大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第33回「打壊演太女功徳」

 今回は、江戸での打ち壊しが描かれました。本作は江戸市中を中心としつつも幕閣の二元構成になっており、主人公が蔦屋重三郎で、作中では田沼意次とのつながりがあるものの、基本的には幕閣とのつながりがないため、両者をどう結びつけるのか、難しいところもあるとは思います。その意味で、なかなか接続しにくい江戸市中と幕閣とを結びつけて描ける題材である打ち壊しが、勃発に至る過程も含めて詳しく描かれたのは、作風に沿っていると思います。蔦屋重三郎も現場まで出向き、田沼意次に謁見したのは、まあ基本的には創作なので、大きな問題とは考えていません。

 江戸市中の民の不満を煽っていた「丈右衛門だった男」は、今回も引き続き、民と奉行が衝突するよう民を煽り、小田新之助は必死に抑えようとするものの、盗みが横行し、ついに死者も出ます。ここで、まだ完全に失脚したわけではない田沼意次は、とりあえず御先手組を出動させるよう進言し、弓頭の長谷川平蔵宣以が登場します。重三郎は民を抑えようとして、義兄の次郎兵衛の伝手で富本斎宮太夫を動員し、それを危険視したのか、「丈右衛門だった男」が重三郎を刺そうとしたところで、小田新之助が重三郎を庇って刺され、傷自体はそこまで深くなさそうだったものの、新之助が推測したように、毒が塗られていたのか、新之助は落命します。

 けっきょく、「丈右衛門だった男」は、出動してきた長谷川平蔵に矢で射られ、あっさりと死亡します。「丈右衛門だった男」が何者なのか、今回は明示されませんでしたが、今後、描かれることがあるのでしょうか。「丈右衛門だった男」は徳川家基と平賀源内と小田新之助の死に関わっているだけに、一橋治済との関係が今後明かされるのではないか、と期待しています。大奥では、高岳が徳川家基毒殺事件を蒸し返され、松平定信(田安賢丸)の老中就任反対から容認へと方針が変わります。定信は一橋治済に老中首座を要求しますが、その見返りとして、田安家を将軍家に明け渡すよう打診され、すでに尊号一件の前からの両者の対立を予感させる内容となっています。

この記事へのコメント