後期白亜紀ヨーロッパの角竜類

 後期白亜紀ヨーロッパの角竜類を報告した研究(Maidment et al., 2026)が公表されました。後期白亜紀のヨーロッパは群島で、多様性の低さや遺存性や島嶼性矮小化などの島効果で特徴づけられる恐竜動物相が存在しました。この地域の恐竜群集は、典型的なローラシア大陸あるいはゴンドワナ大陸の恐竜類と類縁な分類群と、独自の固有種が独特に混在したものでした。固有種の中で最も重要なのはラブドドン類(rhabdodontids)で、この恐竜は初期に分岐したイグアノドン類(iguanodontians)と考えられており、歯と頭蓋後方に特異な特徴を持ち、数は豊富であるものの、ひじょうに不完全な化石標本から知られています。一方、角竜類はアジアと北米の同年代の生態系の至る所で発見されているにも関わらず、不可解なことにヨーロッパでは角竜類の明白な証拠が見つかっていません。

 ハンガリーの後期白亜紀の地層から見つかったアイカケラトプス(Ajkaceratops)は、ヨーロッパにおける最初の明確な角竜類として記載報告されましたが、その正体については強い反対意見があります。本論文々は、アイカケラトプスの新たな標本について報告し、系統学的解析に基づいて角竜類との類縁性を裏づけます。本論文の結果は意外にも、「ラブドドン類」とされた分類群の一部が、実際にはイグアノドン類ではなく、角竜類であることを実証しています。これは、ヨーロッパの角竜類にはこれまで隠されていた大きな多様性と進化史があることを示唆しており、イグアノドン類と角竜類の共存は、他のローラシア大陸の生態系との類似性がこれまで考えられていたよりも高いことを示しています。本論文の結果は、鳥盤類恐竜の進化に関する従来の理解に疑問を投げかけており、ヨーロッパの後期白亜紀の草食恐竜集団について根本的な再評価が必要であることを示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


古生物学:後期白亜紀のヨーロッパにおける角竜類の隠れた多様性

古生物学:後期白亜紀のヨーロッパの角竜類は多様だった

 ラブドドン類はイグアノドン類に分類されてきたヨーロッパ固有の恐竜だが、断片的な化石から知られているのみである。今回、アイカケラトプス(Ajkaceratops)の新たな化石標本が報告され、これが確実に角竜類(アジアや北米から数多く見つかっている)であることが裏付けられるとともに、ラブドドン類とされた恐竜の一部も、実際には角竜類であることが明らかになった。



参考文献:
Maidment SCR. et al.(2026): A hidden diversity of ceratopsian dinosaurs in Late Cretaceous Europe. Nature, 651, 8105, 397–403.
https://doi.org/10.1038/s41586-025-09897-w

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