味でヒトを認識する蚊
蚊が味でヒトを認識することについての研究(Baik et al., 2024)が公表されました。昆虫の行動には味覚系によって制御されているものが多いものの、蚊において、味物質がどのように符号化され、そうした物質が必須な行動をどのように調節しているのかについては、ほとんど知られていません。本論文は、侵略性の高い疾病媒介蚊であるヒトスジシマカ(Aedes albopictus)で、味覚刺激がどのように符号化され、そうした手掛かりが刺咬や摂餌や産卵にどのような影響を与えているかを調べました。
その結果、頭部の主要な味覚器官である唇弁のニューロンが、ヒトなどの多種多様な手がかりを異なる形で符号化している、と明らかになりました。本論文は、広範な符号化能力を有する3点の機能クラスの味覚感覚子を見つけました。興奮性応答に加えて、抑制性応答が広く見られる、と分かり、そうした抑制性応答からは刺咬行動が予測できました。特定の苦味化合物は糖に対する生理的・行動的応答を抑制することから、それが欲求刺激に対する強力な停止信号として有用かもしれない、と示唆されました。
ヒトの汗や花蜜、産卵場所の水などの複雑な手掛かりは、ニューロン群から異なる応答プロファイルを生じさせました。本論文は、ヒトの皮膚上や汗の中に存在し、相乗的に刺咬行動を促進する主要な味物質を特定しました。トランスクリプトームのプロファイリングでは、行動を阻害するために標的化できる可能性のある味覚受容体が発見されました。本論文は、蚊の味覚系の重要な特徴を明らかにしており、化学感覚機能を操作して疾病媒介蚊を防除する、新たな方法を示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
神経科学:蚊ではヒトや花の手掛かりに対する味覚応答が刺咬と摂餌を導く
神経科学:蚊は味でヒトを認識する
今回、疾病媒介蚊であるヒトスジシマカ(Aedes albopictus)の味覚系の特徴が明らかにされ、蚊が、ヒトの手掛かりを摂餌の対象となる花や産卵場所の水などの手掛かりとは区別して認識していることが分かった。また、ヒトの皮膚や汗に含まれ、蚊の刺咬行動を促進させる味物質が特定された。
参考文献:
Baik LS. et al.(2024): Mosquito taste responses to human and floral cues guide biting and feeding. Nature, 635, 8039, 639–646.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08047-y
その結果、頭部の主要な味覚器官である唇弁のニューロンが、ヒトなどの多種多様な手がかりを異なる形で符号化している、と明らかになりました。本論文は、広範な符号化能力を有する3点の機能クラスの味覚感覚子を見つけました。興奮性応答に加えて、抑制性応答が広く見られる、と分かり、そうした抑制性応答からは刺咬行動が予測できました。特定の苦味化合物は糖に対する生理的・行動的応答を抑制することから、それが欲求刺激に対する強力な停止信号として有用かもしれない、と示唆されました。
ヒトの汗や花蜜、産卵場所の水などの複雑な手掛かりは、ニューロン群から異なる応答プロファイルを生じさせました。本論文は、ヒトの皮膚上や汗の中に存在し、相乗的に刺咬行動を促進する主要な味物質を特定しました。トランスクリプトームのプロファイリングでは、行動を阻害するために標的化できる可能性のある味覚受容体が発見されました。本論文は、蚊の味覚系の重要な特徴を明らかにしており、化学感覚機能を操作して疾病媒介蚊を防除する、新たな方法を示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
神経科学:蚊ではヒトや花の手掛かりに対する味覚応答が刺咬と摂餌を導く
神経科学:蚊は味でヒトを認識する
今回、疾病媒介蚊であるヒトスジシマカ(Aedes albopictus)の味覚系の特徴が明らかにされ、蚊が、ヒトの手掛かりを摂餌の対象となる花や産卵場所の水などの手掛かりとは区別して認識していることが分かった。また、ヒトの皮膚や汗に含まれ、蚊の刺咬行動を促進させる味物質が特定された。
参考文献:
Baik LS. et al.(2024): Mosquito taste responses to human and floral cues guide biting and feeding. Nature, 635, 8039, 639–646.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08047-y
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