取り上げるのが遅れてしまいましたが、ソグド人のゲノムデータを報告した研究(Zhang et al., 2025)が公表されました。本論文は、中華人民共和国寧夏回族自治区固原(Guyuan)市の唐王朝期の墓地(固原墓地、本論文ではSUTEと呼ばれます)の共同埋葬(M1401)からで発見された、シルクロード(絹の道)での交易活動で有名なソ…
マドゥラ海峡で発見された人類遺骸についての解説(Bello, and Stringer., 2025)が公表されました。マドゥラ海峡で発見された中期更新世後期と推定される人類の頭蓋片は、ジャワ島の後期ホモ・エレクトス(Homo erectus)との類似性が示され、スンダランドの現在は水没した地域に存在した後期ホモ・エレクトスと考えられ…
パプアニューギニア沿岸部古代人のゲノムデータを報告した研究(Nägele et al., 2025)が公表されました。本論文は、ビスマルク諸島のワトム(Watom)島とパプアニューギニア(Papua New Guinea、略してPNG)の南部および北部沿岸の古代人のゲノムデータおよびストロンチウム(Sr)や炭素(C)や窒素(N)の同位…
イランとインドのゾロアスター教徒のゲノムデータについて、今年(2025年)3月20日~23日にかけてアメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア市で開催された第94回アメリカ生物学会(旧称はアメリカ自然人類学会)総会で報告されました(Ahlawat et al., 2025)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P3)。この研究は、イ…
モンゴル帝国の拡大によるアジア中央部の都市への遺伝的影響について、今年(2025年)3月20日~23日にかけてアメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア市で開催された第94回アメリカ生物学会(旧称はアメリカ自然人類学会)総会で報告されました(Seidualy et al., 2025)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P149)…
古代人と現代人のゲノムデータからアメリカ合衆国の先住民の人口史を推測した研究(Pinotti et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、アメリカ合衆国ニューメキシコ州のNRG(Northern Rio Grande、北リオ・グランデ)に位置…
中華人民共和国の山西省と陝西省の後期新石器時代の遺跡で発見された人類がのゲノムデータを報告した研究(Huang et al., 2025)が公表されました。本論文は、山西省と陝西省(山西陝西地域)の後期新石器時代の3ヶ所の遺跡で発見された後期新石器時代人類の新たなゲノムデータを報告しています。これら山西陝西地域の後期新石器時代集団のゲ…
コロンビアの古代人の新たなゲノムデータを報告した研究(Krettek et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、北アメリカ大陸と中央アメリカ大陸から南アメリカ大陸への移動経路で重要な位置を占めるコロンビアの、ボゴタ・アルティプラーノ(Bog…
古典期マヤの人類の古代ゲノムデータを報告した研究(Hk et al., 2025)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、マヤ文化のコパン(Copán)遺跡の古典期の人類7個体から得られたゲノムデータを新たに報告します。この古典期コパン遺跡集団は、ベリーズのアルカイック後期集団やメキシコのチチェン・イ…
雲南省で発見された古代人の新たなゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、中華人民共和国雲南省で発見された、7100~1500年前頃の人類の新たなゲノムデータを報告しています。本論文はひじょうに注目すべ…
東周期の中原の人類のゲノムデータを報告した研究(Wu et al., 2025)が公表されました。本論文は、中華人民共和国河南省義馬(Yima)市に位置する、上石河(Shangshihe)墓地で発見された人類遺骸のゲノムデータを報告します。上石河墓地は、西周王朝の創業時に王族が封建されて成立したと伝わっている西虢国(Western G…
野生霊長類の異種間の「誘拐」を報告した研究(Goldsborough et al., 2025)が報道されました。本論文は、パナマのコイバ国立公園(Coiba National Park)ヒカロン(Jicarón)島で、野生のノドジロオマキザル(Cebus capucinus imitator)の未成体の雄が、野生のマントホエザル(A…
シベリア南部のアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)の年代測定結果や人類も含めた動物遺骸のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した研究(Jacobs et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。デニソワ洞窟では、現生人類(…
アフリカ北西部の後期更新世~初期完新世人類のゲノムデータを報告した研究(Lipson et al., 2025)が公表されました。これまで、マグレブ(マグリブ、アフリカ西部)の狩猟採集期から農耕移行期の人類のゲノムデータは、マグレブ西部のモロッコのみから得られていました。本論文は、マグレブ東部となるアルジェリアとチュニジアの後期石器時…
古代ゲノムデータに基づく古代の親族関係と人口史に関する近年の研究を整理した概説(Wang et al., 2025)が公表されました。本論文はこの分野の近年の重要な研究を整理し、懸念される点も指摘しており、たいへん有益だと思います。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。時代区分の略称は、N…
チンパンジーによる発酵した果実の共有を報告した研究(Bowland et al., 2025)が公表されました。本論文では、ギニアビサウ共和国のカンタニェス国立公園(Cantanhez National Park)ニシチンパンジー(Pan troglodytes verus)による、エタノール(アルコール)を含む自然に発酵したアフリカ…
銅器時代から中世のイラン高原(ペルシア高原)の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Amjadi et al., 2025)が公表されました。本論文は、紀元前4700~紀元後1300年頃にかけての古代人の、ミトコンドリアゲノム23点および核ゲノム13点を新たに報告します。本論文では、とくにハカーマニシュ(アカイメネス、アケメネス)朝と…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、家畜ヒツジ(Ovis aries)の遺伝的起源に関する研究(Daly et al., 2025)が公表されました。ヒツジは家畜化を通じてヒト社会に重要な資源を提供してきており、最も象徴的なのは織物製作のための羊毛ですが、ヒツジの起源は依然として完全には解明されていません。この研究は、12000年間に…
イベリア半島東部の中世の人類集団のゲノムを報告した研究(Oteo-Garcia et al., 2025)が公表されました。イベリア半島は中世にイスラム教勢力に征服され、その後のレコンキスタ(再征服活動)によってキリスト教勢力が再びイベリア半島を制圧し、その完了の指標は一般的に1492年のグラナダ征服とされています。イスラム教勢力のイ…
ミクロネシアのキリスィマスィ(Kiritimati)島の現代の住民の人口史に関する研究(Larena et al., 2025)が公表されました。キリスィマスィ島はミクロネシアとポリネシアの境界沿いに位置するキリバス(Kiribati)諸島の一部であることから、複雑な太平洋諸島の人類集団の遺伝的起源に関する議論でとくに長く注目を集めて…
ユーラシア東部内陸部の鉄器時代以降の人類のゲノムデータを報告した研究(Li et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、【現在は中華人民共和国の支配下にあり、行政区分では新疆ウイグル自治区とされている】東トルキスタン中央部の鉄器時代から歴史時…
アフリカ南部のコイサン人(Khoe-San、略してKS)の複雑な人口史について、先月(2025年3月)20日~23日にかけてアメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア市で開催された第94回アメリカ生物学会(旧称はアメリカ自然人類学会)総会で報告されました(Edington et al., 2025)。この報告の要約はPDFファイルで読めま…
ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)の骨盤形態と他の人類との比較について、先月(2025年3月)20日~23日にかけてアメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア市で開催された第94回アメリカ生物学会(旧称はアメリカ自然人類学会)総会で報告されました(Lewton et al., 2025)。この報告の要約はPDFフ…
湿潤な熱帯林における人類最古の痕跡を報告した研究(Arous et al., 2025)が公表されました。本論文は、コートジボワール南部のベテI(Bété I)遺跡の堆積物の植物蝋状物質(ワックス)の生体標識や安定同位体や植物珪酸体化石(プラントオパール)や花粉分析から、ベテI遺跡が当時湿潤な森林環境だったことを示しています。さらに、…
台湾沖で発見された人類遺骸のプロテオーム解析結果を報告した研究(Tsutaya et al., 2025)が報道されました。日本語の解説記事もあります。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、台湾本島と澎湖諸島の間の水深60m~120mの海域で、他の脊椎動物とともに漁網にかかって発…
山東半島の戦国時代~南北朝時代の人類のゲノムデータを報告した研究(Qu et al., 2025)が公表されました。本論文はオンライン版での公開が昨年(2024年)7月と早かったため、当ブログでこれまでに取り上げた研究(Wang B et al., 2024、Fang et al., 2025、Wang et al., 2025、Ma…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、古代ゲノムから現在の中国南西部に位置する雲南省から貴州省の高原地帯への漢文化の拡散を推測した研究(Zhu et al., 2024)が公表されました。なお、[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、ヒト起源(Human Origins、略してHO)…