大相撲初場所千秋楽

 今場所は、横綱の豊昇龍関と大の里関の不調が場所前から報道されており、とくに大の里関については、先場所千秋楽に初めて休場し、負傷からどの程度回復しているのか不運でした。大の里関については、あるいはもう以前のように圧倒的な強さを発揮するのは難しいのではないか、今場所は休場する方がよいのではないか、とも懸念していましたが、押し切れないとすぐに引くなど、やはり今場所は相撲内容がひじょうに悪く、ずっと不安定でした。大の里関はそれでも8日目までは1敗でしたが、8日目に伯乃富士関にあっけなく敗れたさいに、先場所痛めた左肩の状態が再び悪化したように見えたので、休場するのかと思ったら出場し続け、9日目と10日目も負けて3連敗となり、この間の相撲内容があまりにも悪かったため、なぜ休場しないのか、不思議でしたが、11日目からは立て直して、14日目には2敗で単独首位の安青錦関に圧勝しました。確かに、大の里関の左肩の状態は万全ではないのでしょうが、それ以上に、治療に専念して稽古が不足していたことと、初の休場明けで相撲勘が鈍っていたため、相撲内容が悪かったようにも思います。豊昇龍関も膝の状態が悪いこともあって相撲内容は悪く、勝ち越したものの、優勝争いからは脱落しました。

 優勝争いは、新大関の安青錦関が2敗しつつも14日目を迎えた時点では単独首位でしたが、上述のように14日目にこれまで勝ったことのない大の里関に完敗し、千秋楽を迎えた時点では、3敗の安青錦関と熱海富士関に、4敗の大の里関と霧島関と欧勝海関と阿炎関に優勝の可能性が残る大混戦となりました。熱海富士関は2023年の秋場所において、貴景勝関に負けたとはいえ、21歳になったばかりで優勝決定戦まで進み、恵まれた体格からも次の大関候補として注目してきましたが、伊勢ヶ濱部屋所属で稽古相手には恵まれているはずなのに、その後は伸び悩んでいる感があり、十両に陥落こそしなかったものの、三役にはまだ昇進しておらず、正直なところ期待外れの感は否めませんでした。熱海富士関が本当に覚醒したのかどうか、小結に昇進しそうな来場所は真価が問われることになりそうです。

 千秋楽は、まず4敗の熱海富士関と欧勝海関が対戦し、熱海富士関が一気に寄り切って勝ちました。ここで欧勝海関が勝てば最大で5人での優勝決定戦の可能性もありましたが、これで、優勝は熱海富士関と安青錦関に絞られました。霧島関と阿炎関の4敗同士の対戦では、霧島関が中に入って危なげなく寄り切って勝ちました。霧島関は関脇で11勝として、大関復帰への起点を築いたことになりますが、先場所は前頭2枚目で11勝だったので、来場所は13勝以上での優勝ならば、大関に復帰できそうです。安青錦関は琴櫻関と対戦し、いつも通り低い姿勢を崩さず、寄り切って勝ち、熱海富士関との優勝決定戦に進みました。結びの横綱同士の一番は、豊昇龍関が鋭い立ち合いから大の里関を圧倒して寄り切って勝ちました。どうも、大の里関はなかなか豊昇龍関に勝てず、今後の課題となります。優勝決定戦では、熱海富士関がその巨体で安青錦関に圧力をかけ、安青錦関の上体を起こして攻めていきましたが、安青錦関が首投げで熱海富士関に勝ち、2場所連続2回目の優勝を果たしました。

 来場所は横綱昇進に挑む安青錦関にとって、横綱昇進の最大の壁が大の里関であることは衆目の一致するところでしょうが、その原因は立ち合いも含めての圧力不足で、ここを克服しないと、立ち合いの圧力の強い大の里関と互角にわたり合うことは難しそうです。それでも、安青錦関が今後横綱に昇進する可能性は低くなさそうで、そうなった場合に、豊昇龍関は大の里関に、大の里関は安青錦関に、安青錦関は豊昇龍関に相性がよい、という三竦みの関係になり、それぞれ個性が大きく違うだけに、さらに相撲人気が高まるのではないか、と期待していますし、私もこの3横綱体制の実現を楽しみにしています。

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