ジュラ紀の鉤頭虫類化石

 ジュラ紀の鉤頭虫類化石を報告した研究(Luo et al., 2025)が公表されました。鉤頭動物門(鉤頭虫類)は、鉤を有する反転可能な吻の存在を特徴とする、広範な脊椎動物および無脊椎動物に感染する多様な内部寄生動物群です。鉤頭動物門は、長く独立した門とされてきましたが、形態的特徴に基づく姉妹分類群の候補は、扁形動物門(扁虫類)や鰓曳動物門(鰓曳虫類)や輪形動物門(輪虫類)など複数存在します。一方、分子系統解析では、鉤頭動物類が輪形動物類の内部に位置づけられており、これが示唆するのは、鉤頭動物が顎器を有する自由生活性の蠕虫(担顎動物)から派生したことです。

 鉤頭動物の唯一の化石記録は後期白亜紀の卵の化石で、その初期進化の解明に資する古生物学的情報は限られています。本論文は、中国の中期ジュラ紀の道虎溝生物相から発見された、鉤頭動物の新属新種のジュラカントセファルス・ダフゴウネンシス(Juracanthocephalus daohugouensis)の体化石を報告します。ジュラカントセファルス族には、鉤を有する吻、生殖嚢、他の担顎動物類に典型的な複数の異なる要素を持つ顎器など、鉤頭動物の明確な特徴が認められました。

 ジュラカントセファルス族は、輪形動物門の体表付着性動物であるウミヒルガタワムシ類および鉤頭動物門と共通の特徴を有しており、顎を有する輪形動物類と、顎を欠く絶対寄生動物である鉤頭動物類の間の進化的空白を埋める存在です。この結果は、太古の鉤頭動物類のこれまで認識されていなかった生態的および形態的多様性を明らかにするとともに、このきわめて謎めいた現生動物群の起源を明らかにする、移行化石の意義を強調しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


古生物学:ジュラ紀の鉤頭動物が明らかにする鉤頭虫類の起源

古生物学:ジュラ紀の鉤頭虫類化石

内部寄生生物の化石記録は少ない。今回、約1億6500万年前の鉤頭動物(鉤頭虫類)の化石が報告され、現在は多様な動物に感染する寄生虫として知られる鉤頭動物類の起源が明らかにされている。



参考文献:
Luo C. et al.(2025): A Jurassic acanthocephalan illuminates the origin of thorny-headed worms. Nature, 641, 8063, 674–680.
https://doi.org/10.1038/s41586-025-08830-5

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