全ゲノム重複による多細胞の適応進化
取り上げるのが遅れてしまいましたが、全ゲノム重複による多細胞の適応進化についての研究(Tong et al., 2025)が公表されました。WGD(Whole-genome duplication、全ゲノム重複)は真核生物全体に広く見られる現象で、適応進化を促進することがあります。しかし、新たに形成された倍数体ゲノムの不安定性を考えると、WGDが個体群内でどのように起こり、持続して、適応の基盤となるかを理解することは依然として困難です。
本論文は、現在進行中の多細胞性長期進化実験(MuLTEE)を用いて、二倍体のスノーフレーク酵母(Saccharomyces cerevisiae)が、多細胞性のより大きなサイズを選択する条件下で急速に四倍体へと進化する、と示します。四倍体は、実験開始から最初の50日以内に生じ、ゲノムは不安定でありながら、10の複製集団において、その後950日にわたって持続しました(ほぼ5000世代に相当し、本実験の現時点での最長期間です)。合成再構築、生物物理学的モデル化、対抗選択を用いて、四倍性は、より大きく長い細胞を作り出してより大きなクラスタ(まとまり)を得ることで、この選択下で即時の適応度利益をもたらすために進化する、と分かりました。
同じ選択的利益はまた、長期の進化的時間規模にわたって四倍性を維持しており、これによって、実験室での進化実験で典型的に見られる、二倍性への逆戻りが抑制されます。四倍性は、ひとたび確立されると適応のための新たな遺伝的経路を促進し、進化的に保存された異数性の起源を介して多細胞性の巨視的規模の進化において主要な役割を担います。これらの結果は、進化の動態やWGDの影響についての独特の経験的手掛かりを提供し、WGDが、最初は即時の適応的利益に起因して生じ、選択によって維持され、遺伝性の遺伝的多様性の新たな次元を生み出すことで長期的な革新を促す仕組みを示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
遺伝学:長期にわたる多細胞性進化実験におけるゲノム重複
Cover Story:重複の効果:全ゲノム重複が実験室で5000世代にわたって多細胞の適応進化を駆動した
全ゲノム重複(WGD)は真核生物で適応進化を促進する可能性があるが、それがどのように起こり、持続して、適応に寄与するかは、よく分かっていない。今週号ではW Ratcliffたちが、多細胞の「スノーフレーク」酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、WGDが発生し、数千世代にわたって安定に持続し得ることを明らかにしている。彼らは、サイズの増大を強制する選択条件下で、酵母が細胞内の染色体を2組から4組へと急速に進化させることを見いだした。この「四倍性」は50日以内に出現し、ゲノムの不安定が認められるにもかかわらず、少なくとも950日間(約5000世代)持続した。研究チームは、この現象が出現し維持されたのは、それが選択圧に応答して即時の進化的有利性をもたらし、より大きく長い細胞を形成して、より大規模な多細胞クラスターを生み出したためだと結論付けている。さらに、重複ゲノムの不安定性は、特定の染色体の獲得および喪失(異数性)を引き起こし、細胞のさらなる伸長を促して、600日以内に肉眼で確認できる多細胞性を生み出した。表紙は、この効果を示す進化したスノーフレーク酵母の画像で、WGDと異数性の結果生じた、より大きな核(黄色)とより大きく長い細胞(青緑色)が観察できる。
参考文献:
Tong K. et al.(2025): Genome duplication in a long-term multicellularity evolution experiment. Nature, 639, 8055, 691–699.
https://doi.org/10.1038/s41586-025-08689-6
本論文は、現在進行中の多細胞性長期進化実験(MuLTEE)を用いて、二倍体のスノーフレーク酵母(Saccharomyces cerevisiae)が、多細胞性のより大きなサイズを選択する条件下で急速に四倍体へと進化する、と示します。四倍体は、実験開始から最初の50日以内に生じ、ゲノムは不安定でありながら、10の複製集団において、その後950日にわたって持続しました(ほぼ5000世代に相当し、本実験の現時点での最長期間です)。合成再構築、生物物理学的モデル化、対抗選択を用いて、四倍性は、より大きく長い細胞を作り出してより大きなクラスタ(まとまり)を得ることで、この選択下で即時の適応度利益をもたらすために進化する、と分かりました。
同じ選択的利益はまた、長期の進化的時間規模にわたって四倍性を維持しており、これによって、実験室での進化実験で典型的に見られる、二倍性への逆戻りが抑制されます。四倍性は、ひとたび確立されると適応のための新たな遺伝的経路を促進し、進化的に保存された異数性の起源を介して多細胞性の巨視的規模の進化において主要な役割を担います。これらの結果は、進化の動態やWGDの影響についての独特の経験的手掛かりを提供し、WGDが、最初は即時の適応的利益に起因して生じ、選択によって維持され、遺伝性の遺伝的多様性の新たな次元を生み出すことで長期的な革新を促す仕組みを示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
遺伝学:長期にわたる多細胞性進化実験におけるゲノム重複
Cover Story:重複の効果:全ゲノム重複が実験室で5000世代にわたって多細胞の適応進化を駆動した
全ゲノム重複(WGD)は真核生物で適応進化を促進する可能性があるが、それがどのように起こり、持続して、適応に寄与するかは、よく分かっていない。今週号ではW Ratcliffたちが、多細胞の「スノーフレーク」酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、WGDが発生し、数千世代にわたって安定に持続し得ることを明らかにしている。彼らは、サイズの増大を強制する選択条件下で、酵母が細胞内の染色体を2組から4組へと急速に進化させることを見いだした。この「四倍性」は50日以内に出現し、ゲノムの不安定が認められるにもかかわらず、少なくとも950日間(約5000世代)持続した。研究チームは、この現象が出現し維持されたのは、それが選択圧に応答して即時の進化的有利性をもたらし、より大きく長い細胞を形成して、より大規模な多細胞クラスターを生み出したためだと結論付けている。さらに、重複ゲノムの不安定性は、特定の染色体の獲得および喪失(異数性)を引き起こし、細胞のさらなる伸長を促して、600日以内に肉眼で確認できる多細胞性を生み出した。表紙は、この効果を示す進化したスノーフレーク酵母の画像で、WGDと異数性の結果生じた、より大きな核(黄色)とより大きく長い細胞(青緑色)が観察できる。
参考文献:
Tong K. et al.(2025): Genome duplication in a long-term multicellularity evolution experiment. Nature, 639, 8055, 691–699.
https://doi.org/10.1038/s41586-025-08689-6
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