大河ドラマ『豊臣兄弟!』の評価と歴史創作と虚構
現在放送中の大河ドラマ『豊臣兄弟!』は、インターネット上では割と評判が悪いようですが、私が見ているインターネット上の『豊臣兄弟!』への評価はTwitterに偏っているので、当然、あくまでも私のTwitter環境での話です。ただ正直なところ、私の『豊臣兄弟!』に対する評価も、現時点では放送開始前の期待値を大きく下回っており、4K制作となった2019年以降の大河ドラマでは暫定で最低の評価となります。今後、本能寺の変が控えており、巻き返しに期待したいところですが、難しいかな、と半ばあきらめています。
この点は当ブログでもたびたび述べてきましたが、『豊臣兄弟!』は、「豊臣兄弟」、とくに小一郎(長秀、羽柴秀長)を目立たせようとする話が面白くない傾向にあり、脇役ならばともかく主人公だけに、どうしても全体的な評価が低くなっています。小一郎の前半生はよく分かっていないだけに、創作の余地は大きくなります。それだけに、制作側の力量が大きく問われるわけですが、残念ながらここまでは、小一郎を活躍させる場面の出来がよくないように思います。小一郎の織田信長との接し方など、かなり強引な展開が目立ち、小一郎が目立つ場面では少なからぬ場合、説得力が欠けているように思います。
歴史創作で、どこまで「史実」と異なる要素を取り入れるのか、難しいところだとは思います。この点については、2012年放送の大河ドラマ『平清盛』の全体的な感想で述べましたが、当時からほとんど思考を深められていません。大河ドラマに対しては、視聴者が「史実」を求める傾向は強そうですから、その点も制作の難しさと言えるでしょう。正直なところ、大河ドラマといえども娯楽作品ですから、「史実」から外れても多めに見るべきではないか、と思います。しかし、開き直って娯楽色全開で制作することは、大河ドラマでは恐らく無理なのでしょう。その制約の中で小一郎の活躍場面を創作することには難しさがあるでしょうし、逆に、小一郎に少しでも「史実」と異なる活躍をさせても、批判が寄せられるわけです。
まあ、『豊臣兄弟!』への批判はおもに、「史実」に忠実ではないことよりも、説得力がなく、面白くない点にあるのでしょう。大河ドラマのような歴史創作に虚構を入れてもよいが、面白くないのは問題というわけです。この点でたまに思い出す小説が、高松康『朱鳥翔けよ』(幻冬舎ルネッサンス、2013年9月)です(関連記事)。『朱鳥翔けよ』は、現代と古代を舞台にした歴史小説ですが、ほぼ全面的に九州王朝説の立場からの物語になっていました。小説にしては珍しく参考文献が挙げられていることから、読み始める前にまず参考文献を確認したところ、九州王朝説の立場の文献がずらずらと並んでいたのを見て唖然とし、一気に期待値が下がったことをよく記憶しています。私は九州王朝説をまったく支持していないので、九州王朝説を前提にした歴史創作については、「虚構」の設定を取り入れている、と考えています。
それでも、創作として面白ければ、虚構に基づく構成でも、さほど不満に思わなかったでしょうが、早い段階で重要人物の正体が分かるなど、展開は期待外れで、総合的には楽しめませんでした。購入前の期待値が高かった分、当時は大外れと考えてしまいました。『豊臣兄弟!』についても似たところがあり、期待値が高かった分、失望が大きくなっているところもあるとは思います。私は視聴した大河ドラマを個人的に10段階で評価していますが(関連記事)、4K制作となった2019年以降の昨年までの7作品のうち、2023年の『どうする家康』の7点、2020年の『麒麟がくる』の8点以外はすべて9点と高評価です。『豊臣兄弟!』は現時点で3~4点くらいの評価ですが、最終的にはもっと高評価したくなるような話が今後展開することを、期待しています。
この点は当ブログでもたびたび述べてきましたが、『豊臣兄弟!』は、「豊臣兄弟」、とくに小一郎(長秀、羽柴秀長)を目立たせようとする話が面白くない傾向にあり、脇役ならばともかく主人公だけに、どうしても全体的な評価が低くなっています。小一郎の前半生はよく分かっていないだけに、創作の余地は大きくなります。それだけに、制作側の力量が大きく問われるわけですが、残念ながらここまでは、小一郎を活躍させる場面の出来がよくないように思います。小一郎の織田信長との接し方など、かなり強引な展開が目立ち、小一郎が目立つ場面では少なからぬ場合、説得力が欠けているように思います。
歴史創作で、どこまで「史実」と異なる要素を取り入れるのか、難しいところだとは思います。この点については、2012年放送の大河ドラマ『平清盛』の全体的な感想で述べましたが、当時からほとんど思考を深められていません。大河ドラマに対しては、視聴者が「史実」を求める傾向は強そうですから、その点も制作の難しさと言えるでしょう。正直なところ、大河ドラマといえども娯楽作品ですから、「史実」から外れても多めに見るべきではないか、と思います。しかし、開き直って娯楽色全開で制作することは、大河ドラマでは恐らく無理なのでしょう。その制約の中で小一郎の活躍場面を創作することには難しさがあるでしょうし、逆に、小一郎に少しでも「史実」と異なる活躍をさせても、批判が寄せられるわけです。
まあ、『豊臣兄弟!』への批判はおもに、「史実」に忠実ではないことよりも、説得力がなく、面白くない点にあるのでしょう。大河ドラマのような歴史創作に虚構を入れてもよいが、面白くないのは問題というわけです。この点でたまに思い出す小説が、高松康『朱鳥翔けよ』(幻冬舎ルネッサンス、2013年9月)です(関連記事)。『朱鳥翔けよ』は、現代と古代を舞台にした歴史小説ですが、ほぼ全面的に九州王朝説の立場からの物語になっていました。小説にしては珍しく参考文献が挙げられていることから、読み始める前にまず参考文献を確認したところ、九州王朝説の立場の文献がずらずらと並んでいたのを見て唖然とし、一気に期待値が下がったことをよく記憶しています。私は九州王朝説をまったく支持していないので、九州王朝説を前提にした歴史創作については、「虚構」の設定を取り入れている、と考えています。
それでも、創作として面白ければ、虚構に基づく構成でも、さほど不満に思わなかったでしょうが、早い段階で重要人物の正体が分かるなど、展開は期待外れで、総合的には楽しめませんでした。購入前の期待値が高かった分、当時は大外れと考えてしまいました。『豊臣兄弟!』についても似たところがあり、期待値が高かった分、失望が大きくなっているところもあるとは思います。私は視聴した大河ドラマを個人的に10段階で評価していますが(関連記事)、4K制作となった2019年以降の昨年までの7作品のうち、2023年の『どうする家康』の7点、2020年の『麒麟がくる』の8点以外はすべて9点と高評価です。『豊臣兄弟!』は現時点で3~4点くらいの評価ですが、最終的にはもっと高評価したくなるような話が今後展開することを、期待しています。
この記事へのコメント
ドラマの史実再現性と創作性については史料と史料の間を埋める時間は無限にありますから、こちらで人物像なり社会像なりを描く余地は十分すぎる程あります。脚本家が余り調べていない、歴史学に触れたことがないという点を割り引いても、彼我の差は天文学的距離に上るでしょう。
たとえば非戦闘員の扱いですが、海外ドラマや映画では主人公になることすらあるのに対して、大河ドラマでは完全に不可視化されています。アジア太平洋戦争において自決することを強要された民間人のことを思うとやりきれません。戦争のリアルな酷たらしさから目を背けさせることに、テレビゲームのように描かせることにどのような意味があるのか理解できません。
失礼なことを多数申し上げました、ご海容下さいますようお願い申し上げます。なお上月城の件はブログで詳細に論じましたので、お手隙の際に覗いていただければ幸いです。
https://japanesehistorybasedonarchives.hatenablog.com/entry/20260619/1781862713
https://japanesehistorybasedonarchives.hatenablog.com/entry/20260623/1782220293
主人公がほぼ武士や武士階層の出身者に限定されている点とともに、大河ドラマの悪弊とは思います。
ただ、大河ドラマはあくまでも娯楽創作で、主人公を美化するような「史実改変」も基本的には許容すべきと私は考えています。
ただ1980年代の朝ドラ「おしん」では貧困に喘ぐ主人公のためにNHKに米や現金書留が送られたこともありましたし、「スチュワーデス物語」では片平なぎさが街で石をぶつけられたという話も聞き及んでいます。フィクションと現実の区別をつけられない人もいます。
こうした現状に鑑みますと「歴史上の人物の美化」は如何なものかと思います。
まず目的が分かりません。
次に余り面白くもならないでしょう。社会や歴史の織りなす複雑な作用は、人間一人の頭の中で想像できるほど単純でも貧困でもないからです。インテリジェントデザイン論者ではありませんが「事実は小説より奇なり」です。史料を一つ一つ丁寧に読み込んで得られる知識は、人間の想像力をはるかに超えていることはまちがいないでしょう。
以上はあくまで歴史学の立場からの意見に過ぎませんので、お耳汚しかとは存じましたが「歴史上の人物を美化すること」には賛同できません。
不一
主人公(側)の美化で面白くなることもつまらなくなることもあり、それは制作陣の力量によりますし、面白いかつまらないかの受け取り方は個人で異なるでしょう。
正直なところ、意見がかみ合うようには思えないので、後はご自身のブログなどでお願いします。