、7~11世紀にかけての33個体を分析し、その家族関係や健康状態が調べられました。…
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モンゴル東部の中世のゲノムデータ

 モンゴル東部の中世の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Lee et al., 2024)が公表されました。本論文は、モンゴル東部の2ヶ所の隣接する墓地である、ゴルバンドブ(Gurvan Dov、略してGD)およびタワン・ハイラースト(Tavan Khailaast、略してTK)遺跡の2世紀~15世紀頃の9個体のゲノムデータを報告し…
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ヨーロッパ中央部の紀元前千年紀の「初期ケルト」のゲノムデータから推測される「王朝」継承

 ドイツ南部で発見された紀元前千年紀の人類のゲノムデータを報告した研究(Gretzinger et al., 2024)が公表されました。アルプス山脈以北のヨーロッパの鉄器時代は、ハルシュタット(Hallstatt)文化(紀元前800~紀元前450年頃)とララ・テーヌ(La Tène)文化(紀元前450~紀元前50年頃)という二つの文化…
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貴州省の明代の人類のゲノムデータ

 中国南西部に位置する貴州省の明代の人類のゲノムデータを報告した研究(Zhang et al., 2024)が公表されました。本論文は、貴州省貴陽(Guiyang)市の大松山(Dasongshan、略してDSS)遺跡で発見された人類7個体のゲノムデータを報告し、現代人のみならず、上部旧石器時代(Upper Palaeolithic、略し…
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新石器時代におけるヒトとイヌへのペスト感染

 新石器時代におけるヒトとイヌへのペスト感染を報告した研究(Susat et al., 2024)が公表されました。ペスト菌(Yersinia pestis)は完新世において人類に大きな影響を及ぼしており、高い関心を集めてきました。ペスト菌は歴史時代の感染がとくに有名ですが、先史時代においてもすでに新石器時代(Neolithic、略して…
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北アメリカ大陸太平洋沿岸の絶滅したイヌの歴史

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、北アメリカ大陸太平洋沿岸の絶滅したイヌの遺伝的歴史に関する研究(Lin et al., 2023)が報道されました。日本語の解説記事もあります。北アメリカ大陸の太平洋北西部(Pacific Northwest、略してPNW)沿岸の沿岸セイリッシュ(Coast Salish)など複数の先住民集団は、独…
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ストーンヘンジの祭壇石の産地(追記有)

 ストーンヘンジ(Stonehenge)の祭壇石の産地に関する研究(Clarke et al., 2024)が公表されました。ストーンヘンジはイングランドのウィルトシャーのソールズベリー平原に位置する、イギリスにおける最大級の後期新石器時代~青銅器時代にかけての墓地遺跡で、世界的に有名な観光地にもなっています。ストーンヘンジに関しては、…
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古代ゲノムデータに基づく祖先探し

 古代ゲノムデータに基づく祖先探しに関する解説記事(Callaway., 2024)が公表されました。科学者は消費者ゲノムデータベースを用いて、最近およびさほど近くはない過去の祖先へと生きている人々を結びつけています。しかし、これらのつながりの意味は必ずしも明確ではありません。この解説記事は、古代ゲノムデータを用いた商用の祖先探しについ…
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フローレス島の70万年前頃の人類遺骸

 インドネシア領フローレス島の70万年前頃の小柄な人類の遺骸を報告した研究(Kaifu et al., 2024)が公表されました。日本語の解説記事もあります。フローレス島西部のリアン・ブア(Liang Bua)洞窟では6万年以上前の小柄な人類遺骸が発見されており、ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)と分類されて…
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新石器時代スカンジナビア半島の社会構造とペスト感染

 新石器時代スカンジナビア半島の社会構造とペスト感染に関する研究(Seersholm et al., 2024)が公表されました。本論文は、新石器時代スカンジナビア半島の108個体のゲノムデータを報告するとともに、この集団は約120年間に少なくとも3回、異なるペスト感染を経た、と示しました。こうした繰り返しのペスト感染が、ヨーロッパ新石…
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5万年前頃以降のチベット高原のデニソワ人

 チベット高原における5万年前頃以降の種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)の存在を報告した研究(Xia et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国甘粛省甘南チベット族自治州夏河(Xiahe)県のチベット高原北東端の海抜3280mに位置する白石崖溶洞(Baishiya Karst Cave、略…
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中世シチリア島のイスラム教徒とキリスト教徒との間の遺伝的差異と生活の類似

 中世シチリア島の人類集団の学際的分析結果を報告した研究(Monnereau et al., 2024)が公表されました。本論文は、中世シチリア島西部に位置するセジェスタ(Segesta)遺跡のキリスト教徒とイスラム教徒の中世の墓地被葬者の、放射性炭素年代測定結果とゲノムデータと同位体データを報告しています。この学際的分析により明らかに…
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