イランとインドのゾロアスター教徒のゲノムデータ
イランとインドのゾロアスター教徒のゲノムデータについて、今年(2025年)3月20日~23日にかけてアメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア市で開催された第94回アメリカ生物学会(旧称はアメリカ自然人類学会)総会で報告されました(Ahlawat et al., 2025)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P3)。この研究は、イランとインドのゾロアスター教徒のゲノム規模常染色体データから、その人口史と集団遺伝学的な特徴が示されています。
ゾロアスター教は世界最古の現存宗教の一つで、紀元前二千年紀のペルシア(現在のイラン)に起源があります【ゾロアスター教の起源と成立過程については、議論があるようです(関連記事)】。歴史的記録では、ペルシアからの移民がインドにゾロアスター教をもたらした、と示唆されていますが、これらの移住の時期については議論が続いています。この研究は、イランとインドのゾロアスター教徒から得られたゲノム規模常染色体データを、近隣の現代のインドおよびイランの人口集団とともに提示し、これらの集団にまたがる包括的な遺伝学的分析を実行します。
ハプロタイプに基づく強力な技術を用いると、イランとインド両方のゾロアスター教徒は各地域の他の標本抽出された人口集団と比較して遺伝的均質性の増加を示すと分かり、これは長期の族内婚慣行と一致します。しかし、ゾロアスター教徒のインド到来後の、インドのゾロアスター教徒(パールシー)と在来のインド人集団との間の混合の証拠も検出され、この混合の年代は700~1100年頃です。これは、パールシーにおけるイランのゾロアスター教徒の祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)が、おもに男系を通じて維持された、との結論を裏づけます。古代人の遺骸からの豊富な常染色体データを活用して、イランのゾロアスター教徒の祖先における混合事象がさらに特定されます。
参考文献:
Ahlawat B. et al.(2025): From Persia to India: Genome-Wide Analysis of Zoroastrians Reveals Migration Patterns, Endogamy, and Admixture. The 94th Annual Meeting of the AAPA.
https://doi.org/10.1002/ajpa.70031
ゾロアスター教は世界最古の現存宗教の一つで、紀元前二千年紀のペルシア(現在のイラン)に起源があります【ゾロアスター教の起源と成立過程については、議論があるようです(関連記事)】。歴史的記録では、ペルシアからの移民がインドにゾロアスター教をもたらした、と示唆されていますが、これらの移住の時期については議論が続いています。この研究は、イランとインドのゾロアスター教徒から得られたゲノム規模常染色体データを、近隣の現代のインドおよびイランの人口集団とともに提示し、これらの集団にまたがる包括的な遺伝学的分析を実行します。
ハプロタイプに基づく強力な技術を用いると、イランとインド両方のゾロアスター教徒は各地域の他の標本抽出された人口集団と比較して遺伝的均質性の増加を示すと分かり、これは長期の族内婚慣行と一致します。しかし、ゾロアスター教徒のインド到来後の、インドのゾロアスター教徒(パールシー)と在来のインド人集団との間の混合の証拠も検出され、この混合の年代は700~1100年頃です。これは、パールシーにおけるイランのゾロアスター教徒の祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)が、おもに男系を通じて維持された、との結論を裏づけます。古代人の遺骸からの豊富な常染色体データを活用して、イランのゾロアスター教徒の祖先における混合事象がさらに特定されます。
参考文献:
Ahlawat B. et al.(2025): From Persia to India: Genome-Wide Analysis of Zoroastrians Reveals Migration Patterns, Endogamy, and Admixture. The 94th Annual Meeting of the AAPA.
https://doi.org/10.1002/ajpa.70031
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