大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第11回「富本、仁義の馬面」
前回、鶴屋喜右衛門は、『青楼美人合姿鏡』が売れない、と考えていましたが、今回、その意味が明かされました。『青楼美人合姿鏡』は版元にとって、確かに目新しさはあるものの、一般層が金を払ってまで買いたいものではない、というわけです。じっさい、『青楼美人合姿鏡』の売れ行きは悪く、蔦屋重三郎は次の手をどうすべきか、思案します。主人公がその才覚と行動力で難局を打開していくところこそ、本作の最大の魅力だと考えていますが、順風満帆ではなく、難敵が立ちはだかり、駆け引きが描かれているところは、王道的で、深みのない話になっておらず、楽しめています。
今回、大文字屋市兵衛は、吉原で広く一般向けの祭りを開き、吉原に人を集めるために、人気の富本節の太夫である午之助(富本豊前太夫)を祭りに呼ぼうと考え、重三郎に命じますが、富本午之助はかつて吉原から叩き出されたことがあり、吉原を嫌っていました。そこで、大文字屋市兵衛の提案で、浄瑠璃の元締めである当道座の鳥山検校(玉一)に仲立ちを頼みますが、鳥山検校は、自分に頼みに来た重三郎が、身請けして妻とした瀬以(花の井、五代目瀬川)と親しくしていたことから、嫉妬もあったのか、一旦はその依頼を断るものの、けっきょくは聞き入れました。鋭い鳥山検校は、瀬以の心が自分に向いていないことに気づいているようで、重三郎と瀬以と鳥山検校の三角関係が、鳥山検校の失脚とも絡めてどう描かれるのか、注目されます。
午之助とともに今回初登場となる倉橋格(恋川春町)は鱗形屋孫兵衛と親しくしており、孫兵衛を陥れた小島藩に仕えています。孫兵衛を陥れたのが小島藩との設定が、江戸時代の文献に基づいているのか、創作なのか分かりませんが、まだ重三郎と知己ではないものの、後に重三郎と深く関わる人物の人間関係も描かれており、本作はかなり緻密に構成されているように思います。倉橋格の最期は、今回最後に少しだけ登場した松平定信も深く関わっており、どう描かれるのか、注目しています。その松平定信(田安賢丸)は家臣の前で『金々先生栄花夢』を腐しますが、興味がありそうなようにも見えます。じっさい、定信は寛政の改革で庶民的文化を弾圧しながら、そうした庶民文化を愛好もしていたようで、定信は重三郎にとって終盤最大の敵との位置づけなのかもしれませんが、単に堅物の政治家が重三郎に代表される庶民の文化を理解せずに弾圧した、といった単純な展開ではなく、深い話になるのではないか、と期待しています。
今回、大文字屋市兵衛は、吉原で広く一般向けの祭りを開き、吉原に人を集めるために、人気の富本節の太夫である午之助(富本豊前太夫)を祭りに呼ぼうと考え、重三郎に命じますが、富本午之助はかつて吉原から叩き出されたことがあり、吉原を嫌っていました。そこで、大文字屋市兵衛の提案で、浄瑠璃の元締めである当道座の鳥山検校(玉一)に仲立ちを頼みますが、鳥山検校は、自分に頼みに来た重三郎が、身請けして妻とした瀬以(花の井、五代目瀬川)と親しくしていたことから、嫉妬もあったのか、一旦はその依頼を断るものの、けっきょくは聞き入れました。鋭い鳥山検校は、瀬以の心が自分に向いていないことに気づいているようで、重三郎と瀬以と鳥山検校の三角関係が、鳥山検校の失脚とも絡めてどう描かれるのか、注目されます。
午之助とともに今回初登場となる倉橋格(恋川春町)は鱗形屋孫兵衛と親しくしており、孫兵衛を陥れた小島藩に仕えています。孫兵衛を陥れたのが小島藩との設定が、江戸時代の文献に基づいているのか、創作なのか分かりませんが、まだ重三郎と知己ではないものの、後に重三郎と深く関わる人物の人間関係も描かれており、本作はかなり緻密に構成されているように思います。倉橋格の最期は、今回最後に少しだけ登場した松平定信も深く関わっており、どう描かれるのか、注目しています。その松平定信(田安賢丸)は家臣の前で『金々先生栄花夢』を腐しますが、興味がありそうなようにも見えます。じっさい、定信は寛政の改革で庶民的文化を弾圧しながら、そうした庶民文化を愛好もしていたようで、定信は重三郎にとって終盤最大の敵との位置づけなのかもしれませんが、単に堅物の政治家が重三郎に代表される庶民の文化を理解せずに弾圧した、といった単純な展開ではなく、深い話になるのではないか、と期待しています。
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