小型恐竜の進化史
小型恐竜の進化史に関する研究(Makovicky et al., 2026)が公表されました。本論文は、アルヴァレスサウルス類(alvarezsauroids)と呼ばれる小型分類群の新たな標本を報告しています。アルヴァレスサウルス上科は、おもに小型の獣脚類恐竜からなる謎の多い分類群で、その大部分はアジアと南アメリカ大陸のジュラ紀から白亜紀の地層から見つかっています。後期白亜紀のアルヴァレスサウルス上科恐竜は、掘削に適応した特殊な前肢、微小な過剰歯、高度な感覚能力を備えており、アリ食性だった、と解釈されています。アルヴァレスサウルス上科恐竜については、食性の特殊化と相まって進化的小型化を遂げた、との仮説が提示されていまする。南アメリカ大陸で断片的に発見されている複数の分類群はこれまで、後期白亜紀のアジアの下位単系統群であるパルヴィカーソル亜科(Parvicursorinae)に対する側系統群として配置されており、その不連続な分布は分散によって説明されてきました。
本論文は、アルゼンチンのパタゴニアで発見された、アルヴァレスサウルス上科恐竜アルナシェトリ・セッロポリシエンシス(Alnashetri cerropoliciensis)の9500万年前頃の新たな骨格を報告します。この標本は、これまでに南アメリカ大陸で発見されたアルヴァレスサウルス上科の分類群の中で最も完全かつ最小のものとなります。本論文は、北半球で過去に発見された分類群の中から、2種のアルヴァレスサウルス上科恐竜も見つけました。系統解析の結果、アルナシェトリ・セッロポリシエンシスは非アルヴァレスサウルス科の基部に位置づけられ、南アメリカ大陸の分類群の多系統性が示されました。
今回新たに特定された一連の分類群と合わせて、本論文の生物地理学的解析から、アルヴァレスサウルス上科恐竜のパンゲア超大陸における祖先的分布が推定され、この単系統群の初期史においては分断分布が支配的だった、と示唆されました。アルナシェトリ・セッロポリシエンシスが、より大型の近縁種の中で初期に分岐した系統に位置することで、アルヴァレスサウルス上科における体サイズ進化の最適モデルが修正されました。つまり、進化的小型化を支持する証拠ではなく、むしろ狭い範囲の体サイズ内での反復進化を裏付ける証拠が見いだされたわけです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。
古生物学:アルゼンチンの化石が小型恐竜の進化史を書き換えるかもしれない
アルゼンチンで発見されたほぼ完全な恐竜の化石は、生前の体重が1キログラム未満だったと推定され、南米でこれまでに発見された中で最小の恐竜かもしれない。今週のNature に掲載される論文で説明されるこの恐竜は、おもに小型の体躯を持つアルヴァレスサウルス類(alvarezsauroids)と呼ばれる群の新たな標本である。しかし、新たな知見によると、小型化はアルヴァレスサウルス類全体に共通する特徴というより、異なる系統で独立して複数回進化したことを示唆している。
アルヴァレスサウルス類は、分類学上の歴史が議論の的となり、系統樹上の位置づけも定まらない、特異な獣脚類(theropods;恐竜の一部と現代の鳥類全体を含む主要な生物群)である。当初は、飛べない鳥類の近縁種と考えられ、鳥類以外に進化的な小型化を示す唯一の獣脚類群とされてきた。しかし、化石記録は乏しく、アジアとアルゼンチンからの断片的な標本がわずかに存在するのみで、この獣脚類の進化を理解するのは困難であった。
Peter Makovickyら(ミネソタ大学〔米国〕)による化石の発表から、アルヴァレスサウルス類に関する新たな知見がもたらされた。著者らは、アルゼンチンのパタゴニアで発見された、約9500万年前の生物Alnashetri cerropoliciensisのほぼ完全な骨格標本を報告している。推定体重1キログラム未満のAlnashetriは、南米産の非鳥類恐竜種としては最小級の1つだと著者らは指摘する。ほかのアルヴァレスサウルス類と同様に、Alnashetriはくちばし状の前吻、短い前肢、および爪のある長い後肢を持っていた。しかし、前肢の指が退化しておらず、歯もほかのアルヴァレスサウルス類ほど小型化していなかった。こうした差異から、Alnashetriは小型ながらもほかのアルヴァレスサウルス類とは異なる存在であったと推測される。
骨格標本の完全性により、著者らはアルヴァレスサウルス類群の起源を再解釈した。進化による小型化の証拠は見出せず、代わりに狭い体サイズ範囲内で繰り返された独立進化の証拠を確認したのである。
古生物学:不可解な恐竜クレードの進化史を書き換えるアルゼンチンの化石
古生物学:アルヴァレスサウルス類は反復進化により小型化した
今回アルゼンチンで、謎めいたアルヴァレスサウルス類恐竜Alnashetri cerropoliciensisの、小型だがほぼ完全な骨格標本が発見された。この恐竜は生存時の体重が1 kg未満と推定され、南米では既知で最小の恐竜である。新たな標本からは、この興味深い恐竜群が、進化的小型化ではなく複数系統での反復進化を経て小型化したことが示された。
参考文献:
Makovicky PJ. et al.(2026): Argentine fossil rewrites evolutionary history of a baffling dinosaur clade. Nature, 652, 8112, 1240–1244.
https://doi.org/10.1038/s41586-026-10194-3
本論文は、アルゼンチンのパタゴニアで発見された、アルヴァレスサウルス上科恐竜アルナシェトリ・セッロポリシエンシス(Alnashetri cerropoliciensis)の9500万年前頃の新たな骨格を報告します。この標本は、これまでに南アメリカ大陸で発見されたアルヴァレスサウルス上科の分類群の中で最も完全かつ最小のものとなります。本論文は、北半球で過去に発見された分類群の中から、2種のアルヴァレスサウルス上科恐竜も見つけました。系統解析の結果、アルナシェトリ・セッロポリシエンシスは非アルヴァレスサウルス科の基部に位置づけられ、南アメリカ大陸の分類群の多系統性が示されました。
今回新たに特定された一連の分類群と合わせて、本論文の生物地理学的解析から、アルヴァレスサウルス上科恐竜のパンゲア超大陸における祖先的分布が推定され、この単系統群の初期史においては分断分布が支配的だった、と示唆されました。アルナシェトリ・セッロポリシエンシスが、より大型の近縁種の中で初期に分岐した系統に位置することで、アルヴァレスサウルス上科における体サイズ進化の最適モデルが修正されました。つまり、進化的小型化を支持する証拠ではなく、むしろ狭い範囲の体サイズ内での反復進化を裏付ける証拠が見いだされたわけです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。
古生物学:アルゼンチンの化石が小型恐竜の進化史を書き換えるかもしれない
アルゼンチンで発見されたほぼ完全な恐竜の化石は、生前の体重が1キログラム未満だったと推定され、南米でこれまでに発見された中で最小の恐竜かもしれない。今週のNature に掲載される論文で説明されるこの恐竜は、おもに小型の体躯を持つアルヴァレスサウルス類(alvarezsauroids)と呼ばれる群の新たな標本である。しかし、新たな知見によると、小型化はアルヴァレスサウルス類全体に共通する特徴というより、異なる系統で独立して複数回進化したことを示唆している。
アルヴァレスサウルス類は、分類学上の歴史が議論の的となり、系統樹上の位置づけも定まらない、特異な獣脚類(theropods;恐竜の一部と現代の鳥類全体を含む主要な生物群)である。当初は、飛べない鳥類の近縁種と考えられ、鳥類以外に進化的な小型化を示す唯一の獣脚類群とされてきた。しかし、化石記録は乏しく、アジアとアルゼンチンからの断片的な標本がわずかに存在するのみで、この獣脚類の進化を理解するのは困難であった。
Peter Makovickyら(ミネソタ大学〔米国〕)による化石の発表から、アルヴァレスサウルス類に関する新たな知見がもたらされた。著者らは、アルゼンチンのパタゴニアで発見された、約9500万年前の生物Alnashetri cerropoliciensisのほぼ完全な骨格標本を報告している。推定体重1キログラム未満のAlnashetriは、南米産の非鳥類恐竜種としては最小級の1つだと著者らは指摘する。ほかのアルヴァレスサウルス類と同様に、Alnashetriはくちばし状の前吻、短い前肢、および爪のある長い後肢を持っていた。しかし、前肢の指が退化しておらず、歯もほかのアルヴァレスサウルス類ほど小型化していなかった。こうした差異から、Alnashetriは小型ながらもほかのアルヴァレスサウルス類とは異なる存在であったと推測される。
骨格標本の完全性により、著者らはアルヴァレスサウルス類群の起源を再解釈した。進化による小型化の証拠は見出せず、代わりに狭い体サイズ範囲内で繰り返された独立進化の証拠を確認したのである。
古生物学:不可解な恐竜クレードの進化史を書き換えるアルゼンチンの化石
古生物学:アルヴァレスサウルス類は反復進化により小型化した
今回アルゼンチンで、謎めいたアルヴァレスサウルス類恐竜Alnashetri cerropoliciensisの、小型だがほぼ完全な骨格標本が発見された。この恐竜は生存時の体重が1 kg未満と推定され、南米では既知で最小の恐竜である。新たな標本からは、この興味深い恐竜群が、進化的小型化ではなく複数系統での反復進化を経て小型化したことが示された。
参考文献:
Makovicky PJ. et al.(2026): Argentine fossil rewrites evolutionary history of a baffling dinosaur clade. Nature, 652, 8112, 1240–1244.
https://doi.org/10.1038/s41586-026-10194-3
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