大河ドラマ『豊臣兄弟!』第32回「賤ヶ岳の決闘」

 今回は、賤ヶ岳の戦いが描かれました。羽柴軍の織田信孝攻めはあっさりと描かれ、信孝は降伏し、三法師(織田秀信)を藤吉郎(羽柴秀吉)に渡します。雪が積もる中で、柴田軍が動けないところを狙ったわけですが、本作では、すでに市も柴田勝家も羽柴との戦いを決意しており、市は信孝の短慮に呆れます。藤吉郎は雪が深い中、前田利家を訪ねて、自分に従うよう説得して、ここで天下人になることを打ち明けます。利家は藤吉郎を追い返しますが、これは利家の心中に深い影響を残したようで、酒宴にて柴田勝家に天下人となるよう進言します。勝家は激昂しますが、これが勝家の心境にも影響を及ぼしたようで、勝家が裏切った利家を殺さなかったのは、利家が自分に抱いた天下人への夢を、藤吉郎に託すよう利家を諭した、と解釈すべきように思います。その前の勝家と利家の一騎討ちは、まあ映像作品のお約束というか、心象風景として解釈すべきでしょうか。

 賤ヶ岳の戦いでは、本作で時々見られる捻りがあり、中川清秀が柴田勝家に寝返ったため、羽柴軍は窮地に陥ります。桶狭間の戦いでも、佐久間盛重が今川方に寝返ろうとして、それを見抜いていた信長が派遣した梁田政綱に殺された、という話になっていました。あるいは、これは何かの軍記物にある話なのかもしれませんが、創作だとしたら、どのような意図があるのか、よく分かりませんでした。今回の中川清秀の寝返りも、軍記物など何か典拠があるのでしょうか。中川清秀はけっきょく前田利家に殺されますが、作中では中川清秀の寝返りが藤吉郎にも小一郎(長秀、羽柴秀長)知られているのに、清秀の息子の秀政が藤吉郎に重用されたのは、作中ではどう解釈すべきなのでしょうか。まあ、小一郎の舅との創作(だと思います)が採用された安藤守就の、本能寺の変直後の最期も、描かれないどころか言及さえされなかったので、中川秀政も言及されないのかもしれませんが。

 茶々は、今回初めて本格的に描かれた感があります。茶々は、羽柴家の人質となり、藤吉郎を刺すつもりだ、と母の市に訴えますが、市は過去の自分を思い出し、藤吉郎のために命を差し出すことはない、と娘を諭します。本作の最終回がどうなるのか分かりませんが、少なくとも小一郎の死までは話が進むでしょうから、茶々が藤吉郎との間に息子(鶴松)を儲けることも描かれるとは思います。茶々は、成人役の登場が遅いわりに、配役発表は早かったので、今後の心境も丁寧に描かれるのかもしれません。次回は、いよいよ千利休(千宗易)が登場するようですが、本作の主人公である小一郎との関係とともに、藤吉郎との関係も、どう描かれるのか、注目しています。おそらく、千利休も最終回まで登場するでしょうが、その最期も描かれるのでしょうか。

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