大河ドラマ『光る君へ』第39回「とだえぬ絆」

 今回も、宮中の描写が中心となります。彰子は再び懐妊し、一条帝からすっかり信頼されているようです。この懐妊で生まれたのが敦良親王(後朱雀帝)で、後朱雀帝の父系が現在の皇室につながっています。一条帝は体調が思わしくなく、側近の藤原行成には、死を覚悟している、と示唆します。一条帝は最愛の定子との間の皇子である敦康親王を次の東宮としたいわけですが、藤原道長(三郎)は敦康親王が彰子を慕いすぎているというか、「光る君」のような「不義密通」をやるのではないか、と強く警戒しているようです。『源氏物語』と重ね合わせて話を展開させるところは、なかなか上手く構成されているように思います。

 藤原伊周は今回で退場となります。本作の伊周は、道長を相対的に持ち上げるために貶められた感が否めず、小物感全快で、ここまで本作を高く評価してきましたが、この点には不満があります。妍子と彰子との会話はやや長く描かれ、妍子は本作で予想よりも重要人物かもしれません。妍子は現時点の東宮である居貞親王(三条帝)の妃となり、禎子内親王を産みますが、この時、生まれたのが皇子ではなかったため、道長はたいそう不機嫌だったそうで、本作の道長の人物造形からは想像しにくい反応ですから、本作ではどう描かれるのか、あるいは描かれないのか、注目しています。

 紫式部(まひろ、藤式部)の娘の賢子(大弐三位)は、今回から成人役となります。賢子は相変わらず母に強い反感を抱いているようで、この親子関係が終盤の見どころの一つとなりそうです。賢子は紫式部にとって不俱戴天の仇とも言うべき藤原道兼の息子の兼隆と結婚したそうですから、紫式部の心境がどう描かれるのか、注目しています。まあ、賢子と兼隆との結婚が描かれるとは限りませんが、賢子の扱いは大きそうなので、描かれる可能性は高いと思います。紫式部の弟の藤原惟規は今回で退場となり、演出上では急死といった感じでした。惟規は序盤から登場していて、気難しさのある姉の紫式部とは異なり、お調子者なところがあったので、本作が必要以上に重苦しい雰囲気になるのを防いでいた感もあり、貴重な役割を担っていただけに、寂しさがあります。

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