鋏角類のカンブリア紀起源
カンブリア紀の新たな軟体節足動物を報告した研究(Lerosey-Aubril, and Ortega-Hernández., 2026)が公表されました。現生の鋏角類は12万種以上からなる著しく多様な節足動物のクレード(単系統群)で、サソリ類やクモ類やダニ類といった生態学的および経済的にきわめて重要な、よく知られた分類群を含んでいます。現生の鋏角類には共通の解剖学的特徴として、鋏角と呼ばれる、先端が単純な鋏状になった摂食用の第1付属肢があります。こうした主に捕食性の動物群の化石記録は約5億年にわたって存在し、その起源はカンブリア爆発の期間にある可能性が高いと示唆されていますが、それを示す記録はまだありません。アーティオポダ類やメガケイラ類やハベリア類やモリソニア類は、カンブリア紀のステム群またはクラウン群の鋏角類と考えられてきましたが、これらはいずれも明確な鋏角を欠いており、鋏角を持つ節足動物の出現については不明瞭なままでした。
本論文は、アメリカ合衆国ユタ州のウェストデザート(West Desert)にある、カンブリア紀中期(ドラミアン期)のウィーラー層(Wheeler Formation)から出土した、大型で軟体性の節足動物の新属新種メガチェリセラクス・コウステアウイ(Megachelicerax cousteaui)を報告します。本種は、3節からなる大型の鋏角、さらには非葉状の外肢を持つ5対の偽二枝型前体部付属肢と、板状のラメラを持つ後体部付属肢を特徴とします。ベイズ法および最大節約法による系統解析の結果、メガチェリセラクス・コウステアウイは、カンブリア紀のハベリア類と、カンブリア紀以降の鋏角を持つハラフシカブトガニ類(共剣尾類)とをつなぐステム群鋏角類に位置づけられました。この知見は、カンブリア紀に大型の捕食性鋏角類が存在したことを示す明確な証拠となり、それらのボディープランの起源を明らかにするとともに、ハベリア類、モリソニア類、おそらくはメガケイラ類がトータル群鋏角類に属することを裏づけています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。
古生物学:初期のクモの近縁種が系統樹にその名を刻む
5億年前の化石で、クモ、サソリ、およびダニの非常に初期の近縁種にあたる生物が、鋏角類(chelicerate)と呼ばれるこの節足動物群がどのように進化したかについての手がかりを提供している。米国ユタ州で発見されたこの化石には、明確な鋏が見られ、鋏角類におけるこの特徴が確認された最古級の例の一つである。この発見を報告する論文が、Nature に掲載される。
現生の鋏角類には、サソリ、ダニ、マダニ、ウミグモ、およびカブトガニが含まれ、摂食器官の一部として前方に一対の鋏(鋏角)を持つことで区別される。これらの動物の化石記録は、約5億年に及ぶが、初期の標本にはこの鋏の明確な痕跡が欠けていた。そのため、鋏角類がいつ初めて進化したのか、また、初期の形態がどのようなものだったのかは不明であった。
Rudy Lerosey-AubrilとJavier Ortega-Hernández(ハーバード大学〔米国〕)は、明確な鋏角を持つ軟体節足動物の新種を記載し、これをMegachelicerax cousteauiと命名した。この標本は、米国ユタ州ウェストデザート(West Desert)にあるウィーラー層(Wheeler Formation)から発見された5億年前(カンブリア紀)のもので、この年代は現時点で知られる最古の鋏角類の一つに相当する。この生物の頭部、体、および四肢の大部分は、良好な状態で保存されており、特に頭盾の下から一対の鋏が伸びているのが確認できる。著者らは、Megacheliceraxが鋏角類の幹群に属し、カンブリア期の、爪を持たなかった可能性のある同グループの生物と、カンブリア期以降に現れた爪を持つ近縁種をつなぐ存在である可能性を提唱している。著者らは、今回の発見が、カンブリア期に捕食性の鋏角類がすでに存在していたことを示す証拠となり、その爪の起源を解明する手がかりとなる、と結論づけている。
古生物学:鋏角を持つ節足動物が明らかにする、鋏角類のカンブリア紀起源
古生物学:鋏角類のカンブリア紀起源を証明する化石
クモ類とその近縁動物は総称して鋏角類と呼ばれ、前方に1対のはさみ(鋏角)を持つことを特徴とする。今回新種として報告された、米国ユタ州のカンブリア紀層から出土した軟体性の節足動物Megacheliceraxは、これまで候補とされていたいかなる化石よりもはるかに明瞭な鋏角を持ち、ステム群鋏角類に位置付けられた。
参考文献:
Lerosey-Aubril R, and Ortega-Hernández J.(2026): A chelicera-bearing arthropod reveals the Cambrian origin of chelicerates. Nature, 652, 8111, 931–937.
https://doi.org/10.1038/s41586-026-10284-2
本論文は、アメリカ合衆国ユタ州のウェストデザート(West Desert)にある、カンブリア紀中期(ドラミアン期)のウィーラー層(Wheeler Formation)から出土した、大型で軟体性の節足動物の新属新種メガチェリセラクス・コウステアウイ(Megachelicerax cousteaui)を報告します。本種は、3節からなる大型の鋏角、さらには非葉状の外肢を持つ5対の偽二枝型前体部付属肢と、板状のラメラを持つ後体部付属肢を特徴とします。ベイズ法および最大節約法による系統解析の結果、メガチェリセラクス・コウステアウイは、カンブリア紀のハベリア類と、カンブリア紀以降の鋏角を持つハラフシカブトガニ類(共剣尾類)とをつなぐステム群鋏角類に位置づけられました。この知見は、カンブリア紀に大型の捕食性鋏角類が存在したことを示す明確な証拠となり、それらのボディープランの起源を明らかにするとともに、ハベリア類、モリソニア類、おそらくはメガケイラ類がトータル群鋏角類に属することを裏づけています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。
古生物学:初期のクモの近縁種が系統樹にその名を刻む
5億年前の化石で、クモ、サソリ、およびダニの非常に初期の近縁種にあたる生物が、鋏角類(chelicerate)と呼ばれるこの節足動物群がどのように進化したかについての手がかりを提供している。米国ユタ州で発見されたこの化石には、明確な鋏が見られ、鋏角類におけるこの特徴が確認された最古級の例の一つである。この発見を報告する論文が、Nature に掲載される。
現生の鋏角類には、サソリ、ダニ、マダニ、ウミグモ、およびカブトガニが含まれ、摂食器官の一部として前方に一対の鋏(鋏角)を持つことで区別される。これらの動物の化石記録は、約5億年に及ぶが、初期の標本にはこの鋏の明確な痕跡が欠けていた。そのため、鋏角類がいつ初めて進化したのか、また、初期の形態がどのようなものだったのかは不明であった。
Rudy Lerosey-AubrilとJavier Ortega-Hernández(ハーバード大学〔米国〕)は、明確な鋏角を持つ軟体節足動物の新種を記載し、これをMegachelicerax cousteauiと命名した。この標本は、米国ユタ州ウェストデザート(West Desert)にあるウィーラー層(Wheeler Formation)から発見された5億年前(カンブリア紀)のもので、この年代は現時点で知られる最古の鋏角類の一つに相当する。この生物の頭部、体、および四肢の大部分は、良好な状態で保存されており、特に頭盾の下から一対の鋏が伸びているのが確認できる。著者らは、Megacheliceraxが鋏角類の幹群に属し、カンブリア期の、爪を持たなかった可能性のある同グループの生物と、カンブリア期以降に現れた爪を持つ近縁種をつなぐ存在である可能性を提唱している。著者らは、今回の発見が、カンブリア期に捕食性の鋏角類がすでに存在していたことを示す証拠となり、その爪の起源を解明する手がかりとなる、と結論づけている。
古生物学:鋏角を持つ節足動物が明らかにする、鋏角類のカンブリア紀起源
古生物学:鋏角類のカンブリア紀起源を証明する化石
クモ類とその近縁動物は総称して鋏角類と呼ばれ、前方に1対のはさみ(鋏角)を持つことを特徴とする。今回新種として報告された、米国ユタ州のカンブリア紀層から出土した軟体性の節足動物Megacheliceraxは、これまで候補とされていたいかなる化石よりもはるかに明瞭な鋏角を持ち、ステム群鋏角類に位置付けられた。
参考文献:
Lerosey-Aubril R, and Ortega-Hernández J.(2026): A chelicera-bearing arthropod reveals the Cambrian origin of chelicerates. Nature, 652, 8111, 931–937.
https://doi.org/10.1038/s41586-026-10284-2
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