大河ドラマ『光る君へ』第42回「川辺の誓い」

 今回も、中宮の人間模様を中心に話が展開しました。三条帝と藤原道長(三郎)との駆け引きは続いており、三条帝は藤原済時の娘の娍子を皇后に立て、道長はこれに対して中宮となる娘の妍子の入内を同日にぶつける、という史実を踏まえた展開になりました。この時、公卿の多くは道長に配慮して立后の儀に参じませんでしたが、参じた藤原実資を三条帝は頼りにしようとします。気骨の人である実資の存在感は本作で大きく、実資は道長と三条帝のどちらかに一方的に肩入れするつもりはなさそうですが、本作では三条帝の譲位をめぐる道長と三条帝の駆け引きでどう振舞うのか、また有名な「望月の歌」でどう反応するのか、注目されます。

 道長が病に伏すと、宮中の人間模様が浮き彫りになりますが、道長の病を喜んでいる人物として、実資や異母兄の道綱や甥の隆家などの名が挙げられていたのは、当時じっさいにそうした噂があったことに基づいているようです。紫式部(まひろ、藤式部)は療養中の道長を宇治に見舞い、互いに生きる気力を与え合ったようで、紫式部は、一度は完結と考えていた物語の執筆を再開し、光る君(光源氏)死亡後の物語を書き始めます。やはり、本作は紫式部と道長の関係が中核になっているのだな、と改めて思ったものです。

 本作も終盤に入ってきて、紫式部は生没年不詳だけに、どこまで描かれるのかも気になりますが、やはり本作の中核である紫式部と道長との関係が最終的にどう着地するのかも、注目されます。今回、道長が自分より長く生きるよう紫式部に伝えたことから、紫式部は道長の前には死なず、道長の死で本作は完結となりそうです。残り6回とすると、次回と次々回で三条帝の譲位と崩御が、残り4回で「望月の歌」と刀伊の入寇と道長の晩年が描かれるのでしょうか。紫式部の娘である賢子(大弐三位)は双寿丸とかなり親しくなっていますが、双寿丸は次回大宰府に行くようで、刀伊の入寇にも関わりそうです。賢子は道兼の息子の兼隆と結婚したそうで、これが本作で描かれるのか、まだ不明ですが、道兼が紫式部の母親を殺害した、との創作が描かれたことから、賢子と兼隆の結婚も本作で取り上げられる可能性は高いように思います。紫式部にとって母親の仇である道兼の息子と自身の娘の結婚を、紫式部がどう思うのか、この経緯がどう描かれるのか、注目しています。

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