"古人類学"の記事一覧

ネパールのラウテ人の人口史

 ネパールのラウテ人(Raute)の人口史に関する研究(Derkx et al., 2025)が公表されました。本論文は、ヒマラヤ山脈の「最後の狩猟採集民」とも呼ばれるラウテ人の人口史を、ゲノム規模のSNP(Single Nucleotide Polymorphism、一塩基多型)データに基づいて推測しています。ラウテ人は、さまざまな生…
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先コロンブス期アマゾン南西部におけるトウモロコシの単一栽培

 先コロンブス期アマゾン南西部におけるトウモロコシの単一栽培を報告した研究(Lombardo et al., 2024)が公表されました。ボリビアのモホス平原の約4500km²におよぶ巨大な塚地域に広がるカサラベ(Casarabe)文化(500~1400年頃)は、先コロンブス期以前(1492年以前)のアマゾン川流域における都市生活の最も…
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匈奴と漢の戦争に関連する人類遺骸の学際的研究

 匈奴と漢の戦争に関連する人類遺骸の学際的な分析結果を報告した研究(Ma et al., 2025)が公表されました。本論文は、モンゴルのウムヌゴビ(Umnugovi)県のノムゴン(Nomgon)郡の南方26kmに位置するバヤンボラク遺跡(Bayanbulag site、略してBBS)で発見された人類遺骸について、考古学と遺伝学と同位体…
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インド・ヨーロッパ語族話者の遺伝的歴史

 インド・ヨーロッパ語族話者の遺伝的歴史に関する研究(Lazaridis et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。5000年前頃以降、ヤムナ(Yamna)文化とも呼ばれるヤムナヤ(Yamnaya)文化と呼ばれる考古学的複合体の担い手は、西方ではハンガ…
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新石器時代から青銅器時代の北ポントス地域の人口史

 古代ゲノムデータに基づいて新石器時代から青銅器時代の北ポントス地域の人口史を検証した研究(Nikitin et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、本論文と同時に刊行された関連研究[7]以外は、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。5000年前頃以降、ヤムナヤ(Yamnaya)文化とも呼…
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ウクライナの人口史

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、古代ゲノムデータに基づくウクライナの人口史に関する研究(Saag et al., 2025)が公表されました。本論文は、おもに現在のウクライナを対象とする北ポントス地域の、紀元前7000~紀元後1800年頃の人類91個体の新たなゲノムデータを報告し、主成分分析(principal component…
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ローマ帝国における授乳期間の違い

 ローマ帝国における授乳期間の違いに関する研究(Cocozza et al., 2025)が公表されました。授乳期間や離乳時期の復元は生活史の復元に役立つので、人類進化史の研究でも注目されています(関連記事1および関連記事2)。本論文は、乳児の摂食習慣がローマ帝国期の居住地の複雑さでどう変わるのか、高解像度の安定同位体分析を用いて調べま…
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ヨーロッパにおけるネアンデルタール人の絶滅

 人類進化に関する英語論文を日本語に訳してブログに掲載するだけではなく、これまでに得た知見をまとめ、独自の記事を掲載しよう、と昨年(2024年)後半から考えていますが、最新の研究を追いかけるのが精一杯で、独自の記事をほとんど執筆できておらず、そもそも最新の研究にしてもごく一部しか読めていません。多少なりとも状況を改善しようと考えて思った…
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アヴァール期の生殖障壁

 古代ゲノムデータに基づいてアヴァール期の生殖障壁を報告した研究(Wang et al., 2025)が公表されました。アヴァール人は遺伝的にはアジア東部的な祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)を有しており、567~568年にヨーロッパ中央部東方に到達して、そこで大きく異なるヨーロッパ的な祖先系統を有する集団と遭遇…
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黄河流域の新石器時代人類のゲノムデータ

 黄河流域の新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究(Ma et al., 2025)が公表されました。本論文は、黄河中流域に位置する中華人民共和国河南省鄭州市の大河村(Dahecun)遺跡で発見された、新石器時代の人類2個体の新たなゲノムデータを報告しています。これまで、仰韶(Yangshao)文化人類集団と比較して龍山(Longs…
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ヨーロッパのフンと匈奴との関係

 カルパチア盆地古代人の新たなゲノムデータを報告した研究(Gnecchi-Ruscone et al., 2025)が公表されました。ヨーロッパのフン人が誰でどこから来たのか、というその起源に関する問題は、フン人の歴史的影響を考えると、学者の関心を超えて、文化的意識にまで浸透してきました。フン人を匈奴と関連づけた最初の仮説以降、学者はこ…
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ヨーロッパ中央部最初期農耕民の社会的および遺伝的多様性

 古代ゲノムデータに基づいてヨーロッパ中央部最初期農耕民の社会的および遺伝的多様性を推測した研究(Gelabert et al., 2025)が公表されました。本論文は、ヨーロッパの広範な地域に最初に農耕を広めた線形陶器(Linear Pottery、Linearbandkeramik、略してLBK)文化と関連する人類遺骸を中心に、それ…
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低品質のゲノムデータに基づく分析結果の訂正

 最近当ブログで、ヨーロッパの初期現生人類(Homo sapiens)のゲノムデータに関する研究(Sümer et al., 2025)を取り上げました。その研究では、ドイツのテューリンゲン州(Thuringia)のオーラ川(Orla River)流域に位置するラニス(Ranis)のイルゼン洞窟(Ilsenhöhle)で発見された初期現…
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ドイツの初期現生人類のゲノムデータ

 ドイツで発見された初期現生人類(Homo sapiens)遺骸のゲノムデータを報告した研究(Sümer et al., 2025)が報道されました。この研究の概要は、すでに一昨年(2023年)9月にヒト進化研究ヨーロッパ協会第13回総会で報告され、当ブログで取り上げており(関連記事)、その頃からたいへん注目していたので、学術誌への掲載…
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継承としての文化進化

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、文化進化を継承の観点から検証した研究(Bentley, and O'Brien., 2024)が公表されました。本論文は、文化の変化と継承が、社会的帰属意識や文化価値や行動の観点では、さまざまな選択の範囲において主体性や意図性から生じる、との一部の考古学者の見解を、多くの考古学的記録によって検証し、…
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先史時代ヨーロッパの社会構造と人類の居住形態

 最近、鉄器時代ブリテン島人類集団の古代ゲノム研究(Cassidy et al., 2025)を取り上げました。その研究では、鉄器時代ブリテン島の人類集団における母方居住が示されました。これはヨーロッパ先史時代において、母方居住を強く示唆する直接的証拠としては最初の事例となります。その研究で指摘されていたように、民族誌の調査において父方…
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過去330万年間の石器技術から推測される文化の累積

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、過去330万年間の石器技術から人類史における文化累積を推測した研究(Paige, and Perreault., 2024)が公表されました。現生人類(Homo sapiens)は独特な多様な生態学的生息地を占めています。ヒトは累積文化を通じて熱帯雨林や北極圏のツンドラへと拡大しました。累積文化は、…
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唐代の山東人類集団のゲノムデータ

 唐代の山東人類集団のゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2025)が公表されました。本論文は、現在の中華人民共和国山東省の傅大門(Fudamen)墓地で発見された、唐王朝期の人類遺骸のゲノムデータを報告しています。この研究では、傅大門墓地の唐代の被葬者17個体のSNP(Single Nucleotide Polymo…
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『ナショナルジオグラフィック』2025年2月号「謎の「ほかの」人類を探す」

 『ナショナルジオグラフィック』2025年2月号の表題の特集を読みました。まず冒頭で、30万年前頃には現生人類(Homo sapiens)以外の人類が少なくとも6種いた、と指摘されており、その復元模型の写真が掲載されています。この6種の人類とは、ホモ・ナレディ(Homo naledi)、ホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidel…
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移動し続ける人類

 人類の移動が続いている、との観点から最近の重要な古代ゲノム研究を取り上げた解説(Gross., 2025)が公表されました。本論文は、最近の重要な古代ゲノム研究を解説し、現生人類(Homo sapiens)が過去に移動してきたことを示すとともに、今後も人類が移動し続けるだろう、と指摘しています。近年の重要な古代ゲノム研究が解説されてい…
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完新世の山東半島の人口史および日本列島との関係

 完新世の山東半島の人口史および日本列島との関係に関する研究(Liu et al., 2025)が公表されました。Twitterにて大凌河様よりご教示いただき、たいへん興味深い論文なので、当ブログで取り上げます。なお、[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。本論文は、6000~1500年前頃の…
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後期新石器時代から鉄器時代の黄河中流~下流域の人口史

 古代ゲノムデータに基づく後期新石器時代から鉄器時代の黄河中流~下流域の人口史に関する研究(Fang et al., 2025)が公表されました。本論文は、後期新石器時代から鉄器時代の黄河中流域の中原~黄河下流域の海岱(Haidai)地域の古代人31個体の新たなゲノムデータを報告し、既知の古代人および現代人のゲノムデータと比較し、黄河中…
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中原における後期新石器時代以降の人類集団の長期の遺伝的安定性

 中原における後期新石器時代以降の人類集団の長期の遺伝的安定性を報告した研究(Ma et al., 2025)が公表されました。本論文は、古代人と現代人のゲノムデータを使用し、中原において後期新石器時代以降には人類集団の遺伝的構成が現在まで長期にわたって安定していたことを示しています。この中原の後期新石器時代集団の祖先系統(祖先系譜、祖…
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鉄器時代ブリテン島の母方居住

 鉄器時代ブリテン島における母方居住の事例を報告した研究(Cassidy et al., 2025)が公表されました。本論文は、紀元前100~紀元後100年頃にイングランド南部の海岸地域を占拠していた、デュロトリゲス人(Durotriges)の集落と関連する、鉄器時代墓地の被葬者57個体のゲノム解析結果を報告しています。後期鉄器時代のデ…
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ブルガリアの初期現生人類の年代

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、ブルガリアで発見された初期現生人類(Homo sapiens)の年代に関する研究(Higham et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P82)。ブルガリアのコザーニカ(Kozarnika)遺跡は、ヨーロッパの下部旧石器時代と中部旧石器時代と上部旧…
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更新世人類の血液型

 更新世人類の血液型に関する研究(Mazières et al., 2025)が公表されました。本論文は後期更新世となる12万~2万年前頃の人類のゲノムデータから血液型の多様化を評価し、これには現生人類(Homo sapiens)のみならず、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)および種区分未定のホモ属であるデ…
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人類進化史における少ない情報からの推測と前提化

 2023年10月3日に当ブログで取り上げた、ユーラシア西部における後期更新世人類の進化を再検討した研究(関連記事)では、少ない証拠からの安易な推測、さらにはその推測(仮定)の前提化(事実化)が厳しく批判されており、私も多々反省させられましたが、私の見識では、それ以降もつい、安易な推測とその事実化に気づかず陥ってしまったことは少なくなか…
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ペルーのモチェ文化期被葬者の学際的分析

 ペルーのモチェ(Moche)文化期被葬者の学際的な分析結果を報告した研究(Quilter et al., 2025)が公表されました。本論文は、ペルーの北部沿岸のチカマ渓谷(Chicama Valley)のエル・ブルホ(El Brujo)遺跡にある、ピラミッド型の彩色神殿であるワカ・カオ・ビエホ(Huaca Cao Viejo)に埋葬…
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八束脛洞窟遺跡の弥生時代中期人類のゲノムデータ

 群馬県利根郡みなかみ町後閑の八束脛洞窟遺跡で発見された弥生時代中期の人類のゲノムデータを報告した研究(神澤他.,2024)が公表されました。私の観測範囲ではTwitterにおいて話題になっていたので、読みました。弥生時代の日本列島には、ユーラシア東方大陸部から日本列島に移民が到来してきて、この「渡来系」集団と縄文時代から日本列島に存在…
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国武貞克「日本列島後期旧石器文化の起源と成立に関する試論」

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、日本列島の後期旧石器文化の起源と成立についての研究(国武., 2023)が公表されました。日本列島最古級の石刃石器群が長野県佐久市の香坂山遺跡で確認されており、その起源はユーラシアのIUP(Initial Upper Paleolithic、初期上部旧石器)にある、と推測されています(関連記事)。日…
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ユーラシア東部の後期第四紀の人類の多様性

 ユーラシア東部の後期第四紀の人類に関する解説(Bae, and Wu., 2024)が公表されました。本論文は、ユーラシア東部の後期第四紀、より具体的にはおもに30万~5万年前頃の多様な非ホモ属に関する簡潔な解説で、ホモ属でも現生人類(Homo sapiens)は基本的に対象外となっています。本論文は対象地域をアジア東部としていますが…
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ワラセアの人口史

 現代人の新たなゲノムデータと既存の現代人および古代人のゲノムデータからワラセアの人口史を検証した研究(Purnomo et al., 2024)が公表されました。本論文は、ワラセア諸島とインドネシアの西パプア地域のヒトの遺伝的歴史の包括的研究を提示し、これには、ほぼ以前には報告されていなかった人口集団の、新たに配列決定された254個体…
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新たな手法による中世前期ヨーロッパの人口史

 新たな手法によって中世前期ヨーロッパの人口史を検証した研究(Speidel et al., 2025)が公表されました。本論文は、新たに開発された「Twigstats」と呼ばれる手法を用いて、中世前期ヨーロッパの人口史を検証しています。この新手法は遺伝的構成の類似した集団間の相互作用をじゅうらいよりも高解像度で推測でき、他の地域や時代…
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ノルウェーで発見された中世の文献に見える人物のゲノムデータ

 ノルウェーで発見された中世の文献に見える人物のゲノムデータを報告した研究(Ellegaard et al., 2024)が公表されました。本論文は、ノルウェー中央部のスヴェッレスボルグ(Sverresborg)城跡の中世の井戸から発掘されたヒト遺骸のゲノムデータと放射性炭素年代と窒素(N)や炭素(C)の同位体データを報告しています。ス…
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河北省で発見された中期更新世ホモ属遺骸

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、中華人民共和国河北省張家口市陽原県の許家窯(Xujiayao、略してXJY)遺跡で発見された中期更新世のホモ属遺骸の形態学的分析結果を報告した研究(Zhang et al., 2024)が公表されました。許家窯遺跡は許家窰(Houjiayao)遺跡とも呼ばれています。本論文は主成分分析(princi…
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ユーラシア東部圏の人類史(追記有)

 おもに広範な古代ゲノム研究に基づくユーラシア東部圏の人類史の総説(Bennett et al., 2024)が公表されました。本論文は、現生人類(Homo sapiens)のみならず、ホモ・エレクトス(Homo erectus)やネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(De…
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2024年の古人類学界

 あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2024年)も古人類学界について振り返っていくことにします。近年ずっと繰り返していますが、今年も核DNAやミトコンドリアDNA(mtDNA)を含めて古代DNA研究の進展には目覚ましいものがありました。正直なところ、最新の研究動向にまったく追いついていけていないのですが、今…
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アジア中央部人類集団のゲノムとユーラシアの人類進化史

 アジア中央部人類集団のゲノムデータに基づくユーラシアの進化史に関する研究(He et al., 2024)が公表されました。本論文は、アジア中央部の古代のヒトや病原体に関する最新ゲノム研究を整理し、アジア中央部の人類史、さらにはユーラシア規模の人類進化史の理解を深めるとともに、医療面でのアジア中央部人類集団の遺伝学的研究の深化の必要性…
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中世前期カルパチア盆地の人口史

 古代ゲノムデータを用いて中世前期カルパチア盆地の人口史を検証した研究(Gerber et al., 2024)が公表されました。本論文は、現在のハンガリーで発見された古代人から得られたゲノムデータを用いて、その遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)を分析し、中世前期カルパチア盆地の人口動態を明らかにします。ま…
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ユーラシア東部のアシューリアン

 ユーラシア東部の既知のアシューリアン(Acheulian、アシュール文化)石器群について整理するとともに新たなアシューリアン石器群を報告した研究(Li et al., 2024)が公表されました。本論文は、おもに中華人民共和国が現在実効支配する地域を対象に、握斧を中心としたアシューリアンの拡散の研究史を整理し、握斧技術の拡散が人口集団…
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ネアンデルタール人から現生人類への遺伝的影響の検証

 長期にわたるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)から現生人類(Homo sapiens)への遺伝的影響を検証した研究(Iasi et al., 2024)が報道されました。日本語の解説記事もあります。本論文は、シベリア南部のアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)およびチャギルスカヤ洞窟(C…
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現生オランウータンの鳴き声から推測される初期のヒトの言語発達

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、現生オランウータンの鳴き声から初期のヒトの言語発達を推測した研究(Gannon et al., 2023)が公表されました。中新世の中期から後期(1600万~530万年前頃)にかけてのアフリカの古気候変動では、森林が広大な平原に置き換わり、おもに樹上で生活していた古代のヒト科が地上での生活に移行しま…
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ポンペイのローマ帝国期噴火犠牲者のゲノムデータ

 ポンペイのローマ帝国期噴火犠牲者のゲノムデータを報告した研究(Pilli et al., 2024)が報道されました。本論文は、紀元後79年のベスビオ火山(Somma-Vesuvius)の噴火によって壊滅したローマ帝国の支配下にあった都市ポンペイで発見された、石膏像に残る骨格資料から得られたゲノムデータとストロンチウム同位体(⁸⁷Sr…
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タジキスタンの旧石器時代遺跡

 タジキスタンで新たに発見された旧石器時代遺跡を報告した研究(Zaidner, and Kurbanov., 2024)が公表されました。本論文は、タジキスタン北部のゼラフシャン(Zeravshan)川流域で新たに発見された、ソイイ・ハヴザク(Soii Havzak)岩陰遺跡について報告しています。ソイイ・ハヴザク遺跡は、中部旧石器時代…
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山東半島中期新石器時代人類のゲノムデータ

 山東半島中期新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究(Wang F et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国山東省済南市に位置する焦家(Jiaojia)遺跡の大汶口(Dawenkou)文化と関連する21個体のゲノムデータを報告しています。大汶口文化は山東半島の新石器時代文化で、中原の仰韶(Yangshao…
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チベット高原南部の初期の定住生活

 チベット高原南部の初期の定住生活に関する学際的研究(Yang et al., 2024)が公表されました。本論文は、チベット高原奥地の海抜(metres above sea level、略してMASL)4446mに位置するマブ湖(Mabu Co)遺跡(Coはチベット語で湖の意味)の学際的研究成果を報告しています。マブ湖遺跡の年代は44…
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ホモ・フロレシエンシスの初期の研究をめぐる軋轢

 ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)の研究が初めて公表されたのは2004年10月で、たいへん衝撃的でしたが、ホモ・フロレシエンシスをめぐって「醜聞」的な事態になっていたことは、日本語環境でも早くから知られており、『日経サイエンス』の2005年4月号に掲載された解説記事「人類進化の定説を覆す小さな原人の発見」(W…
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山東半島古代人のゲノムデータ

 山東半島で発見された古代人のゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2024)が公表されました。本論文は、現在の中華人民共和国山東省淄博市に位置する、古代都市の臨淄(Linzi)で発見された戦国時代~後漢の頃までの14個体のゲノムデータを報告しています。この14個体の遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ance…
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人類の脳サイズの増加

 人類の脳サイズの増加に関する研究(Püschel et al., 2024)が公表されました。本論文は、人類の完全な化石記録を通じて、脳サイズの変化を分析する独特な手法の採用によって、ヒトの脳の進化に関する理解を大きく深めます。種内で起きる脳サイズ変化の動態を、種を超えて起きる場合と分離することによって、脳サイズの増加は単一種を構成す…
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初期ホモ属の成長速度

 初期ホモ属の成長速度に関する研究(Zollikofer et al., 2024)が公表されました。本論文は、ジョージア(グルジア)のドマニシ(Dmanisi)遺跡で発見された、遅くとも177万年前頃となる前期更新世人類の歯の分析から、初期ホモ属の成長速度を検証しています。この初期ホモ属の歯の成長速度は現生大型類人猿と同程度ですが、前…
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