大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第34回「ありがた山とかたじけ茄子」

 今回は、田沼意次の退場が描かれました。田沼意次はまだ完全には失脚しておらず、蔦屋重三郎もつながりのある意次の老中復帰を願っていましたが、老中首座に抜擢されたのは松平定信(田安賢丸)でした。定信の江戸市中の評判は上々ですが、これには定信による情報工作もありました。老中首座となった定信は明確な反「田沼路線」を打ち出し、倹約を強く主張します。耕書堂も定信の情報工作の標的となり、田沼贔屓の店と揶揄されます。まあ、本作の重三郎は確かに田沼贔屓でしたが。重三郎が寛政の改革路線に強く抵抗したことも納得できる展開で、上手く構成されていると思います。

 定信の改革路線(寛政の改革)によって、大田南畝(四方赤良)も処罰を示唆され怯えてしまい、狂歌や戯作から手を引くと言い出し、重三郎が追い詰められていくかの如き不気味な演出になっていました。それが、ここからの重三郎の「反撃」を痛快なものとするのでしょう。とはいえ、その結果として恋川春町(倉橋格)や北尾政演(山東京伝)が犠牲になり、耕書堂も大打撃を受けるわけで、そこからの東洲斎写楽の売り出しが本作終盤の見どころとなるのでしょうし、それが本作最大の山場になりそうです。本作で写楽がどう描かれるのか、分かりませんが、写楽の描き方次第では、本作は私にとって21世紀の大河ドラマでは最高の作品になるかもしれません。

 田沼意次は、今後回想で何度か登場するでしょうし、最期が改めて描かれるかもしれませんが、実質的には今回で退場となりそうです。大河ドラマは「史実」に制約されるところがあるとはいえ、基本的には創作なので、実際よりもかなり美化されているように思える本作の田沼意次の描写も、大過があるとは考えていません。ただ、じっさいには大河ドラマが一般層の歴史認識に与える影響は今でも小さくないでしょうから、難しいところではあり、この問題の明確な解決策は今後も得られそうにありません。次回から本格的描かれるだろう重三郎と定信との対峙、およびその過程での恋川春町の最期に重三郎がどのような反応を示すのか、注目しています。

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