宮崎市定『中国史の名君と宰相』

 礪波護編纂で、中公文庫の一冊として中央公論新社から2011年11月に刊行されました。本書には、『世界伝記大事典 日本・朝鮮・中国編』の宮崎氏執筆の項目(孔子・始皇帝・李斯・漢の武帝・煬帝・雍正帝)が収録されていますが、これらは『宮崎市定全集』(岩波書店)に収録されていません。礪波氏によると、辞典・事典に執筆された文章は全集には収録しないという通例に従い、『宮崎市定全集』には収録されなかったものの、それらの文章は宮崎氏の見解を要約した観があり、機会があれば紹介したいと考えてきた、とのことです。

 本書にはすでに『宮崎市定全集』に収録されている論文もありますが、これまでに読んだことのない文章もあるということで、購入して読みました。礪波氏の指摘にあるように、『世界伝記大事典 日本・朝鮮・中国編』の宮崎氏執筆の項目は、宮崎氏が自身の見解を要約した観があり、目新しさはなかったのですが、簡潔な文章で宮崎氏の見解の大筋を把握しやすい、という利点があります。孔子・李斯・煬帝・雍正帝については宮崎氏の単著・論文があり、より詳しく知ることができますが、そのなかでも「史記李斯列伝を読む」は、私がこれまでに読んだ論文のなかでもっとも面白く、また感銘を受けたものです。この論文は、『宮崎市定全集』第5巻などに収録されています。

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