ホラアナライオンのゲノムデータ
絶滅したホラアナライオンのゲノムデータを報告した研究(Stanton et al., 2026)が公表されました。本論文は、10万年以上にわたるホラアナライオンのゲノムデータ12点を用いて、現生ライオンとホラアナライオンが異なる進化的系統をたどってきた、と示しています。これらのホラアナライオンのゲノムデータには、平均被覆度(coverage、網羅率)が19.5倍の標本も含まれます。一方で、ホラアナライオン系統と現生ライオン系統との間の遺伝子流動も特定され、ホラアナライオンにもたらされた現生ライオン的な遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)の最良の代理は、絶滅したアジア南西部集団であることも示されました。こうしたホラアナライオンのと現生ライオンとの間の遺伝子流動は、気候変動とそれに伴う氷床の拡大や縮小と相関していることも推定されました。なお、本論文では言及されていませんが、日本列島にも後期更新世にホラアナライオンがいた、と最近の研究で示されました(Sun et al., 2026)。以下は本論文の要約図です。
以下の略称は、DNA(deoxyribonucleic acid、デオキシリボ核酸)、mtDNA(Mitochondrial DNA、ミトコンドリアDNA)、SNP(Single Nucleotide Polymorphism、一塩基多型)、C(carbon、炭素)、O(oxygen、酸素)、有効個体群規模(Nₑ)、KYA(kilo years ago、千年前)、PSMC(pairwise sequentially Markovian coalescent、対での逐次マルコフ合着)、MK(McDonald-Kreitman、マクドナルド・クライトマン)検定、GO(gene ontology、遺伝子オントロジー、遺伝子概念体系)、kg(kilogram、キログラム)、km(kilometre、kilometer、キロメートル)です。本論文で取り上げられる主要な時代区分は、エーミアン(Eemian)間氷期、LGM(Last Glacial Maximum、最終氷期極大期)です。本論文で取り上げられる主要なネコ科動物の出土地および生息地は、シリアのエル・コウム(El Kowm)、インドのインドのギル国立公園(Gir National Park)、カナダのユーコン(Yukon)準州、ヤクーチア(Yakutia、サハ共和国)とニュー・シベリア諸島(New Siberian Islands、ノボシビルスク諸島)です。
本論文で取り上げられる主要なネコ科動物は、ヒョウ属(Panthera)、ヒョウ亜科(Pantherinae)、ホラアナライオン(Panthera spelaea)、現生ライオン(Panthera leo)、アメリカライオン(Panthera atrox)、ヒョウ(Panthera pardus)、ユキヒョウ(Panthera uncia)、アムールヒョウ(Panthera pardus orientalis、Panthera pardus amurensis)、ベンガルトラ(Panthera tigris tigris)、アムール(シベリア)トラ(Panthera tigris altaica)、ジャガー(Panthera onca)、ウンピョウ(Neofelis nebulosa)です。本論文で取り上げられる主要なネコ科以外の動物は、コヨーテ(Canis latrans)、(ハイイロ)オオカミ(Canis lupus)、アメリカオオカミ(Canis rufus)です。
●要約
ユーラシアのホラアナライオンは後期更新世の大型動物の絶滅前には、北半球全域に多くいました。しかし、ホラアナライオンと現生ライオンとの間の違いの程度や、その適応的差異は、依然として不明でした。本論文では、10万年以上にわたる12点のホラアナライオンのゲノムを用いて、現生ライオンとホラアナライオンは、別々の個体群動態史と固有の非同義多様体を有する、異なる進化系統だった、と示されます。ホラアナライオンと現代ライオンとの間の遺伝子流動の証拠も特定され、この祖先系統の最良の現生ライオンの代理は絶滅したアジア南西部の集団でした。この混合は全球氷床面積と相関しており、アジア中央部東方の2万年前頃のホラアナライオンで3.2~4.4%の現生ライオン祖先系統が検出されました。これらの調査結果は、かつて北半球の最も生態学的に影響を及ぼした大型動物種の一つだった、ホラアナライオンの進化史への知見を提供します。
●研究史
ライオンは過去100万年間の化石記録において、最も個体数が多く、最も広がって分布していた大型肉食動物の一つで、アフリカやヨーロッパやアジアや少なくとも南方ではメキシコまでのアメリカ大陸を含めて、4大陸にまたがって化石が見つかっています。明確なライオンの特徴を有する最初の化石は190万年前頃にアフリカ東部に出現し、アフリカ外ではシリアのエル・コウムの100万年前頃となります。ホラアナライオンは化石記録に、ヨーロッパ(イタリアとイングランド)では70万年前頃から、北アメリカ大陸では30万年前頃から見られ、北アメリカ大陸南部に到達し(アメリカライオン)、13万年前頃以降に南アメリカ大陸にさえ到達したかもしれません。ライオンは現在、インドの単一の小さな個体群と、アフリカの分断された個体群に限られています(以後、現生ライオンと呼ばれます)。骨格遺骸や保存された軟組織や更新世の洞窟壁画からの証拠では、全北区北部の絶滅した後期更新世のライオン(ホラアナライオン)は形態学的に現生ライオンと異なっていた、と示唆されています。ホラアナライオンは現生ライオンより大きく、おそらくはより明るい毛色でした。個体の食性の証拠と解釈される安定同位体と、雄のホラアナライオンには鬣がなかった(もしくは著しく退化していた)、と示唆する旧石器時代の芸術は、現生ライオンとは異なり、ホラアナライオンはおもに単独性だった、と提案するのに用いられてきましたが、これは論争になっています。この違いは遺伝的水準にも反映されており、現生ライオンとホラアナライオンは、広範なミトコンドリアの標本抽出および少数の標本の核DNAに基づいて、異なる種だった、と論証されています[14、17]。
ライオンはその最も近い現生近縁種であるヒョウとは260万年前頃に分岐した、と推定されてきましたが、複雑な混合事象のため、これらの分岐時期は正確な推定が困難です。現生ライオンとホラアナライオンとの間の分岐時期は、核ゲノムデータに基づくと50万年前頃と推定されており、アメリカライオンはホラアナライオンの姉妹系統を構成します。しかし、ミトコンドリアゲノムと化石の制約に基づく推定値は、分岐がかなり古い(最大で190万年前頃)可能性を示唆しています[17]。また、このゲノム規模の差異が時空間的にどの程度一貫しているのかは、不明です。化石証拠からは、ホラアナライオンは形態で広範な時空間的差異を示しており、更新世を通じて、大きさが減少する別の形態によって連続的に置換された、と示唆されています。ホラアナライオンの広範な歴史的分布を考慮すると、この継続的な置換が起きつつあったならば、広範な地理的地域にまたがるライオン間のつながりが示唆され、これは東方から西方にかけて起きたことが示唆されています。提案されている高水準のつながりとは対照的に、遺伝子流動はユーラシアの東西間で周期的に制約されてきた、と仮定されてきており、水域の北方への拡大(とくに、カスピ海や氷河湖やアラル海)と氷床の南進が、ユーラシア東部とヨーロッパとの間の遺伝子流動を減少させたか、あるいは遮断さえした、と提案されました。さらに、集団置換は種の分布範囲全域で同時ではなかったかもしれず、とくにヨーロッパでは祖先的な大きさの形態がより新しい層で確認されており、ここはより祖先的な系統にとって退避地だった可能性が示唆されています。さらに、ホラアナライオンの¹⁴C年代における空白は、広範な最終的な絶滅に先行する、後期更新世の数千年間にわたるヨーロッパからの局所的絶滅を示唆しているかもしれません。分布の東側では、他の大型哺乳類の拡散パターン[25]に基づいて、ベーリング海峡および陸橋が7万~11万年前頃の間にそれぞれ断続的な孤立と接続をもたらしていた可能性は高いようです。まとめると、これらのデータは、地理的および時間的に限られた系統と絶滅の可能性を示唆しており、これは既存のデータセットで検証することはできないでしょう。
その後の更新世の大半を通じて全北区の化石記録で一般的に見られるにも関わらず、ホラアナライオンは分布範囲全体でおおよそ同時に絶目下ようで、末期の化石の年代は14000~13000年前頃の間です。したがって、ホラアナライオンは、最終氷期から間氷期への移行期に起きた世界的な大型動物絶滅の一部を形成しており、大型草食動物の多くの絶滅に先行しています。現生ライオン個体群も後期更新世以降に減少した可能性が高く、近年では人為的要因によって悪化しており、最終的には、「バーバリライオン」(アフリカ北部)や「ケープライオン」(アフリカ南部)や「メソポタミアライオン」(アジア南西部)の絶滅につながりました[14]。ホラアナライオンの絶滅はおそらく、全北区全域で不均衡に大きな生態学的影響を及ぼしました。大型肉食動物(100 kg以上)は、直接的な消費による大型草食動物の個体数と活動の制御、もしくは間接的な行動変化のどちらかによって、生態系にすべてにわたって影響を及ぼすことができます。ライオンはその多さと広範な分布から、他の同所性の肉食動物の進化を含めて生態系へとくに大きな影響を及ぼした可能性が高そうですが、これらの生態系の複雑さと相関性から、特定の種の絶滅の結果を推測するのはきわめて困難です。
ホラアナライオンは、遠く南方へはコーカサスやトルコ東部やシベリア南部やマンチュリアまで分布していた、と考えられており、ヨーロッパ南東部および/もしくはコーカサスは現生ライオンとの接触地帯と提案されてきました。現生ライオンは、ホラアナライオンが絶滅した後に、その分布範囲に入ってきたにすぎない、と主張されてきており、先行研究では遺伝子流動の証拠が見つかっていませんでした[14]。しかし、これらの研究は、mtDNAに焦点を当てていたか、2点のホラアナライオンの核ゲノムに依拠しており、両者ともにほぼ同じ年代のベーリンジアの個体でした。ここは現生ライオンの範囲および提案されているどの接触地帯からも5000km離れており、異なる時点および/もしくは場所での現生ライオンとホラアナライオンとの間の混合の可能性は残されています。この仮説の妥当性は、ネコ科では広範な遺伝子移入の歴史が知られている、という事実によって高まっており、古代の混合事象は複数の分類群にくたがって検出されてきていて、それには現生ライオンとホラアナライオンよりも遠い関係の分類群も含まれます。また、ホラアナライオンの標本採取地と大きさとの間の不一致から、歴史的な氷河の周期がホラアナライオンにおいて分布の変化を引き起こしかもしれず、たとえば、氷床の拡大期における南方への分布範囲の移動です。
広範に分布した頂点捕食者としての重要な生態学的役割を考えると、ライオンは、長期の気候変動が大きな地理的規模にわたってどのように進化的過程に影響を及ぼすのか、より深く理解する機会を提示しています。本研究では、10万年にわたる時系列のホラアナライオンのゲノムが配列決定され、ホラアナライオンが中期更新世後期および後期更新世を通じて、全分布にわたって単系統なのかどうか、検証されました。さらに、広範な時空間的規模にわたる種間および種内のつながりが調べられます。まとめると、これらの検定は、更新世やーらしあの最も生態学的に重要な大型動物種の一つの絶滅につながった、この広範な大型肉食動物に作用した、大規模な進化的過程、つまり個体群構造と遺伝子移入の歴史の記載を目的としています。
●標本と配列決定
標本52点の最初の検査後に、10点のホラアナライオン標本から全ゲノム配列が生成されました。これらの標本の平均被覆度は3.5倍(最小は0.3倍、最大は19.5倍)です。以前に年代測定されていなかった標本1点と放射性炭素年代測定が行なわれ、ミトコンドリア先端年代測定[17]を用いて、非限定¹⁴C年代で標本(4)の年代が推定されました。
今では絶滅したアジア南西部個体群の歴史時代のライオン1個体の博物館の標本も配列決定されました。この個体が含められた目的は、起源を確認し、現生ライオン/ホラアナライオンの遺伝子流動について情報が得られる(起源が判明すれば)追加の標本を取り込むことです。これらのゲノムが、6点の外群標本(アムールヒョウ、ユキヒョウ、ベンガルトラおよびシベリアトラ、ジャガー、ウンピョウ[14])とともに、以前に刊行された2点のホラアナライオンおよび20点の現生ライオンのゲノム[14]と組み合わされました。ホラアナライオンの標本は148000~17000年前頃にまたがる時系列を構成しており、ヨーロッパ中央部(オーストリア_17KYA)から北アメリカ大陸(ユーコン_33KYA)およびアジア中央部南方にまでまたがる、地理的分布に由来します。
●個体群構造
ネコ科の系統発生は、全ゲノムデータがあってさえ、特徴づけるのがひじょうに困難と知られており、これは、ゲノム全体で一致しない系統発生パターンにつながるかもしれない歴史的な混合事象のためです。したがって、ゲノム規模の系統発生割り当て(以前に実行されたように)は種系統樹を表していないかもしれません。ゲノム全体でのライオンの系統発生の割り当てによって、現生ライオンとホラアナライオンが異なる種を構成している、との結論を裏づけることになるでしょう。
現在と歴史時代の分布にまたがるライオンの遺伝的構造を説明するために、この系統発生(TreeMixと引窓手法である最尤法)とf統計に基づく分析を用いて、これが調べられました。両方の系統発生分析は、ホラアナライオンと現代ライオンがゲノム全体で互いに単系統であることと、現生ライオンが南部/東部(南方現生ライオン)と北部/西部(北方現生ライオン)のクレード(単系統群)に分かれることを確認します(図1B)。これらの結果は、現生ライオンとホラアナライオンが異なる系統である、とのミトコンドリアおよび核データに基づく以前の観察を裏づけます。さらに、ヨーロッパのホラアナライオンのゲノムは系統樹の5%未満(すべての引窓規模)で他のホラアナライオンの基底部に位置しており、ヨーロッパにおける独特な系統の裏づけを提供します。アジア南西部由来と推定される現生ライオンのゲノムは他のすべての現生ライオンとは別にまとまって分類され(TreeMix分析に基づいており、これら3個体のメソポタミアライオンが単系統群ではなかった形態と比較すると、混合図は強く裏づけています)、アジア南西部起源が確認されます。以下は本論文の図1です。
さらに、飼育下にあるものの野生下で生まれたインドライオン(ギル国立公園)2個体は、平均ゲノム規模差異に基づきと北方現生ライオンとクラスタ化しますが(まとまりますが)、南方現生ライオン系統からのゲノム領域の最近の遺伝子移入の明確な証拠を示します(図1B)。残りのインドライオン個体群は現在ギル国立公園に限定されており、この地域在来ではなく、むしろインド外から導入されています。以前の刊行物では、この主張の証拠が見つかりませんでした[14]。これらのインドライオンは野生下で生まれ(ギル国立公園)、動物園で飼育されており、南方現生ライオン系統から野生のインド個体群への最近の遺伝子移入があった、と示唆されます。飼育下のアジアライオンは最近アフリカライオンと交配した、と知られており、本論文の結果から、分析されたインドライオン2個体はじっさいには、野生下で笑まれなかったか、遺伝的漏出がインドの飼育かの個体群から野生のギル国立公園の個体群へと起きた、と示唆されます。
外群f3分析では、新しいホラアナライオン(22000年前頃のシベリアや2万年前頃のアジア中央部東方や17000年前頃のヨーロッパ)と他の全てのゲノムとの間で共有されている遺伝的浮動は経時的に次第に増加した、と確認されました。さらに、3点の最も新しいゲノムは、それ以前のゲノムとよりも、相互の方と多くの浮動を共有しています。これは、ホラアナライオンにおける地理的に広範な祖先系統のつながりを示唆しており、最近のオオカミでの観察[25]と同様です。北アメリカ大陸のゲノム(ユーコン_33KYA)は、他の同年代のゲノム、とくに新しいヨーロッパのホラアナライオンとの共有されている遺伝的浮動がより少ないことを示しています。ヨーロッパと北アメリカ大陸との間の遺伝的構造に関するこの調査結果は、東西のホラアナライオン間でいくらかの遺伝的構造があり、単系統群はほぼ完全に東西で分離している(ベーリンジおよび北アメリカ大陸に対する、残りの生息範囲)、と示唆したミトコンドリアゲノムに関する先行研究[17]と一致します。
東西のつながりの時期と範囲をさらに調べるために、f4統計を用いて、本論文のシベリアの時系列のゲノムが、同時代ではあるものの、地理的に遠いゲノムの組み合わせと比較されました。アジア中央部東方とシベリアの間のどの空間規模でも遺伝的構造は検出されず(つまり、有意ではないf4値)、この地域全体の完全な祖先系統の均質化が示唆されます。対照的に、ヨーロッパと北アメリカ大陸は両方とも、シベリアとの関連で遺伝的構造を示しており、少なくともいくらかの遺伝的構造は最古級のシベリアのゲノム標本(148000年前頃)でも維持されていました。ホラアナライオンの東西の分布範囲間の遺伝的構造における違いを調べるために、f4統計を用いて、北アメリカ大陸およびヨーロッパから本論文のシベリアのゲノムの時系列までが比較されました。すべての比較は、ユーラシア東部と北アメリカ大陸との場合と比較して、ユーラシア東西間でより多くの共有された祖先系統を示しており、再び、ユーラシア全域での相対的に高水準の遺伝子流動が示唆されます。この検定は北アメリカ大陸に存在するかもしれない深い祖先系統と近い過去の構造を区別していませんが、この検定におけるすべての有意な比較(10点のうち4点)は過去52000年間以内で、より新しい過程も遺伝子流動にいくらかの影響を及ぼした、と示唆されます。
氷河の周期は、歴史的な動物相のつながり/孤立の要因だった、と考えられており、ベーリンジ(ベーリング陸橋)はエーミアン間氷期(129000~116000年前頃)にはずっと開いていた可能性が最も高いものの、その後の期間、とくに70000~11000年前頃間は、つながり/孤立の期間でした。本論文の結果から、これらの孤立期間は北アメリカ大陸のホラアナライオンにおける局所的構造の蓄積につながり、それはつながりが再確立されたさいには完全に均質化しなかった、外部のホラアナライオン単系統群に由来する祖先系統が含まれていたかもしれない、と示唆されます。ホラアナライオンの遺伝子流動はユーラシア全域で広範に起きたようで、シベリアとアジア中央部東方およびシベリアとヨーロッパでは33000~22000年前頃の間、アジア中央部東方とヨーロッパとの間では22000~20000年前頃の間です。祖先系統におけるこうした変化は、そうした期間の後のホラアナライオンと比較して、それ以前に生息していたホラアナライオンを区別しており、祖先系統のつながりはユーラシア全域にまたがっており、わずか2000年の短期間で起きたことを論証しています。この遺伝子流動の方向性を検証するには追加のより古いゲノムが必要ですが、明らかなのは、大規模な空間的つながりがホラアナライオンにはあり、比較的短期間でゲノムの大半での祖先系統の均質化につながったことです。ミトコンドリアデータに基づく先行研究も、ホラアナライオンにおける東西の構造化を特定しましたが[17]、その事例では、ユーラシア東部と北アメリカ大陸はユーラシア西部を含まない、単系統群を形成しています。本論文の結果は、ユーラシアの東西と比較して、ユーラシア東部と北アメリカ大陸の間で共有される祖先系統が少ないことを示していますが、この調査結果は、北アメリカ大陸のゲノムに存在する「深い祖先系統」の深度と割合などの要因に影響を受けている可能性が高そうです。ユーラシアにおけるこれらの結果は、またしてもオオカミで見られた事例と同様で、オオカミの場合、わずかな遺伝的構造が長い期間(10万年以上)続いているものの、祖先系統は一貫して、比較的短い時間規模で均質化しています。
ホラアナライオンの¹⁴C年代における空白から、この種はヨーロッパではLGMに局所的に絶滅し、その後で18500年前頃までにシベリアから再定着があった、と示唆されます。ヨーロッパもしくは他の局所的絶滅が起きていたならず、それによってその地域に存在する深く局所的な祖先系統は消滅したでしょう。したがって、ヨーロッパと北アメリカ大陸における局所的な遺伝的構造の存続を調べるために、qpWave/qpAdmモデル化枠組みが用いられ、標本抽出されていない深い祖先系統の代理として外群(ウンピョウ)が使われました。複数の供給源モデルがじっさいに適切と検証された後で、qpAdmを用いて、ヨーロッパおよび北アメリカ大陸個体群の深い祖先系統が推定され、それぞれ4.7%および7.4%でしたが、この割合は外群を用いる場合のみ制約されません。アジア中央部東方の1個体が有する深い祖先系統は、0.0%とモデル化されました。同様の推定値は北アメリカ大陸の1個体の混合図分析で得られ、4~11%の間の深い祖先系統で最適にモデル化されたのに対して、ヨーロッパの1個体は10~28%でモデル化されました(図2)。以下は本論文の図2です。
これらの図式モデルでは、ヨーロッパのゲノムで検出された深い祖先系統は本論文の標本抽出されたホラアナライオンから比較的近い過去に分岐した系統に由来します。逆に、北アメリカ大陸の1個体で検出された深い祖先系統は、本論文で標本抽出されたホラアナライオンの多様性間の系統、およびホラアナライオンとウンピョウとの間の分岐にそった、さらにずっと古い点に由来します(ウンピョウとライオンとの間の分岐時期は、遺伝学と化石両方の証拠に基づいて、少なくとも500万年前頃と考えられています)。したがって、ヨーロッパの深い祖先系統は、古代の局所的なホラアナライオン由来で構成されているかもしれず、これはqpAdmモデルの不適切な代理における外群供給源と一致し、過小評価された値につながります。対照的に、北アメリカ大陸個体のゲノムにおける深い祖先系統は、ホラアナライオンの単系統群外のいくつかの未知の供給源に由来する可能性が高く、これは北アメリカ大陸のオオカミ(その深い祖先系統は、コヨーテ[25]もしくはアメリカオオカミなどの姉妹イヌ科系統)と顕著に類似した状況です[25]。
上述のように、北アメリカ大陸のホラアナライオンにおける正体不明のネコ科系統からの亡霊(ゴースト)遺伝子移入は除外できません。この亡霊祖先系統のあり得る候補は、絶滅したアメリカライオンです。アメリカライオンは南方ではメキシコにまで広がる北アメリカ大陸南部の分布によって特徴づけられ、1点の標本(67000年前頃)が最近ユーコン準州(北アメリカ大陸)で発見され、接触は起きた可能性が高い、と論旨を宇されました。ホラアナライオンとアメリカライオンとの間で遺伝子流動が起きた、との本論文の仮説を検証するためには、アメリカライオン系統からの標本抽出と配列決定が必要です。この仮説が確証されれば、ホラアナライオンとオオカミの個体群動態における顕著な水準の類似性を表していることになり、それによって、北アメリカ大陸とヨーロッパのゲノムに残る深い祖先系統の構成要素を除いて、祖先系統は分布範囲全体で急速に均一化しました。北アメリカ大陸では、この深い祖先系統は分岐した系統からの遺伝子移入と一致しており、オオカミの事例におけるコヨーテもしくはアメリカオオカミと、おそらくはホラアナライオンにおけるアメリカライオンです。
●現生ライオンとの遺伝子流動
現生ライオンとホラアナライオンの系統の異なる個体群間の遺伝子流動のに潜在的事例を調べるために、f4統計が用いられました。複数の有意なf4統計が、過去15万年間によたる現生ライオンとホラアナライオンとの間の遺伝子流動の事例と一致し、f4(外群、現生ライオンX;ホラアナライオンY、ホラアナライオンZ)で|Z|>3です。この遺伝子流動は低水準のようですが(5%未満)、時間的な変動の兆候があり、現生ライオン祖先系統の最高の推定値は20000年前頃と22000年前頃と64000年前頃のホラアナライオンで検出されます(図3A)。このパターンは、2番目に新しい標本(アジア中央部東方の2万年前頃の1個体)と最古の標本(ヤクーチアの148000年前頃の個体)を比較したさいの、ひじょうに明確な違いによって例証され、21回の比較のうち19回が同じ方向を示し、、f4(外群、現生ライオンX;アジア中央部東方_20KYA、、シベリア_148KYA)ではより新しいホラアナライオンと現生ライオンの間でより多くの共有された浮動が示唆され(図3C)、これにはすべての有意な値(z < −3、21回のうち15回)が含まれます。以下は本論文の図3です。
ホラアナライオンの歴史的な生息範囲は地理的に現生ライオンでは南方より北方の方と近いので、(遺伝子流動の兆候が本当ならば)、現生ライオンの北方集団と南方集団を比較すると、ホラアナライオンにおける対応する非対称性が予測されます。f4形式(ウンピョウ、ホラアナライオンX;現生ライオン1、現生ライオン2)のf統計から計算されたZ得点を用いて、この非対称性とその信頼性が評価されました。この分析は一貫して、ホラアナライオンとアジア南西部の現生ライオン3個体との間の類似性を示しており(図4)、本論文の結果は、これらの個体が今では絶滅したアジア南西部個体群に属していた、と示唆されます。以下は本論文の図4です。
しかし、最古の個体と2番目に新しい個体との間の比較(図3C)によって例証される、遺伝子移入と時間との間の関連は、すべてのホラアナライオン個体に当てはまるわけではないようです。この関連をさらに検証するために、f4比検定を実行して、ホラアナライオンのゲノムにおける現生ライオン祖先系統の割合が推定され、これが、地球規模の氷床体積および深海温度の指標になると知られている、底生δ¹⁸O水準の機能としてモデル化されました(図3)。これは強い相関を明らかにし、現生ライオン祖先系統の割合と時価よりかなり高いものの、これら二つの相関が非と言い、との帰無仮説は却下できませんでした。本論文は、歴史的な氷床拡大が現生ライオンとホラアナライオンの混合増加の期間をもたらした、と仮定します。しかし、均質化と個体群構造と深い祖先系統に関する上述の知見から、この関連にも影響を及ぼした追加の相反する進化的過程があった可能性は高い、と論証されます。
注目すべきこことに、アメリカライオン祖先系統を含むと仮定された北アメリカ大陸のホラアナライオンのゲノムと、最北端の1個体(ニュー・シベリア諸島)は、この関連から最も大きい負の方向への逸脱を示しています(図3)。まとめると、これらの結果から、ホラアナライオンと現生ライオンとの間の分岐後に、孤立は接触および遺伝子流動の期間によって中断され、それは更新世における気候の周期的変化によって引き起こされた可能性が高い、と示唆されます。遺伝子流動の最も強い証拠が見つかった時期は、平均より多い地球上の氷床体積(δ¹⁸O値に基づいています)の事例と一致しており(図3)、これによって恐らくホラアナライオンの分布は南方へと押しやられた、これは歴史的なアジア南西部の現生ライオンのゲノムがホラアナライオンと最も強い類似性を示す、との本論文の調査結果と一致します。この類似性はアフリカ北部および西方(北方現生ライオン系統における他のライオン)の現生ライオンより強く(図4)、現生ライオンからの遺伝子流動は北方現生ライオンにおける個体群構造の形成の後だった、と論証されます。しかし、数回の遺伝子流動や7万年前頃の分岐後の南北の現生ライオン間の二次的な混合事象が、さまざまな現生ライオン個体間で観察される多様な混合パターンに寄与した可能性は高そうです(図3)。現生ライオンは、過去2万年間にアジア南西部で確立した、と考えられています。しかし、大型草食動物は後期更新世の大半においてアジア中央部に存在しており、本論文の結果から、ライオンはこの地域にも、少なくとも一時的には、早くも64000年前頃には存在していた、と示唆され、これは氷床拡大期と一致します(図3)。こうした声質の遺伝子移入はヒョウ亜科の進化の特徴のようで、ヒョウ属のゲノム全体にわたる以前に検出された種間遺伝子流動と一致します。
●ライオンの個体群動態史
個体群動態史を調べるために、アジア南西部とアフリカ北部とアフリカ南部の高被覆度の現生ライオン4個体や高被覆度のホラアナライオン1個体(2万年前頃)で、PSMC分析が実行されました。先行研究に従って、4.5e⁻⁹の変異率と1世代5年が用いられました。ホラアナライオンと現生ライオンの個体群動態史は、100万年前頃に分岐し始めました。ホラアナライオンの有効個体群規模は、独立した個体群動態史の大半を通じて現生ライオンより小さいものの、ホラアナライオンの最近のNₑ推定値は現在の現生ライオンよりかなり高くなっています。アジア南西部のライオンは、他の現代のライオン個体群と比較して、分岐した、全体的により小さな有効個体群規模を示します。興味深いことに、現生ライオンおよびホラアナライオンの個体群動態史と同様に、これは比較的初期(50万年前頃)に始まっており、南北の現生ライオン系統の推定される分岐に先行します。同様に、古代の異なる個体群動態史が以前にさまざまな現生ライオン系統間(たとえば、アフリカ北部とアフリカ中央部)で確認され[14]、地域的なボトルネック(瓶首効果)は、これらのライオンが完全に分離する前に作用したかもしれない、と示唆されます。以下は本論文の図5です。
ホラアナライオンと現生ライオンの分岐時期の現時点で最良の推定値は、50万年前頃です[14]。しかし、ライオンの化石が、100万年前頃までにシリアで、70万年前頃までにヨーロッパ(イタリアとイギリス)で見つかっていることを考慮し、化石の制約を伴うミトコンドリアゲノムに基づく分岐推定値が最大で190万年前頃であること[17]を考えると、この分岐は予測より新しくなります。模擬実験(図5B)によって、ホラアナライオンと現生ライオンとの間の遺伝子流動を考慮に入れると、より古い分岐時期(この上限推定値を含めて)の可能性がある、と論証できました。ホラアナライオン全てのゲノムにわたる妥当な値の最高密度点は171万年前頃(1世代5年と仮定して342000世代)で、化石較正を伴うミトコンドリア配列に基づく以前の推定値[17]と大まかに一致します。しかし、この分析では、分岐時期の複数回のあり得る分岐の組み合わせがあり、現生ライオンとホラアナライオンとの間の移住率推定値は本論文のデータと一致した、と論証されました。この推定値はさまざまな個体群動態要因にも依存しており、それに含まれるのは、(1)遺伝子移入以降の時間、(2)遺伝子移入の程度(個体数)、(3)ホラアナライオン祖先系統の交代/置換率です。したがって、分岐時期の正確な決定には、これらの寄与要因の区別が必要で、それは時空間的に高密度の標本を用いた将来の研究にとって貴重な手段となるでしょう。
●ホラアナライオンの遺伝子における固有のタンパク質コード変化
ホラアナライオンと現生ライオンとの間の分岐が比較的最近起きたにも関わらず、これらのライオン系統には、形態や行動や生体、とくに身体の大きさや雄の鬣や社会性と関連するいくつかの違いがある、と提案されてきました。本論文のデータセットは、ホラアナライオンの系統と固有に関連する機能的な遺伝的差異の調査への機会を提示します。
深度や反復要素や欠落データについての厳格な部位選別後に、二倍体の外群6個体(ベンガルトラ、シベリアトラ、ウンピョウ、ジャガー、ヒョウ、ユキヒョウ)、疑似半数体のホラアナライオン12個体、疑似半数体の現生ライオン21個体にわたって、13億7000万ヶ所の部位が調べられました。全ゲノムおよび可変部位(9700万ヶ所)にわたって、ホラアナライオン個体群では、固有のアレル(対立遺伝子)が部位0.54%(524205ヶ所)、固定されているアレルが部位の0.38%(371538ヶ所)です。同じ個体および可変部位(9700万ヶ所)のすべてにわたって、ホラアナライオンおよび現生ライオン系統のみのアレルは部位の26.3%(2550万ヶ所)、それらの系統で固定していないアレル部位の44.6%(4330万ヶ所)です。機能的な生物学的差異に寄与するこの遺伝的差異の可能性を特徴づけるために、(1)ホラアナライオン系統で強い正の選択を経た遺伝子を特定するためにMK検定が実行され、(2)ホラアナライオン系統で固定され、ホラアナライオン系統でしか見られない高水準の破壊的タンパク質を有している、と予測される変異が特定されて(SnpEffを使用)、(3)過剰な新規変異のある(他のネコ科と比較してホラアナライオンのみに見られる)遺伝子を特定する検定が実行されました。そうした遺伝子は、本論文の時間データセットで網羅される期間の進行中の選択下における、局所的な適応および/もしくは遺伝子の候補を構成しているかもしれません。次に、これらが過剰発現している生物学的機能に対応するのかどうか、GOを用いて特定されました。
ホラアナライオンにおける固定されて派生的で非同義の変異の数が少ないため、MK検定では研究対象のゲノムにおいて選択の明確な兆候が検出されませんでした。しかし、この検定は標本抽出された全ゲノムにわたる固定された差異のみに焦点を当てているので、アレルが局所的に固定されていたか、本論文の標本で網羅される期間に固定されたならば、選択の兆候は検出されません。しかし、ホラアナライオン系統で固定されており固有だった、破壊的なタンパク質の高水準の影響がある、と予測された33ヶ所の変異が特定されました。
ホラアナライオンでは、新規の非同義変異の過剰がある、多くの遺伝子も特定されました。これらの遺伝子と関連する過剰発現した生物学的機能の多くは、形態および生理で生物学的に意味のある多様化と関わっています。とくに、脳や中枢神経系や視覚や循環器系発達や成長と関わるいくつかの機能(図6)では、選択が進行中と仮定されます。本論文の現時点の標本規模は、これらの遺伝子における方向性選択の明示的な検証には不充分ですが、ホラアナライオンの後期更新世の全北区の生態系への適応に焦点を当てる将来の研究に、有望な候補を提供します。以下は本論文の図6です。
●結論
本論文の結果から、ホラアナライオンと現生ライオンは全ゲノムおよび空間分布にわたって異なる進化的系統で、独立した個体群動態の軌跡があった、と論証されます。系統固有の変異が、ホラアナライオンのゲノム全体の多くの部位で著しい機能的分化につながった、と示されます。脳や神経系や視覚や循環器系発達や成長と関連するホラアナライオンの遺伝子における、非同義置換の過剰も検出されました。これらの調査結果は、本論文の標本抽出期間のホラアナライオンにおける局所的な適応および/もしくは継続中の選択と一致し、追加の標本で検証できる仮説です。
ホラアナライオンの時空間的なゲノム構造の広範な分析が実行され、現生の同時代に生息していた肉食動物であるオオカミとのいくつかの類似点が検出されました。広範な個体群のつながりが検出され、ホラアナライオンのの分布全域での祖先系統置換の証拠や、北アメリカ大陸とヨーロッパのホラアナライオンのゲノムで存続した低い割合の局所的な深い祖先系統がありました。北アメリカ大陸のオオカミでは、この深い祖先系統はコヨーテもしくはアメリカオオカミホラアナライオンからの遺伝子移入によって説明されるのに対して、北アメリカ大陸のホラアナライオンについては、この局所的な深い祖先系統は絶滅したアメリカライオンとの混合に起因する、と仮定されます。
ホラアナライオンは100万年前頃以降に現生ライオンと異なる個体群動態史を示し、その歴史の大半を通じて、ホラアナライオンの有効個体群規模は現生ライオンより小さいものでした。これは規模が逆転する最新の時間推定値まで当てはまり、ホラアナライオンのその後の衰退と最終的な絶滅について分かっていることを考えると、現生ライオンの保護にとって注目すべき観察です。ライオン系統間のこの大きな個体群動態的および遺伝的違いにも関わらず、ライオンは繁殖でき、後期更新世における現生ライオンからホラアナライオンへの複数の兆候が検出されました。ホラアナライオンは絶滅前に、現生ライオンの分布の北端部で現生ライオンと交配したようです。この現生ライオン祖先系統はホラアナライオン個体群動態では最大でゲノムの3.2~4.4%の水準で見られ、遺伝子移入の水準は氷期の範囲と関連しており、LGMにおいて最高水準でした。こうした遺伝子移入事象の最も高い可能性の現生ライオンの候補は、20世紀に絶目した現生ライオンの北方個体群であるアジア南西部のライオンです。追加の接触地帯、たとえば、バルカン半島を示唆した遺伝子流動の兆候は確認されませんでしたが、ヨーロッパの追加の(より高被覆度の)標本が、この仮説の完全検証には必要でしょう。本論文の観察は、ホラアナライオンの分布が後期更新世において地球上の氷河体積の増加期に南方へと拡大下、との状況と一致します。
●この研究の限界
本研究では、後期更新世のゲノムを用いて、現生ライオンのより広範な文脈内でホラアナライオンの進化史が調べられました。標本規模は限られていますが、絶滅種および現生種両方からのゲノムの時空間的から、これは比類のない貴重なデータセットになっています。これらのデータを用いて、現生ライオンとホラアナライオンとの間の遺伝子流動が特定され、遺伝子移入の水準は歴史的に氷床面積の代理指標と強く相関していた、と分かりました。この相関は時間のみとの場合より強かったものの、その違いは統計的に有意ではありませんでした。
ホラアナライオンにおいて、形態および生理において生物学的に意義のある変化と関連する、新規の非同義変異の過剰がある遺伝子も特定されました。現時点の標本規模は、これらの遺伝子における方向性選択の明示的検証には不充分ですが、後期更新世における全北区生態系へのホラアナライオンの適応に関する将来の研究にとって、有望な候補を表しています。
参考文献:
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[14]de Manuel M. et al.(2020): The evolutionary history of extinct and living lions. PNAS, 117, 20, 10927–10934.
https://doi.org/10.1073/pnas.1919423117
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[17]Stanton DWG. et al.(2020): Early Pleistocene origin and extensive intra-species diversity of the extinct cave lion. Scientific Reports, 10, 12621.
https://doi.org/10.1038/s41598-020-69474-1
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[25]Bergström A. et al.(2022): Grey wolf genomic history reveals a dual ancestry of dogs. Nature, 607, 7918, 313–320.
https://doi.org/10.1038/s41586-022-04824-9
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以下の略称は、DNA(deoxyribonucleic acid、デオキシリボ核酸)、mtDNA(Mitochondrial DNA、ミトコンドリアDNA)、SNP(Single Nucleotide Polymorphism、一塩基多型)、C(carbon、炭素)、O(oxygen、酸素)、有効個体群規模(Nₑ)、KYA(kilo years ago、千年前)、PSMC(pairwise sequentially Markovian coalescent、対での逐次マルコフ合着)、MK(McDonald-Kreitman、マクドナルド・クライトマン)検定、GO(gene ontology、遺伝子オントロジー、遺伝子概念体系)、kg(kilogram、キログラム)、km(kilometre、kilometer、キロメートル)です。本論文で取り上げられる主要な時代区分は、エーミアン(Eemian)間氷期、LGM(Last Glacial Maximum、最終氷期極大期)です。本論文で取り上げられる主要なネコ科動物の出土地および生息地は、シリアのエル・コウム(El Kowm)、インドのインドのギル国立公園(Gir National Park)、カナダのユーコン(Yukon)準州、ヤクーチア(Yakutia、サハ共和国)とニュー・シベリア諸島(New Siberian Islands、ノボシビルスク諸島)です。
本論文で取り上げられる主要なネコ科動物は、ヒョウ属(Panthera)、ヒョウ亜科(Pantherinae)、ホラアナライオン(Panthera spelaea)、現生ライオン(Panthera leo)、アメリカライオン(Panthera atrox)、ヒョウ(Panthera pardus)、ユキヒョウ(Panthera uncia)、アムールヒョウ(Panthera pardus orientalis、Panthera pardus amurensis)、ベンガルトラ(Panthera tigris tigris)、アムール(シベリア)トラ(Panthera tigris altaica)、ジャガー(Panthera onca)、ウンピョウ(Neofelis nebulosa)です。本論文で取り上げられる主要なネコ科以外の動物は、コヨーテ(Canis latrans)、(ハイイロ)オオカミ(Canis lupus)、アメリカオオカミ(Canis rufus)です。
●要約
ユーラシアのホラアナライオンは後期更新世の大型動物の絶滅前には、北半球全域に多くいました。しかし、ホラアナライオンと現生ライオンとの間の違いの程度や、その適応的差異は、依然として不明でした。本論文では、10万年以上にわたる12点のホラアナライオンのゲノムを用いて、現生ライオンとホラアナライオンは、別々の個体群動態史と固有の非同義多様体を有する、異なる進化系統だった、と示されます。ホラアナライオンと現代ライオンとの間の遺伝子流動の証拠も特定され、この祖先系統の最良の現生ライオンの代理は絶滅したアジア南西部の集団でした。この混合は全球氷床面積と相関しており、アジア中央部東方の2万年前頃のホラアナライオンで3.2~4.4%の現生ライオン祖先系統が検出されました。これらの調査結果は、かつて北半球の最も生態学的に影響を及ぼした大型動物種の一つだった、ホラアナライオンの進化史への知見を提供します。
●研究史
ライオンは過去100万年間の化石記録において、最も個体数が多く、最も広がって分布していた大型肉食動物の一つで、アフリカやヨーロッパやアジアや少なくとも南方ではメキシコまでのアメリカ大陸を含めて、4大陸にまたがって化石が見つかっています。明確なライオンの特徴を有する最初の化石は190万年前頃にアフリカ東部に出現し、アフリカ外ではシリアのエル・コウムの100万年前頃となります。ホラアナライオンは化石記録に、ヨーロッパ(イタリアとイングランド)では70万年前頃から、北アメリカ大陸では30万年前頃から見られ、北アメリカ大陸南部に到達し(アメリカライオン)、13万年前頃以降に南アメリカ大陸にさえ到達したかもしれません。ライオンは現在、インドの単一の小さな個体群と、アフリカの分断された個体群に限られています(以後、現生ライオンと呼ばれます)。骨格遺骸や保存された軟組織や更新世の洞窟壁画からの証拠では、全北区北部の絶滅した後期更新世のライオン(ホラアナライオン)は形態学的に現生ライオンと異なっていた、と示唆されています。ホラアナライオンは現生ライオンより大きく、おそらくはより明るい毛色でした。個体の食性の証拠と解釈される安定同位体と、雄のホラアナライオンには鬣がなかった(もしくは著しく退化していた)、と示唆する旧石器時代の芸術は、現生ライオンとは異なり、ホラアナライオンはおもに単独性だった、と提案するのに用いられてきましたが、これは論争になっています。この違いは遺伝的水準にも反映されており、現生ライオンとホラアナライオンは、広範なミトコンドリアの標本抽出および少数の標本の核DNAに基づいて、異なる種だった、と論証されています[14、17]。
ライオンはその最も近い現生近縁種であるヒョウとは260万年前頃に分岐した、と推定されてきましたが、複雑な混合事象のため、これらの分岐時期は正確な推定が困難です。現生ライオンとホラアナライオンとの間の分岐時期は、核ゲノムデータに基づくと50万年前頃と推定されており、アメリカライオンはホラアナライオンの姉妹系統を構成します。しかし、ミトコンドリアゲノムと化石の制約に基づく推定値は、分岐がかなり古い(最大で190万年前頃)可能性を示唆しています[17]。また、このゲノム規模の差異が時空間的にどの程度一貫しているのかは、不明です。化石証拠からは、ホラアナライオンは形態で広範な時空間的差異を示しており、更新世を通じて、大きさが減少する別の形態によって連続的に置換された、と示唆されています。ホラアナライオンの広範な歴史的分布を考慮すると、この継続的な置換が起きつつあったならば、広範な地理的地域にまたがるライオン間のつながりが示唆され、これは東方から西方にかけて起きたことが示唆されています。提案されている高水準のつながりとは対照的に、遺伝子流動はユーラシアの東西間で周期的に制約されてきた、と仮定されてきており、水域の北方への拡大(とくに、カスピ海や氷河湖やアラル海)と氷床の南進が、ユーラシア東部とヨーロッパとの間の遺伝子流動を減少させたか、あるいは遮断さえした、と提案されました。さらに、集団置換は種の分布範囲全域で同時ではなかったかもしれず、とくにヨーロッパでは祖先的な大きさの形態がより新しい層で確認されており、ここはより祖先的な系統にとって退避地だった可能性が示唆されています。さらに、ホラアナライオンの¹⁴C年代における空白は、広範な最終的な絶滅に先行する、後期更新世の数千年間にわたるヨーロッパからの局所的絶滅を示唆しているかもしれません。分布の東側では、他の大型哺乳類の拡散パターン[25]に基づいて、ベーリング海峡および陸橋が7万~11万年前頃の間にそれぞれ断続的な孤立と接続をもたらしていた可能性は高いようです。まとめると、これらのデータは、地理的および時間的に限られた系統と絶滅の可能性を示唆しており、これは既存のデータセットで検証することはできないでしょう。
その後の更新世の大半を通じて全北区の化石記録で一般的に見られるにも関わらず、ホラアナライオンは分布範囲全体でおおよそ同時に絶目下ようで、末期の化石の年代は14000~13000年前頃の間です。したがって、ホラアナライオンは、最終氷期から間氷期への移行期に起きた世界的な大型動物絶滅の一部を形成しており、大型草食動物の多くの絶滅に先行しています。現生ライオン個体群も後期更新世以降に減少した可能性が高く、近年では人為的要因によって悪化しており、最終的には、「バーバリライオン」(アフリカ北部)や「ケープライオン」(アフリカ南部)や「メソポタミアライオン」(アジア南西部)の絶滅につながりました[14]。ホラアナライオンの絶滅はおそらく、全北区全域で不均衡に大きな生態学的影響を及ぼしました。大型肉食動物(100 kg以上)は、直接的な消費による大型草食動物の個体数と活動の制御、もしくは間接的な行動変化のどちらかによって、生態系にすべてにわたって影響を及ぼすことができます。ライオンはその多さと広範な分布から、他の同所性の肉食動物の進化を含めて生態系へとくに大きな影響を及ぼした可能性が高そうですが、これらの生態系の複雑さと相関性から、特定の種の絶滅の結果を推測するのはきわめて困難です。
ホラアナライオンは、遠く南方へはコーカサスやトルコ東部やシベリア南部やマンチュリアまで分布していた、と考えられており、ヨーロッパ南東部および/もしくはコーカサスは現生ライオンとの接触地帯と提案されてきました。現生ライオンは、ホラアナライオンが絶滅した後に、その分布範囲に入ってきたにすぎない、と主張されてきており、先行研究では遺伝子流動の証拠が見つかっていませんでした[14]。しかし、これらの研究は、mtDNAに焦点を当てていたか、2点のホラアナライオンの核ゲノムに依拠しており、両者ともにほぼ同じ年代のベーリンジアの個体でした。ここは現生ライオンの範囲および提案されているどの接触地帯からも5000km離れており、異なる時点および/もしくは場所での現生ライオンとホラアナライオンとの間の混合の可能性は残されています。この仮説の妥当性は、ネコ科では広範な遺伝子移入の歴史が知られている、という事実によって高まっており、古代の混合事象は複数の分類群にくたがって検出されてきていて、それには現生ライオンとホラアナライオンよりも遠い関係の分類群も含まれます。また、ホラアナライオンの標本採取地と大きさとの間の不一致から、歴史的な氷河の周期がホラアナライオンにおいて分布の変化を引き起こしかもしれず、たとえば、氷床の拡大期における南方への分布範囲の移動です。
広範に分布した頂点捕食者としての重要な生態学的役割を考えると、ライオンは、長期の気候変動が大きな地理的規模にわたってどのように進化的過程に影響を及ぼすのか、より深く理解する機会を提示しています。本研究では、10万年にわたる時系列のホラアナライオンのゲノムが配列決定され、ホラアナライオンが中期更新世後期および後期更新世を通じて、全分布にわたって単系統なのかどうか、検証されました。さらに、広範な時空間的規模にわたる種間および種内のつながりが調べられます。まとめると、これらの検定は、更新世やーらしあの最も生態学的に重要な大型動物種の一つの絶滅につながった、この広範な大型肉食動物に作用した、大規模な進化的過程、つまり個体群構造と遺伝子移入の歴史の記載を目的としています。
●標本と配列決定
標本52点の最初の検査後に、10点のホラアナライオン標本から全ゲノム配列が生成されました。これらの標本の平均被覆度は3.5倍(最小は0.3倍、最大は19.5倍)です。以前に年代測定されていなかった標本1点と放射性炭素年代測定が行なわれ、ミトコンドリア先端年代測定[17]を用いて、非限定¹⁴C年代で標本(4)の年代が推定されました。
今では絶滅したアジア南西部個体群の歴史時代のライオン1個体の博物館の標本も配列決定されました。この個体が含められた目的は、起源を確認し、現生ライオン/ホラアナライオンの遺伝子流動について情報が得られる(起源が判明すれば)追加の標本を取り込むことです。これらのゲノムが、6点の外群標本(アムールヒョウ、ユキヒョウ、ベンガルトラおよびシベリアトラ、ジャガー、ウンピョウ[14])とともに、以前に刊行された2点のホラアナライオンおよび20点の現生ライオンのゲノム[14]と組み合わされました。ホラアナライオンの標本は148000~17000年前頃にまたがる時系列を構成しており、ヨーロッパ中央部(オーストリア_17KYA)から北アメリカ大陸(ユーコン_33KYA)およびアジア中央部南方にまでまたがる、地理的分布に由来します。
●個体群構造
ネコ科の系統発生は、全ゲノムデータがあってさえ、特徴づけるのがひじょうに困難と知られており、これは、ゲノム全体で一致しない系統発生パターンにつながるかもしれない歴史的な混合事象のためです。したがって、ゲノム規模の系統発生割り当て(以前に実行されたように)は種系統樹を表していないかもしれません。ゲノム全体でのライオンの系統発生の割り当てによって、現生ライオンとホラアナライオンが異なる種を構成している、との結論を裏づけることになるでしょう。
現在と歴史時代の分布にまたがるライオンの遺伝的構造を説明するために、この系統発生(TreeMixと引窓手法である最尤法)とf統計に基づく分析を用いて、これが調べられました。両方の系統発生分析は、ホラアナライオンと現代ライオンがゲノム全体で互いに単系統であることと、現生ライオンが南部/東部(南方現生ライオン)と北部/西部(北方現生ライオン)のクレード(単系統群)に分かれることを確認します(図1B)。これらの結果は、現生ライオンとホラアナライオンが異なる系統である、とのミトコンドリアおよび核データに基づく以前の観察を裏づけます。さらに、ヨーロッパのホラアナライオンのゲノムは系統樹の5%未満(すべての引窓規模)で他のホラアナライオンの基底部に位置しており、ヨーロッパにおける独特な系統の裏づけを提供します。アジア南西部由来と推定される現生ライオンのゲノムは他のすべての現生ライオンとは別にまとまって分類され(TreeMix分析に基づいており、これら3個体のメソポタミアライオンが単系統群ではなかった形態と比較すると、混合図は強く裏づけています)、アジア南西部起源が確認されます。以下は本論文の図1です。
さらに、飼育下にあるものの野生下で生まれたインドライオン(ギル国立公園)2個体は、平均ゲノム規模差異に基づきと北方現生ライオンとクラスタ化しますが(まとまりますが)、南方現生ライオン系統からのゲノム領域の最近の遺伝子移入の明確な証拠を示します(図1B)。残りのインドライオン個体群は現在ギル国立公園に限定されており、この地域在来ではなく、むしろインド外から導入されています。以前の刊行物では、この主張の証拠が見つかりませんでした[14]。これらのインドライオンは野生下で生まれ(ギル国立公園)、動物園で飼育されており、南方現生ライオン系統から野生のインド個体群への最近の遺伝子移入があった、と示唆されます。飼育下のアジアライオンは最近アフリカライオンと交配した、と知られており、本論文の結果から、分析されたインドライオン2個体はじっさいには、野生下で笑まれなかったか、遺伝的漏出がインドの飼育かの個体群から野生のギル国立公園の個体群へと起きた、と示唆されます。
外群f3分析では、新しいホラアナライオン(22000年前頃のシベリアや2万年前頃のアジア中央部東方や17000年前頃のヨーロッパ)と他の全てのゲノムとの間で共有されている遺伝的浮動は経時的に次第に増加した、と確認されました。さらに、3点の最も新しいゲノムは、それ以前のゲノムとよりも、相互の方と多くの浮動を共有しています。これは、ホラアナライオンにおける地理的に広範な祖先系統のつながりを示唆しており、最近のオオカミでの観察[25]と同様です。北アメリカ大陸のゲノム(ユーコン_33KYA)は、他の同年代のゲノム、とくに新しいヨーロッパのホラアナライオンとの共有されている遺伝的浮動がより少ないことを示しています。ヨーロッパと北アメリカ大陸との間の遺伝的構造に関するこの調査結果は、東西のホラアナライオン間でいくらかの遺伝的構造があり、単系統群はほぼ完全に東西で分離している(ベーリンジおよび北アメリカ大陸に対する、残りの生息範囲)、と示唆したミトコンドリアゲノムに関する先行研究[17]と一致します。
東西のつながりの時期と範囲をさらに調べるために、f4統計を用いて、本論文のシベリアの時系列のゲノムが、同時代ではあるものの、地理的に遠いゲノムの組み合わせと比較されました。アジア中央部東方とシベリアの間のどの空間規模でも遺伝的構造は検出されず(つまり、有意ではないf4値)、この地域全体の完全な祖先系統の均質化が示唆されます。対照的に、ヨーロッパと北アメリカ大陸は両方とも、シベリアとの関連で遺伝的構造を示しており、少なくともいくらかの遺伝的構造は最古級のシベリアのゲノム標本(148000年前頃)でも維持されていました。ホラアナライオンの東西の分布範囲間の遺伝的構造における違いを調べるために、f4統計を用いて、北アメリカ大陸およびヨーロッパから本論文のシベリアのゲノムの時系列までが比較されました。すべての比較は、ユーラシア東部と北アメリカ大陸との場合と比較して、ユーラシア東西間でより多くの共有された祖先系統を示しており、再び、ユーラシア全域での相対的に高水準の遺伝子流動が示唆されます。この検定は北アメリカ大陸に存在するかもしれない深い祖先系統と近い過去の構造を区別していませんが、この検定におけるすべての有意な比較(10点のうち4点)は過去52000年間以内で、より新しい過程も遺伝子流動にいくらかの影響を及ぼした、と示唆されます。
氷河の周期は、歴史的な動物相のつながり/孤立の要因だった、と考えられており、ベーリンジ(ベーリング陸橋)はエーミアン間氷期(129000~116000年前頃)にはずっと開いていた可能性が最も高いものの、その後の期間、とくに70000~11000年前頃間は、つながり/孤立の期間でした。本論文の結果から、これらの孤立期間は北アメリカ大陸のホラアナライオンにおける局所的構造の蓄積につながり、それはつながりが再確立されたさいには完全に均質化しなかった、外部のホラアナライオン単系統群に由来する祖先系統が含まれていたかもしれない、と示唆されます。ホラアナライオンの遺伝子流動はユーラシア全域で広範に起きたようで、シベリアとアジア中央部東方およびシベリアとヨーロッパでは33000~22000年前頃の間、アジア中央部東方とヨーロッパとの間では22000~20000年前頃の間です。祖先系統におけるこうした変化は、そうした期間の後のホラアナライオンと比較して、それ以前に生息していたホラアナライオンを区別しており、祖先系統のつながりはユーラシア全域にまたがっており、わずか2000年の短期間で起きたことを論証しています。この遺伝子流動の方向性を検証するには追加のより古いゲノムが必要ですが、明らかなのは、大規模な空間的つながりがホラアナライオンにはあり、比較的短期間でゲノムの大半での祖先系統の均質化につながったことです。ミトコンドリアデータに基づく先行研究も、ホラアナライオンにおける東西の構造化を特定しましたが[17]、その事例では、ユーラシア東部と北アメリカ大陸はユーラシア西部を含まない、単系統群を形成しています。本論文の結果は、ユーラシアの東西と比較して、ユーラシア東部と北アメリカ大陸の間で共有される祖先系統が少ないことを示していますが、この調査結果は、北アメリカ大陸のゲノムに存在する「深い祖先系統」の深度と割合などの要因に影響を受けている可能性が高そうです。ユーラシアにおけるこれらの結果は、またしてもオオカミで見られた事例と同様で、オオカミの場合、わずかな遺伝的構造が長い期間(10万年以上)続いているものの、祖先系統は一貫して、比較的短い時間規模で均質化しています。
ホラアナライオンの¹⁴C年代における空白から、この種はヨーロッパではLGMに局所的に絶滅し、その後で18500年前頃までにシベリアから再定着があった、と示唆されます。ヨーロッパもしくは他の局所的絶滅が起きていたならず、それによってその地域に存在する深く局所的な祖先系統は消滅したでしょう。したがって、ヨーロッパと北アメリカ大陸における局所的な遺伝的構造の存続を調べるために、qpWave/qpAdmモデル化枠組みが用いられ、標本抽出されていない深い祖先系統の代理として外群(ウンピョウ)が使われました。複数の供給源モデルがじっさいに適切と検証された後で、qpAdmを用いて、ヨーロッパおよび北アメリカ大陸個体群の深い祖先系統が推定され、それぞれ4.7%および7.4%でしたが、この割合は外群を用いる場合のみ制約されません。アジア中央部東方の1個体が有する深い祖先系統は、0.0%とモデル化されました。同様の推定値は北アメリカ大陸の1個体の混合図分析で得られ、4~11%の間の深い祖先系統で最適にモデル化されたのに対して、ヨーロッパの1個体は10~28%でモデル化されました(図2)。以下は本論文の図2です。
これらの図式モデルでは、ヨーロッパのゲノムで検出された深い祖先系統は本論文の標本抽出されたホラアナライオンから比較的近い過去に分岐した系統に由来します。逆に、北アメリカ大陸の1個体で検出された深い祖先系統は、本論文で標本抽出されたホラアナライオンの多様性間の系統、およびホラアナライオンとウンピョウとの間の分岐にそった、さらにずっと古い点に由来します(ウンピョウとライオンとの間の分岐時期は、遺伝学と化石両方の証拠に基づいて、少なくとも500万年前頃と考えられています)。したがって、ヨーロッパの深い祖先系統は、古代の局所的なホラアナライオン由来で構成されているかもしれず、これはqpAdmモデルの不適切な代理における外群供給源と一致し、過小評価された値につながります。対照的に、北アメリカ大陸個体のゲノムにおける深い祖先系統は、ホラアナライオンの単系統群外のいくつかの未知の供給源に由来する可能性が高く、これは北アメリカ大陸のオオカミ(その深い祖先系統は、コヨーテ[25]もしくはアメリカオオカミなどの姉妹イヌ科系統)と顕著に類似した状況です[25]。
上述のように、北アメリカ大陸のホラアナライオンにおける正体不明のネコ科系統からの亡霊(ゴースト)遺伝子移入は除外できません。この亡霊祖先系統のあり得る候補は、絶滅したアメリカライオンです。アメリカライオンは南方ではメキシコにまで広がる北アメリカ大陸南部の分布によって特徴づけられ、1点の標本(67000年前頃)が最近ユーコン準州(北アメリカ大陸)で発見され、接触は起きた可能性が高い、と論旨を宇されました。ホラアナライオンとアメリカライオンとの間で遺伝子流動が起きた、との本論文の仮説を検証するためには、アメリカライオン系統からの標本抽出と配列決定が必要です。この仮説が確証されれば、ホラアナライオンとオオカミの個体群動態における顕著な水準の類似性を表していることになり、それによって、北アメリカ大陸とヨーロッパのゲノムに残る深い祖先系統の構成要素を除いて、祖先系統は分布範囲全体で急速に均一化しました。北アメリカ大陸では、この深い祖先系統は分岐した系統からの遺伝子移入と一致しており、オオカミの事例におけるコヨーテもしくはアメリカオオカミと、おそらくはホラアナライオンにおけるアメリカライオンです。
●現生ライオンとの遺伝子流動
現生ライオンとホラアナライオンの系統の異なる個体群間の遺伝子流動のに潜在的事例を調べるために、f4統計が用いられました。複数の有意なf4統計が、過去15万年間によたる現生ライオンとホラアナライオンとの間の遺伝子流動の事例と一致し、f4(外群、現生ライオンX;ホラアナライオンY、ホラアナライオンZ)で|Z|>3です。この遺伝子流動は低水準のようですが(5%未満)、時間的な変動の兆候があり、現生ライオン祖先系統の最高の推定値は20000年前頃と22000年前頃と64000年前頃のホラアナライオンで検出されます(図3A)。このパターンは、2番目に新しい標本(アジア中央部東方の2万年前頃の1個体)と最古の標本(ヤクーチアの148000年前頃の個体)を比較したさいの、ひじょうに明確な違いによって例証され、21回の比較のうち19回が同じ方向を示し、、f4(外群、現生ライオンX;アジア中央部東方_20KYA、、シベリア_148KYA)ではより新しいホラアナライオンと現生ライオンの間でより多くの共有された浮動が示唆され(図3C)、これにはすべての有意な値(z < −3、21回のうち15回)が含まれます。以下は本論文の図3です。
ホラアナライオンの歴史的な生息範囲は地理的に現生ライオンでは南方より北方の方と近いので、(遺伝子流動の兆候が本当ならば)、現生ライオンの北方集団と南方集団を比較すると、ホラアナライオンにおける対応する非対称性が予測されます。f4形式(ウンピョウ、ホラアナライオンX;現生ライオン1、現生ライオン2)のf統計から計算されたZ得点を用いて、この非対称性とその信頼性が評価されました。この分析は一貫して、ホラアナライオンとアジア南西部の現生ライオン3個体との間の類似性を示しており(図4)、本論文の結果は、これらの個体が今では絶滅したアジア南西部個体群に属していた、と示唆されます。以下は本論文の図4です。
しかし、最古の個体と2番目に新しい個体との間の比較(図3C)によって例証される、遺伝子移入と時間との間の関連は、すべてのホラアナライオン個体に当てはまるわけではないようです。この関連をさらに検証するために、f4比検定を実行して、ホラアナライオンのゲノムにおける現生ライオン祖先系統の割合が推定され、これが、地球規模の氷床体積および深海温度の指標になると知られている、底生δ¹⁸O水準の機能としてモデル化されました(図3)。これは強い相関を明らかにし、現生ライオン祖先系統の割合と時価よりかなり高いものの、これら二つの相関が非と言い、との帰無仮説は却下できませんでした。本論文は、歴史的な氷床拡大が現生ライオンとホラアナライオンの混合増加の期間をもたらした、と仮定します。しかし、均質化と個体群構造と深い祖先系統に関する上述の知見から、この関連にも影響を及ぼした追加の相反する進化的過程があった可能性は高い、と論証されます。
注目すべきこことに、アメリカライオン祖先系統を含むと仮定された北アメリカ大陸のホラアナライオンのゲノムと、最北端の1個体(ニュー・シベリア諸島)は、この関連から最も大きい負の方向への逸脱を示しています(図3)。まとめると、これらの結果から、ホラアナライオンと現生ライオンとの間の分岐後に、孤立は接触および遺伝子流動の期間によって中断され、それは更新世における気候の周期的変化によって引き起こされた可能性が高い、と示唆されます。遺伝子流動の最も強い証拠が見つかった時期は、平均より多い地球上の氷床体積(δ¹⁸O値に基づいています)の事例と一致しており(図3)、これによって恐らくホラアナライオンの分布は南方へと押しやられた、これは歴史的なアジア南西部の現生ライオンのゲノムがホラアナライオンと最も強い類似性を示す、との本論文の調査結果と一致します。この類似性はアフリカ北部および西方(北方現生ライオン系統における他のライオン)の現生ライオンより強く(図4)、現生ライオンからの遺伝子流動は北方現生ライオンにおける個体群構造の形成の後だった、と論証されます。しかし、数回の遺伝子流動や7万年前頃の分岐後の南北の現生ライオン間の二次的な混合事象が、さまざまな現生ライオン個体間で観察される多様な混合パターンに寄与した可能性は高そうです(図3)。現生ライオンは、過去2万年間にアジア南西部で確立した、と考えられています。しかし、大型草食動物は後期更新世の大半においてアジア中央部に存在しており、本論文の結果から、ライオンはこの地域にも、少なくとも一時的には、早くも64000年前頃には存在していた、と示唆され、これは氷床拡大期と一致します(図3)。こうした声質の遺伝子移入はヒョウ亜科の進化の特徴のようで、ヒョウ属のゲノム全体にわたる以前に検出された種間遺伝子流動と一致します。
●ライオンの個体群動態史
個体群動態史を調べるために、アジア南西部とアフリカ北部とアフリカ南部の高被覆度の現生ライオン4個体や高被覆度のホラアナライオン1個体(2万年前頃)で、PSMC分析が実行されました。先行研究に従って、4.5e⁻⁹の変異率と1世代5年が用いられました。ホラアナライオンと現生ライオンの個体群動態史は、100万年前頃に分岐し始めました。ホラアナライオンの有効個体群規模は、独立した個体群動態史の大半を通じて現生ライオンより小さいものの、ホラアナライオンの最近のNₑ推定値は現在の現生ライオンよりかなり高くなっています。アジア南西部のライオンは、他の現代のライオン個体群と比較して、分岐した、全体的により小さな有効個体群規模を示します。興味深いことに、現生ライオンおよびホラアナライオンの個体群動態史と同様に、これは比較的初期(50万年前頃)に始まっており、南北の現生ライオン系統の推定される分岐に先行します。同様に、古代の異なる個体群動態史が以前にさまざまな現生ライオン系統間(たとえば、アフリカ北部とアフリカ中央部)で確認され[14]、地域的なボトルネック(瓶首効果)は、これらのライオンが完全に分離する前に作用したかもしれない、と示唆されます。以下は本論文の図5です。
ホラアナライオンと現生ライオンの分岐時期の現時点で最良の推定値は、50万年前頃です[14]。しかし、ライオンの化石が、100万年前頃までにシリアで、70万年前頃までにヨーロッパ(イタリアとイギリス)で見つかっていることを考慮し、化石の制約を伴うミトコンドリアゲノムに基づく分岐推定値が最大で190万年前頃であること[17]を考えると、この分岐は予測より新しくなります。模擬実験(図5B)によって、ホラアナライオンと現生ライオンとの間の遺伝子流動を考慮に入れると、より古い分岐時期(この上限推定値を含めて)の可能性がある、と論証できました。ホラアナライオン全てのゲノムにわたる妥当な値の最高密度点は171万年前頃(1世代5年と仮定して342000世代)で、化石較正を伴うミトコンドリア配列に基づく以前の推定値[17]と大まかに一致します。しかし、この分析では、分岐時期の複数回のあり得る分岐の組み合わせがあり、現生ライオンとホラアナライオンとの間の移住率推定値は本論文のデータと一致した、と論証されました。この推定値はさまざまな個体群動態要因にも依存しており、それに含まれるのは、(1)遺伝子移入以降の時間、(2)遺伝子移入の程度(個体数)、(3)ホラアナライオン祖先系統の交代/置換率です。したがって、分岐時期の正確な決定には、これらの寄与要因の区別が必要で、それは時空間的に高密度の標本を用いた将来の研究にとって貴重な手段となるでしょう。
●ホラアナライオンの遺伝子における固有のタンパク質コード変化
ホラアナライオンと現生ライオンとの間の分岐が比較的最近起きたにも関わらず、これらのライオン系統には、形態や行動や生体、とくに身体の大きさや雄の鬣や社会性と関連するいくつかの違いがある、と提案されてきました。本論文のデータセットは、ホラアナライオンの系統と固有に関連する機能的な遺伝的差異の調査への機会を提示します。
深度や反復要素や欠落データについての厳格な部位選別後に、二倍体の外群6個体(ベンガルトラ、シベリアトラ、ウンピョウ、ジャガー、ヒョウ、ユキヒョウ)、疑似半数体のホラアナライオン12個体、疑似半数体の現生ライオン21個体にわたって、13億7000万ヶ所の部位が調べられました。全ゲノムおよび可変部位(9700万ヶ所)にわたって、ホラアナライオン個体群では、固有のアレル(対立遺伝子)が部位0.54%(524205ヶ所)、固定されているアレルが部位の0.38%(371538ヶ所)です。同じ個体および可変部位(9700万ヶ所)のすべてにわたって、ホラアナライオンおよび現生ライオン系統のみのアレルは部位の26.3%(2550万ヶ所)、それらの系統で固定していないアレル部位の44.6%(4330万ヶ所)です。機能的な生物学的差異に寄与するこの遺伝的差異の可能性を特徴づけるために、(1)ホラアナライオン系統で強い正の選択を経た遺伝子を特定するためにMK検定が実行され、(2)ホラアナライオン系統で固定され、ホラアナライオン系統でしか見られない高水準の破壊的タンパク質を有している、と予測される変異が特定されて(SnpEffを使用)、(3)過剰な新規変異のある(他のネコ科と比較してホラアナライオンのみに見られる)遺伝子を特定する検定が実行されました。そうした遺伝子は、本論文の時間データセットで網羅される期間の進行中の選択下における、局所的な適応および/もしくは遺伝子の候補を構成しているかもしれません。次に、これらが過剰発現している生物学的機能に対応するのかどうか、GOを用いて特定されました。
ホラアナライオンにおける固定されて派生的で非同義の変異の数が少ないため、MK検定では研究対象のゲノムにおいて選択の明確な兆候が検出されませんでした。しかし、この検定は標本抽出された全ゲノムにわたる固定された差異のみに焦点を当てているので、アレルが局所的に固定されていたか、本論文の標本で網羅される期間に固定されたならば、選択の兆候は検出されません。しかし、ホラアナライオン系統で固定されており固有だった、破壊的なタンパク質の高水準の影響がある、と予測された33ヶ所の変異が特定されました。
ホラアナライオンでは、新規の非同義変異の過剰がある、多くの遺伝子も特定されました。これらの遺伝子と関連する過剰発現した生物学的機能の多くは、形態および生理で生物学的に意味のある多様化と関わっています。とくに、脳や中枢神経系や視覚や循環器系発達や成長と関わるいくつかの機能(図6)では、選択が進行中と仮定されます。本論文の現時点の標本規模は、これらの遺伝子における方向性選択の明示的な検証には不充分ですが、ホラアナライオンの後期更新世の全北区の生態系への適応に焦点を当てる将来の研究に、有望な候補を提供します。以下は本論文の図6です。
●結論
本論文の結果から、ホラアナライオンと現生ライオンは全ゲノムおよび空間分布にわたって異なる進化的系統で、独立した個体群動態の軌跡があった、と論証されます。系統固有の変異が、ホラアナライオンのゲノム全体の多くの部位で著しい機能的分化につながった、と示されます。脳や神経系や視覚や循環器系発達や成長と関連するホラアナライオンの遺伝子における、非同義置換の過剰も検出されました。これらの調査結果は、本論文の標本抽出期間のホラアナライオンにおける局所的な適応および/もしくは継続中の選択と一致し、追加の標本で検証できる仮説です。
ホラアナライオンの時空間的なゲノム構造の広範な分析が実行され、現生の同時代に生息していた肉食動物であるオオカミとのいくつかの類似点が検出されました。広範な個体群のつながりが検出され、ホラアナライオンのの分布全域での祖先系統置換の証拠や、北アメリカ大陸とヨーロッパのホラアナライオンのゲノムで存続した低い割合の局所的な深い祖先系統がありました。北アメリカ大陸のオオカミでは、この深い祖先系統はコヨーテもしくはアメリカオオカミホラアナライオンからの遺伝子移入によって説明されるのに対して、北アメリカ大陸のホラアナライオンについては、この局所的な深い祖先系統は絶滅したアメリカライオンとの混合に起因する、と仮定されます。
ホラアナライオンは100万年前頃以降に現生ライオンと異なる個体群動態史を示し、その歴史の大半を通じて、ホラアナライオンの有効個体群規模は現生ライオンより小さいものでした。これは規模が逆転する最新の時間推定値まで当てはまり、ホラアナライオンのその後の衰退と最終的な絶滅について分かっていることを考えると、現生ライオンの保護にとって注目すべき観察です。ライオン系統間のこの大きな個体群動態的および遺伝的違いにも関わらず、ライオンは繁殖でき、後期更新世における現生ライオンからホラアナライオンへの複数の兆候が検出されました。ホラアナライオンは絶滅前に、現生ライオンの分布の北端部で現生ライオンと交配したようです。この現生ライオン祖先系統はホラアナライオン個体群動態では最大でゲノムの3.2~4.4%の水準で見られ、遺伝子移入の水準は氷期の範囲と関連しており、LGMにおいて最高水準でした。こうした遺伝子移入事象の最も高い可能性の現生ライオンの候補は、20世紀に絶目した現生ライオンの北方個体群であるアジア南西部のライオンです。追加の接触地帯、たとえば、バルカン半島を示唆した遺伝子流動の兆候は確認されませんでしたが、ヨーロッパの追加の(より高被覆度の)標本が、この仮説の完全検証には必要でしょう。本論文の観察は、ホラアナライオンの分布が後期更新世において地球上の氷河体積の増加期に南方へと拡大下、との状況と一致します。
●この研究の限界
本研究では、後期更新世のゲノムを用いて、現生ライオンのより広範な文脈内でホラアナライオンの進化史が調べられました。標本規模は限られていますが、絶滅種および現生種両方からのゲノムの時空間的から、これは比類のない貴重なデータセットになっています。これらのデータを用いて、現生ライオンとホラアナライオンとの間の遺伝子流動が特定され、遺伝子移入の水準は歴史的に氷床面積の代理指標と強く相関していた、と分かりました。この相関は時間のみとの場合より強かったものの、その違いは統計的に有意ではありませんでした。
ホラアナライオンにおいて、形態および生理において生物学的に意義のある変化と関連する、新規の非同義変異の過剰がある遺伝子も特定されました。現時点の標本規模は、これらの遺伝子における方向性選択の明示的検証には不充分ですが、後期更新世における全北区生態系へのホラアナライオンの適応に関する将来の研究にとって、有望な候補を表しています。
参考文献:
Stanton DWG. et al.(2026): Paleogenomes reveal the evolutionary relationship between modern and cave lions. Cell, 189, 14, 4425–4436.E11.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2026.05.007
Sun X. et al.(2026): The Japanese Archipelago sheltered cave lions, not tigers, during the Late Pleistocene. PNAS, 123, 6, e2523901123.
https://doi.org/10.1073/pnas.2523901123
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[14]de Manuel M. et al.(2020): The evolutionary history of extinct and living lions. PNAS, 117, 20, 10927–10934.
https://doi.org/10.1073/pnas.1919423117
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[17]Stanton DWG. et al.(2020): Early Pleistocene origin and extensive intra-species diversity of the extinct cave lion. Scientific Reports, 10, 12621.
https://doi.org/10.1038/s41598-020-69474-1
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[25]Bergström A. et al.(2022): Grey wolf genomic history reveals a dual ancestry of dogs. Nature, 607, 7918, 313–320.
https://doi.org/10.1038/s41586-022-04824-9
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