先コロンブス期アマゾン南西部におけるトウモロコシの単一栽培
先コロンブス期アマゾン南西部におけるトウモロコシの単一栽培を報告した研究(Lombardo et al., 2024)が公表されました。ボリビアのモホス平原の約4500km²におよぶ巨大な塚地域に広がるカサラベ(Casarabe)文化(500~1400年頃)は、先コロンブス期以前(1492年以前)のアマゾン川流域における都市生活の最も明らかな例の一つです。この文化遺跡では、4階層から構成される集落パターンが見られ、数百に上る巨大な塚が水路や堤道で相互に結ばれています。考古学的証拠から、この地域社会でトウモロコシが栽培されていた、と示されていますが、トウモロコシが主食作物だったのかどうか、また、この都市規模の社会を支えるのにどの種類の農業体系が用いられていたのかは、まだ明らかにされていません。
本論文は、リモートセンシングと野外調査と微植物学的分析を組み合わせることで、この問題に取り組みました。その結果、カサラベ文化が景観の改変にかなり注力しており、複雑な排水路系(雨季の過剰な水を排出するための設備)と、新たに発見されたサバンナの農業貯水池(乾季に水を保持するための設備)を構築していた、と示されました。排水路のある畑と貯水池と森林地帯の18ヶ所の土壌断面から採取された標本178点の植物化石分析の結果、先コロンブス期の畑や貯水池ではトウモロコシ(Zea mays)の単一で普遍的な存在が確認された一方で、森林における農業活動の証拠は認められませんでした。
総合すると、本論文の知見は、カサラベ文化がどのようにして、サバンナ景観をトウモロコシの集約的な通年の単一栽培用に管理していたかを示しており、トウモロコシはおそらくこの文化の比較的大規模な都市人口を支えていた、と考えられます。アマゾン川流域における都市化の進展に、トウモロコシの単一栽培が大きく貢献したかもしれないわけです。本論文の結果は、アマゾン川流域の農業体系の把握に関して重要な意味を有するとともに、アマゾン川流域における新石器時代のような穀類に基づく農業経済の一例を示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
人類学:トウモロコシの単一栽培がコロンブス以前のアマゾン川流域南西部の都市生活を支えた
人類学:カサラベ文化を支えたトウモロコシの単一栽培
ボリビアのアマゾン川流域で繁栄したカサラベ文化(紀元500~1400年頃)は、森林農業のような混合栽培方式ではなく、集約的な単一栽培でトウモロコシを作り、それによって大規模な都市人口を養っていたらしいことが、今回明らかになった。
参考文献:
Lombardo U. et al.(2025): Maize monoculture supported pre-Columbian urbanism in southwestern Amazonia. Nature, 639, 8053, 119–123.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08473-y
本論文は、リモートセンシングと野外調査と微植物学的分析を組み合わせることで、この問題に取り組みました。その結果、カサラベ文化が景観の改変にかなり注力しており、複雑な排水路系(雨季の過剰な水を排出するための設備)と、新たに発見されたサバンナの農業貯水池(乾季に水を保持するための設備)を構築していた、と示されました。排水路のある畑と貯水池と森林地帯の18ヶ所の土壌断面から採取された標本178点の植物化石分析の結果、先コロンブス期の畑や貯水池ではトウモロコシ(Zea mays)の単一で普遍的な存在が確認された一方で、森林における農業活動の証拠は認められませんでした。
総合すると、本論文の知見は、カサラベ文化がどのようにして、サバンナ景観をトウモロコシの集約的な通年の単一栽培用に管理していたかを示しており、トウモロコシはおそらくこの文化の比較的大規模な都市人口を支えていた、と考えられます。アマゾン川流域における都市化の進展に、トウモロコシの単一栽培が大きく貢献したかもしれないわけです。本論文の結果は、アマゾン川流域の農業体系の把握に関して重要な意味を有するとともに、アマゾン川流域における新石器時代のような穀類に基づく農業経済の一例を示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
人類学:トウモロコシの単一栽培がコロンブス以前のアマゾン川流域南西部の都市生活を支えた
人類学:カサラベ文化を支えたトウモロコシの単一栽培
ボリビアのアマゾン川流域で繁栄したカサラベ文化(紀元500~1400年頃)は、森林農業のような混合栽培方式ではなく、集約的な単一栽培でトウモロコシを作り、それによって大規模な都市人口を養っていたらしいことが、今回明らかになった。
参考文献:
Lombardo U. et al.(2025): Maize monoculture supported pre-Columbian urbanism in southwestern Amazonia. Nature, 639, 8053, 119–123.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08473-y
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