白亜紀のゼレステス類哺乳類の分類

 白亜紀のゼレステス類哺乳類の分類に関する研究(Giallombardo et al., 2026)が公表されました。コウモリ類や霊長類や鯨類を含むクレード(単系統群)である有胎盤哺乳類は、古第三紀における多様化の過程できわめて多様な臼歯を発達させました。これは、肉食や草食といった派生的な食性を示しています。一方で、有胎盤類のステム系統である白亜紀の真獣類分類群は、歯列がより保存的で、概して、高く鋭い咬頭を有する、食虫性向きの臼歯を備えていました。38年前に、後期白亜紀のゼレステス類哺乳類の比較的低い(丘状歯状の)咬頭を有する臼歯が発見され、それが草食性の有胎盤類である偶蹄類の臼歯と収斂するものだったことから、白亜紀に、より有胎盤類に似た化石哺乳類の未知の放散があった、と示唆されました。しかし、ゼレステス類の単一個体のものとして関連付けられる歯や頭蓋や骨格の標本は発見されておらず、ゼレステス類が形態的および系統発生学的にどのような動物だったかに関して、仮説を厳密に検証することはできていませんでした。

 本論文は、モンゴルで発見された後期白亜紀の新たな化石動物タミルハナ・バルカルセリ(Tamirkhan balcarceli)を報告しまる。その模式標本は単一個体のもので、四角形のゼレステス類様臼歯を伴う頭蓋と、走行への適応が見られる部分的な後肢からなる。タミルハナ・バルカルセリは、ゼレステス類の臼歯が、従来、よく知られた白亜紀の単系統群であるザランブダレステス科(Zalambdalestidae)の診断基準とされてきた特徴である、細長い下顎第1切歯(エナメル質が限局していて開放根が頬歯の下に伸びています)、涙骨を貫く管(translacrimal canal)、中足骨が細長くて遠位部が癒合した後肢と併存したことを示しています。したがって、ゼレステス類はザランブダレステス上科(Zalambdalestoidea)内の歯の特徴が異なる動物群であり、骨格的特徴はこの単系統群のものでした。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


古生物学:白亜紀のゼレステス類哺乳類はザランブダレステス上科に属する

古生物学:ゼレステス類の系統的位置付け

 ゼレステス類は謎めいた白亜紀の哺乳類で、これまでは偶蹄類のごく初期の放散を代表すると考えられてきた。しかし今回、新たな標本の発見により、ゼレステス類が既知の白亜紀哺乳類群「ザランブダレステス類」に近縁であることが明らかになった。



参考文献:
Giallombardo A. et al.(2026): Cretaceous zhelestid mammals are zalambdalestoids. Nature, 657, 8133, 973–980.
https://doi.org/10.1038/s41586-026-10861-5

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