大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第31回「我が名は天」

 今回は、利根川の決壊とも絡めて幕閣の描写が多めでした。利根川の決壊によって江戸市中も打撃を受け、被災した小田新之助と「ふく」の夫婦の悲劇も含めて、江戸市中の様子も描かれました。本作は江戸市中を中心としつつも幕閣の二元構成になっており、主人公が蔦屋重三郎で、作中では田沼意次とのつながりがあるものの、基本的には幕閣とのつながりがないため、両者をどう結びつけるのか、難しいところもあるでしょうが、本作はこれまで、この二元構成を上手く組み立てているように思います。今後は、重三郎が幕府から弾圧されることによって、江戸市中と幕閣とがより直接的に結びつくわけで、ここがどう描かれるのか、注目しています。

 田沼意次は一橋治済と通じている松平定信(田安賢丸)に責め立てられ、将軍の徳川家治はずっと毒を盛られていたのか、体調不良が続き、ついには毒が入れられていたらしい醍醐を食べたことで一気に衰弱し、死亡します。家治は最期に、一橋治済に怒りを込めて警告しますが、治済は天寿を全うしたようなので、作中で「報いを受けた」と描くのは難しいようにも思います。あるいは、「史実」を大きく改変しない構成で、治済が「報いを受け」、それに重三郎も関わっている、という展開になるのでしょうか。治済と主人公である重三郎との直接的な接点はありませんが、今後何らかの形で接触があるのかも、注目されます。

 これまで一橋治済の真意が直接的には描かれていませんでしたが、今回は、将軍の家治が治済の意図を推測していました。治済は、将軍の跡継ぎを残すことしか役割のない自分の境遇への恨みから、将軍の座をも操る「天」になりたいのではないか、と家治は推測します。そのために、将軍候補や幕府要人を次々と葬っているのではないか、というわけですが、これはあくまでも家治の推測です。この推測はこれまでの描写からある程度予想通りだったので、さほど意外ではありませんでしたが、もっと捻ってくるかな、とも思っていました。ただ、治済が直接的に真意を明かしたわけではないので、もう一捻りあるかな、とも考えています。

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