協力を生む複合的な機構
取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、協力を生む複合的な機構に関する研究(Efferson et al., 2024)が公表されました。ヒトが行なう1回限りの協力に関して、繰り返し相互作用による説明と、集団の競争による説明があります。繰り返し相互作用から得られる説明は、直観には反するものの正統的です。一方、集団間の競争から得られる説明は、直観的ではあるものの非正統的です。本論文は、モデルと行動実験を用いて、いずれの機構も協力を確実には支持しない、と示します。
互恵的利他主義のモデルでは概して無視されている種類の戦略である「曖昧な互恵性」は、繰り返し相互作用の下では協力を損なわせます。この知見は、繰り返し相互作用が協力全般に関する進化的説明であるとする説に反しており、ひいては、過去の繰り返し相互作用が現在の1回限りの協力を説明できる、という主張にも異議を唱えます。集団間の競争もまた、集団が素早くきわめて類似したものになり、それによって集団選択の余地が限られるため、協力を確実に支持するものではありません。
さらに、集団が異なっていても、集団の競争は複数の理由で集団選択をほとんど生じさせない、と考えられます。たとえば、協力的な集団は、互いに競争する傾向があるかもしれません。繰り返し相互作用と集団の競争は、それぞれ単独では協力を支持しないのに対して、これら二つを組み合わせると、集団の競争が曖昧な互恵性という有害な影響を制限するために、強力な相乗効果が引き起こされます。進化した戦略は、内集団パートナーとの協力的な互恵性と外集団パートナーとの非協力的な互恵性からなることが多くなります。
パプアニューギニアで行なわれた行動実験の結果は、このパターンに完全に一致しました。したがって、その実験結果は、集団の競争のない繰り返し相互作用の進化史も、繰り返し相互作用のない集団の競争の進化史も示唆していません。本論文の結果は、そのいずれでもなく、両方の機構の複合的な影響の下で進化した社会的動機を示唆しています以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
進化学:超加算的な協力
進化学:複合的な機構が協力を生む
ヒトが行う1回限りの協力に関しては、繰り返し相互作用による説明と、集団の競争による説明の2つが存在する。今回、パプアニューギニアの2集団間で行われた交換ゲームの結果から、匿名の1回限りの設定でも利他的な行動が生まれ得る状況が、いずれの機構でも単独では説明できず、2つの組み合わせによって初めて説明されることが示唆された。
参考文献:
Efferson C. et al.(2024): Super-additive cooperation. Nature, 626, 8001, 1034–1041.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07077-w
互恵的利他主義のモデルでは概して無視されている種類の戦略である「曖昧な互恵性」は、繰り返し相互作用の下では協力を損なわせます。この知見は、繰り返し相互作用が協力全般に関する進化的説明であるとする説に反しており、ひいては、過去の繰り返し相互作用が現在の1回限りの協力を説明できる、という主張にも異議を唱えます。集団間の競争もまた、集団が素早くきわめて類似したものになり、それによって集団選択の余地が限られるため、協力を確実に支持するものではありません。
さらに、集団が異なっていても、集団の競争は複数の理由で集団選択をほとんど生じさせない、と考えられます。たとえば、協力的な集団は、互いに競争する傾向があるかもしれません。繰り返し相互作用と集団の競争は、それぞれ単独では協力を支持しないのに対して、これら二つを組み合わせると、集団の競争が曖昧な互恵性という有害な影響を制限するために、強力な相乗効果が引き起こされます。進化した戦略は、内集団パートナーとの協力的な互恵性と外集団パートナーとの非協力的な互恵性からなることが多くなります。
パプアニューギニアで行なわれた行動実験の結果は、このパターンに完全に一致しました。したがって、その実験結果は、集団の競争のない繰り返し相互作用の進化史も、繰り返し相互作用のない集団の競争の進化史も示唆していません。本論文の結果は、そのいずれでもなく、両方の機構の複合的な影響の下で進化した社会的動機を示唆しています以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
進化学:超加算的な協力
進化学:複合的な機構が協力を生む
ヒトが行う1回限りの協力に関しては、繰り返し相互作用による説明と、集団の競争による説明の2つが存在する。今回、パプアニューギニアの2集団間で行われた交換ゲームの結果から、匿名の1回限りの設定でも利他的な行動が生まれ得る状況が、いずれの機構でも単独では説明できず、2つの組み合わせによって初めて説明されることが示唆された。
参考文献:
Efferson C. et al.(2024): Super-additive cooperation. Nature, 626, 8001, 1034–1041.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07077-w
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