大河ドラマ『豊臣兄弟!』第8回「墨俣一夜城」

 今回は、「一夜城」の逸話で有名な墨俣築城が描かれました。川並衆の蜂須賀小六(正勝)を引き入れ、木下(羽柴)秀吉(藤吉郎)と小一郎(長秀、羽柴秀長)は墨俣に拠点となる砦を築こうとします。織田信長は、墨俣に美濃の軍勢を引きつけ、その隙に美濃の重臣である安藤守就の拠点である北方城を攻略しようと考えていました。本作では、信長の美濃攻めは「豊臣兄弟」出世の重要な契機になった、との構成になるようで、安藤守就の主君への不満など、美濃の内情も比較的詳しく描かれています。

 小一郎と直は祝言を挙げることになりますが、直はその前に父親に挨拶に行き、怒った父親に監禁されてしまいます。直は架空の人物で、放送開始前に小一郎の正妻が直ではないことも公表されていたので、直がいつまで登場するのか、気になっていました。直は、昨年(2025年)の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の瀬以(花の井、五代目瀬川)のように、退場しても死亡したわけではなく、最終回で存命であることが示唆されることも、死亡して退場することも予想されましたが、盗賊に襲われている子供を庇って斬られ、そのまま落命しました。本作での直の役割は、小一郎に武士の道を進もうと決意させることにあったのでしょうか。直の死を小一郎がどう受け止めて、生きていくのかは、本作の評価に重要となりそうなので、注目しています。さすがに、2014年放送の大河ドラマ『軍師官兵衛』のように、主人公の幼馴染で初恋の女性の序盤での死がその後、作中でほぼまったく機能しなかったようなことにはならないだろう、とは思いますが、正直なところやや不安もあります。

 本作はここまで、通俗的というかよく知られた「太閤記もの」の物語を踏襲している感じで、直とその父親のやり取りのように、「太閤記もの」にもない創作でも、「王道的な」物語になっているように思います。こうした作風を、安定した堅実な娯楽路線と高く評価する視聴者もいるでしょうが、陳腐と批判する視聴者も少なくないでしょう。しかし、墨俣を捨て石として、小一郎が北方城攻略に向かうなど、工夫も見られ、現時点で本作を陳腐と評価してしまうのは時期尚早とも思います。ただ、小一郎の功績を描くさいに、今回もそうだったように強引なところがあり、この点は今後も不安です。北方城攻略を見抜いたのは、今回が初登場となった竹中半兵衛(重治)のようですが、まだ顔見世程度で、その人物像は詳しく描かれていません。次回以降、竹中半兵衛の人物像がどのように描かれるのか、楽しみです。

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