大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第41回「歌麿筆美人大首絵」

 今回は、喜多川歌麿(唐丸、捨吉、雄助)の大成、および歌麿と蔦屋重三郎との関係が描かれました。重三郎は耕書堂から歌麿の美人画を売り出し、それが雲母刷りの大首絵で斬新だったことや、評判の人相見である大当開運を耕書堂に呼ぶなどの工夫もあって、評判となります。歌麿を一番の絵師にするという、歌麿が唐丸として蔦屋で手伝っていた頃からの重三郎の願いも叶えられつつあります。群像劇的性格もある本作ですが、本作中盤以降の人間関係では重三郎と歌麿が軸になっており、今回は滝沢瑣吉(曲亭馬琴)や重三郎の母親である「つよ」と歌麿のやり取りから、歌麿の心情がこれまでよりも明示的に描かれたように思います。歌麿の重三郎への想いは、単なる性愛ではなく、『三国志演義』の桃園の誓いのような側面も強いのでしょうが、重三郎への歌麿の強い愛憎が今後どう描かれるのか、終盤の見どころとなりそうです。

 加藤千蔭は今回が初登場となり、賀茂真淵の弟子ですから、本居宣長が最終回かその直前で登場する布石にもなっているのではないか、と思います。まあ、本居宣長の配役は公表されていませんし、そもそも本作で登場するのかも、確定していませんが。ただ、重三郎は書物問屋の株も入手し、書物の刊行も手がけるようになって、尾張へと向かうことが語られましたから、尾張での描写はほとんどないとしても、重三郎が尾張で本居宣長の名前を聞き、『玉勝間』を刊行する、という展開になるのではないか、と予想しています。最終回が近づいてきたことで、寂しさもありますが、東洲斎写楽をどう描くのかなど、楽しみはまだ多くあります。

 今回は幕閣政治にもそれなりに時間が割かれ、政治的駆け引きが描かれました。松平定信(田安賢丸)はその強引な政治から孤立しつつあることを自覚して、尾張藩主の徳川宗睦を抱き込み、権力掌握に努めます。これまで、定信は政治工作の点では甘いところがあるように見えましたが、政治家としての成長を見せる意図がある演出なのでしょうか。とはいえ、定信の失脚は近づいており、今回、将軍の家斉が定信を煙たがっているところや、尊号一件も少し描かれました。幕閣政治では、定信の失脚が今後の山場となりそうで、そのさいに定信がどのように反応するのか、注目されます。

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