真核生物の進化系統樹

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、真核生物の進化系統樹に関する研究(Williamson et al., 2025)が公表されました。eToL(The eukaryote Tree of Life、真核生物の系統樹)はすべての真核生物の関係を表し、その根は、現生の複雑な生物すべての起源となって、LECA(Last Eukaryotic Common Ancestor、真核生物の最終共通祖先)に相当します。LECAの特徴を復元するには、この根の位置を特定することが不可欠です。なぜならば、それは真核生物の誕生過程(eukaryogenesis)の終点であると同時に、現生の真核生物の多様化を支えている無数の複雑な形質の進化の起点でもあるからです。しかし、進化モデルの不備、分類群の標本抽出の不足、系統解析に有用な兆候の制約に起因する系統解析上のさまざまな誤りのため、この根の位置に関する議論は依然として決着していません。

 本論文は、既知のすべての真核生物の巨大系統群(スーパーグループ)を含む、これまでにない規模の新たなミトコンドリアタンパク質データセットに基づき、かつてない解像度でeToLの根を推定しました。最新の系統解析モデルを用いて100タクソン×93タンパク質のデータセットを解析し、代替的な仮説を広範に評価することによって、真核生物の根は、それぞれ複数の巨大系統群からなる「Opimoda+」および「Diphoda+」という2つの系統群の間に位置することが明らかになった。

 この位置は、さまざまなモデルや堅牢性評価で一貫して支持されました。特筆すべきは、「典型的なエクスカバータ生物」を含む群が「Opimoda+」および「Diphoda+」のどちらにも含まれることであり、これは「エクスカバータ生物」の細胞構造の複雑な特徴がLECAにまでさかのぼることを示唆しています。本論文は、現生の真核生物の起源となった祖先細胞に関する理解を深めるとともに、典型的な真核生物の特徴の起源と進化を研究するための、きわめて重要な枠組みを提供します。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


進化学:真核生物の頑健な有根系統樹により真核生物共通祖先はエクスカバータ生物の形態を持っていたことが明らかになった

進化学:真核生物の原型はエクスカバータ生物にあり

 今回、ミトコンドリアタンパク質の大規模なデータセットの新たな解析によって、真核生物が、「エクスカバータ生物」として知られる、腹側に特徴的な捕食溝を持つ原生生物群(現生ではギアルディアやトリコモナスなどの寄生生物が含まれる)から出現したことが示唆された。



参考文献:
Williamson K. et al.(2025): A robustly rooted tree of eukaryotes reveals their excavate ancestry. Nature, 640, 8060, 974–981.
https://doi.org/10.1038/s41586-025-08709-5

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