2024年の古人類学界
あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2024年)も古人類学界について振り返っていくことにします。近年ずっと繰り返していますが、今年も核DNAやミトコンドリアDNA(mtDNA)を含めて古代DNA研究の進展には目覚ましいものがありました。正直なところ、最新の研究動向にまったく追いついていけていないのですが、今後も少しでも多く取り上げていこう、と考えています。当ブログでもそれなりの数の古代DNA研究を取り上げましたが、知っていてもまだ取り上げていない研究も少なくありませんし、何よりも、まだ知らない研究も多いのではないか、と思います。古代DNA研究の目覚ましい進展を踏まえて、今年もネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)といった非現生人類ホモ属(古代型ホモ属、絶滅ホモ属)と、現生人類(Homo sapiens)とに分けます。とくに重要と判断した研究については、冒頭に★をつけています。
(1)非現生人類ホモ属のDNA研究
★ネアンデルタール人と現生人類との間の遺伝的混合に関する研究では、ネアンデルタール人と現生人類との間の複数回の遺伝的混合や、ネアンデルタール人のゲノムにおける2.5~3.7%程度の現生人類からの影響とともに、ネアンデルタール人の人口規模が以前の推定値より小さいことも示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_16.html
★フランス地中海地域の後期ネアンデルタール人のゲノムデータを報告した研究では、既知の系統とは遺伝的に異なるネアンデルタール人系統の5万年以上にわたる遺伝的孤立の可能性が指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_15.html
★古代人および現代人のゲノムデータと古環境のデータに基づいてネアンデルタール人と現生人類の交雑地域を推測した研究では、ネアンデルタール人と生人類)の間で交雑が置きた地域はイラン高原だったかもしれない、と指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_10.html
★古代と現代の現生人類のゲノムデータを用いて、ネアンデルタール人からの遺伝的影響を経時的に検証した研究では、単一もしくは密接に関連したネアンデルタール人集団から現生人類への50500~43500年前頃と長期にわたる遺伝子流動とともに、現生人類におけるネアンデルタール人由来の多様体の選択の大半は、正負どちらであれ、遺伝子流動後すぐに起きた、と推測されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_19.html
(2)現生人類や非ヒト動物の古代DNA研究
●アフリカ
★現代人と古代人のゲノムデータからアフリカにおけるバントゥー諸語話者の拡大を推測した研究では、バントゥー諸語話者の拡大が連続創始者移動モデルで説明でき、拡大先で在来集団からかなりの遺伝子流動を受けた、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_31.html
★ソコトラ島の前近代の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究は、ソコトラ島の前近代人類が、レヴァントの続旧石器時代狩猟採集民と遺伝的に類似しており、アジア南西部の初期農耕民から遺伝的影響をさほど受けず、交易を反映してイランやインドからの遺伝的影響を多少受けている、と明らかにしており、北緯12度程度と低緯度地域となるソコトラ島での古代ゲノム解析成功の点でも注目されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_14.html
現代人と古代人のゲノムデータに基づいてザンビアのバトゥア人の遺伝的歴史を推測した研究では、バトゥア人のゲノムには、バントゥー諸語話者集団的な遺伝的構成要素とともに、遺伝的にアフリカ南部の現在のコイサン人とアフリカ中央部熱帯雨林の狩猟採集民の中間に位置する、過去に現在のザンビアに存在した独特な遺伝的構成の狩猟採集民に由来する遺伝的構成要素もあった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_2.html
★ケニアの1890年代のツァボライオンの歯に挟まっていた獲物の毛のDNA解析結果を報告した研究では、キリンやヒトやウォーターバックやヌーやシマウマが特定されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_22.html
★南アフリカ共和国のオークハースト岩陰遺跡の初期完新世から後期石器時代末までの人類9個体のゲノムデータを報告した研究では、現在南アフリカ共和国内に暮らす一部の人類集団のオークハースト岩陰古代狩猟採集民との強い遺伝的関連とともに、アフリカ南部における他地域から広範に到来した集団との遺伝的混合が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_7.html
●ユーラシア西部
総合的な古代DNAデータで示されているように、古代ゲノム研究が最も進んでいる地域は依然としてヨーロッパで、今年もヨーロッパを中心にユーラシア西部の古代ゲノム研究の進展には目覚ましいものがありました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_18.html
★大規模な古代ゲノムデータを用いて氷期後のユーラシア西部の人口史を検証した研究では、ユーラシア西部人類集団では新石器時代への移行において、西方では大規模な変化があったものの、東方では大きな変化がなく、このユーラシア西部における東西の人類集団間の遺伝的境界が、新石器時代の後のユーラシア西方草原地帯からの人類集団の拡大により溶解していった、と示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_14.html
★その研究とも関連しますが、大規模な古代ゲノムデータを用いた研究では、鉄器時代以降のヨーロッパの人類集団間の遺伝的構成は比較的安定している、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_9.html
ユーラシア西部古代人における選択と現代人への遺伝的影響に関する研究では、糖尿病とアルツハイマー病の危険性に関連する遺伝的多様体はヨーロッパ西部狩猟採集民と関連しており、南北のヨーロッパ人の間の身長差は異なる草原地帯牧畜民の祖先集団に関連していることなどが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_18.html
多発性硬化症の遺伝的危険性に関する研究では、草原地帯牧畜民集団で生じた可能性が示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_19.html
古代ゲノムデータにより現在のデンマークに相当する地域の人口史を推測した研究では、新石器時代への移行がヨーロッパ中央部と比較して1000年以上遅れた急激なもので、在来の狩猟採集民からの遺伝的寄与が限定的だったことと、その1000年後に東方の草原地帯由来の人類集団の到来により第二の大規模な人口の入れ替わりが起きたことで、現代のデンマーク人と遺伝的により類似した集団が形成された、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_22.html
黒死病前後のイングランドの人類集団の局所的な遺伝的歴史を検証した研究では、黒死病前後の大きな遺伝的変化はなかったことが示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_2.html
ドイツ中央部の前期青銅器時代の親族関係に関する研究では、女性族外婚を含む父系/父方居住だったことが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_27.html
キプロス島の初期完新世の3個体のゲノムデータを報告した研究では、約80%のアナトリア半島中央部の無土器新石器時代集団的構成要素と、残りの基底部レヴァント人口集団的構成要素でモデル化できる、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_2.html
★アヴァール人の古代ゲノムデータと考古学と人類学と歴史学を組み合わせた学際的研究では、約300個体から構成される大規模な系図が再構築され、アヴァール人の社会的慣行における、父方居住と女性族外婚が規範とされており、複婚や逆縁婚が一般的だった、厳密な父系親族関係が明らかになりました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_12.html
青銅器時代ユーラシア北部の人口史と文化との関連を検証した研究では、ウラル語族とシベリア集団的な遺伝的構成要素の拡大における、セイマ・トルビノ現象および同時代の青銅器時代文化の役割が指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_16.html
パリ盆地の紀元前三千年紀の人類のゲノムデータを報告した研究では、2回の主要な新石器時代および草原地帯関連の遺伝的構成要素の混合の波が特定されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_23.html
メロヴィング朝期フランドルの人類集団のゲノムデータを報告した研究では、異なる二つの遺伝的構成要素が示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_2.html
レバノン北部のコウラ地区の現代の住民と多様な地域の古代人のゲノムデータを報告した研究では、ギリシア正教の普及がおもに人口移動ではなく文化的および政治的要因に基づく可能性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_8.html
★古代ゲノムデータからウマの家畜化と現代のウマ系統の遺伝的起源を検証した研究では、現代の家畜ウマ系統につながる家畜化が始まったのは、紀元前2700年頃以降に始まった深刻な瓶首効果後で、現代の家畜ウマ系統につながる繁殖管理は、近親交配と世代時間短縮によって紀元前2200年頃に始まった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_28.html
中世シチリア島の人類集団の学際的分析結果を報告した研究では、キリスト教徒とイスラム教徒との間の、食性の類似と明確な遺伝的相違が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_1.html
新石器時代スカンジナビア半島の108個体のゲノムデータを報告した研究では、衰退の要因となったかもしれない少なくとも3回の異なるペスト感染と、父系的社会が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_4.html
石器時代におけるヒトとイヌへのペスト感染を報告した研究では、後期新石器時代において森林伐採によって景観が開けたことで、新たな齧歯類がペスト菌の宿主として侵入し、大規模な感染発生なしにヒトがペスト菌に感染していたかもしれない、と指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_25.html
ドイツ南部で発見された紀元前千年紀の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究では、「初期ケルト」期の上流階層における「王朝」的な社会的継承の可能性が指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_28.html
フランス南部の後期新石器時代の墓地被葬者のゲノムデータを報告した研究では、被葬者の3/4以上が男性と特定されるとともに、男系での社会的地位の継承が示唆されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_8.html
★ローマ帝国崩壊後のヨーロッパ社会の展開に関する学際的研究では、中世前期の上流階層にはさまざまな背景の個体群が組み込まれていた、と推測されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_4.html
中世イベリア半島北部の司教の遺骸の学際的な分析結果を報告した研究では、この遺骸がサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼と関わる重要人物とされている、イリア・フラビアのテオドミロ司教と 特定されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_4.html
中世ハンガリーのアバ(Aba)一族のゲノムデータを報告した研究では、アバ一族の父系がモンゴルにまでたどれることや、ハンガリーの貴族およびハンガリー征服時の第一世代の移民上流階層とのアバ一族のつながりが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_23.html
北コーカサスの最古級の金石併用時代の墓地被葬者のゲノムデータを報告した研究では、紀元前五千年紀前半において、文化と配偶の交流網によって、アジア西部からコーカサス地方を経由してヨーロッパ東部のドン川とヴォルガ川の間の草原地帯へと農耕および牧畜がもたらされた、と示唆されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_15.html
★中石器時代~青銅器時代のコーカサスの人類のゲノムデータを報告した研究では、中石器時代のコーカサスにおける南北の人類集団間の遺伝的分化や、ユーラシア西部草原地帯との複雑な遺伝的関係が明らかにされています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_1.html
★79年のベスビオ火山噴火によるポンペイの犠牲者のゲノムデータによって、地中海東部からの近い過去の移民であることや、これまで推定されていた相互の家族関係とは一致しない結果が示され、近現代の各時期の時代思潮の影響を受けた偏見を学際的研究によって是正できる可能性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_15.html
古代ゲノムデータに基づいて中世前期カルパチア盆地の人口史を検証した研究では、地理的に近い共同体間でも異なる人口史が明らかになり、複雑な歴史が示唆されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_25.html
●日本列島以外のユーラシア東部
中国における21世紀の目覚しい経済や自然科学の発展を反映してか、現在中華人民共和国の支配下にある地域で発見された古代人のゲノムデータを報告した研究が急増しているように思います。古代人のゲノムデータを用いた河西回廊の人口史に関する研究では、河西回廊の人類集団の遺伝的構成における、新石器時代と歴史時代の間の大きな変化と、歴史時代から現代までの相対的な安定が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_13.html
鮮卑に関する古代ゲノム研究では、鮮卑の起源はアムール川地域の大興安嶺山脈周辺にあり、鮮卑が南下して中原へと勢力を拡大する過程の当初には、拡大先の在来集団からの遺伝的寄与は限定的だったものの、華北に定住し、遊牧民から定住農耕民へと変容するにつれて、地元住民との遺伝的混合が進んでいった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_27.html
歴史上の有名人物のゲノムデータも報告されており、北周武帝のゲノムについては、アジア北東部古代人的な遺伝的構成要素が大半を、黄河流域新石器時代集団的な遺伝的構成要素が1/3を、ユーラシア西部関連の遺伝的構成要素が残りのごくわずかを占める、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_1.html
チベット高原西部の古代人のゲノムデータを報告した研究では、この地域における過去3500年間の遺伝的連続性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_26.html
古代人と現代人のゲノムデータに基づいてシベリアの人口史を推測した研究では、シベリア南部に6000年前頃まで存在した独特な遺伝的構成がアメリカ大陸先住民と深いつながりを有している、と示され、フェノスカンジアとグリーンランドへのシベリア集団的な遺伝的構成要素の拡大において、それに直接的に関わった集団と遺伝的にきわめて近いと考えられる1個体が特定されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_11.html
★西遼河地域古代人のゲノムデータを報告した研究では、夏家店上層文化において生業で担い手の人類集団間の遺伝的構成に大きな違いがあるかもしれない、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_17.html
匈奴の墓地被葬者のmtDNAを報告した研究からは、父方居住慣行が示唆されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_25.html
現在の中華人民共和国広西チワン族自治区の洞窟で発見された近世の被葬者のゲノムデータを報告した研究では、この被葬者と現代人ではミャオ・ヤオ語族話者、とくに地理的に隣接しているバイク・ヤオ人集団との強い遺伝的つながりが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_31.html
貴州省の明代の人類のゲノムデータを報告した研究では、この人類集団は華北集団との遺伝的類似性がより多く、華南新石器時代集団的な遺伝的構成の集団と、黄河流域新石器時代集団的な遺伝的構成の集団との混合によって形成された、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_27.html
★モンゴル東部の2世紀~15世紀頃の9個体のゲノムデータを報告した研究では、同じ期間のモンゴル中央部の人類集団におけるより高い遺伝的異質性とは対照的に、1000年以上にわたる長期の遺伝的安定性が明らかになりました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_29.html
山東省の新石器時代から7世紀頃までの人類69個体のゲノムデータを報告した研究では、黄河中流域農耕民集団が中期~後期新石器時代において中国北部の近隣人口集団の遺伝的類似性の形成に役割を果たした、と示唆されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_13.html
★中原の周代の人類のゲノムデータを報告した研究では、黄河流域新石器時代人類集団との顕著な遺伝的連続性と、より低い割合の前期新石器時代華南人類集団的な遺伝的構成要素とともに、ごくわずかなユーラシア草原地帯集団的な遺伝的構成要素も示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_18.html
西遼河地域の古代人のゲノムデータを報告した研究では、雑穀農耕の痕跡の増加とともに人類集団の遺伝的変容が見られ、それは男性に偏っていたことが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_25.html
★黄河中流域仰韶遺跡の、仰韶文化~龍山文化期の人類のゲノムデータを報告した研究では、これまで認識されていなかった、後期龍山文化期の人類集団における遺伝的多様性が示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_22.html
唐代の長安の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究では、一部の個体でユーラシア西部関連の遺伝的構成要素が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_24.html
★山東半島の戦国時代~後漢の14個体のゲノムデータを新たに報告した研究では、山東半島において、歴史時代から現代までの人類集団の遺伝的安定性が示された一方で、前期新石器時代集団は黄河中流域の後期新石器時代人類集団と類似した遺伝的構成の集団によってほぼ置換された、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_5.html
★チベット高原南部の4400~4000年前頃の人類のゲノムおよび同位体データを報告した研究では、現代チベット人の主要な遺伝的構成要素は4400~4000年前頃には形成されていたことが確認されるとともに、農耕を行なわず、おもに湖での漁撈に依存した初期定住生活様式が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_10.html
山東半島中期新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究では、中期新石器時代の山東半島には前期新石器時代山東半島集団と中原の中期新石器時代集団両方の遺伝的構成要素を有する集団が存在した、と示され、山東半島における新石器化に中原からの雑穀農耕民の移動が大きな役割を果たしたかもしれない、と示唆されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_11.html
アジア中央部の古代人と現代人のゲノム研究を整理統合し、ユーラシアにおける長期にわたった人類集団間の相互作用を改めて示した研究では、医療改善などのためのさらなるゲノム解析が提言されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_26.html
●日本列島
現代日本人の大規模なゲノムデータと既知の古代人のゲノムデータを用いて、現代日本人集団の遺伝的形成の過程を推測した研究が複数提示されました。現代日本人3256個体の高品質なゲノムデータを報告した研究では、古代ゲノム研究で示唆されていた、現代日本人の遺伝的構成の三重構造(縄文時代集団とアジア北東部集団とアジア東部集団の遺伝的構成要素)が改めて示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_25.html
日本列島の人類集団における農耕前後の適応を比較した研究では、縄文時代には存在しなかった遺伝的多様体の中に、古墳時代にはまだ存在せず、その後で出現した可能性があるものも示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_7.html
★土井ヶ浜遺跡の弥生時代の人類のゲノムデータを報告した研究では、以前の三重構造モデルにおいて古墳時代の到来と想定されていたアジア東部遺伝的構成要素が、すでに弥生時代において日本列島に定着していたかもしれない、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_17.html
現代日本人における縄文時代人類集団からの遺伝的影響を検証した研究では、現代日本人の遺伝的構成における三重構造モデルが改めて支持されるとともに、現代日本人の肥満指数上昇への縄文時代人類集団からの遺伝的影響が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_20.html
●アメリカ大陸
北アメリカ大陸先住民のブラックフット連合のゲノムデータを報告した研究では、アメリカ大陸先住民におけるこれまで報告されていなかった古代の遺伝的系統が推測されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_9.html
★マヤ文化の有名な都市であるチチェン・イッツァの被葬者のゲノムデータを報告した研究では、人身供犠の対象と考えられる、全員男性である64個体のうち2組の一卵性双生児を含めて約25%が密接な親族関係にあり、遠方地域ではなく、比較的近い地域の出身者と推測されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_30.html
公開は昨年末でしたが、北アメリカ大陸太平洋沿岸の絶滅した犬種のゲノムデータを報告した研究では、その特性を維持するため注意深く繁殖管理されていた可能性が指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_23.html
メキシコで発見された14世紀の子供1個体の遺骸の学際的分析結果を報告した研究では、その両親が遺伝的に2親等程度の親族関係にあり、パキメ社会の上流階層に属していた、と推測されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_8.html
現在のアメリカ合衆国バージニア州の植民地初期の上流階層のゲノムデータを報告した研究では、系図では省略されていた非嫡出子が特定されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_9.html
●アジア南東部島嶼部とワラセアとオセアニア
17世紀後半~20世紀半ばのラパ・ヌイ(イースター島)住民と考えられる15個体のゲノムデータを報告した研究では、1250~1430年頃のラパ・ヌイの住民(もしくはその祖先集団)とアメリカ大陸先住民との間の遺伝的混合と、その現代まで続く影響が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_17.html
●非ヒト動物の古代DNA解析
日本列島の縄文時代と奈良時代のイヌのミトコンドリアゲノムを報告した研究では、両者は母系では直接的な祖先と子孫の関係にないことが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_8.html
ニホンオオカミとイエイヌとの遺伝的近縁性に関する研究では、既知の古代および現代のハイイロオオカミ系統において、ニホンオオカミ系統がイヌと遺伝的に最も近い、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_1.html
ヒョウ属の古代mtDNAを示した研究は、絶滅危惧種も含まれるヒョウ属の保護にも役立つのではないか、と期待されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_14.html
絶滅危惧種とされるスペインオオヤマネコの古代ゲノムデータを用いた研究では、スペインオオヤマネコは、近縁種のユーラシアオオヤマネコとの連続的もしくは反復的な遺伝的混合により、古代より遺伝的多様性が上回ることになったかもしれない、と指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_5.html
チベット高原の紀元前二千年紀のウシ属のゲノムデータを報告した研究では、ユーラシア東部のウシ属において新たに導入された家畜品種と在来のウシ属との間で広範な遺伝的混合があった、と示唆されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_20.html
絶滅したケナガマンモスのゲノムデータを報告した研究では、ケナガマンモスは1万年前頃にランゲル島で孤立したさい、深刻な瓶首効果を経たものの、数世代以内に回復した後の数千年間は個体数が安定しており、近親交配が抑制されていた、と推測されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_23.html
現代と古代のイヌのゲノムデータを用いて、家畜番犬の進化史を検証した研究では、現代の家畜番犬品種は2系統に分かれ、異なる家畜番犬品種間で広範な遺伝子流動があった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_14.html
ユーラシアの47000年前頃以降のオーロックス38個体のゲノムデータを報告した研究では、家畜化はアジア南西部のオーロックス個体群の少数個体の捕獲と関わっており、その後で家畜化個体が原産地を越えて拡散し、雄を介した初期の広範な混合があった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_8.html
●総説的論文
古代ゲノムデータから推測される現生人類の進化に関する概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_3.html
★ネアンデルタール人とデニソワ人と現生人類の進化史に関する概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_5.html
★アジア東部および南東部への人類の拡散に関する概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_8.html
アジア南西部の旧石器時代の概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_4.html
オーストラリアの人類史に概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_13.html
遺伝と言語伝達の関係に関する世界規模の研究や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_27.html
ホラアナライオンの進化史に関する概説があります。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_28.html
★頭蓋形態の比較に基づく過去50万年間のホモ属の進化に関する研究は、分子生物学の飛躍的な発展も踏まえており、たいへん有益です。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_22.html
(3)現生人類拡散の見直し
今年は、現生人類拡散の年代と過程に修正を迫る研究が印象に残りました。
中国北部の山西省にある峙峪遺跡で発見されたIUP(Initial Upper Paleolithic、初期上部旧石器)人工遺物群の年代から、アジア東部北方における現生人類の到来は45000年前頃までさかのぼる可能性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_24.html
ドイツのイルゼン洞窟で発見された現生人類遺骸の年代が45000年以上前までさかのぼることと、そのmtDNAは出アフリカ現生人類の変異内に収まることが示され、
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_11.html
さらにはこのイルゼン洞窟の初期現生人類集団が暮らした環境や、狩猟対象とした動物についても明らかにされました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_15.html
★遺伝学的証拠と古生態学的モデルを組み合わせた研究では、現生人類のアフリカからの拡散におけるイラン高原の重要性が指摘されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_31.html
イタリア半島における中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行に関する研究では、イタリア半島においてこの期間にネアンデルタール人と現生人類の共存期間はなかった可能性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_29.html
★スラウェシ島では具象的な洞窟壁画の年代が5万年以上前と示され、現時点では最古の具象的な洞窟壁画であることや、現生人類のワラセアやオセアニアへの拡散年代の点でも注目されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_26.html
上記の3区分に当てはまりませんが、その他にも注目される研究があります。
★チベット高原の生物遺骸に関する研究では、プロテオーム解析によってデニソワ人と分類された人類遺骸の年代が48000~32000年前頃と推定され、これはチベット高原における初期現生人類の所産と思われる石器群の存在年代とも重複する点でも、たいへん注目されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_2.html
★フローレス島で新たに発見された70万年前頃の人類遺骸が報告され、これはホモ・フロレシエンシスの直接的な祖先もしくはその近縁集団に分類できそうで、すでに小柄である点でもたいへん注目されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_8.html
この他にも取り上げるべき研究は多くあるはずですが、読もうと思っていながらまだ読んでいない論文もかなり多く、古人類学の最新の動向になかなか追いつけていないのが現状で、重要な研究でありながら把握しきれていないものも多いのではないか、と思います。この状況を劇的に改善させられる自信はまったくないので、せめて今年並には本や論文を読み、地道に最新の動向を追いかけていこう、と考えています。なお、過去の回顧記事は以下の通りです。
2006年
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_27.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_28.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_29.html
2007年
https://sicambre.seesaa.net/article/200712article_28.html
2008年
https://sicambre.seesaa.net/article/200812article_25.html
2009年
https://sicambre.seesaa.net/article/200912article_25.html
2010年
https://sicambre.seesaa.net/article/201012article_26.html
2011年
https://sicambre.seesaa.net/article/201112article_24.html
2012年
https://sicambre.seesaa.net/article/201212article_26.html
2013年
https://sicambre.seesaa.net/article/201312article_33.html
2014年
https://sicambre.seesaa.net/article/201412article_32.html
2015年
https://sicambre.seesaa.net/article/201512article_31.html
2016年
https://sicambre.seesaa.net/article/201612article_29.html
2017年
https://sicambre.seesaa.net/article/201712article_29.html
2018年
https://sicambre.seesaa.net/article/201812article_42.html
2019年
https://sicambre.seesaa.net/article/201912article_57.html
2020年
https://sicambre.seesaa.net/article/202012article_40.html
2021年
https://sicambre.seesaa.net/article/202112article_32.html
2022年
https://sicambre.seesaa.net/article/202212article_29.html
2023年
https://sicambre.seesaa.net/article/202312article_29.html
(1)非現生人類ホモ属のDNA研究
★ネアンデルタール人と現生人類との間の遺伝的混合に関する研究では、ネアンデルタール人と現生人類との間の複数回の遺伝的混合や、ネアンデルタール人のゲノムにおける2.5~3.7%程度の現生人類からの影響とともに、ネアンデルタール人の人口規模が以前の推定値より小さいことも示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_16.html
★フランス地中海地域の後期ネアンデルタール人のゲノムデータを報告した研究では、既知の系統とは遺伝的に異なるネアンデルタール人系統の5万年以上にわたる遺伝的孤立の可能性が指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_15.html
★古代人および現代人のゲノムデータと古環境のデータに基づいてネアンデルタール人と現生人類の交雑地域を推測した研究では、ネアンデルタール人と生人類)の間で交雑が置きた地域はイラン高原だったかもしれない、と指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_10.html
★古代と現代の現生人類のゲノムデータを用いて、ネアンデルタール人からの遺伝的影響を経時的に検証した研究では、単一もしくは密接に関連したネアンデルタール人集団から現生人類への50500~43500年前頃と長期にわたる遺伝子流動とともに、現生人類におけるネアンデルタール人由来の多様体の選択の大半は、正負どちらであれ、遺伝子流動後すぐに起きた、と推測されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_19.html
(2)現生人類や非ヒト動物の古代DNA研究
●アフリカ
★現代人と古代人のゲノムデータからアフリカにおけるバントゥー諸語話者の拡大を推測した研究では、バントゥー諸語話者の拡大が連続創始者移動モデルで説明でき、拡大先で在来集団からかなりの遺伝子流動を受けた、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_31.html
★ソコトラ島の前近代の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究は、ソコトラ島の前近代人類が、レヴァントの続旧石器時代狩猟採集民と遺伝的に類似しており、アジア南西部の初期農耕民から遺伝的影響をさほど受けず、交易を反映してイランやインドからの遺伝的影響を多少受けている、と明らかにしており、北緯12度程度と低緯度地域となるソコトラ島での古代ゲノム解析成功の点でも注目されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_14.html
現代人と古代人のゲノムデータに基づいてザンビアのバトゥア人の遺伝的歴史を推測した研究では、バトゥア人のゲノムには、バントゥー諸語話者集団的な遺伝的構成要素とともに、遺伝的にアフリカ南部の現在のコイサン人とアフリカ中央部熱帯雨林の狩猟採集民の中間に位置する、過去に現在のザンビアに存在した独特な遺伝的構成の狩猟採集民に由来する遺伝的構成要素もあった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_2.html
★ケニアの1890年代のツァボライオンの歯に挟まっていた獲物の毛のDNA解析結果を報告した研究では、キリンやヒトやウォーターバックやヌーやシマウマが特定されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_22.html
★南アフリカ共和国のオークハースト岩陰遺跡の初期完新世から後期石器時代末までの人類9個体のゲノムデータを報告した研究では、現在南アフリカ共和国内に暮らす一部の人類集団のオークハースト岩陰古代狩猟採集民との強い遺伝的関連とともに、アフリカ南部における他地域から広範に到来した集団との遺伝的混合が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_7.html
●ユーラシア西部
総合的な古代DNAデータで示されているように、古代ゲノム研究が最も進んでいる地域は依然としてヨーロッパで、今年もヨーロッパを中心にユーラシア西部の古代ゲノム研究の進展には目覚ましいものがありました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_18.html
★大規模な古代ゲノムデータを用いて氷期後のユーラシア西部の人口史を検証した研究では、ユーラシア西部人類集団では新石器時代への移行において、西方では大規模な変化があったものの、東方では大きな変化がなく、このユーラシア西部における東西の人類集団間の遺伝的境界が、新石器時代の後のユーラシア西方草原地帯からの人類集団の拡大により溶解していった、と示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_14.html
★その研究とも関連しますが、大規模な古代ゲノムデータを用いた研究では、鉄器時代以降のヨーロッパの人類集団間の遺伝的構成は比較的安定している、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_9.html
ユーラシア西部古代人における選択と現代人への遺伝的影響に関する研究では、糖尿病とアルツハイマー病の危険性に関連する遺伝的多様体はヨーロッパ西部狩猟採集民と関連しており、南北のヨーロッパ人の間の身長差は異なる草原地帯牧畜民の祖先集団に関連していることなどが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_18.html
多発性硬化症の遺伝的危険性に関する研究では、草原地帯牧畜民集団で生じた可能性が示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_19.html
古代ゲノムデータにより現在のデンマークに相当する地域の人口史を推測した研究では、新石器時代への移行がヨーロッパ中央部と比較して1000年以上遅れた急激なもので、在来の狩猟採集民からの遺伝的寄与が限定的だったことと、その1000年後に東方の草原地帯由来の人類集団の到来により第二の大規模な人口の入れ替わりが起きたことで、現代のデンマーク人と遺伝的により類似した集団が形成された、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_22.html
黒死病前後のイングランドの人類集団の局所的な遺伝的歴史を検証した研究では、黒死病前後の大きな遺伝的変化はなかったことが示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_2.html
ドイツ中央部の前期青銅器時代の親族関係に関する研究では、女性族外婚を含む父系/父方居住だったことが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_27.html
キプロス島の初期完新世の3個体のゲノムデータを報告した研究では、約80%のアナトリア半島中央部の無土器新石器時代集団的構成要素と、残りの基底部レヴァント人口集団的構成要素でモデル化できる、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_2.html
★アヴァール人の古代ゲノムデータと考古学と人類学と歴史学を組み合わせた学際的研究では、約300個体から構成される大規模な系図が再構築され、アヴァール人の社会的慣行における、父方居住と女性族外婚が規範とされており、複婚や逆縁婚が一般的だった、厳密な父系親族関係が明らかになりました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_12.html
青銅器時代ユーラシア北部の人口史と文化との関連を検証した研究では、ウラル語族とシベリア集団的な遺伝的構成要素の拡大における、セイマ・トルビノ現象および同時代の青銅器時代文化の役割が指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_16.html
パリ盆地の紀元前三千年紀の人類のゲノムデータを報告した研究では、2回の主要な新石器時代および草原地帯関連の遺伝的構成要素の混合の波が特定されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_23.html
メロヴィング朝期フランドルの人類集団のゲノムデータを報告した研究では、異なる二つの遺伝的構成要素が示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_2.html
レバノン北部のコウラ地区の現代の住民と多様な地域の古代人のゲノムデータを報告した研究では、ギリシア正教の普及がおもに人口移動ではなく文化的および政治的要因に基づく可能性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_8.html
★古代ゲノムデータからウマの家畜化と現代のウマ系統の遺伝的起源を検証した研究では、現代の家畜ウマ系統につながる家畜化が始まったのは、紀元前2700年頃以降に始まった深刻な瓶首効果後で、現代の家畜ウマ系統につながる繁殖管理は、近親交配と世代時間短縮によって紀元前2200年頃に始まった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_28.html
中世シチリア島の人類集団の学際的分析結果を報告した研究では、キリスト教徒とイスラム教徒との間の、食性の類似と明確な遺伝的相違が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_1.html
新石器時代スカンジナビア半島の108個体のゲノムデータを報告した研究では、衰退の要因となったかもしれない少なくとも3回の異なるペスト感染と、父系的社会が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_4.html
石器時代におけるヒトとイヌへのペスト感染を報告した研究では、後期新石器時代において森林伐採によって景観が開けたことで、新たな齧歯類がペスト菌の宿主として侵入し、大規模な感染発生なしにヒトがペスト菌に感染していたかもしれない、と指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_25.html
ドイツ南部で発見された紀元前千年紀の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究では、「初期ケルト」期の上流階層における「王朝」的な社会的継承の可能性が指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_28.html
フランス南部の後期新石器時代の墓地被葬者のゲノムデータを報告した研究では、被葬者の3/4以上が男性と特定されるとともに、男系での社会的地位の継承が示唆されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_8.html
★ローマ帝国崩壊後のヨーロッパ社会の展開に関する学際的研究では、中世前期の上流階層にはさまざまな背景の個体群が組み込まれていた、と推測されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_4.html
中世イベリア半島北部の司教の遺骸の学際的な分析結果を報告した研究では、この遺骸がサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼と関わる重要人物とされている、イリア・フラビアのテオドミロ司教と 特定されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_4.html
中世ハンガリーのアバ(Aba)一族のゲノムデータを報告した研究では、アバ一族の父系がモンゴルにまでたどれることや、ハンガリーの貴族およびハンガリー征服時の第一世代の移民上流階層とのアバ一族のつながりが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_23.html
北コーカサスの最古級の金石併用時代の墓地被葬者のゲノムデータを報告した研究では、紀元前五千年紀前半において、文化と配偶の交流網によって、アジア西部からコーカサス地方を経由してヨーロッパ東部のドン川とヴォルガ川の間の草原地帯へと農耕および牧畜がもたらされた、と示唆されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_15.html
★中石器時代~青銅器時代のコーカサスの人類のゲノムデータを報告した研究では、中石器時代のコーカサスにおける南北の人類集団間の遺伝的分化や、ユーラシア西部草原地帯との複雑な遺伝的関係が明らかにされています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_1.html
★79年のベスビオ火山噴火によるポンペイの犠牲者のゲノムデータによって、地中海東部からの近い過去の移民であることや、これまで推定されていた相互の家族関係とは一致しない結果が示され、近現代の各時期の時代思潮の影響を受けた偏見を学際的研究によって是正できる可能性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_15.html
古代ゲノムデータに基づいて中世前期カルパチア盆地の人口史を検証した研究では、地理的に近い共同体間でも異なる人口史が明らかになり、複雑な歴史が示唆されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_25.html
●日本列島以外のユーラシア東部
中国における21世紀の目覚しい経済や自然科学の発展を反映してか、現在中華人民共和国の支配下にある地域で発見された古代人のゲノムデータを報告した研究が急増しているように思います。古代人のゲノムデータを用いた河西回廊の人口史に関する研究では、河西回廊の人類集団の遺伝的構成における、新石器時代と歴史時代の間の大きな変化と、歴史時代から現代までの相対的な安定が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_13.html
鮮卑に関する古代ゲノム研究では、鮮卑の起源はアムール川地域の大興安嶺山脈周辺にあり、鮮卑が南下して中原へと勢力を拡大する過程の当初には、拡大先の在来集団からの遺伝的寄与は限定的だったものの、華北に定住し、遊牧民から定住農耕民へと変容するにつれて、地元住民との遺伝的混合が進んでいった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_27.html
歴史上の有名人物のゲノムデータも報告されており、北周武帝のゲノムについては、アジア北東部古代人的な遺伝的構成要素が大半を、黄河流域新石器時代集団的な遺伝的構成要素が1/3を、ユーラシア西部関連の遺伝的構成要素が残りのごくわずかを占める、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_1.html
チベット高原西部の古代人のゲノムデータを報告した研究では、この地域における過去3500年間の遺伝的連続性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_26.html
古代人と現代人のゲノムデータに基づいてシベリアの人口史を推測した研究では、シベリア南部に6000年前頃まで存在した独特な遺伝的構成がアメリカ大陸先住民と深いつながりを有している、と示され、フェノスカンジアとグリーンランドへのシベリア集団的な遺伝的構成要素の拡大において、それに直接的に関わった集団と遺伝的にきわめて近いと考えられる1個体が特定されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_11.html
★西遼河地域古代人のゲノムデータを報告した研究では、夏家店上層文化において生業で担い手の人類集団間の遺伝的構成に大きな違いがあるかもしれない、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_17.html
匈奴の墓地被葬者のmtDNAを報告した研究からは、父方居住慣行が示唆されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_25.html
現在の中華人民共和国広西チワン族自治区の洞窟で発見された近世の被葬者のゲノムデータを報告した研究では、この被葬者と現代人ではミャオ・ヤオ語族話者、とくに地理的に隣接しているバイク・ヤオ人集団との強い遺伝的つながりが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_31.html
貴州省の明代の人類のゲノムデータを報告した研究では、この人類集団は華北集団との遺伝的類似性がより多く、華南新石器時代集団的な遺伝的構成の集団と、黄河流域新石器時代集団的な遺伝的構成の集団との混合によって形成された、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_27.html
★モンゴル東部の2世紀~15世紀頃の9個体のゲノムデータを報告した研究では、同じ期間のモンゴル中央部の人類集団におけるより高い遺伝的異質性とは対照的に、1000年以上にわたる長期の遺伝的安定性が明らかになりました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_29.html
山東省の新石器時代から7世紀頃までの人類69個体のゲノムデータを報告した研究では、黄河中流域農耕民集団が中期~後期新石器時代において中国北部の近隣人口集団の遺伝的類似性の形成に役割を果たした、と示唆されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_13.html
★中原の周代の人類のゲノムデータを報告した研究では、黄河流域新石器時代人類集団との顕著な遺伝的連続性と、より低い割合の前期新石器時代華南人類集団的な遺伝的構成要素とともに、ごくわずかなユーラシア草原地帯集団的な遺伝的構成要素も示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_18.html
西遼河地域の古代人のゲノムデータを報告した研究では、雑穀農耕の痕跡の増加とともに人類集団の遺伝的変容が見られ、それは男性に偏っていたことが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_25.html
★黄河中流域仰韶遺跡の、仰韶文化~龍山文化期の人類のゲノムデータを報告した研究では、これまで認識されていなかった、後期龍山文化期の人類集団における遺伝的多様性が示されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_22.html
唐代の長安の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究では、一部の個体でユーラシア西部関連の遺伝的構成要素が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_24.html
★山東半島の戦国時代~後漢の14個体のゲノムデータを新たに報告した研究では、山東半島において、歴史時代から現代までの人類集団の遺伝的安定性が示された一方で、前期新石器時代集団は黄河中流域の後期新石器時代人類集団と類似した遺伝的構成の集団によってほぼ置換された、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_5.html
★チベット高原南部の4400~4000年前頃の人類のゲノムおよび同位体データを報告した研究では、現代チベット人の主要な遺伝的構成要素は4400~4000年前頃には形成されていたことが確認されるとともに、農耕を行なわず、おもに湖での漁撈に依存した初期定住生活様式が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_10.html
山東半島中期新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究では、中期新石器時代の山東半島には前期新石器時代山東半島集団と中原の中期新石器時代集団両方の遺伝的構成要素を有する集団が存在した、と示され、山東半島における新石器化に中原からの雑穀農耕民の移動が大きな役割を果たしたかもしれない、と示唆されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_11.html
アジア中央部の古代人と現代人のゲノム研究を整理統合し、ユーラシアにおける長期にわたった人類集団間の相互作用を改めて示した研究では、医療改善などのためのさらなるゲノム解析が提言されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202412article_26.html
●日本列島
現代日本人の大規模なゲノムデータと既知の古代人のゲノムデータを用いて、現代日本人集団の遺伝的形成の過程を推測した研究が複数提示されました。現代日本人3256個体の高品質なゲノムデータを報告した研究では、古代ゲノム研究で示唆されていた、現代日本人の遺伝的構成の三重構造(縄文時代集団とアジア北東部集団とアジア東部集団の遺伝的構成要素)が改めて示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_25.html
日本列島の人類集団における農耕前後の適応を比較した研究では、縄文時代には存在しなかった遺伝的多様体の中に、古墳時代にはまだ存在せず、その後で出現した可能性があるものも示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_7.html
★土井ヶ浜遺跡の弥生時代の人類のゲノムデータを報告した研究では、以前の三重構造モデルにおいて古墳時代の到来と想定されていたアジア東部遺伝的構成要素が、すでに弥生時代において日本列島に定着していたかもしれない、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_17.html
現代日本人における縄文時代人類集団からの遺伝的影響を検証した研究では、現代日本人の遺伝的構成における三重構造モデルが改めて支持されるとともに、現代日本人の肥満指数上昇への縄文時代人類集団からの遺伝的影響が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_20.html
●アメリカ大陸
北アメリカ大陸先住民のブラックフット連合のゲノムデータを報告した研究では、アメリカ大陸先住民におけるこれまで報告されていなかった古代の遺伝的系統が推測されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_9.html
★マヤ文化の有名な都市であるチチェン・イッツァの被葬者のゲノムデータを報告した研究では、人身供犠の対象と考えられる、全員男性である64個体のうち2組の一卵性双生児を含めて約25%が密接な親族関係にあり、遠方地域ではなく、比較的近い地域の出身者と推測されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_30.html
公開は昨年末でしたが、北アメリカ大陸太平洋沿岸の絶滅した犬種のゲノムデータを報告した研究では、その特性を維持するため注意深く繁殖管理されていた可能性が指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_23.html
メキシコで発見された14世紀の子供1個体の遺骸の学際的分析結果を報告した研究では、その両親が遺伝的に2親等程度の親族関係にあり、パキメ社会の上流階層に属していた、と推測されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_8.html
現在のアメリカ合衆国バージニア州の植民地初期の上流階層のゲノムデータを報告した研究では、系図では省略されていた非嫡出子が特定されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202410article_9.html
●アジア南東部島嶼部とワラセアとオセアニア
17世紀後半~20世紀半ばのラパ・ヌイ(イースター島)住民と考えられる15個体のゲノムデータを報告した研究では、1250~1430年頃のラパ・ヌイの住民(もしくはその祖先集団)とアメリカ大陸先住民との間の遺伝的混合と、その現代まで続く影響が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_17.html
●非ヒト動物の古代DNA解析
日本列島の縄文時代と奈良時代のイヌのミトコンドリアゲノムを報告した研究では、両者は母系では直接的な祖先と子孫の関係にないことが示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_8.html
ニホンオオカミとイエイヌとの遺伝的近縁性に関する研究では、既知の古代および現代のハイイロオオカミ系統において、ニホンオオカミ系統がイヌと遺伝的に最も近い、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_1.html
ヒョウ属の古代mtDNAを示した研究は、絶滅危惧種も含まれるヒョウ属の保護にも役立つのではないか、と期待されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_14.html
絶滅危惧種とされるスペインオオヤマネコの古代ゲノムデータを用いた研究では、スペインオオヤマネコは、近縁種のユーラシアオオヤマネコとの連続的もしくは反復的な遺伝的混合により、古代より遺伝的多様性が上回ることになったかもしれない、と指摘されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_5.html
チベット高原の紀元前二千年紀のウシ属のゲノムデータを報告した研究では、ユーラシア東部のウシ属において新たに導入された家畜品種と在来のウシ属との間で広範な遺伝的混合があった、と示唆されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_20.html
絶滅したケナガマンモスのゲノムデータを報告した研究では、ケナガマンモスは1万年前頃にランゲル島で孤立したさい、深刻な瓶首効果を経たものの、数世代以内に回復した後の数千年間は個体数が安定しており、近親交配が抑制されていた、と推測されています。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_23.html
現代と古代のイヌのゲノムデータを用いて、家畜番犬の進化史を検証した研究では、現代の家畜番犬品種は2系統に分かれ、異なる家畜番犬品種間で広範な遺伝子流動があった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_14.html
ユーラシアの47000年前頃以降のオーロックス38個体のゲノムデータを報告した研究では、家畜化はアジア南西部のオーロックス個体群の少数個体の捕獲と関わっており、その後で家畜化個体が原産地を越えて拡散し、雄を介した初期の広範な混合があった、と示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_8.html
●総説的論文
古代ゲノムデータから推測される現生人類の進化に関する概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_3.html
★ネアンデルタール人とデニソワ人と現生人類の進化史に関する概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_5.html
★アジア東部および南東部への人類の拡散に関する概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_8.html
アジア南西部の旧石器時代の概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_4.html
オーストラリアの人類史に概説や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202406article_13.html
遺伝と言語伝達の関係に関する世界規模の研究や、
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_27.html
ホラアナライオンの進化史に関する概説があります。
https://sicambre.seesaa.net/article/202411article_28.html
★頭蓋形態の比較に基づく過去50万年間のホモ属の進化に関する研究は、分子生物学の飛躍的な発展も踏まえており、たいへん有益です。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_22.html
(3)現生人類拡散の見直し
今年は、現生人類拡散の年代と過程に修正を迫る研究が印象に残りました。
中国北部の山西省にある峙峪遺跡で発見されたIUP(Initial Upper Paleolithic、初期上部旧石器)人工遺物群の年代から、アジア東部北方における現生人類の到来は45000年前頃までさかのぼる可能性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202401article_24.html
ドイツのイルゼン洞窟で発見された現生人類遺骸の年代が45000年以上前までさかのぼることと、そのmtDNAは出アフリカ現生人類の変異内に収まることが示され、
https://sicambre.seesaa.net/article/202402article_11.html
さらにはこのイルゼン洞窟の初期現生人類集団が暮らした環境や、狩猟対象とした動物についても明らかにされました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202405article_15.html
★遺伝学的証拠と古生態学的モデルを組み合わせた研究では、現生人類のアフリカからの拡散におけるイラン高原の重要性が指摘されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_31.html
イタリア半島における中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行に関する研究では、イタリア半島においてこの期間にネアンデルタール人と現生人類の共存期間はなかった可能性が示されました。
https://sicambre.seesaa.net/article/202409article_29.html
★スラウェシ島では具象的な洞窟壁画の年代が5万年以上前と示され、現時点では最古の具象的な洞窟壁画であることや、現生人類のワラセアやオセアニアへの拡散年代の点でも注目されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202407article_26.html
上記の3区分に当てはまりませんが、その他にも注目される研究があります。
★チベット高原の生物遺骸に関する研究では、プロテオーム解析によってデニソワ人と分類された人類遺骸の年代が48000~32000年前頃と推定され、これはチベット高原における初期現生人類の所産と思われる石器群の存在年代とも重複する点でも、たいへん注目されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_2.html
★フローレス島で新たに発見された70万年前頃の人類遺骸が報告され、これはホモ・フロレシエンシスの直接的な祖先もしくはその近縁集団に分類できそうで、すでに小柄である点でもたいへん注目されます。
https://sicambre.seesaa.net/article/202408article_8.html
この他にも取り上げるべき研究は多くあるはずですが、読もうと思っていながらまだ読んでいない論文もかなり多く、古人類学の最新の動向になかなか追いつけていないのが現状で、重要な研究でありながら把握しきれていないものも多いのではないか、と思います。この状況を劇的に改善させられる自信はまったくないので、せめて今年並には本や論文を読み、地道に最新の動向を追いかけていこう、と考えています。なお、過去の回顧記事は以下の通りです。
2006年
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_27.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_28.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_29.html
2007年
https://sicambre.seesaa.net/article/200712article_28.html
2008年
https://sicambre.seesaa.net/article/200812article_25.html
2009年
https://sicambre.seesaa.net/article/200912article_25.html
2010年
https://sicambre.seesaa.net/article/201012article_26.html
2011年
https://sicambre.seesaa.net/article/201112article_24.html
2012年
https://sicambre.seesaa.net/article/201212article_26.html
2013年
https://sicambre.seesaa.net/article/201312article_33.html
2014年
https://sicambre.seesaa.net/article/201412article_32.html
2015年
https://sicambre.seesaa.net/article/201512article_31.html
2016年
https://sicambre.seesaa.net/article/201612article_29.html
2017年
https://sicambre.seesaa.net/article/201712article_29.html
2018年
https://sicambre.seesaa.net/article/201812article_42.html
2019年
https://sicambre.seesaa.net/article/201912article_57.html
2020年
https://sicambre.seesaa.net/article/202012article_40.html
2021年
https://sicambre.seesaa.net/article/202112article_32.html
2022年
https://sicambre.seesaa.net/article/202212article_29.html
2023年
https://sicambre.seesaa.net/article/202312article_29.html
この記事へのコメント