大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第7回「好機到来『籬の花』」

 今回は幕府政治の場面が描かれず、蔦屋重三郎の版元業界への参入の奮闘が描かれました。本作の主人公はあくまでも蔦屋重三郎ですから、幕府政治が描かれない回は今後もありそうです。鱗形屋孫兵衛が『節用集』の偽版で捕まり、拷問を受け、もう鱗形屋は終わった、と西村屋与八や鶴屋喜右衛門など地本問屋は判断し、鱗形屋が出版していた『吉原細見』を代わりに刊行しようと相談していたところへ、重三郎が『吉原細見』の刊行と、これまでの倍売れたら地本問屋に入れてもらうよう、頼み込み、そのための重三郎の奮闘と、西村屋与八や鶴屋喜右衛門など地本問屋の思惑が今回の主題だったわけですが、娯楽作品としてなかなか楽しめる構成になっていました。

 何よりも、主人公の重三郎がその才覚と行動力で自発的に動いていき、「守旧的」で「理不尽な」強敵と対峙していくところは、娯楽ドラマとして王道的とも言えます。ただ、西村屋与八と鶴屋喜右衛門は現時点で重三郎にとって敵役的な役割を担っていますが、重三郎は器の大きいところがあり、重三郎が本格的に版元業に参入してからは、西村屋与八や鶴屋喜右衛門とも、単に競合・敵対的関係とはならないのではないか、と予想しています。西村屋与八と鶴屋喜右衛門も、単に強欲で陰険なところがあるだけではなく、もっと深い人物として描かれるのではないか、と期待しています。

 重三郎が作り上げた『吉原細見 籬の花』は、花の井が新たに継承した名跡である瀬川を掲載しており、それが好評の決め手となりました。花の井が重三郎に好意を寄せていることは視聴者には明示されていますが、すでに重三郎の妻は別人だと明かされており、配役も発表されています。それでも本作では今後も、花の井(瀬川)が重三郎にとって最も重要な女性として位置づけられ続けるのかもしれません。重三郎と花の井(瀬川)の関係が今後どう描かれるのかも、注目されます。今回は、重三郎に好意を寄せる少女「かをり」も登場し、すでに配役が発表されている誰袖に成長するようです。誰袖も、本作で重三郎と深くかかわる女性の一人という位置づけだと思われ、今後、重三郎との関係がどう描かれるのか、楽しみです。

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