『卑弥呼』第160話「幟を掲げて」
『ビッグコミックオリジナル』2026年1月5日号掲載分の感想です。前回は、魏の遼東郡で、日下と通じていた穂波(ホミ)国の重臣の息子であるトモが、親友のミマアキに、ミマアキの恋人だったクラトを殺したのはヤノハだ、と伝えたところで終了しました。今回は、ミマアキがかつてクラトの墓前を訪れた回想場面(第136話)から始まります。ミマアキは、クラトを殺害したのがアカメとナツハ(チカラオ)だと気づき、ヤノハの指示だと考えますが、その後もヤノハに忠誠を誓い続け、あえてこの疑念を考えないようにしていたのでしょう。それが、親友のトモから改めてクラト殺害へのヤノハの関与について新たな情報を得て、さすがに動揺しているようです。しかし、ミマアキは、それと現状はどう関係があるのか、とトモに問いかけます。予期しない問いかけだったのか、トモは動揺し、我々は出発を遅らせるべきではないか、日見子(ヒミコ)様、つまりヤノハは我々が死のうが生きようがなんとも思わない人だ、とミマアキに訴えます。しかしミマアキは、ヤノハが無策無謀な人ではない、と呟きます。ヤノハの非情さは常に何か目的を達成するためで、逆に死んで欲しくない者には万全の策を講じる、とミマアキはトモに指摘します。何が言いたいのか、とトモに問われたミマアキは、ヤノハの今の望みは我々が生きて魏と公孫淵の戦いの最前線を突破し、魏の都まで行くことなので、そのためには遠方からでも我々に鉄壁の守りを敷くはずだ、と答えます。トモは、ミマアキがそこまでヤノハを信用していることに驚いたようです。ミマアキは立ち上がり、明日出発することに迷いはない、とトモに告げます。
山社(ヤマト)では、暈(クマ)国の使者が訪れ、その長を務めるのは、暈国の実質的な最高権力者である鞠智彦(ククチヒコ)の忠臣であるウガヤです。鞠智彦からの文を読んだヤノハは、ウガヤと直接会います。鞠智彦の文には、国境での会談が提案されていました。重要な相談と説明するウガヤに、鞠智彦の養い子のことか、とヤノハは尋ねます。目的を見抜かれたことに驚くウガヤに、その童を暈国の日見彦(ヒミヒコ)にしたいが、その場合に日見子であるヤノハが暈国に戦を仕掛けるのか、鞠智彦は知りたいのだろう、と推測します。自分が怒ってウガヤの首を刎ねるとでも思っているのか、とヤノハに問われたウガヤは慌てて否定します。ヤノハは冷静に、新しい顕人神(アラヒトガミ)の誕生はとてもよいことではないか、と述べて、ウガヤは驚きます。ヤノハから、これで倭には天照様の声を聞ける者が、山社の自分と日下(ヒノモト)の日見子と、暈国に新たに誕生した幼き日見彦の3人いることになり、倭国の民に、どの日見彦やどの日見子に従うのか、選択が生まれたのだ、と伝えられたウガヤは驚きます。ヤノハはウガヤに、鞠智彦との面会は承諾してもよいが、条件が一つあり、それは日見彦候補の童を連れてくることだ、と提案します。この目で紙に選ばれた童を拝みたい、とヤノハはウガヤに伝えます。ヤノハは弟のチカラオ(ナツハ)を呼び、鞠智彦の養い子を確かめるよう、命じますが、鞠智彦の養い子が自分とヤノハとの間の息子であるヤエト(ニニギ)と知っているチカラオは昏い表情を浮かべつつも、ヤノハの命令に従います。ヤノハは、チカラオの様子を不審に思いますが、その理由までは推測できていないようです。
山社連合から魏への使節団は魏の遼東郡を進み、ミマアキは兵に幟を掲げよう指示します。兵の指揮官は、公孫淵の兵がこの付近にいるならば、敵軍に正体を明かすようなもので、攻撃は時間の問題だ、と懸念します。しかしミマアキは、自分が恐れているのは、魏軍に敵と間違われることだ、と指揮官やトモに伝えます。そこへ、兵士の一団が近づいてきて、トモは慌てますが、ミマアキもトメ将軍もゴリもヤノハを信じており、動揺する様子を見せません。その兵士の一団は魏軍で、しかも総大将の司馬懿(司馬仲達)がいました。司馬懿が山社連合の魏への使節団一行に、そなたたちの国の女王によろしく、と伝えたところで今回は終了です。
今回は、トモから以前より抱いていたヤノハへの疑念の裏づけとなるようなことを教えられても、ミマアキがヤノハへの忠誠を変えなかったことと、ヤノハと鞠智彦の駆け引きが描かれました。ミマアキは、少なくとも表面的にはヤノハへの忠誠を失っていないようで、日下と通じていると思われるトモは、ミマアキもトメ将軍もゴリもヤノハを信用していることから、今後は日下ではなくヤノハに真の忠誠を誓うのでしょうか。恋人のクラトの殺害にヤノハが関わっていたことを確信したと思われる、ミマアキの今後の行動も注目されます。ミマアキの初登場時(第16話)より、ミマアキが『日本書紀』の御間城入彦五十瓊殖天皇、つまり崇神天皇となる可能性を考えていましたが、記紀の系譜と本作の日下の系譜がおおむね一致していますから、山社連合と日下連合との間で何らかの妥協というか和議による(熊襲としての暈国を除いた)倭国統一が達成され、ミマアキが実質的な初代統一倭国王に即位し、その時に権威が失墜したヤノハを切り捨て、復讐を果たすこともあるかもしれません。
そのヤノハが権威を失墜するとしたら、最も可能性が高いのは、ヤエト(ニニギ)を出産したことでしょう。しかも、その父親はヤノハの実弟であるチカラオ(ナツハ)ですから、ヤノハとナツハが姉弟であることはまだ当人しか知りませんが、これも明らかになった場合、ヤノハは権威を失墜するだけではなく、殺されることになるでしょう(そうした展開になっても、チカラオとともに逃げ延びて、天寿を全うするかもしれませんが)。ニニギはヤノハを恨むヒルメに騙されて、ヤノハを実の両親の殺害の責任者と考えており、その殺害を目標としていますが、ニニギがヤノハと会うことで、話がどう展開していくのか、たいへん楽しみです。ヤノハが殺害した山社のモモソは、ヤノハが実子(ヤエト)に殺される、と預言しており(第73話)、モモソの預言は作中において基本的に外れることはなさそうなので、最終的にはヤノハがヤエトに殺される展開になるのでしょう。しかし、まだ魏への使節団が都に到達していませんし、ヤノハがヤエトに殺されるとしても、近いうちに行なわれると思われるヤノハと鞠智彦との会談の時ではなさそうです。ヤノハがニニギ(ヤエト)と会って、実子と気づくのか、気づいたとしてどう対応するのか、鞠智彦はヤノハとニニギの関係をどの程度知っており、ヤノハにどう対処するのか、注目されます。なお、残念ながら次号は休載のようです。最近は休載が増えてきた感もあり、まだ完結までかなり時間を要しそうなだけに、やや心配ではあります。
山社(ヤマト)では、暈(クマ)国の使者が訪れ、その長を務めるのは、暈国の実質的な最高権力者である鞠智彦(ククチヒコ)の忠臣であるウガヤです。鞠智彦からの文を読んだヤノハは、ウガヤと直接会います。鞠智彦の文には、国境での会談が提案されていました。重要な相談と説明するウガヤに、鞠智彦の養い子のことか、とヤノハは尋ねます。目的を見抜かれたことに驚くウガヤに、その童を暈国の日見彦(ヒミヒコ)にしたいが、その場合に日見子であるヤノハが暈国に戦を仕掛けるのか、鞠智彦は知りたいのだろう、と推測します。自分が怒ってウガヤの首を刎ねるとでも思っているのか、とヤノハに問われたウガヤは慌てて否定します。ヤノハは冷静に、新しい顕人神(アラヒトガミ)の誕生はとてもよいことではないか、と述べて、ウガヤは驚きます。ヤノハから、これで倭には天照様の声を聞ける者が、山社の自分と日下(ヒノモト)の日見子と、暈国に新たに誕生した幼き日見彦の3人いることになり、倭国の民に、どの日見彦やどの日見子に従うのか、選択が生まれたのだ、と伝えられたウガヤは驚きます。ヤノハはウガヤに、鞠智彦との面会は承諾してもよいが、条件が一つあり、それは日見彦候補の童を連れてくることだ、と提案します。この目で紙に選ばれた童を拝みたい、とヤノハはウガヤに伝えます。ヤノハは弟のチカラオ(ナツハ)を呼び、鞠智彦の養い子を確かめるよう、命じますが、鞠智彦の養い子が自分とヤノハとの間の息子であるヤエト(ニニギ)と知っているチカラオは昏い表情を浮かべつつも、ヤノハの命令に従います。ヤノハは、チカラオの様子を不審に思いますが、その理由までは推測できていないようです。
山社連合から魏への使節団は魏の遼東郡を進み、ミマアキは兵に幟を掲げよう指示します。兵の指揮官は、公孫淵の兵がこの付近にいるならば、敵軍に正体を明かすようなもので、攻撃は時間の問題だ、と懸念します。しかしミマアキは、自分が恐れているのは、魏軍に敵と間違われることだ、と指揮官やトモに伝えます。そこへ、兵士の一団が近づいてきて、トモは慌てますが、ミマアキもトメ将軍もゴリもヤノハを信じており、動揺する様子を見せません。その兵士の一団は魏軍で、しかも総大将の司馬懿(司馬仲達)がいました。司馬懿が山社連合の魏への使節団一行に、そなたたちの国の女王によろしく、と伝えたところで今回は終了です。
今回は、トモから以前より抱いていたヤノハへの疑念の裏づけとなるようなことを教えられても、ミマアキがヤノハへの忠誠を変えなかったことと、ヤノハと鞠智彦の駆け引きが描かれました。ミマアキは、少なくとも表面的にはヤノハへの忠誠を失っていないようで、日下と通じていると思われるトモは、ミマアキもトメ将軍もゴリもヤノハを信用していることから、今後は日下ではなくヤノハに真の忠誠を誓うのでしょうか。恋人のクラトの殺害にヤノハが関わっていたことを確信したと思われる、ミマアキの今後の行動も注目されます。ミマアキの初登場時(第16話)より、ミマアキが『日本書紀』の御間城入彦五十瓊殖天皇、つまり崇神天皇となる可能性を考えていましたが、記紀の系譜と本作の日下の系譜がおおむね一致していますから、山社連合と日下連合との間で何らかの妥協というか和議による(熊襲としての暈国を除いた)倭国統一が達成され、ミマアキが実質的な初代統一倭国王に即位し、その時に権威が失墜したヤノハを切り捨て、復讐を果たすこともあるかもしれません。
そのヤノハが権威を失墜するとしたら、最も可能性が高いのは、ヤエト(ニニギ)を出産したことでしょう。しかも、その父親はヤノハの実弟であるチカラオ(ナツハ)ですから、ヤノハとナツハが姉弟であることはまだ当人しか知りませんが、これも明らかになった場合、ヤノハは権威を失墜するだけではなく、殺されることになるでしょう(そうした展開になっても、チカラオとともに逃げ延びて、天寿を全うするかもしれませんが)。ニニギはヤノハを恨むヒルメに騙されて、ヤノハを実の両親の殺害の責任者と考えており、その殺害を目標としていますが、ニニギがヤノハと会うことで、話がどう展開していくのか、たいへん楽しみです。ヤノハが殺害した山社のモモソは、ヤノハが実子(ヤエト)に殺される、と預言しており(第73話)、モモソの預言は作中において基本的に外れることはなさそうなので、最終的にはヤノハがヤエトに殺される展開になるのでしょう。しかし、まだ魏への使節団が都に到達していませんし、ヤノハがヤエトに殺されるとしても、近いうちに行なわれると思われるヤノハと鞠智彦との会談の時ではなさそうです。ヤノハがニニギ(ヤエト)と会って、実子と気づくのか、気づいたとしてどう対応するのか、鞠智彦はヤノハとニニギの関係をどの程度知っており、ヤノハにどう対処するのか、注目されます。なお、残念ながら次号は休載のようです。最近は休載が増えてきた感もあり、まだ完結までかなり時間を要しそうなだけに、やや心配ではあります。
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