近現代史研究室『学び直す日本史 近代編』
PHP研究所より2014年9月に刊行されました。本書の底本は2011年3月に刊行されました。著者名が不明な点は不安でしたし、底本の刊行は10年以上前とやや古いもの、電子書籍で読み放題だったので読んでみました。本書は幕末から高度経済成長期の頃までを取り上げています。21世紀の視点では、高度経済成長期の前後での日本社会の大きな変化を認め、それ以前を近代、それ以降を現代とする時代区分は一定以上有効だと思いますし、私も以前からそう考えていたので、本書の対象範囲には納得できるところがあります。
本書は日本近代史の簡潔な概説になっており、長州藩では江戸時代に毎年正月に家臣が君主に形式的に倒幕を提言していた、など俗説を取り入れすぎかな、とも思いますが、日本近代史の復習に取り組む最初の一冊としては手頃だと思います。上述のように著者名が不明な点は不安でしたが、大きく偏った視点や致命的な間違いはなかったように思います。まず幕末については、ペリー来航前にすでに欧米の船が来航しており、ペリー来航の目的が捕鯨船の寄港地確保にあった、と指摘されています。これは現代日本社会でそれなりに知られているでしょうが、知らない人も多そうですから、本書の編集方針から考えると必要な記述だったように思います。ただ、ペリー来航に対する幕府首脳部の対応は低く評価されており、最近では幕末における幕府首脳部の交渉能力の高さが指摘される傾向にあるように思われるだけに、疑問も残ります。
明治維新以降については、政局だけではなく、統治制度や経済や文化など広範な分野が取り上げられており、復習もしくは入門書として妥当な構成になっていると思います。大日本帝国憲法は「東アジア初の近代的憲法」とされており、オスマン憲法を念頭に置いた評価なのでしょう。日露戦争については、講和条件が明らかとなった後の日比谷焼打事件がやや詳しく解説されており、これは親切だと思います。なお、本書は桂太郎も元老としていますが、桂は元老ではない、との見解(関連記事)の方が有力なように思います。日中戦争勃発とその後の太平洋戦争勃発を経ての敗戦の過程では、国民生活の窮乏に関する記述が多めで、総力戦の国民生活への影響の大きさを改めて思い知らされます。
本書は日本近代史の簡潔な概説になっており、長州藩では江戸時代に毎年正月に家臣が君主に形式的に倒幕を提言していた、など俗説を取り入れすぎかな、とも思いますが、日本近代史の復習に取り組む最初の一冊としては手頃だと思います。上述のように著者名が不明な点は不安でしたが、大きく偏った視点や致命的な間違いはなかったように思います。まず幕末については、ペリー来航前にすでに欧米の船が来航しており、ペリー来航の目的が捕鯨船の寄港地確保にあった、と指摘されています。これは現代日本社会でそれなりに知られているでしょうが、知らない人も多そうですから、本書の編集方針から考えると必要な記述だったように思います。ただ、ペリー来航に対する幕府首脳部の対応は低く評価されており、最近では幕末における幕府首脳部の交渉能力の高さが指摘される傾向にあるように思われるだけに、疑問も残ります。
明治維新以降については、政局だけではなく、統治制度や経済や文化など広範な分野が取り上げられており、復習もしくは入門書として妥当な構成になっていると思います。大日本帝国憲法は「東アジア初の近代的憲法」とされており、オスマン憲法を念頭に置いた評価なのでしょう。日露戦争については、講和条件が明らかとなった後の日比谷焼打事件がやや詳しく解説されており、これは親切だと思います。なお、本書は桂太郎も元老としていますが、桂は元老ではない、との見解(関連記事)の方が有力なように思います。日中戦争勃発とその後の太平洋戦争勃発を経ての敗戦の過程では、国民生活の窮乏に関する記述が多めで、総力戦の国民生活への影響の大きさを改めて思い知らされます。
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