『卑弥呼』第151話「永遠の夢」
『ビッグコミックオリジナル』2025年7月5日号掲載分の感想です。前回は、魏と公孫淵との戦いを最初から終わりまで操るつもりなのか、と問う伊都(イト)国のイトデ王に、これが鬼道だ、とヤノハが答えるところで終了しました。今回は、魏の遼隧(リョウスイ)県の幽州庁で、ヤノハとは旧知の何(カ)が配下のトヒコおよびノヅナとともに、幽州刺史の毌丘倹な謁見している場面から始まります。何は、ノヅナには倭の使節役を、トヒコには従者役を指示し、自身は倭の通詞を演じていました。ノヅナは毌丘倹に、遼東太守の公孫淵が謀叛を企てている、とと伝えます。証拠を問われたノヅナは、公孫淵が倭国の日見子(ヒミコ)女王(ヤノハ)に宛てた、独立のさいの援軍要請の密書の写しを見せます。毌丘倹から、公孫淵がいつ謀叛を起こすのか、自分にはどうして欲しいのか、と問われたノヅナは、いつ牙を剥くかではなく、剥かせるのだ、と答えて、具体的な策を伝えます。まず、公孫淵に魏の都である洛陽への出頭命令を出し、自身の潔白を証明するために天子に謁見せよ、と公孫淵に伝えます。公孫淵に二心がなければ自分の首を賭けて大人しく従い、独立の野心があれば、逆に独立を宣告するはずだ、というわけです。毌丘倹は、このヤノハの策に満足したようです。
魏の帯方郡では、トメ将軍一行が帯方郡太守の劉昕陣営を訪れていました。公孫淵が燕の王になるためにいつ挙兵するのか、具合の悪そうな劉昕に問われたトメ将軍は、近いうちに我々の仲間で襄平からここに来るゴリが正確な情報を届けてくれるはずだ、と答えます。劉昕から、自分に何を望むのか、と問われたトメ将軍は、二つあり、一つは倭から来る遣魏使を洛陽まで護衛することと答え、劉昕は快諾します。しかし、トメ将軍はもう一つの望みについては、我々の仲間が砦に到着した後に申し上げる、と劉昕に伝えます。
山社(ヤマト)では、ヤノハが山社連合の諸王と別れるにさいして、最後に何か聞きたいことがあるか、と尋ねます。公孫淵の挙兵を待つのではなく、こちらから仕掛けて公孫淵の挙兵を早めるために、具体的にどうするのか、と問われたヤノハは、自身の策を説明します。公孫淵が挑発に乗って独立を宣言した場合どうなるのか、と那(ナ)国のウツヒオ王に問われたヤノハは、魏の皇帝が最も信頼する将軍と最小限の兵を公孫淵の新国家である燕に派遣するだろう、と答えます。伊都(イト)国のイトデ王は、洛陽から襄平までは百日かかると聞いているので、確実に魏が勝つのか、不安に思っていました。しかしヤノハは、魏が二百日以内で勝つだろう、と予測します。ヤノハは実際に公孫淵に会っており、末盧(マツラ)国のミルカシ女王から公孫淵がどのような人物なのか問われると、忍耐強い人物には見えず、独善的で人の意見に耳を傾けない性格だろう、と答えます。穂波(ホミ)国のヲカ王から、公孫淵にはよい軍師がいるのか、と問われたヤノハは、軍師の存在すら聞かなかった、と答えます。公孫淵はどのような計を講じるのか、と都萬(トマ)国のタケツヌ王に問われたヤノハは、戦わず城を捨て、楽浪郡と帯方郡を経て韓半島(馬韓と辰韓と弁韓を指しているのでしょうか)に逃れるのが最上の計、魏軍と真っ向勝負するのが二番目の計、最悪の計は襄平での籠城と答えます。公孫淵はどの策を選ぶのか、と伊岐(イキ、現在の壱岐諸島でしょう)のイカツ王に問われたヤノハは、自分が見たところ、公孫淵には魏軍と正面衝突する度胸はないだろう、と答えます。ウツヒオ王は、トメ将軍が韓半島に逃げ延びるという最上の策を封じられれば、公孫淵は襄平での籠城以外に思いつかないはずで、公孫淵にとって最上の計を封じるためにトメ将軍を帯方郡に派遣されたのだ、と気づきます。しかしイトデ王は、公孫淵の退路を断つために山社連合軍が加勢しても、二千の兵では魏が倭を同盟国に格上げするとはとうてい思えない、と不安な様子です。するとヤノハは、今の帯方郡太守にある条件を提示するようトメ将軍に命じた、と答えます。その条件について問われたヤノハは、笑ってなかなか答えず、中土(中華地域のことでしょう)の皇帝とは天から民の統治を託された半神と聞いており、故に皇帝は天子とも呼ばれているが、半神であってもしょせんは人だ、と語り始めます。人を動かす一番の源に自分は勝負を賭けようと考えている、と伝えます。山社連合の諸王がヤノハの決意を聞いて、これまで夢と思っていた天下泰平に本当に我々の代で手が届いたように思う、と感慨深げに空を見上げるところで今回は終了です。
今回は、公孫淵を追い詰めるヤノハの策が明かされ、その智謀の高さが改めて示されました。トメ将軍の帯方郡太守の劉昕への二つの要求のうち、一つは明かされましたが、もう一つは不明です。おそらく、中華皇帝は半神であってもしょせん人で、人を動かす一番の源に勝負を賭ける、とのヤノハの発言が重要な手がかりなのでしょうが、現時点ではよく分かりません。いよいよ魏への遣使が近づき、まず間違いなく登場するだろう司馬懿(司馬仲達)がどのように描かれるのか、注目しています。また、暈(クマ)国と日下(ヒノモト)連合が山社連合の魏への使節派遣にどう対応するのかも、今後の見どころとなりそうで楽しみです。このところ本格的に大陸情勢が描かれており、ますます壮大な話になってきて、今後の展開もたいへん楽しみですが、残念ながら次号は休載のようです。最近は休載が増えてきた感もあり、まだ完結までかなり時間を要しそうなだけに、やや心配ではあります。
魏の帯方郡では、トメ将軍一行が帯方郡太守の劉昕陣営を訪れていました。公孫淵が燕の王になるためにいつ挙兵するのか、具合の悪そうな劉昕に問われたトメ将軍は、近いうちに我々の仲間で襄平からここに来るゴリが正確な情報を届けてくれるはずだ、と答えます。劉昕から、自分に何を望むのか、と問われたトメ将軍は、二つあり、一つは倭から来る遣魏使を洛陽まで護衛することと答え、劉昕は快諾します。しかし、トメ将軍はもう一つの望みについては、我々の仲間が砦に到着した後に申し上げる、と劉昕に伝えます。
山社(ヤマト)では、ヤノハが山社連合の諸王と別れるにさいして、最後に何か聞きたいことがあるか、と尋ねます。公孫淵の挙兵を待つのではなく、こちらから仕掛けて公孫淵の挙兵を早めるために、具体的にどうするのか、と問われたヤノハは、自身の策を説明します。公孫淵が挑発に乗って独立を宣言した場合どうなるのか、と那(ナ)国のウツヒオ王に問われたヤノハは、魏の皇帝が最も信頼する将軍と最小限の兵を公孫淵の新国家である燕に派遣するだろう、と答えます。伊都(イト)国のイトデ王は、洛陽から襄平までは百日かかると聞いているので、確実に魏が勝つのか、不安に思っていました。しかしヤノハは、魏が二百日以内で勝つだろう、と予測します。ヤノハは実際に公孫淵に会っており、末盧(マツラ)国のミルカシ女王から公孫淵がどのような人物なのか問われると、忍耐強い人物には見えず、独善的で人の意見に耳を傾けない性格だろう、と答えます。穂波(ホミ)国のヲカ王から、公孫淵にはよい軍師がいるのか、と問われたヤノハは、軍師の存在すら聞かなかった、と答えます。公孫淵はどのような計を講じるのか、と都萬(トマ)国のタケツヌ王に問われたヤノハは、戦わず城を捨て、楽浪郡と帯方郡を経て韓半島(馬韓と辰韓と弁韓を指しているのでしょうか)に逃れるのが最上の計、魏軍と真っ向勝負するのが二番目の計、最悪の計は襄平での籠城と答えます。公孫淵はどの策を選ぶのか、と伊岐(イキ、現在の壱岐諸島でしょう)のイカツ王に問われたヤノハは、自分が見たところ、公孫淵には魏軍と正面衝突する度胸はないだろう、と答えます。ウツヒオ王は、トメ将軍が韓半島に逃げ延びるという最上の策を封じられれば、公孫淵は襄平での籠城以外に思いつかないはずで、公孫淵にとって最上の計を封じるためにトメ将軍を帯方郡に派遣されたのだ、と気づきます。しかしイトデ王は、公孫淵の退路を断つために山社連合軍が加勢しても、二千の兵では魏が倭を同盟国に格上げするとはとうてい思えない、と不安な様子です。するとヤノハは、今の帯方郡太守にある条件を提示するようトメ将軍に命じた、と答えます。その条件について問われたヤノハは、笑ってなかなか答えず、中土(中華地域のことでしょう)の皇帝とは天から民の統治を託された半神と聞いており、故に皇帝は天子とも呼ばれているが、半神であってもしょせんは人だ、と語り始めます。人を動かす一番の源に自分は勝負を賭けようと考えている、と伝えます。山社連合の諸王がヤノハの決意を聞いて、これまで夢と思っていた天下泰平に本当に我々の代で手が届いたように思う、と感慨深げに空を見上げるところで今回は終了です。
今回は、公孫淵を追い詰めるヤノハの策が明かされ、その智謀の高さが改めて示されました。トメ将軍の帯方郡太守の劉昕への二つの要求のうち、一つは明かされましたが、もう一つは不明です。おそらく、中華皇帝は半神であってもしょせん人で、人を動かす一番の源に勝負を賭ける、とのヤノハの発言が重要な手がかりなのでしょうが、現時点ではよく分かりません。いよいよ魏への遣使が近づき、まず間違いなく登場するだろう司馬懿(司馬仲達)がどのように描かれるのか、注目しています。また、暈(クマ)国と日下(ヒノモト)連合が山社連合の魏への使節派遣にどう対応するのかも、今後の見どころとなりそうで楽しみです。このところ本格的に大陸情勢が描かれており、ますます壮大な話になってきて、今後の展開もたいへん楽しみですが、残念ながら次号は休載のようです。最近は休載が増えてきた感もあり、まだ完結までかなり時間を要しそうなだけに、やや心配ではあります。
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