大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第8回「逆襲の『金々先生』」
これまで、蔦屋重三郎の版元業への参入を中心に物語が動いており、話の核がしっかりしていることとともに、重三郎の才覚と行動力によって話が展開していることに本作の魅力はあります。重三郎の版元業への本格的参入は順風満帆とはいきませんが、それでも前進していると言えそうで、今回も重三郎の版元業への参入が核となっていました。『節用集』の偽版で捕まり、拷問を受けた後で釈放された鱗形屋孫兵衛は、『金々先生』の刊行によって「逆襲」に転じます。鱗形屋孫兵衛は、自分が捕まったのは蔦屋重三郎の密告のためと考えており、重三郎をひじょうに恨んでいましたが、須原屋市兵衛の助けで釈放されることになり、自分と組んでいた小島藩が自分を売ったため、自分が捕縛されたのは理解しているのでしょう。とはいえ、鱗形屋はもう終わりだと考え、代わりに地本問屋に参入しようとする重三郎を孫兵衛が内心では許すはずもなく、他の地本問屋も本音では利益のため吉原に地本問屋を認めたくはないので、重三郎は地本問屋としてまだ認められません。こうして主人公が順風満帆ではないところも、本作を面白くしている一因になっているように思います。まあこれも、後に重三郎が版元として大成することを知っているからこそ楽しめているところもありそうですが。
重三郎が本格的に版元を志した根底には、自分が育った吉原を繁栄させ、女郎にも少しでもましな生活を送らせたい、との想いがあり、それは花の井(五代目瀬川)も同様です。重三郎と花の井の才覚と行動力によって吉原は活気づきますが、それによって悪質な客も増え、女郎の負担も増えます。こうして負の側面も描く作風は工夫されており、吉原への蔑視がこの過程で浮き彫りになるところも、よく構成されているように思います。重三郎と花の井はともに子供の頃から吉原で育ち幼馴染で、同志的関係にありますが、花の井から重三郎への片想いも根底にあります。今回初登場となった盲目の大富豪である鳥山検校が花の井を身請けするようですが、重三郎と花の井との関係がどう変わっていくのかも、今後の楽しみとなりそうです。
今回、重三郎と花の井の子供時代が回想で描かれましたが、本作ではこれまで重三郎の子供時代はほとんど描かれていません。今後はどうなのか分かりませんが、現時点では、この点は2007年放送の大河ドラマ『風林火山』と似ているように思います。『風林火山』との類似点といえば、本作は大河ドラマでは珍しく実の親の存在感がほぼありません。重三郎の実の両親がこの時点で存命なのか不明ですが、今後登場することはあるのでしょうか。これまで重三郎の実の両親についてはほとんど語られていないので、今後登場する可能性は低いように思いますが、一応は念頭に置いておこうかな、と考えています。
政治場面は短めでしたが、平賀源内を通じて、重三郎と花の井の才覚と行動力によって吉原が活気づいたこととつながっており、これまでと同様に、接点の少ない幕府中枢と吉原や出版業界の話が上手くつなげられているように思います。平賀源内の死後、寛政の改革での出版業界への本格的な弾圧の前に、いわゆる田沼時代において幕府中枢と吉原や出版業界の話がどう接続されていくのか、楽しみです。その平賀源内の死は、本作での平賀源内の存在感の大きさから、前半の山場になりそうです。中盤の山場となるだろう田沼意次の失脚とともに、重三郎との関わりでどう描かれるのか、注目しています。
重三郎が本格的に版元を志した根底には、自分が育った吉原を繁栄させ、女郎にも少しでもましな生活を送らせたい、との想いがあり、それは花の井(五代目瀬川)も同様です。重三郎と花の井の才覚と行動力によって吉原は活気づきますが、それによって悪質な客も増え、女郎の負担も増えます。こうして負の側面も描く作風は工夫されており、吉原への蔑視がこの過程で浮き彫りになるところも、よく構成されているように思います。重三郎と花の井はともに子供の頃から吉原で育ち幼馴染で、同志的関係にありますが、花の井から重三郎への片想いも根底にあります。今回初登場となった盲目の大富豪である鳥山検校が花の井を身請けするようですが、重三郎と花の井との関係がどう変わっていくのかも、今後の楽しみとなりそうです。
今回、重三郎と花の井の子供時代が回想で描かれましたが、本作ではこれまで重三郎の子供時代はほとんど描かれていません。今後はどうなのか分かりませんが、現時点では、この点は2007年放送の大河ドラマ『風林火山』と似ているように思います。『風林火山』との類似点といえば、本作は大河ドラマでは珍しく実の親の存在感がほぼありません。重三郎の実の両親がこの時点で存命なのか不明ですが、今後登場することはあるのでしょうか。これまで重三郎の実の両親についてはほとんど語られていないので、今後登場する可能性は低いように思いますが、一応は念頭に置いておこうかな、と考えています。
政治場面は短めでしたが、平賀源内を通じて、重三郎と花の井の才覚と行動力によって吉原が活気づいたこととつながっており、これまでと同様に、接点の少ない幕府中枢と吉原や出版業界の話が上手くつなげられているように思います。平賀源内の死後、寛政の改革での出版業界への本格的な弾圧の前に、いわゆる田沼時代において幕府中枢と吉原や出版業界の話がどう接続されていくのか、楽しみです。その平賀源内の死は、本作での平賀源内の存在感の大きさから、前半の山場になりそうです。中盤の山場となるだろう田沼意次の失脚とともに、重三郎との関わりでどう描かれるのか、注目しています。
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