デニソワ人の研究の進展
今年(2025年)になっての種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)の研究の進展に関する解説(Villalba-Mouco, and Sümer., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。デニソワ人の研究はミトコンドリアDNA(mtDNA)やプロテオーム(タンパク質の総体)解析など今年になって大きく進展し、近年のデニソワ人研究の進展に関する解説(Marshall., 2025)も最近当ブログで取り上げましたが、本論文はその解説以降に刊行された研究も取り上げてデニソワ人について検証しており、有益だと思います。
具体的には、台湾本島と澎湖諸島の間の水深60m~120mの澎湖海峡(Penghu Channel)で、他の脊椎動物とともに漁網にかかって発見された、「澎湖1号(Penghu 1)」と呼ばれているホモ属の下顎骨のプロテオーム解析[3]と、中華人民共和国黒竜江省ハルビン市で1993年に松花江(Songhua River)における東江橋(Dongjiang Bridg)の建設中に発見された、と報告されている146000年以上前のホモ属頭蓋(ハルビン頭蓋)のmtDNA解析[6]およびプロテオーム解析[10]で、このハルビン頭蓋は新種ホモ・ロンギ(Homo longi)に分類されました[8]。当ブログでは2年近く前(2023年9月5日)にデニソワ人に関する研究をまとめましたが(関連記事)、次にデニソワ人についとまとめるさいには、本論文も参考にするつもりです。なお、以下の本論文の翻訳では敬称を省略します。
●要約
ミトコンドリアDNAによってデニソワ人と結びついたハルビン頭蓋は、デニソワ人の既知の範囲を広げ、デニソワ人の形態への最初の洞察を提供します。この発見は、従来とは異なる情報源からの生体分子解析の可能性を浮き彫りにし、アジアにおける古代型のヒト進化に関する理解を深め、少ないデニソワ人の化石記録における空白を埋めます。
●解説
2010年に、研究者はシベリア南部のアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で発見された小指の骨からDNAを配列決定しました。その骨は40万年前頃に共通祖先から分岐したネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の姉妹集団に属しており、現生人類(Homo sapiens)とも異なっていました[1]。遺伝学的分析では、その発見場所に因んで命名されたデニソワ人は絶滅したヒト集団と明らかになっています。その発見は、古ゲノミクスが以前には知られていなかったヒト系統の解明にどのように使用できるのか、という重要な事例です。最近では、さらに2ヶ所の遺跡、つまり中華人民共和国甘粛省甘南チベット族自治州夏河(Xiahe)県のチベット高原北東端の海抜3280mに位置する白石崖溶洞(Baishiya Karst Cave、略してBKC)および台湾の澎湖海峡から得られた生体分子学的証拠が、分子データに基づいてデニソワ人の地理的範囲を拡大しました[2~4]。
デニソワ人の遺伝的構成に関する知識にも関わらず、その外見についてほとんど分かっていませんでした。これは、現時点での理解が数点の大臼歯、後頭骨の1点の断片、2点の部分的な下顎骨、数点の長骨断片に依拠しているからで、これらの遺骸はすべてこの3ヶ所の遺跡(デニソワ洞窟とBKCと澎湖海峡)から得られていました。デニソワ人の明確な形態学的特徴がないため、研究者はその地理的広がりを、古代および現在両方のアジア人のゲノムで検出されたデニソワ人DNAの存在と、配列決定されたデニソワ人のゲノムとの類似性からおもに推測しました[5]。付巧妹(Qiaomei Fu)たちは、デニソワ人と関連する新たな1ヶ所の遺跡をこの地図に追加しただけではなく、顔面の特徴と脳頭蓋の解明によって、この謎めいたヒト集団の顔も提示しました[6]。
付巧妹たちの調査結果[6]は、高度に分解したDNA断片を回収し、特定のゲノム領域を濃縮するための、効率化が進んでいる実施要綱のおかげで可能になりました。現在も古代DNAの研究はもはや骨と歯に限定されず、二次資料にも広がってきました。最も有名なのは、異なるヒト集団が居住していた層から得られた考古学的堆積物[5]や、象徴的行動と関連する私物[7]や、歯石[6]です。先行研究は歯石を用いて、口腔微生物叢や食性やヒト集団が暮らした生態学的環境についての情報を得ました。この新たな研究[6]は、歯石がひじょうに古いヒトDNAについても貴重な情報源であることを証明し、驚くべきことに、わずか0.3mgの標本が使用されました。これらの将校の新たな情報源によって、デニソワ人を含めて、過去のヒト集団の人口動態と地理的分散の高解像度の再構築が可能になります。
デニソワ人がアジア全域に広い地理的範囲で存在した、と今では分かっています。デニソワ人は骨格要素と生体分子学的証拠に基づいて、シベリア南部とチベット高原とアジア南東部に居住していた、と知られています。多くの形態学的に多様な古代型ヒト遺骸が、インドネシアとフィリピンとラオスとインドと中国北東部に位置するハルビン市も含めて中国の数ヶ所の遺跡で発見されました。以前には、研究者はこれらの遺骸の一部を形態学的特徴に基づいて、ホモ・ロンギなど新種として記載しており、ホモ・ロンギはハルビン頭蓋に基づいて記載されました[8]。中国の標本の多くは、デニソワ人もしくは他の未知のデニソワ人の近縁と関連している、と示唆されました[5、9]。しかし、生体分子データの欠如のため、これらの関連をさらに調べることはできませんでした。新たなmtDNAの証拠によって、中国のハルビン頭蓋はデニソワ人の母方祖先を有する1個体に属していたか、あるいは恐らく、デニソワ人自体だった、と今では言うことができます。このmtDNA研究を補完する『Science』誌の別の論文[10]は、ハルビン個体のプロテオーム解析を提示し、デニソワ人としてのハルビン頭蓋の分類をさらに裏づけます。
mtDNAの大きな限界の一つは、母系遺伝で、多くの可能性のうち単一系統しか表していないことで、個体のゲノム祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)の不完全な全体像を提供します。この文脈では、ハルビン頭蓋がデニソワ人の母系を有する個体に属しつつも、その核ゲノムは他のヒト集団に由来することもあり得ます。常染色体DNAがないので、ハルビン個体の完全な遺伝的背景は依然として不明です。しかし、ハルビン頭蓋の他のデニソワ人標本2点(地理的および年代的に近く、古プロテオミクスを用いて特定されました)との密接な形態学的類似性は、ハルビン頭蓋もデニソワ人に属していたことを強く示唆しています。新たなmtDNAの証拠は、さらなる裏づけとなります。これらの新たな結果は、陝西省の大茘(Dali)遺跡や遼寧省の金牛山(Jinniushan)遺跡や河北省張家口(Zhangjiakou)市の陽原(Yangyuan)県の侯家窰(Xujiayao)遺跡や湖北省鄖(Yunxian)県や安徽省池州市(Chizhou)東至県(Dongzhi County)の華龍洞(Hualongdong)遺跡など、ハルビン頭蓋やチベット高原の夏河下顎や台湾の澎湖海峡の下顎と形態学的にまとめられている「ホモ・ロンギ単系統群(クレード)」の他の構成員[9]は、デニソワ人関連個体群を表している可能性がひじょうに高いことも示唆しています。
古遺伝学は協力な手段ですが、中期更新世アジア人(78万~30万年前頃)の顕著な形態学的多様性の理解には遺伝学者と考古学者との間の密接な協力が必要で、それは、この多様性がおそらくはヒトの拡散および混合事象の組み合わせによって引き起こされたからです。初期現生人類に分類されている多くのアジアの骨角遺骸は、中期更新世の最新の範囲にまでさかのぼります[11]。その一部は、現在のアフリカ外のヒト集団における祖先系統の大半に寄与した、主要な出アフリカ拡散の時期に先行します[12]。これら初期現生人類とデニソワ人との間の関係は、そうした標本についての古代DNA研究の不足のため現時点では不明で、これは将来の調査の場を表しています。付巧妹とその同僚による研究[6]は、中期更新世のアジアにおけるヒト進化の複雑な歴史を理解するうえで、一歩前進するものです。最も重要なのは、その調査結果が、デニソワ人の形態に関する新たで重要な情報を提供し、デニソワ人の特徴が経時的にどのように進化したのか、調査への道を開き、現代人にとっての古代の親類へのより広範な洞察を提供したことです。
参考文献:
Marshall M.(2025): Who were the ancient Denisovans? Fossils reveal secrets about the mysterious humans. Nature, 641, 8064, 840–842.
https://doi.org/10.1038/d41586-025-01549-3
関連記事
Villalba-Mouco V, and Sümer AP.(2025): Unmasking the Denisovans. Cell, 188, 15, 3917–3918.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.05.040
[1]Reich D. et al.(2010): Genetic history of an archaic hominin group from Denisova Cave in Siberia. Nature, 468, 7327, 1053-1060.
https://doi.org/10.1038/nature09710
関連記事
[2]Chen F. et al.(2019): A late Middle Pleistocene Denisovan mandible from the Tibetan Plateau. Nature, 569, 7756, 409–412.
https://doi.org/10.1038/s41586-019-1139-x
関連記事
[3]Tsutaya T. et al.(2025): A male Denisovan mandible from Pleistocene Taiwan. Science, 388, 6743, 176–180.
https://doi.org/10.1126/science.ads3888
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[4]Zhang D. et al.(2020): Denisovan DNA in Late Pleistocene sediments from Baishiya Karst Cave on the Tibetan Plateau. Science, 370, 6516, 584–587.
https://doi.org/10.1126/science.abb6320
関連記事
[5]Peyrégne S, Slon V, and Kelso J.(2024): More than a decade of genetic research on the Denisovans. Nature Reviews Genetics, 25, 2, 83–103.
https://doi.org/10.1038/s41576-023-00643-4
[6]Fu Q. et al.(2025): Denisovan mitochondrial DNA from dental calculus of the >146,000-year-old Harbin cranium. Cell, 188, 15, 3919–3926.E9.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.05.040
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[7]Essel E. et al.(2023): Ancient human DNA recovered from a Palaeolithic pendant. Nature, 618, 7964, 328–332.
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06035-2
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[8]Ni X. et al.(2021): Massive cranium from Harbin in northeastern China establishes a new Middle Pleistocene human lineage. The Innovation, 2, 3, 100130.
https://doi.org/10.1016/j.xinn.2021.100130
関連記事
[9]Feng X. et al.(2023): The phylogenetic position of the Yunxian cranium elucidates the origin of Homo longi and the Denisovans. bioRxiv.
https://doi.org/10.1101/2024.05.16.594603
[10]Fu Q. et al.(2025): The proteome of the late Middle Pleistocene Harbin individual. Science, 389, 6761, 704–707.
https://doi.org/10.1126/science.adu9677
関連記事
[11]Bae CJ, Douka K, and Petraglia MD.(2017): On the origin of modern humans: Asian perspectives. Science, 358, 6368, eaai9067.
https://doi.org/10.1126/science.aai9067
関連記事
[12]Sümer AP. et al.(2025): Earliest modern human genomes constrain timing of Neanderthal admixture. Nature, 638, 8051, 711–717.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08420-x
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具体的には、台湾本島と澎湖諸島の間の水深60m~120mの澎湖海峡(Penghu Channel)で、他の脊椎動物とともに漁網にかかって発見された、「澎湖1号(Penghu 1)」と呼ばれているホモ属の下顎骨のプロテオーム解析[3]と、中華人民共和国黒竜江省ハルビン市で1993年に松花江(Songhua River)における東江橋(Dongjiang Bridg)の建設中に発見された、と報告されている146000年以上前のホモ属頭蓋(ハルビン頭蓋)のmtDNA解析[6]およびプロテオーム解析[10]で、このハルビン頭蓋は新種ホモ・ロンギ(Homo longi)に分類されました[8]。当ブログでは2年近く前(2023年9月5日)にデニソワ人に関する研究をまとめましたが(関連記事)、次にデニソワ人についとまとめるさいには、本論文も参考にするつもりです。なお、以下の本論文の翻訳では敬称を省略します。
●要約
ミトコンドリアDNAによってデニソワ人と結びついたハルビン頭蓋は、デニソワ人の既知の範囲を広げ、デニソワ人の形態への最初の洞察を提供します。この発見は、従来とは異なる情報源からの生体分子解析の可能性を浮き彫りにし、アジアにおける古代型のヒト進化に関する理解を深め、少ないデニソワ人の化石記録における空白を埋めます。
●解説
2010年に、研究者はシベリア南部のアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)で発見された小指の骨からDNAを配列決定しました。その骨は40万年前頃に共通祖先から分岐したネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の姉妹集団に属しており、現生人類(Homo sapiens)とも異なっていました[1]。遺伝学的分析では、その発見場所に因んで命名されたデニソワ人は絶滅したヒト集団と明らかになっています。その発見は、古ゲノミクスが以前には知られていなかったヒト系統の解明にどのように使用できるのか、という重要な事例です。最近では、さらに2ヶ所の遺跡、つまり中華人民共和国甘粛省甘南チベット族自治州夏河(Xiahe)県のチベット高原北東端の海抜3280mに位置する白石崖溶洞(Baishiya Karst Cave、略してBKC)および台湾の澎湖海峡から得られた生体分子学的証拠が、分子データに基づいてデニソワ人の地理的範囲を拡大しました[2~4]。
デニソワ人の遺伝的構成に関する知識にも関わらず、その外見についてほとんど分かっていませんでした。これは、現時点での理解が数点の大臼歯、後頭骨の1点の断片、2点の部分的な下顎骨、数点の長骨断片に依拠しているからで、これらの遺骸はすべてこの3ヶ所の遺跡(デニソワ洞窟とBKCと澎湖海峡)から得られていました。デニソワ人の明確な形態学的特徴がないため、研究者はその地理的広がりを、古代および現在両方のアジア人のゲノムで検出されたデニソワ人DNAの存在と、配列決定されたデニソワ人のゲノムとの類似性からおもに推測しました[5]。付巧妹(Qiaomei Fu)たちは、デニソワ人と関連する新たな1ヶ所の遺跡をこの地図に追加しただけではなく、顔面の特徴と脳頭蓋の解明によって、この謎めいたヒト集団の顔も提示しました[6]。
付巧妹たちの調査結果[6]は、高度に分解したDNA断片を回収し、特定のゲノム領域を濃縮するための、効率化が進んでいる実施要綱のおかげで可能になりました。現在も古代DNAの研究はもはや骨と歯に限定されず、二次資料にも広がってきました。最も有名なのは、異なるヒト集団が居住していた層から得られた考古学的堆積物[5]や、象徴的行動と関連する私物[7]や、歯石[6]です。先行研究は歯石を用いて、口腔微生物叢や食性やヒト集団が暮らした生態学的環境についての情報を得ました。この新たな研究[6]は、歯石がひじょうに古いヒトDNAについても貴重な情報源であることを証明し、驚くべきことに、わずか0.3mgの標本が使用されました。これらの将校の新たな情報源によって、デニソワ人を含めて、過去のヒト集団の人口動態と地理的分散の高解像度の再構築が可能になります。
デニソワ人がアジア全域に広い地理的範囲で存在した、と今では分かっています。デニソワ人は骨格要素と生体分子学的証拠に基づいて、シベリア南部とチベット高原とアジア南東部に居住していた、と知られています。多くの形態学的に多様な古代型ヒト遺骸が、インドネシアとフィリピンとラオスとインドと中国北東部に位置するハルビン市も含めて中国の数ヶ所の遺跡で発見されました。以前には、研究者はこれらの遺骸の一部を形態学的特徴に基づいて、ホモ・ロンギなど新種として記載しており、ホモ・ロンギはハルビン頭蓋に基づいて記載されました[8]。中国の標本の多くは、デニソワ人もしくは他の未知のデニソワ人の近縁と関連している、と示唆されました[5、9]。しかし、生体分子データの欠如のため、これらの関連をさらに調べることはできませんでした。新たなmtDNAの証拠によって、中国のハルビン頭蓋はデニソワ人の母方祖先を有する1個体に属していたか、あるいは恐らく、デニソワ人自体だった、と今では言うことができます。このmtDNA研究を補完する『Science』誌の別の論文[10]は、ハルビン個体のプロテオーム解析を提示し、デニソワ人としてのハルビン頭蓋の分類をさらに裏づけます。
mtDNAの大きな限界の一つは、母系遺伝で、多くの可能性のうち単一系統しか表していないことで、個体のゲノム祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)の不完全な全体像を提供します。この文脈では、ハルビン頭蓋がデニソワ人の母系を有する個体に属しつつも、その核ゲノムは他のヒト集団に由来することもあり得ます。常染色体DNAがないので、ハルビン個体の完全な遺伝的背景は依然として不明です。しかし、ハルビン頭蓋の他のデニソワ人標本2点(地理的および年代的に近く、古プロテオミクスを用いて特定されました)との密接な形態学的類似性は、ハルビン頭蓋もデニソワ人に属していたことを強く示唆しています。新たなmtDNAの証拠は、さらなる裏づけとなります。これらの新たな結果は、陝西省の大茘(Dali)遺跡や遼寧省の金牛山(Jinniushan)遺跡や河北省張家口(Zhangjiakou)市の陽原(Yangyuan)県の侯家窰(Xujiayao)遺跡や湖北省鄖(Yunxian)県や安徽省池州市(Chizhou)東至県(Dongzhi County)の華龍洞(Hualongdong)遺跡など、ハルビン頭蓋やチベット高原の夏河下顎や台湾の澎湖海峡の下顎と形態学的にまとめられている「ホモ・ロンギ単系統群(クレード)」の他の構成員[9]は、デニソワ人関連個体群を表している可能性がひじょうに高いことも示唆しています。
古遺伝学は協力な手段ですが、中期更新世アジア人(78万~30万年前頃)の顕著な形態学的多様性の理解には遺伝学者と考古学者との間の密接な協力が必要で、それは、この多様性がおそらくはヒトの拡散および混合事象の組み合わせによって引き起こされたからです。初期現生人類に分類されている多くのアジアの骨角遺骸は、中期更新世の最新の範囲にまでさかのぼります[11]。その一部は、現在のアフリカ外のヒト集団における祖先系統の大半に寄与した、主要な出アフリカ拡散の時期に先行します[12]。これら初期現生人類とデニソワ人との間の関係は、そうした標本についての古代DNA研究の不足のため現時点では不明で、これは将来の調査の場を表しています。付巧妹とその同僚による研究[6]は、中期更新世のアジアにおけるヒト進化の複雑な歴史を理解するうえで、一歩前進するものです。最も重要なのは、その調査結果が、デニソワ人の形態に関する新たで重要な情報を提供し、デニソワ人の特徴が経時的にどのように進化したのか、調査への道を開き、現代人にとっての古代の親類へのより広範な洞察を提供したことです。
参考文献:
Marshall M.(2025): Who were the ancient Denisovans? Fossils reveal secrets about the mysterious humans. Nature, 641, 8064, 840–842.
https://doi.org/10.1038/d41586-025-01549-3
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Villalba-Mouco V, and Sümer AP.(2025): Unmasking the Denisovans. Cell, 188, 15, 3917–3918.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.05.040
[1]Reich D. et al.(2010): Genetic history of an archaic hominin group from Denisova Cave in Siberia. Nature, 468, 7327, 1053-1060.
https://doi.org/10.1038/nature09710
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[2]Chen F. et al.(2019): A late Middle Pleistocene Denisovan mandible from the Tibetan Plateau. Nature, 569, 7756, 409–412.
https://doi.org/10.1038/s41586-019-1139-x
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[3]Tsutaya T. et al.(2025): A male Denisovan mandible from Pleistocene Taiwan. Science, 388, 6743, 176–180.
https://doi.org/10.1126/science.ads3888
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[4]Zhang D. et al.(2020): Denisovan DNA in Late Pleistocene sediments from Baishiya Karst Cave on the Tibetan Plateau. Science, 370, 6516, 584–587.
https://doi.org/10.1126/science.abb6320
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[5]Peyrégne S, Slon V, and Kelso J.(2024): More than a decade of genetic research on the Denisovans. Nature Reviews Genetics, 25, 2, 83–103.
https://doi.org/10.1038/s41576-023-00643-4
[6]Fu Q. et al.(2025): Denisovan mitochondrial DNA from dental calculus of the >146,000-year-old Harbin cranium. Cell, 188, 15, 3919–3926.E9.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.05.040
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[7]Essel E. et al.(2023): Ancient human DNA recovered from a Palaeolithic pendant. Nature, 618, 7964, 328–332.
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06035-2
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[8]Ni X. et al.(2021): Massive cranium from Harbin in northeastern China establishes a new Middle Pleistocene human lineage. The Innovation, 2, 3, 100130.
https://doi.org/10.1016/j.xinn.2021.100130
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[9]Feng X. et al.(2023): The phylogenetic position of the Yunxian cranium elucidates the origin of Homo longi and the Denisovans. bioRxiv.
https://doi.org/10.1101/2024.05.16.594603
[10]Fu Q. et al.(2025): The proteome of the late Middle Pleistocene Harbin individual. Science, 389, 6761, 704–707.
https://doi.org/10.1126/science.adu9677
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[11]Bae CJ, Douka K, and Petraglia MD.(2017): On the origin of modern humans: Asian perspectives. Science, 358, 6368, eaai9067.
https://doi.org/10.1126/science.aai9067
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[12]Sümer AP. et al.(2025): Earliest modern human genomes constrain timing of Neanderthal admixture. Nature, 638, 8051, 711–717.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08420-x
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