大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第48回(最終回)「蔦重栄華乃夢噺」

 ついに最終回を迎え、1年間ずっと楽しんで視聴してきたので、かなりの寂しさがあります。蔦屋重三郎は松平定信(田安賢丸)たちと組んで一橋治済に「天誅」を下し、店を再開します。一橋治済は阿波の孤島へと幽閉されることになりましたが、その護送中に監視の武士を刺して抜け出しますが、落雷によって落命します。一橋治済の替玉となった阿波の蜂須賀家お抱えの能役者である斎藤十郎兵衛は、江戸城中においてその役目を何とかこなしているようです。蜂須賀家では、斎藤十郎兵衛が逐電したこととされ、一橋治済の替玉となった斎藤十郎兵衛によると、代わりの十郎兵衛が用意されたそうです。これまで、一橋治済がお忍びで江戸市中を巡っていた、と思っていましたが、一橋治済ではなく斎藤十郎兵衛だった場面もあるようです。

 東洲斎写楽の絵は、二期以降の顔を写した全身絵が不評だったため短期間で終わった、と本作では語られます。栄松斎長喜も登場し、『浮世絵類考』の写本の一部によると、栄松斎長喜は写楽が蜂須賀家お抱えの能役者である斎藤十郎兵衛と証言した、とあります。今回は、重三郎が斎藤十郎兵衛も後世に写楽と言われるような仕掛けを提案し、その場に栄松斎長喜もいたことで、「史実」と整合させた、とも言えそうです。こうしたところは、確かによく構成されていると思います。

 重三郎は書物問屋の方にもさらに力を入れるようになり、妻の「てい」から偶然『玉くしげ』を紹介され、興味を抱き、伊勢に本居宣長を訪ねます。本居宣長は、耕書堂で刊行されている本が通俗的であることや、重三郎がかつて幕府から処分を受けたことから、耕書堂での自著の販売には消極的でした。しかし、重三郎は松平定信(田安賢丸)を取り込み、事前に調べていたのか、宣長の見解を調べていたのか、宣長は耕書堂での自著の販売を許可します。ここは、人たらしとして描かれてきた重三郎の人物造形が上手く機能していたように思います。

 最終回は、重三郎が滝沢瑣吉(曲亭馬琴)に長編物語を、重田貞一(十返舎一九)に江戸に縛られない物語を書くよう提案するなど、重三郎死後の文化も展望させるような内容にもなっており、本作の舞台は基本的に江戸で完結しているので、世界が狭いとも言えますが、こうしたところは大河ドラマに相応しい壮大さのようにも思います。瀬以(花の井、五代目瀬川)の再登場についてはずっと気になっていましたが、長谷川平蔵宣以から女将として幸せに暮らしており、子供もいるようだ、と語られ、それらしき人物の後ろ姿は描かれましたが、明示的には回想でしか登場せず、この点は残念でした。

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