霊長類239種のゲノムで特異的に制約を受けている配列エレメント

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、霊長類239種のゲノムで特異的に制約を受けている配列エレメントを報告した研究(Kuderna et al., 2024)が公表されました。非コードDNAは、ヒトの遺伝子調節や複雑な疾患を理解する上で中心となるもので、塩基配列の進化的制約の評価によって、ヒトゲノム中の推定される調節エレメントの機能的関連性を立証できます。霊長類で特異的に制約されるようになったゲノムエレメントの特定は、非コードDNAの進化がタンパク質コードDNAと比較して高速であること、霊長類種を隔てる時間スケールが比較的短いこと、利用可能な全ゲノム塩基配列がこれまで限られていたことにより、阻まれてきました。

 この研究は、霊長目の全現生種のほぼ半数に相当する239種について、全ゲノムアラインメントを作成し、この情報資源を用いて、全霊長類および他の哺乳類で選択的な制約を受けているヒト調節エレメントを、5%の偽発見率で特定しました。本論文は、霊長類で特異的に制約されているものの他の有胎盤哺乳類では制約されていない、111318のDNアーゼI過感受性部位と267410の転写因子結合部位を検出し、それらが遺伝子発現に及ぼすシス調節作用を確認しました。これらの調節エレメントには、遺伝子発現や複雑な形質および疾患に影響を与えるヒトの遺伝的多様体が多く見られました。今回の結果は、ヒトをはじめとする霊長類を他の有胎盤哺乳類と分ける、調節配列エレメントにおける最近の進化の重要な役割を浮き彫りにしています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


ゲノミクス:霊長類239種のゲノムで制約されている配列エレメントの特定

ゲノミクス:霊長類で特異的に制約を受けている配列エレメント

 今回、霊長類239種のゲノムアセンブリの多重配列アラインメントが作成され、霊長類特異的に選択的な制約を受けている調節エレメントが特定されるとともに、これらのエレメントにヒトの遺伝的バリアントが多く含まれることが明らかになった。



参考文献:
Kuderna LFK. et al.(2024): Identification of constrained sequence elements across 239 primate genomes. Nature, 625, 7996, 735–742.
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06798-8

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