アジア東部におけるオーロックスの進化と遺伝的影響
アジア東部におけるオーロックス(Bos primigenius)の進化とその遺伝的影響に関する研究(Hou et al., 2024)が公表されました。オーロックスは現在地球上の哺乳類の生物量の約1/3を占めていると推定されている家畜ウシ(Bos taurus)の祖先で、野生種としては17世紀に絶滅した、と考えられています。本論文は、アジア東部で発見された43000~3590年前頃となるオーロックス16個体のゲノムとステップバイソン(Bison priscus)3個体のミトコンドリアゲノムの解析結果を報告しています。分析の結果、アジア東部のオーロックスとヨーロッパや近東やアフリカの同類との間の明確な遺伝的分岐と、アジア東部のオーロックスから古代および現在の家畜ウシへの遺伝子流動が示されました。最近公表されたため、本論文ではまだ取り上げられていない研究(Rossi et al., 2024)では、ユーラシアのオーロックスの進化史と家畜化の過程が示されています。なお、[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。
●要約
オーロックスはかつてアフロ・ユーラシアに広く分布しており、17世紀前半に絶滅しました。しかし、家畜ウシへのその系統地理的および相対的寄与は不明なままです。この研究では、アジア東部で発掘された43000~3590年前頃の、古代のオーロックス16個体のゲノムと古代のステップバイソン(Bison priscus)3個体のミトコンドリアゲノムが解析されました。これらの新たに生成されたデータは、ゲノム解析を通じて世界中のオーロックスや古代/現生の家畜ウシの以前に刊行されたゲノム情報と組み合わされます。本論文の調査結果は、ミトコンドリアゲノムと核ゲノム両方のデータに基づいて、アジア東部のオーロックスと、そのヨーロッパや近東やアフリカの同類との間の顕著な遺伝的分岐を明らかにしました。さらに、アジア東部のオーロックスから古代および現在の家畜ウシへの遺伝子流動の証拠が攪乱され、家畜ウシの環境適応の促進における役割の可能性を示唆しています。
●研究史
絶滅したオーロックスは、ウシの亜種である家畜ウシとコブウシ(Bos taurus indicus)の両方を含む、現在の家畜ウシの祖先でした。オーロックスはその形態学的差異に基づいて3大陸亜種に分類されており、おもにユーラシアに生息していた基亜種オーロックス(Bos primigenius primigenius)、おもにアジア南部に生息していたインドオーロックス(Bos primigenius namadicus)、アフリカ北部で見つかっているアフリカオーロックス(Bos primigenius opisthonomus)が含まれます。野生のオーロックスは以前にはヨーロッパとアフリカとアジアで家畜ウシと同所的に共存していました[6]。その結果、オーロックスからウシへの遺伝子流動は、家畜ウシの多様化および品種形成において現れた環境適応を促進したかもしれず[9]、家畜化における遺伝子流動の役割に関する問題を提起しました[11]。
オーロックスと家畜ウシはミトコンドリアの異なる7系統を有しています[6]。ハプログループTがアジア南西部で10500年前頃に家畜化されたウシで優勢なのに対して、アジア南部で8500年前頃に家畜化されたコブウシはハプログループIを有しています。核ゲノムは、ヨーロッパとアフリカ北部のオーロックスにおける地理的分化のパターンを明らかにしました[6]。近東のウシの古代ゲノムと世界中のウシの現代のゲノムのメタ解析は、アルメニアやブリテン島やモロッコのオーロックスの古代ゲノムとともに、家畜ウシの拡散が、たとえばブリテン諸島では在来のオーロックスからの局所的な遺伝子移入と関連していたことを明らかにしました[6]。しかし、アジア東部における古代のオーロックスと初期の家畜ウシとの間の進化的関係は不明なままです。
以前の調査は、アジア北東部、とくに中国北東部の松嫩平原(Songnen Plain)の豊富なウシ属およびヒトの化石を明らかにしてきました[16]。較正年代で10660~3500年前頃のアジア北東部(northeast Asian、略してNEA)のウシ属の骨格遺骸におけるミトコンドリアゲノムのハプログループCの存在はオーロックスの種の地位を確証し、オーロックスは完新世において中国北部とチベットで新たに導入された家畜ウシと共存していた可能性が高い、と示唆されます[9]。ウシとオーロックスとの間の進化および遺伝子移入の可能性を調べるため、松嫩平原のウシ属の下顎骨格標本59点と、幺肆幺(Yaowuyao、略してYWY)遺跡としても知られている151遺跡の追加の標本1点の古代DNA検査が行なわれました。これらアジア東部の標本の年代は、43270~3590年前頃です。溶液内捕獲技術を使っての全ゲノム濃縮のためのショットガン配列決定とRNA断片を用いて、オーロックス16個体のゲノムと古代のバイソン3個体のミトコンドリアゲノムの配列決定に成功しました。16点のミトコンドリアゲノムがオーロックスと特定されたのに対して、残りの3点はステップバイソンと分類されました(図1a)。この研究で生成されたデータを以前に刊行されたオーロックスと世界中の古代/現生の家畜ウシのゲノムデータと合わせたゲノム解析によって、アジア東部における主要なウシ属種の進化史の再評価が可能となりました。以下は本論文の図1です。
●資料と手法
松嫩平原には非ヒト化石が含まれます[16]。石器の存在を裏づける化石証拠の欠如と信頼できる年代測定資料の限られた利用可能性のため、考古学的遺跡の絶対年代に関する科学的結論を導き出すことはひじょうに困難になっています。たとえば、最近報告された、中国北東部のハルビン市に近い広範に研究された後期更新世の閻家崗(Yanjiagang)旧石器時代遺跡において、化石化した動物から得られた加速器質量分析法(accelerator mass spectrometry、略してAMS)放射性炭素(¹⁴C)年代測定は、以前に刊行された年代より一貫して古くなります。吉林省の四海龍湾湖(Lake Sihailongwan)から得られた気候と植生の変化の再構築では、松嫩平原は初期完新世において寒冷で乾燥した状態を経た、と示唆されています。この研究では、AMSを用いての¹⁴C年代測定が、松嫩平原から収集された59点の標本で実行されました。
17点の新たに発見された歯の遺骸と、以前に特徴づけられた歯の標本は、松嫩平原から収集されました。さらに、骨標本1点がYWY遺跡から収集され、DNA抽出が試みられました。有効個体群規模の世代間隔は6年と仮定されました。性別は常染色体とX染色体の読み取り数の比較から判断され、READソフトウェアを用いて、平均網羅率が0.01倍超の個体について近縁関係が調べられました。最終的な呼び出し一式は、2206634ヶ所の一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism、略してSNP)で構成されます。
●アジア東部における古代のオーロックスの代表と時空間的分布
松嫩平原の59点とYWY遺跡の1点を含めて合計で60点の動物遺骸が、ウシ属種と同定されました。松嫩平原から収集されたこれらの標本のAMS放射性炭素年代測定の範囲が較正年代で43270~3590年前頃だったのに対して、考古資料の放射性炭素年代分析はYWY遺跡のウシ属標本1点について較正年代で9000~6400年前頃の地質年代範囲を示唆しました。これら60点の標本は、その年代情報に基づいて3通りの年代段階に区分され、(1)9点の標本は最終氷期極大期(Last Glacial Maximum、略してLGM)前の後期更新世に属し、較正年代では43270~31000年前頃の範囲で、ARB40KおよびARB30Kと表記され、(2)1点の標本の年代はLGMで、較正年代では21870~21250年前頃となり、ARB20Kと表記され、(3)50点の標本の年代はLGM後で、較正年代では10890~3590年前頃となり、ARB10K、ARB3-4K、QG6-9Kと表記されます。これら3段階にわたる標本の分布パターンは、LGM後の急速な個体群拡大を示唆しました。これら充分に年代測定された標本のうち、19点が古代DNA解析に選択されました。
アジア東部のオーロックスのミトコンドリアゲノムの最尤(Maximum likelihood、略して ML)系統発生は、先行研究での報告とおおむね一致し、すべてのアジア東部のオーロックスのミトコンドリアゲノムはCクレード(単系統群)に属します。しかし、本論文の分析ではさらに、ミトコンドリアDNA(mtDNA)ハプログループ(mtHg)Cが3段階の3系統のクレード、つまりC1(ARB30K)とC2(ARB10K)とC3(ARB3-4KおよびQG6-9K)に細分されます(図1a・b)。ミトコンドリアゲノムの観点では、他のオーロックスからのアジア東部のオーロックスの分岐は後期チバニアンの期間となる15万年前頃と推定され、古代の標本から得られた年代測定情報と組み合わされた網羅率15倍以上のミトコンドリアゲノムは、分岐時間の較正に用いられました(図1b)。12000年前頃となるLGM後にアジア東部のオーロックスの有効雌個体群規模で観察された顕著な増加(図1c)は、初期完新世における温暖期と一致します。これらの調査結果によって、気候がLGM前から初期完新世にかけてのオーロックスの個体群動態の駆動に大きな役割を果たしたかもしれない、と示唆されます。3000年前頃に始まった雌個体群の急激な減少は、乱獲および生息地喪失に起因するかもしれません。
●アジア東部におけるオーロックスと初期の家畜ウシの遺伝的類似性
アジア東部のオーロックスの遺伝的背景を特徴づけるため、本論文はゲノム網羅率0.01倍超で較正年代の範囲が36210~3590年前頃の標本7点のゲノム規模比較を実行しました。この7点のゲノムは、9000~7000年前頃となるヨーロッパと近東とアフリカのオーロックスのゲノム[6]と統合されました。主成分分析(principal component analysis、略してPCA、図1dおよび図2a)と対での外群f₃係数の多次元尺度構成法(multidimensional scaling、略してMDS)は、アジア東部のオーロックスと他地域のオーロックスとの間の顕著な遺伝的分岐を明らかにしました(図2b)。D統計はさらに、アフリカのオーロックスとヨーロッパのオーロックスとの間よりも、アジア東部のオーロックスとヨーロッパのオーロックスとの間の方で大きな分化を明らかにしました。さらに、アジア東部のオーロックスと他地域のオーロックスとの間の初期の分岐は、IBS(identity-by-state、同じアレルを有していること)値と地理的モデルを用いて視覚化されたqpGraph空間に基づく近隣結合(neighbor-joining、略してNJ)系統樹によって確証されました(図1d・e)。以下は本論文の図2です。
アジア南西部とヨーロッパとアフリカにおけるオーロックスと家畜ウシとの間の遺伝的差異と相互作用のパターンは、充分に確証されてきました[6]。しかし、アジア東部のオーロックスと家畜ウシとの間の遺伝的類似性は不明なままです。アジア東部のオーロックスのゲノム景観とその初期の家畜ウシへの遺伝的寄与の可能性を調べるため、アジア東部のオーロックス7個体(網羅率は0.01~1.57倍)と世界中の地理的範囲の古代および現在のウシ253個体のゲノム規模解析が実行されました。
投影されたPCAは明確な系統地理的パターンを明らかにし、同じ地理的地域のオーロックスと家畜ウシはまとまって分類されます[6]。アジア東部のオーロックスはアジア東部の家畜ウシ、とくに現生のチベットのウシの近くに位置しました(図1d・e)。次に本論文は、外群f₃分析とD統計を用いて、アジア東部のオーロックスと古代および現代のウシとの間の関係を調べました[6]。外群f₃およびD統計では、初期の家畜ウシが非対称的関係を示す、と確証されました(図3a)。異なる段階のNEA(アジア北東部)のオーロックスも、古代の陝西省の石峁(Shimao)遺跡(3900年前頃)および現生のチベットのウシとの相対的に高い類似性を示し(図3)、現生のチベットのウシとは、たとえば青海省の玉樹(Yushu)やチベット自治区のチャムド(Chamdo、Changdu)の品種です。Dではさらに、石峁遺跡のウシがNEAのオーロックス(たとえば、ARB10KやARB3-4K)と相対的に密接な関係を有している、と確証し(図3a)、TreeMix(図3b・c)およびADMIXTURE分析はNEAのオーロックスからの高い割合の遺伝的祖先系統を明らかにしました。
qpGraph(図3d)とf₄比(図3e)とqpAdm分析(図3f)から、石峁遺跡のウシの祖先系統の3~7%はNEAのオーロックス(たとえば、ARB10K)に由来する、と示唆されました。f₄(アジア東部のウシ、古代アナトリア半島の家畜ウシ;オーロックス、スイギュウ)から、現生のチベットのウシ(たとえば、チャムドや玉樹)はNEAのオーロックス(たとえば、ARB3-4KやARB10K)とより多くのアレルを共有していた、と示唆され、これは外群f₃結果と一致します。この調査結果は、TreeMix図によってさらに裏づけられました。これらの遺伝的類似性は、アジア南西部の肥沃な三日月地帯やヨーロッパやアフリカにおける観察[6]と同様に、アジア東部のオーロックスからの初期の二次的調達もしくは遺伝子移入を示唆しているかもしれません。
対照的に、D統計(オーロックス、アムール川流域個体群;石峁遺跡のウシもしくはアジア東部のウシ、スイギュウ)は、他のオーロックスから古代および現生のアジア東部のウシへの追加の寄与も示唆しました(図3g)。これは、移動期に初期のアジア東部のウシへもかなり【遺伝的に】寄与したユーラシア全域に生息するアジア東部のオーロックスと同様に、近東における初期家畜ウシの影響もしくは他のオーロックス系統の影響に起因する可能性がある、と本論文は結論づけます。ユーラシア内では、家畜ウシとオーロックスとの間の共通祖先系統は、関連するウシとオーロックスの特定の個体群に応じて、顕著な変異性を示しました。それにも関わらず、アジア東部のオーロックスとチベットのチャムドや玉樹のウシ品種で観察された比較的高水準の共通祖先系統は、遺伝子流動の発生を示唆しました。これらのパターンから、アジア東部の家畜ウシはオーロックス祖先系統を識別できる程度有している、と示唆され、アジア東部のオーロックス系統の存続はチベット高原においてとくに明らかです。以下は本論文の図3です。
●アジア東部におけるオーロックスと家畜ウシとの間で共有される多様体
本論文はアジア東部の家畜ウシにおいて21382個の固有の変異を特定し、そのうちアジア東部のオーロックスが最も多くの派生的アレル(対立遺伝子)の最大の共有に寄与しました。これら共有されたSNPの注釈付けは、遺伝子間(57.06%)およびイントロン(39.80%)領域における優勢を明らかにしましたが、エクソンでは低い割合(0.85%)でしか見つかりませんでした。これらエクソンのSNPには、75個の非同義SNP(nonsynonymous SNP、略してnsSNP)と、60個の遺伝子内の179個の同義SNPが含まれていました。興味深いことに、他のウシ個体群と比較すると、チベットのウシとアジア北東部の家畜ウシはnsSNPの同様の分布を示しました。特定されたアレルのほとんどは、免疫応答や神経生物学的かていや代謝機能に関与する遺伝子と関連していました。
●考察
アジア東部のオーロックスをアジア南西部とアフリカとヨーロッパの以前に調べられたオーロックスと統合した本論文におけるゲノム解析の結果から、アジア東部のオーロックスのミトコンドリアゲノムと核ゲノムの両方が独特な系統発生的地位を占めていた、と明らかになりました。これは、アジア東部のオーロックスの分類学的区分の、オーロックスの亜種(Bos primigenius. sinensis Zhang)として分類を裏づけます。中国北東部の松嫩平原から収集されたアジア東部のオーロックスは、ヨーロッパの基亜種オーロックス(Bos primigenius primigenius)やアジア南部のインドオーロックス(Bos primigenius namadicus)やアフリカ北部のアフリカオーロックス(Bos primigenius opisthonomus)からの遺伝的分化を示しました。この亜種の命名と関わる過程は、亜種を区別するために、単に形態学的特徴に依拠するのではなく、遺伝的特徴の活用への移行を強調します。
ゲノム規模SNPの比較分析は、古代中国におけるアジア東部のオーロックスと最初に導入された家畜ウシとの間の混合を明らかにしました。さらに、共有アレルが古代の石峁遺跡のウシと後期完新世アジア東部のオーロックスとの間で検出され、少なくとも4000年前頃にさかのぼる、家畜ウシへの在来のオーロックスの取り込みが確証されました[9]。この結果は、家畜ウシの東方への拡散状況における、アジア東部のオーロックスのさまざまな集団の自然な遺伝子移入、もしくは家畜補充のためのアジア東部のオーロックスのさまざまな集団の調達を示唆しています[6、9]。
本論文は、アジア東部におけるオーロックスと現代の家畜ウシ、とくにチベットの品種間で共有されている派生的アレルも検出しました。このパターンは、ブリテン島のオーロックスと現生のウシとの間のより顕著な遺伝子流動と類似しています。両方の筋書きでは、最適な近東完新世の環境条件下で家畜化されたアナトリア半島起源のウシは当初、高緯度(ブリテン諸島など)および高い標高(青海・チベット高原など)と関連する、周辺環境に導入されました。とくに、アジア東部のオーロックスが第四紀においてLGMの気候で生き残ったことを考えると、在来のオーロックスとの遺伝子移入は新たな環境への急速な適応を促進したかもしれません。しかし、オーロックスのmtDNAのハプログループVはアジア東部の現代のウシでは見つからず、これは、太古における遺伝的遺産と、青海・チベット高原における独特な先史時代のウシの遺伝的祖先系統の保存を示唆しています。
これらのゲノムが可能としたウシとオーロックスの歴史的動態および系統地理的パターンは、家畜化過程の理解にも寄与します。家畜化は元々、ひじょうに局所的で短期間の事象として予想されていました。今では学問的関心において、局所的な遺伝的孤立から、広範な地理的範囲での家畜化の中心地内およびそれを越えての、自由に暮らす野生近縁種と家畜化された系統との間の長期の遺伝子流動へと、顕著な移行があります。この移行は、家畜化および初期拡散事象との地理的絡み合いの概念化にどう関わっているのかに、影響を及ぼしています[57]。動物の家畜化と植物の栽培化は、自然では世界中に拡散している数千年にわたる長期の過程とみなすことができます[6、11]。本論文の調査結果は、絶滅したアジア東部のオーロックスの遺伝的遺産の明快さを顕著に改善し、アジア東部およびそれ以外の地域における家畜ウシの遺伝的構成を豊富にするうえで、オーロックスの明白な役割を強調します。
参考文献:
Hou J. et al.(2024): Evolution and legacy of East Asian aurochs. Science Bulletin, 69, 21, 3425-3433.
https://doi.org/10.1016/j.scib.2024.09.016
Rossi C. et al.(2024): The genomic natural history of the aurochs. Nature, 635, 8037, 136–141.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08112-6
関連記事
[6]Verdugo MP. et al.(2019):Ancient cattle genomics, origins, and rapid turnover in the Fertile Crescent. Science, 365, 6449, 173–176.
https://doi.org/10.1126/science.aav1002
関連記事
[9]Chen S. et al.(2024): Evidence of hybridization of cattle and aurochs on the Tibetan Plateau ∼3750 years ago. Science Bulletin, 69, 18, 2825-2828.
https://doi.org/10.1016/j.scib.2024.06.035
関連記事
[11]Daly KG. et al.(2018): Ancient goat genomes reveal mosaic domestication in the Fertile Crescent. Science, 361, 6397, 85–88.
https://doi.org/10.1126/science.aas9411
関連記事
[16]Mao X. et al.(2021): The deep population history of northern East Asia from the Late Pleistocene to the Holocene. Cell, 184, 12, 3256–3266.E13.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.04.040
関連記事
[57]Kistler L. et al.(2018): Multiproxy evidence highlights a complex evolutionary legacy of maize in South America. Science, 362, 6420, 1309–1313.
https://doi.org/10.1126/science.aav0207
関連記事
●要約
オーロックスはかつてアフロ・ユーラシアに広く分布しており、17世紀前半に絶滅しました。しかし、家畜ウシへのその系統地理的および相対的寄与は不明なままです。この研究では、アジア東部で発掘された43000~3590年前頃の、古代のオーロックス16個体のゲノムと古代のステップバイソン(Bison priscus)3個体のミトコンドリアゲノムが解析されました。これらの新たに生成されたデータは、ゲノム解析を通じて世界中のオーロックスや古代/現生の家畜ウシの以前に刊行されたゲノム情報と組み合わされます。本論文の調査結果は、ミトコンドリアゲノムと核ゲノム両方のデータに基づいて、アジア東部のオーロックスと、そのヨーロッパや近東やアフリカの同類との間の顕著な遺伝的分岐を明らかにしました。さらに、アジア東部のオーロックスから古代および現在の家畜ウシへの遺伝子流動の証拠が攪乱され、家畜ウシの環境適応の促進における役割の可能性を示唆しています。
●研究史
絶滅したオーロックスは、ウシの亜種である家畜ウシとコブウシ(Bos taurus indicus)の両方を含む、現在の家畜ウシの祖先でした。オーロックスはその形態学的差異に基づいて3大陸亜種に分類されており、おもにユーラシアに生息していた基亜種オーロックス(Bos primigenius primigenius)、おもにアジア南部に生息していたインドオーロックス(Bos primigenius namadicus)、アフリカ北部で見つかっているアフリカオーロックス(Bos primigenius opisthonomus)が含まれます。野生のオーロックスは以前にはヨーロッパとアフリカとアジアで家畜ウシと同所的に共存していました[6]。その結果、オーロックスからウシへの遺伝子流動は、家畜ウシの多様化および品種形成において現れた環境適応を促進したかもしれず[9]、家畜化における遺伝子流動の役割に関する問題を提起しました[11]。
オーロックスと家畜ウシはミトコンドリアの異なる7系統を有しています[6]。ハプログループTがアジア南西部で10500年前頃に家畜化されたウシで優勢なのに対して、アジア南部で8500年前頃に家畜化されたコブウシはハプログループIを有しています。核ゲノムは、ヨーロッパとアフリカ北部のオーロックスにおける地理的分化のパターンを明らかにしました[6]。近東のウシの古代ゲノムと世界中のウシの現代のゲノムのメタ解析は、アルメニアやブリテン島やモロッコのオーロックスの古代ゲノムとともに、家畜ウシの拡散が、たとえばブリテン諸島では在来のオーロックスからの局所的な遺伝子移入と関連していたことを明らかにしました[6]。しかし、アジア東部における古代のオーロックスと初期の家畜ウシとの間の進化的関係は不明なままです。
以前の調査は、アジア北東部、とくに中国北東部の松嫩平原(Songnen Plain)の豊富なウシ属およびヒトの化石を明らかにしてきました[16]。較正年代で10660~3500年前頃のアジア北東部(northeast Asian、略してNEA)のウシ属の骨格遺骸におけるミトコンドリアゲノムのハプログループCの存在はオーロックスの種の地位を確証し、オーロックスは完新世において中国北部とチベットで新たに導入された家畜ウシと共存していた可能性が高い、と示唆されます[9]。ウシとオーロックスとの間の進化および遺伝子移入の可能性を調べるため、松嫩平原のウシ属の下顎骨格標本59点と、幺肆幺(Yaowuyao、略してYWY)遺跡としても知られている151遺跡の追加の標本1点の古代DNA検査が行なわれました。これらアジア東部の標本の年代は、43270~3590年前頃です。溶液内捕獲技術を使っての全ゲノム濃縮のためのショットガン配列決定とRNA断片を用いて、オーロックス16個体のゲノムと古代のバイソン3個体のミトコンドリアゲノムの配列決定に成功しました。16点のミトコンドリアゲノムがオーロックスと特定されたのに対して、残りの3点はステップバイソンと分類されました(図1a)。この研究で生成されたデータを以前に刊行されたオーロックスと世界中の古代/現生の家畜ウシのゲノムデータと合わせたゲノム解析によって、アジア東部における主要なウシ属種の進化史の再評価が可能となりました。以下は本論文の図1です。
●資料と手法
松嫩平原には非ヒト化石が含まれます[16]。石器の存在を裏づける化石証拠の欠如と信頼できる年代測定資料の限られた利用可能性のため、考古学的遺跡の絶対年代に関する科学的結論を導き出すことはひじょうに困難になっています。たとえば、最近報告された、中国北東部のハルビン市に近い広範に研究された後期更新世の閻家崗(Yanjiagang)旧石器時代遺跡において、化石化した動物から得られた加速器質量分析法(accelerator mass spectrometry、略してAMS)放射性炭素(¹⁴C)年代測定は、以前に刊行された年代より一貫して古くなります。吉林省の四海龍湾湖(Lake Sihailongwan)から得られた気候と植生の変化の再構築では、松嫩平原は初期完新世において寒冷で乾燥した状態を経た、と示唆されています。この研究では、AMSを用いての¹⁴C年代測定が、松嫩平原から収集された59点の標本で実行されました。
17点の新たに発見された歯の遺骸と、以前に特徴づけられた歯の標本は、松嫩平原から収集されました。さらに、骨標本1点がYWY遺跡から収集され、DNA抽出が試みられました。有効個体群規模の世代間隔は6年と仮定されました。性別は常染色体とX染色体の読み取り数の比較から判断され、READソフトウェアを用いて、平均網羅率が0.01倍超の個体について近縁関係が調べられました。最終的な呼び出し一式は、2206634ヶ所の一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism、略してSNP)で構成されます。
●アジア東部における古代のオーロックスの代表と時空間的分布
松嫩平原の59点とYWY遺跡の1点を含めて合計で60点の動物遺骸が、ウシ属種と同定されました。松嫩平原から収集されたこれらの標本のAMS放射性炭素年代測定の範囲が較正年代で43270~3590年前頃だったのに対して、考古資料の放射性炭素年代分析はYWY遺跡のウシ属標本1点について較正年代で9000~6400年前頃の地質年代範囲を示唆しました。これら60点の標本は、その年代情報に基づいて3通りの年代段階に区分され、(1)9点の標本は最終氷期極大期(Last Glacial Maximum、略してLGM)前の後期更新世に属し、較正年代では43270~31000年前頃の範囲で、ARB40KおよびARB30Kと表記され、(2)1点の標本の年代はLGMで、較正年代では21870~21250年前頃となり、ARB20Kと表記され、(3)50点の標本の年代はLGM後で、較正年代では10890~3590年前頃となり、ARB10K、ARB3-4K、QG6-9Kと表記されます。これら3段階にわたる標本の分布パターンは、LGM後の急速な個体群拡大を示唆しました。これら充分に年代測定された標本のうち、19点が古代DNA解析に選択されました。
アジア東部のオーロックスのミトコンドリアゲノムの最尤(Maximum likelihood、略して ML)系統発生は、先行研究での報告とおおむね一致し、すべてのアジア東部のオーロックスのミトコンドリアゲノムはCクレード(単系統群)に属します。しかし、本論文の分析ではさらに、ミトコンドリアDNA(mtDNA)ハプログループ(mtHg)Cが3段階の3系統のクレード、つまりC1(ARB30K)とC2(ARB10K)とC3(ARB3-4KおよびQG6-9K)に細分されます(図1a・b)。ミトコンドリアゲノムの観点では、他のオーロックスからのアジア東部のオーロックスの分岐は後期チバニアンの期間となる15万年前頃と推定され、古代の標本から得られた年代測定情報と組み合わされた網羅率15倍以上のミトコンドリアゲノムは、分岐時間の較正に用いられました(図1b)。12000年前頃となるLGM後にアジア東部のオーロックスの有効雌個体群規模で観察された顕著な増加(図1c)は、初期完新世における温暖期と一致します。これらの調査結果によって、気候がLGM前から初期完新世にかけてのオーロックスの個体群動態の駆動に大きな役割を果たしたかもしれない、と示唆されます。3000年前頃に始まった雌個体群の急激な減少は、乱獲および生息地喪失に起因するかもしれません。
●アジア東部におけるオーロックスと初期の家畜ウシの遺伝的類似性
アジア東部のオーロックスの遺伝的背景を特徴づけるため、本論文はゲノム網羅率0.01倍超で較正年代の範囲が36210~3590年前頃の標本7点のゲノム規模比較を実行しました。この7点のゲノムは、9000~7000年前頃となるヨーロッパと近東とアフリカのオーロックスのゲノム[6]と統合されました。主成分分析(principal component analysis、略してPCA、図1dおよび図2a)と対での外群f₃係数の多次元尺度構成法(multidimensional scaling、略してMDS)は、アジア東部のオーロックスと他地域のオーロックスとの間の顕著な遺伝的分岐を明らかにしました(図2b)。D統計はさらに、アフリカのオーロックスとヨーロッパのオーロックスとの間よりも、アジア東部のオーロックスとヨーロッパのオーロックスとの間の方で大きな分化を明らかにしました。さらに、アジア東部のオーロックスと他地域のオーロックスとの間の初期の分岐は、IBS(identity-by-state、同じアレルを有していること)値と地理的モデルを用いて視覚化されたqpGraph空間に基づく近隣結合(neighbor-joining、略してNJ)系統樹によって確証されました(図1d・e)。以下は本論文の図2です。
アジア南西部とヨーロッパとアフリカにおけるオーロックスと家畜ウシとの間の遺伝的差異と相互作用のパターンは、充分に確証されてきました[6]。しかし、アジア東部のオーロックスと家畜ウシとの間の遺伝的類似性は不明なままです。アジア東部のオーロックスのゲノム景観とその初期の家畜ウシへの遺伝的寄与の可能性を調べるため、アジア東部のオーロックス7個体(網羅率は0.01~1.57倍)と世界中の地理的範囲の古代および現在のウシ253個体のゲノム規模解析が実行されました。
投影されたPCAは明確な系統地理的パターンを明らかにし、同じ地理的地域のオーロックスと家畜ウシはまとまって分類されます[6]。アジア東部のオーロックスはアジア東部の家畜ウシ、とくに現生のチベットのウシの近くに位置しました(図1d・e)。次に本論文は、外群f₃分析とD統計を用いて、アジア東部のオーロックスと古代および現代のウシとの間の関係を調べました[6]。外群f₃およびD統計では、初期の家畜ウシが非対称的関係を示す、と確証されました(図3a)。異なる段階のNEA(アジア北東部)のオーロックスも、古代の陝西省の石峁(Shimao)遺跡(3900年前頃)および現生のチベットのウシとの相対的に高い類似性を示し(図3)、現生のチベットのウシとは、たとえば青海省の玉樹(Yushu)やチベット自治区のチャムド(Chamdo、Changdu)の品種です。Dではさらに、石峁遺跡のウシがNEAのオーロックス(たとえば、ARB10KやARB3-4K)と相対的に密接な関係を有している、と確証し(図3a)、TreeMix(図3b・c)およびADMIXTURE分析はNEAのオーロックスからの高い割合の遺伝的祖先系統を明らかにしました。
qpGraph(図3d)とf₄比(図3e)とqpAdm分析(図3f)から、石峁遺跡のウシの祖先系統の3~7%はNEAのオーロックス(たとえば、ARB10K)に由来する、と示唆されました。f₄(アジア東部のウシ、古代アナトリア半島の家畜ウシ;オーロックス、スイギュウ)から、現生のチベットのウシ(たとえば、チャムドや玉樹)はNEAのオーロックス(たとえば、ARB3-4KやARB10K)とより多くのアレルを共有していた、と示唆され、これは外群f₃結果と一致します。この調査結果は、TreeMix図によってさらに裏づけられました。これらの遺伝的類似性は、アジア南西部の肥沃な三日月地帯やヨーロッパやアフリカにおける観察[6]と同様に、アジア東部のオーロックスからの初期の二次的調達もしくは遺伝子移入を示唆しているかもしれません。
対照的に、D統計(オーロックス、アムール川流域個体群;石峁遺跡のウシもしくはアジア東部のウシ、スイギュウ)は、他のオーロックスから古代および現生のアジア東部のウシへの追加の寄与も示唆しました(図3g)。これは、移動期に初期のアジア東部のウシへもかなり【遺伝的に】寄与したユーラシア全域に生息するアジア東部のオーロックスと同様に、近東における初期家畜ウシの影響もしくは他のオーロックス系統の影響に起因する可能性がある、と本論文は結論づけます。ユーラシア内では、家畜ウシとオーロックスとの間の共通祖先系統は、関連するウシとオーロックスの特定の個体群に応じて、顕著な変異性を示しました。それにも関わらず、アジア東部のオーロックスとチベットのチャムドや玉樹のウシ品種で観察された比較的高水準の共通祖先系統は、遺伝子流動の発生を示唆しました。これらのパターンから、アジア東部の家畜ウシはオーロックス祖先系統を識別できる程度有している、と示唆され、アジア東部のオーロックス系統の存続はチベット高原においてとくに明らかです。以下は本論文の図3です。
●アジア東部におけるオーロックスと家畜ウシとの間で共有される多様体
本論文はアジア東部の家畜ウシにおいて21382個の固有の変異を特定し、そのうちアジア東部のオーロックスが最も多くの派生的アレル(対立遺伝子)の最大の共有に寄与しました。これら共有されたSNPの注釈付けは、遺伝子間(57.06%)およびイントロン(39.80%)領域における優勢を明らかにしましたが、エクソンでは低い割合(0.85%)でしか見つかりませんでした。これらエクソンのSNPには、75個の非同義SNP(nonsynonymous SNP、略してnsSNP)と、60個の遺伝子内の179個の同義SNPが含まれていました。興味深いことに、他のウシ個体群と比較すると、チベットのウシとアジア北東部の家畜ウシはnsSNPの同様の分布を示しました。特定されたアレルのほとんどは、免疫応答や神経生物学的かていや代謝機能に関与する遺伝子と関連していました。
●考察
アジア東部のオーロックスをアジア南西部とアフリカとヨーロッパの以前に調べられたオーロックスと統合した本論文におけるゲノム解析の結果から、アジア東部のオーロックスのミトコンドリアゲノムと核ゲノムの両方が独特な系統発生的地位を占めていた、と明らかになりました。これは、アジア東部のオーロックスの分類学的区分の、オーロックスの亜種(Bos primigenius. sinensis Zhang)として分類を裏づけます。中国北東部の松嫩平原から収集されたアジア東部のオーロックスは、ヨーロッパの基亜種オーロックス(Bos primigenius primigenius)やアジア南部のインドオーロックス(Bos primigenius namadicus)やアフリカ北部のアフリカオーロックス(Bos primigenius opisthonomus)からの遺伝的分化を示しました。この亜種の命名と関わる過程は、亜種を区別するために、単に形態学的特徴に依拠するのではなく、遺伝的特徴の活用への移行を強調します。
ゲノム規模SNPの比較分析は、古代中国におけるアジア東部のオーロックスと最初に導入された家畜ウシとの間の混合を明らかにしました。さらに、共有アレルが古代の石峁遺跡のウシと後期完新世アジア東部のオーロックスとの間で検出され、少なくとも4000年前頃にさかのぼる、家畜ウシへの在来のオーロックスの取り込みが確証されました[9]。この結果は、家畜ウシの東方への拡散状況における、アジア東部のオーロックスのさまざまな集団の自然な遺伝子移入、もしくは家畜補充のためのアジア東部のオーロックスのさまざまな集団の調達を示唆しています[6、9]。
本論文は、アジア東部におけるオーロックスと現代の家畜ウシ、とくにチベットの品種間で共有されている派生的アレルも検出しました。このパターンは、ブリテン島のオーロックスと現生のウシとの間のより顕著な遺伝子流動と類似しています。両方の筋書きでは、最適な近東完新世の環境条件下で家畜化されたアナトリア半島起源のウシは当初、高緯度(ブリテン諸島など)および高い標高(青海・チベット高原など)と関連する、周辺環境に導入されました。とくに、アジア東部のオーロックスが第四紀においてLGMの気候で生き残ったことを考えると、在来のオーロックスとの遺伝子移入は新たな環境への急速な適応を促進したかもしれません。しかし、オーロックスのmtDNAのハプログループVはアジア東部の現代のウシでは見つからず、これは、太古における遺伝的遺産と、青海・チベット高原における独特な先史時代のウシの遺伝的祖先系統の保存を示唆しています。
これらのゲノムが可能としたウシとオーロックスの歴史的動態および系統地理的パターンは、家畜化過程の理解にも寄与します。家畜化は元々、ひじょうに局所的で短期間の事象として予想されていました。今では学問的関心において、局所的な遺伝的孤立から、広範な地理的範囲での家畜化の中心地内およびそれを越えての、自由に暮らす野生近縁種と家畜化された系統との間の長期の遺伝子流動へと、顕著な移行があります。この移行は、家畜化および初期拡散事象との地理的絡み合いの概念化にどう関わっているのかに、影響を及ぼしています[57]。動物の家畜化と植物の栽培化は、自然では世界中に拡散している数千年にわたる長期の過程とみなすことができます[6、11]。本論文の調査結果は、絶滅したアジア東部のオーロックスの遺伝的遺産の明快さを顕著に改善し、アジア東部およびそれ以外の地域における家畜ウシの遺伝的構成を豊富にするうえで、オーロックスの明白な役割を強調します。
参考文献:
Hou J. et al.(2024): Evolution and legacy of East Asian aurochs. Science Bulletin, 69, 21, 3425-3433.
https://doi.org/10.1016/j.scib.2024.09.016
Rossi C. et al.(2024): The genomic natural history of the aurochs. Nature, 635, 8037, 136–141.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08112-6
関連記事
[6]Verdugo MP. et al.(2019):Ancient cattle genomics, origins, and rapid turnover in the Fertile Crescent. Science, 365, 6449, 173–176.
https://doi.org/10.1126/science.aav1002
関連記事
[9]Chen S. et al.(2024): Evidence of hybridization of cattle and aurochs on the Tibetan Plateau ∼3750 years ago. Science Bulletin, 69, 18, 2825-2828.
https://doi.org/10.1016/j.scib.2024.06.035
関連記事
[11]Daly KG. et al.(2018): Ancient goat genomes reveal mosaic domestication in the Fertile Crescent. Science, 361, 6397, 85–88.
https://doi.org/10.1126/science.aas9411
関連記事
[16]Mao X. et al.(2021): The deep population history of northern East Asia from the Late Pleistocene to the Holocene. Cell, 184, 12, 3256–3266.E13.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.04.040
関連記事
[57]Kistler L. et al.(2018): Multiproxy evidence highlights a complex evolutionary legacy of maize in South America. Science, 362, 6420, 1309–1313.
https://doi.org/10.1126/science.aav0207
関連記事
この記事へのコメント