統合失調症の集団間の差異

 統合失調症の集団間の差異に関する研究(Bigdeli et al., 2026)が公表されました。統合失調症および関連する精神病は、あらゆるヒト集団で発生し、「黒人」およびおもにアフリカ系集団で診断率が最も高くなっています。数十年にわたる研究で、統合失調症には高度に遺伝性で多遺伝子性の基盤がある、と明らかにされており、その基盤の多くは集団間で共通しています。しかし、コホート(特定の性質が一致する個体で構成される集団)の募集がヨーロッパ系に偏っており、そこから得られた発見はアフリカ系集団には一般化しづらいものでてした。この世界で最も遺伝的に多様な集団を除外することは、疾患生物学についての理解を狭め、健康格差を悪化させる危険性があります。

 本論文は、退役軍人100万人計画(Million Veteran Program、略してMVP、退役軍人の健康と良好な健康状態に対する遺伝子と生活様式と軍隊経験および曝露の影響を調査する、全国研究計画)のゲノムデータと結びつけた電子健康記録が、アメリカ合衆国のアフリカ系集団における統合失調症の遺伝的特徴の包括的な評価を可能にする、と示します。本論文は、アフリカ系集団で祖先系統に依存しない関連を特定し、関与領域のカタログを100座位以上拡大した。また、統計的に精細なマッピング(多少の違いを許容しつつ、ゲノム配列内の類似性が高い処理を同定する情報処理)と統合的トランスクリプトーム解析によって、疾患関連兆候が、収斂的な神経生物学的機能を持つコンセンサス遺伝子に絞り込まれました。これらの結果は、アフリカ系集団における統合失調症の遺伝的構造に関する待望の知見を提供し、これまでの研究を拡張するとともに、その世界的な意義を広げる生物学的手掛かりをもたらします。


参考文献:
Bigdeli TB. et al.(2026): Biological insights into schizophrenia from ancestrally diverse populations. Nature, 651, 8105, 404–413.
https://doi.org/10.1038/s41586-025-10000-6

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