大河ドラマ『豊臣兄弟!』第37回「秀長の国」

 今回は、小一郎(羽柴秀長)の大和入りが描かれました。これまでの太閤記ものでは、小一郎の大和統治はさほど描かれてこなかったように思いますが、本作では小一郎が主人公ですから、わりと詳しく描かれるようです。小一郎の家臣も増えて、藤堂高虎は割と早くから登場していましたが、吉川平介もすでに登場しており、「豊臣兄弟」の確執も終盤の見どころとなりそうです。大和統治となると、やはり興福寺は欠かせず、今回は興福寺の僧も登場しましたが、演出があまりにも過剰だったように思います。さらに、興福寺の僧に留まらず、大和の商人や村落も描かれ、大河ドラマではこうした描写は好まれないように思いますが、私は注目しています。

 小一郎の大和統治となると、気になるのは、第20回で描かれた、松永久秀が遺した地図です。この地図には、大和に隠された南朝の秘宝が記されていましたが、それがどこまで本当なのか、あるいは別の意味が秘められているのか、放送当時から気になっていました。本作は人物を無駄遣いというか、使い捨てにする傾向があり、小一郎の舅である安藤守就の本能寺の変直後の最期も、描かれないどころか言及さえされていませんから(今後、言及される可能性も残ってはいますが)、けっきょく触れられずに終わる懸念もありますが、さすがにこの件はきっちりと描いてくれるのではないか、と思います。

 石田三成は茶々に冷たく諫言していましたが、司馬遼太郎作品では、近江出身の三成は浅井長政の娘である茶々を崇拝していたとか、尾張派と近江派の対立といった図式とかが描かれていたこともあるように記憶しています。この図式に関しては、司馬作品を読んでいた当時から疑問を抱いていましたが、詳しく調べたわけではないので、断定は控えます。三成と茶々が悪役的な役割を担う作品では、1981年放送の大河ドラマ『おんな太閤記』など、両者が提携して陰謀を企む展開もありました。本作で関ヶ原の戦いや大坂の陣に言及されるのか分かりませんし、茶々と三成の関係は本作の主題ではありませんが、両者の関係にも注目しています。

 蜂須賀小六(正勝)は今回で退場となるようで、「豊臣兄弟」や前野長康とのやり取りがそれなりに描かれました。小六は藤吉郎(羽柴秀吉)の家臣では(小一郎を除くと)最も存在感があっただけに、寂しさがあります。本作では、小一郎の死後も多少言及されるかもしれませんが、序盤からの重要人物で小一郎の死の前に退場となりそうなのは、後は「豊臣兄弟」の妹の「あさひ」くらいでしょうか。「あさひ」の場合、その前に徳川家康との婚姻が描かれますが、太閤記ものではここが見せ場の一つになるので、どう描かれるのか、注目しています。

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